日本共産党横浜市会議員
古谷やすひこ古谷議員:
横浜環状道路などの高速道路予算がしっかりと予算確保がされている一方で、道路や橋などのメンテナンスに関わる予算が十分確保されているかどうか、非常に心配をしております。その観点でいくつか、伺ってまいります。
まず、高速道路関連の事業費について。今、進行している3つの横浜環状道路を全て計画通り完成させた場合、事業期間と、それと、あと本線と関連街路をあわせての総事業費いくらなのか、またそのうちの市費負担はいくらなのか、伺います。
池本横浜環境道路担当理事:
事業の完了時期についてですが、北線は28年度末開通、南線および横浜湘南道路は32年度完成を目指しており、北西線は33年度迄の事業期間ですが、完成予定を前倒しできるよう取り組みを進めているところでございます。
29年度以降の残事業費でございますが、本線と関連事業の合計約1,690億円で、このうち市費は約960億円でございます。
古谷議員:
非常に莫大なこれから巨費がかかっていくということですが、その一方で、道路の維持費、維持管理費用についてですが、一般的にいえば本市がこれから管理をする道路はこれから増えていくのか減っていくのか、どういう傾向なのか、伺います。
新倉道路部長:
本市が管理する道路は約7,600キロメートルでございますが、私道の寄付や都市計画道路の整備、開発事業で整備した道路の移管などにより、ここ数年は平均して年約12キロメーター、管理道路延長に対する割合としては約0.2%程度増えております。
古谷議員:
道路維持管理費用に要する修繕費の過去5年の傾向、いかがでしょうか。
新倉道路部長:
24年度以降、道路修繕費の予算は、当初予算と補正予算をあわせて約100億円程度となっております。管理道路延長の増加に対しては、路面正常調査等の結果を反映し、予防補正の考え方を取り入れながら、計画的かつ効率的な補修を行うなどの対応を図っております。
古谷議員:
今後、道路管理面積は右肩上がりで増え続けていくというわけであります。しかし、道路面積に比べて、今おっしゃられたとおり、ぜひ確保はしていただきたいというふうに思います。その点で、ぜひ、削減の対象にすべきではないというふうに思いますが、局長の見解、伺います。
手塚道路局長:
それぞれ、横浜環境道路も非常に重要な道路でございますし、維持保全も非常に重要だというふうに思っております。特に、維持保全に関わるお金、道路修繕も含めましてですが、先ほど来から言っていますが、できるだけ長くもたせる長寿命化みたいなことを検討しておりますので、そういう中でのそれぞれの保全計画をつくった中では、毎年度の予算としては適正に確保できているというふうには思っております。
古谷議員:
長寿命化させるためには、ぜひメンテナンス料しっかりと計上しないといけないというふうに思います。そういう道路維持費用についての予算、しっかりと死守していただきたいというふうに思います。
古谷議員:
次に、道路の次は橋のメンテナンスについて伺います。スライド(スライド1)をご覧ください。
この問題、2年前の道路局予算の中で、審査で橋の問題、取り上げました。その際、当時の局長答弁で、今後の橋梁の架け替えと維持管理に必要になる費用が示されました。その費用と実績、この表に基づいて、教えてください。
菅澤建設部長:
橋梁の架け替えと老朽化対策に関わる費用についてですが、24年度に橋梁の長寿命化修繕計画を策定しておりまして、その際は50年間で3,700億円、単純に平均しますと1年あたり74億円と試算しました。実績ですが、23年度が約35億7,000万、24年度が約34億5,000万、25年度が約41億3,000万円、26年度が約31億円、27年度が約27億5,000万円となっております。
古谷議員:
局長、伺いたいんですが、想定と実績がこれほど鮮やかに差が出ているわけですが、この理由は何か、伺います。
手塚道路局長:
確かに乖離はされているわけですが、全体で長寿命化計画をつくった時には3,700億円が必要だということで修繕計画を策定したわけでございまして、ただあくまでも試算という意味合いで行ったものでございます。当時試算した金額と実際の予算というのは言われたような乖離でありますけれども、定期点検や日々のパトロールで、劣化の進行具合を把握し、計画的な補修を実施しておりますので、必要な予算は確保できていると考えております。
古谷議員:
局長、いくらそうおっしゃられても、数字は明確だというふうに思うんです。そういえば、想定というのは、やってもやらなくてもいい想定なんでしょうか。
