日本共産党横浜市会議員
古谷やすひこ古谷議員:
次に、市第207号議案「横浜市山下ふ頭開発基本計画検討委員会条例の廃止」についてであります。
わが党は、一貫して山下ふ頭開発が多くの反対の声が出ているカジノ含むIRの誘致が前提となっていると指摘してきました。実際、検討委員会議事録をみても、すでにIRが前提となった議論が行われていることがよく分かります。多くの市民がその導入を反対しているIRが念頭に置かれた基本計画を市長に答申したまま、委員会を廃止することは許されません。
そもそも、47ヘクタールという広大な土地に建つ49棟もの操業している倉庫を立ち退き移転をさせて基盤整備を行い、それを民間事業者の開発に委ねるというもの。来年度予算案でも134億の市債を発行して、すべての完成までにはその5倍から6倍もの巨費を投じるものと予想されます。さらに、2025年までに全体を共用する予定という計画で、いわゆる「2025年問題」で扶助費が急増すると言われていて、現在それに向けて様々な準備が行われている横で、こんな巨額な事業費を投入することに市民理解が得られると思うでしょうか。市長の見解を伺います。
また、市長は、カジノ事業者以外にこの巨額な整備費を回収できるような民間事業者が必ず来ると確約できるのでしょうか。それこそ、この大博打に横浜市民を巻き込むようなやり方はやめていただきたいと思います。一度立ち止まって見直すべきと思いますが、市長の見解、伺います。
林市長:
市第207号議案について、ご質問いただきました。
多額な事業費を投入することに対する市民理解についてですが、横浜港における物流の主力が沖合展開する状況の中で、今後の横浜の成長エンジンとなる都心臨海部の新たなにぎわい拠点の形成をめざすため、山下ふ頭を再開発することについては、横浜市中期4か年計画において位置付けております。これを踏まえ、26年9月から4回にわたって横浜市山下ふ頭開発基本計画検討委員会で議論を重ね、節目ごとに市会への報告や市民意見をお聞きした上で、27年9月に横浜市山下ふ頭開発基本計画を策定しておりまして、これに基づき事業を進めてまいります。
民間事業者の見通しが立たない基本計画は見直すべきとのご意見についてですが、山下ふ頭は周囲の静音な水域や横浜の観光スポットに隣接した広大な空間などの開発ボテンシャルを有しております。このため、民間の資金やノウハウを積極的に活用して、都心臨海部における新たな魅力を作り出していくことができると、私は考えております。計画通りに進めてまいります。
古谷議員:
最後に、市第213号議案「横浜市市庁舎移転新築工事請負契約の締結」についてであります。
私たち日本共産党横浜市会議員団は、この新市庁舎建設問題について一貫して問題提起をしてきました。私たちは、市庁舎そのものの建て替えは否定していません。それは、時期と金額が問題であります。時期については、耐震補強をした現庁舎がまだ使える状況であることや、市庁舎の建て替えが必要な場合は将来世代に過度な負担にならないような費用に抑えるべきことが肝要です。市長も就任当初は、市庁舎の建て替えには慎重な態度をとらえていましたが、一転、現計画の推進にアクセルを踏んでしまいました。誠に残念です。
予算が厳しいといわれている中に、異常な高額な事業費の支出、考えられません。また、いまだ新市庁舎建て替えに市民オンブズマンからは提訴がされていることや、横浜市公共事業評価制度に基づく市民意見募集で今計画に対して出された多くの反対の声に、市長はいまだ答えていません。これから大都市制度の中で、都市内分権を進め、区役所機能を拡充しようとしている時に、一つの市役所を大きな庁舎にするという方向は政策矛盾です。危機管理上の問題もあります。また、現計画が粛々と進められると、移転後の関内駅前は空洞化することも懸念されます。
やはりこの際、このまま契約に進むべきではなく、立ち止まって検討するという英断をして、市民の皆さんの願いに応えるべきと思いますが、市長の見解を伺って、一旦質問を終えます。
林市長:
市第213号議案について、ご質問いただきました。
新市庁舎計画に関する裁判や反対意見についてですが、27年11月の横浜地方裁判所一審判決では、新市庁舎整備に関する本市の手続きを違法・不当とする原告側の主張は退けられ、これまでの本市の取り組みは適切であったと認められたものと受け止めております。新市庁舎の整備については、さまざまなご意見があるだけに、これまで議会においても出来る限り丁寧に説明しながら進めてまいりました。今後とも、関内関外地区の活性化と、現市庁舎が抱える喫緊の課題の早期解決に向けて、しっかりと取り組んでまいります。