議会活動

市が避難勧告を発した4000人のうち、避難したのはたった20人。市の避難勧告が対象住民に届いていないのではないか!! ~10月1日 横浜市会決算総合審査での一問一答 (その一)

圧倒的に足りない災害時の広報手段、防災行政無線の設置を

古谷議員:

まずはじめに、今年9月の台風18号の土砂災害警戒情報の発令に伴う避難勧告の対応についてです。
近年、毎年のように起こっている豪雨災害、またスーパー台風や、あるいは大地震など本市で大災害が起こった場合の備えについての市長の考え、また茨城県の被害などを見ての所感、伺います。

PA010003 (2)

林市長:

豪雨災害にかかわらず、地震を含めた大災害に対する備えにつきましては、行政としてハード、ソフトさまざまな対策を進めておりますが、こうした公助に加えて、自助・共助の意識や取り組みが大変重要であると考えております。
今回の被害を見ましても、自然の脅威に対してはハード対策だけでは限界があり、適切な避難行動など命を守るための行動を、市民お一人おひとりが、あるいは地域で助けあって迅速に行うことが大切だと改めて痛感いたしました。

PA010006

古谷議員:

今回、台風18号の土砂災害警報発令に伴う避難勧告についてですが、そもそもこの避難勧告というのは、どういう指示内容なのか、伺います。

 

山隈総務局長:

各区で発令をした避難勧告は崖崩れなどの土砂災害に備えて発令したものでございまして、具体的に一例を申しますと、磯子区では広報車によりまして「こちらは磯子区役所です。13時8分に避難勧告を発令しました。岡村小学校を避難場所として開設しています。土砂崩れの恐れがありますので、安全な場所への避難を開始してください」といったような放送を行いました。このように、安全な場所への避難など市民のみなさまに土砂災害から身を守るための行動を直ちにとっていただくように呼びかけたものでございます。

 

古谷議員:

今回、どのくらいの対象の方に避難勧告をされて、そしてどのくらいの方が実際避難されたのでしょうか。

 

山隈総務局長:

今回は10区で54か所、計1,809世帯、4,106人に対して避難勧告を発令しました。地域防災拠点などの避難場所に実際に避難された方は、7区で合計20人でございました。

 

古谷議員:

非常に少ないなという実感を持っています。局長、避難勧告というのは、避難してもしなくてもいいものなのかどうか、伺います。

 

山隈総務局長:

避難勧告自体には強制力はないというふうにされております。あくまでも避難するかしないかは、個々人の判断ということになっています。

 

古谷議員:

しかし、発令した避難勧告が対象住民に届いているか届いていないか、これは非常に重要な問題だというふうに思っています。今回の対象者に対して本市の避難勧告の情報が、先ほど車の例、出されましたけど、どのくらいの方が受け取ったというふうに認識しておられますか。

 

山隈総務局長:

土砂災害警戒情報の発表とともに、避難勧告を発令する対象の世帯の方に対しましては、予めポスティング等によりその旨をお知らせしてございます。その上で、当日は広報車や個別訪問に加え、Lアラートや防災情報eメール、ツイッターなどできる限りの手段で、土砂災害警戒情報が出ていること、それから避難勧告が発令したことを周知しました。また、テレビやラジオなどでも繰り返し放送しておりました。これらの情報も加えますと、対象地域のうちの多くの方に情報は伝わっていたのではないかというふうに考えております。

 

古谷議員:

本市が、災害対策基本法の第60条に基づいて避難勧告を発令して、勧告をした対象者の住民にいかに知らせるのかという手段については、本市の「風水害対策マニュアル」というものに具体的なフローがあります。先ほど局長が言われたような事例で動いたところもあります。その第一番目には「車両による対象区域の巡回広報」というふうに書かれてあります。車両がたくさん出動したところもあれば全く一台も出されなかったところもあるというふうに聞いています。一台も出さなかったところは出さなくてもいいと、出さなくても住民への広報が十分だったという認識なんでしょうか。

 

山隈総務局長:

災害時の広報につきましては、仮に重複があったとしましても、広報車や戸別訪問、ホームページ、ツイッター、ファックスなど、活用可能なあらゆる手段を用いて広報すべきだというふうに考えています。そのような点からしまして、先生の今のご指摘の件については、関係局で検証を行い、改善すべきは改善をして、今後の対応に活かしてまいりたいというふうに考えます。

 

古谷議員:

また、そのマニュアルの中で、「町内会長への個別の電話連絡」とあります。知らせることは非常に結構だというふうに思うんですが、その先の対象住民への本市からの直接のお知らせがないということからしたら、もし被害が起きた場合に、町内会長などに責任を負わされるということになりませんか。

 

山隈総務局長:

避難勧告を発令した場合、行政として、先ほどから申しておりますように、さまざまな手段を用いて対象地域のみなさまに伝達をいたします。その中で、自治会町内会長などのお力もお借りをして、伝達をお願いすることもあります。しかし、これはあくまでも本市が行うべき対象世帯への伝達を補完するものでございますので、仮にそれ以降伝わらなかったとしても自治会町内会長様が責任を負うというものではないというふうに考えております。

 

古谷議員:

それが、本当に対象の住民に直接伝えないで、しかも町内会長にだけ電話をするとフローになっているんです、今。ですから、そこが問題だと思っています。結局、対象区域の住民全体に対して、知らせる手段が今は広報車の巡回しかありません。やっぱり広報手段が圧倒的に不足しているというふうに思います。その辺の認識、いかがでしょうか。

 

山隈総務局長:

繰り返しになりますけども、本市では広報車に加えて、戸別訪問、それからLアラート、防災情報eメール、ツイッター、ホームページなど、さまざまな方法で情報を伝えております。今後もこれらのさまざまな情報のより効果的な運用を図るとともに、自然災害の多様化、大規模化を踏まえ、伝達手段の拡充、こういったことも、これは常に点検をしていかなきゃいけないというふうには思っております。

 

古谷議員:

ぜひ、伝達手段を拡充していただきたいと思うんです。
私たちは前々から、防災行政無線つけるべきであると主張しています。これは内閣府の「避難勧告等の判断・伝達マニュアル」という作成ガイドラインなんですよ。その中には、避難勧告等の伝達手段として、「市町村の防災行政無線など、情報の受け手側の能動的な操作を伴わず、必要な情報が自動的に配信されるタイプの伝達手段であるPUSH型の伝達手段を活用する」のだとあります。その第一に、防災行政無線が掲げられています。同時に個別受信機などの方法も組み合わせると書いてあります。本市では、そのどちらも配備されていません。また「都市部では人口が多く、全世帯への個別受信機の配備は困難であり、屋外拡声器で対応せざるを得ない場合が多い」と、都市部のことも指摘をしています。
先ほどの答弁では、河川地域を中心に防災行政無線については検討していくんだとありましたが、それにとどまらず、土砂災害も大きな問題になっているわけですから、広く同報型の防災行政無線の設置、始める時だと思いますが、市長の決意、伺います。

 

林市長:

昨年度の検討によりまして、屋外スピーカーは河川周辺の広範な地域に、迅速に情報提供する必要がある洪水への対策としては大変有効であると結論を得ました。現在、整備する地域の検討を行っております。  また、先生からいろいろご指摘がありましたけども、繰り返しますが、自然災害の多様化、大規模化に踏まえて、伝達手段の拡充についても検討する必要があると考えております。

 

古谷議員:

あらためて、全国の自治体で当たり前になっている、設置されている防災行政無線の設置、早期に設置を求めたいと思います。


2015-10-04 | 2015年の議会活動ブログ議会活動

Top