手塚道路局長:
あくまでも試算をした時には標準的なパターンで推移していった場合にどういうふうなことになっていくのかというようなことが前提となっております。そういう意味で、点検をしながら、その点検の結果、もう少しこれは修繕するまでの時間が大丈夫だなというようなことを個々にやっておりますので、そういったことを毎年度繰り返しながら行っているということで、そういう意味では当然ながら、標準的なパターンで計算したものと実際というものは乖離が出てくるというふうに理解しています。
古谷議員:
もう一度、表見ていただきたいんですが、来年度でいっても、たった3分の1しか計上されていません。予算が計上されていないということです。今までも1回も想定に達したことはありません。これは、いくらなんでも削減しすぎじゃないかというふうに思いますが、いかがでしょうか。
手塚道路局長:
ちょっと先ほどとダブるかもしれませんけれども、5年に1度の定期点検や日々のパトロールによりまして、橋梁の状態を確認しながら、老朽化が進み補修が必要な橋梁については、優先的に予算を計上し対応しておりますので、安全性は確保できているというふうに考えております。今後は、26年度から義務化されました近接目視による定期点検の結果をもとに、より精度を上げ、コスト縮減を図った長寿命化修繕計画を策定していくことで、さらに安全安心を高めるように努めてまいります。
古谷議員:
副市長、伺いたいんですが、道路局として自らが決めた費用を1回も計上できていない、しかも想定の3分の1しか計上できていないと。予算が下がり続けています。これは、どういうことなんでしょうか。そこで、副市長に伺うんですが、道路局が必要だと決めたメンテナンス費用が1回も計上できていない状況、どう考えますか。
鈴木副市長:
長寿命化計画というものをどういうふうに理解するかということなんですけれども、今、橋梁に関しては局長が答弁させていただきましたが、たとえば建築物、公共建築物等もありますけれども、基本的には、今、局長が申し上げましたように、施設の更新であるとか修繕の目安、そうことで標準的に推奨されている期間を管理している施設に当てはめて試算をしていると。それによって、個々の施設単位での状況、今後の推移、その傾向をみるということと、全市的に施設全体の需要というものをみながら、それが本市財政との関係でどうなっているかというような、全市的な立場でそれを判断していく。いろんな要素がありますけれども、いずれにしても長寿命化計画とはそういうものでございます。実際の予算というのは、それをベースにしながらも、さらに日々の点検等をふまえて、より正確な詳細な精査の中で、その年に最低限どこをやらなければいけないかということを判断をして計上するものでございますから、そういう意味で計画の値と実際が違ってきているということについては、それについてはそういう性格の違いから出てくるものであると。われわれとしては、やはり市民生活を考えた時に、必要な予算というものは計上できているというように考えております。
古谷議員:
全く、数字をぜひ明確にみていただきたいと思うんです。
もう一つの表(スライド2)をみていただきたいと思います。これも同じような表なんですが、架け替えを含まないパターンですから、これもまた明確に想定と実績が乖離しています。局長、こんなに老朽化対策の費用を削って本当に大丈夫なのかっていう、本当に私、心配しています。市内の橋は安全であるというふうに言えますか。
手塚道路局長:
先ほども答弁いたしましたけれども、定期点検を現場で点検をしながら、しっかり修繕すべきものは修繕するということで日々やっております。そういう意味で、必要なものについては修繕を行っているということで、そういう意味で市民の安全性上は大丈夫だというふうに理解しております。
古谷議員:
局長、高速道路予算は、先ほど言ったとおり粛々と計上されている一方で、橋梁の維持管理費は減らされ続けています。橋梁の維持管理費用っていうのは、そんなに位置付けが低いものなのでしょうか。
手塚道路局長:
冒頭、中山委員の方からもご質問のあった中でも、維持管理に関するということは道路局の大きな目玉のひとつとして、3つの目玉のひとつとして、非常に力を入れているところでございますので、非常に重要だと考えております。
古谷議員:
ぜひ、重要だというところで、ちょっと紹介したいんですが、道路や橋などのメンテナンスの重要性について、国土交通省が社会資本整備審議会の道路分会が出した「道路の老朽化対策の本格実施に関する提言」という、こういう文書を出しています。この中で、衝撃的な書き方でその重要性が語られています。簡単に紹介します。
「社会全体がインフラのメンテナンスに関心を示さないまま、時間が過ぎていった。国民も、管理責任のある地方自治体の長も、まだ橋はずっとこのままであると思っているのだろうか。」
「今や、危機のレベルは高進し、危険水域に達している。ある日突然、橋が落ち、犠牲者が発生し、経済社会が大きな打撃を受ける、そのような事態はいつ起こっても不思議ではないのである。われわれは再度、より厳しい言い方で申し上げたい。」
「今すぐ本格的なメンテナンスに舵を切らなければ、近い将来、橋梁の崩落など人命や社会システムに関わる致命的な事態を招くであろう。」
「橋やトンネルも『壊れるかもしれないし、すぐには壊れないかもしれない』という感覚があるのではないでしょうか。地方公共団体の長や行政も『まさか自分の任期中はという感覚はないでしょうか。しかし、私たちは東日本大震災で経験したではないでしょうか。また千年に一度だろうが、可能性のあることは必ず起こると、笹子トンネル事故で、すでに警鐘は鳴らされています。」
「いつの時代も軌道修正は簡単ではありません。しかし、科学的知見に基づくこの提言の真意が、この国をリードする政治、マスコミ、経済界に届かず、『危機感を共有』できなければ、国民の利益は確実に失われる。その責はすべての関係者が負わなければならない。」
こういった提言です。局長、感想、伺います。
手塚道路局長:
内容的には私もその当時からそのことをよく読みまして、理解をしているつもりでございます。施設の維持管理の重要性というものをかねてより認識しておりますので、その提言の内容についても重く受け止めております。しかしながら、道路局では、この提言がなされる以前から、橋梁・歩道橋について保全計画を策定しておりまして、河川についても平成26年度に保全計画の策定を完了して、毎年度毎、必要となる予算を確保しております。また、笹子トンネル事故を受けまして、平成25年4月から道路局が管理している全ての道路、河川施設についていっせい点検を実施いたしまして、点検結果を公表するとともに、今後の維持管理方法についての整備をしております。引き続き、市民の安全安心を確保するために、この考え方に基づく維持管理を推進してまいります。
古谷議員:
計画はつくっているのは存じております。しかし、それに対して予算が付けられていないということを問題にしています。
そこで、副市長に伺います。今まで見てきたように、横浜環状道路関連予算が半ば聖域化されて粛々と予算計上がされて、そのとおり執行もされています。その一方で、こういう維持管理に関わる予算、最低限必要だと自ら道路局がはじき出した費用も計上できないということになっています。
こういう問題は、何か重大な事故が起きない限り改善が図られないのかというふうに、本当に歯がゆく思います。学校現場の防火防煙シャッターは、安全確保策のための予算措置、今回付けられましたが、そのきっかけは、明確に事故が起きたからであります。万が一、橋が落ちるような大事故が起きた場合、必要な予算を計上してこなかったという責任、問われるんじゃないでしょうか。副市長、改善が必要じゃないでしょうか。
鈴木副市長:
高速道路も市内のいろんな道路施設の維持管理、長寿命化、いずれもわれわれは経済の活性化、市民生活の安定、考えた時に、きわめて重要なテーマだというように思っておりますので、これについては引き続き全力で取り組んでいきたいというように考えております。そういう中で、この修繕の関係、先ほどございました提言、これ私も承知をしておりますが、まさにわれわれ今取り組んでいるのは、この提言に沿った、同じ方向を向いた中で、われわれとしては進めているというように考えておりますので、引き続き公共施設の安全に向けて、われわれもがんばってまいりたいと思います。
古谷議員:
どちらも重要だとおっしゃられたんですが、結局予算は一方は付いてないわけです。ですから、そこはぜひみていただきたい、ちゃんとみていただきたいと思います。高速道路中心の、私達は道路行政を見直す時期がきているんだろうというふうに思っています。道路などのメンテナンス費用をしっかりと計上し続けて、本格的なメンテナンスに舵を切るということで、未来の本当に横浜の子どもたちに、きちんとメンテナンスをされた安全なインフラをぜひわたせるように、高速道路偏重の予算の使い方の見直しを強く要望して、次の質問に移ります。