日本共産党横浜市会議員
古谷やすひこ
古谷議員:
次に、保育園の民営化の問題についてです。
今回、運営費の不正の疑いが発覚した社会福祉法人夢工房は、兵庫県に本部があり、本市でも3園運営しています。同法人は、港北区の市立保育園を譲り受けて日吉夢保育園を運営していますが、その園の決算報告によると、昨年度の人件費率は47.7%です。日本共産党横浜市議団が2013年に発表した市内民間園決算資料分析では、人件費率は営利法人で平均53%、非営利法人で平均71%ですから、日吉夢保育園の人件費率は際立って低いといえます。子どもの保育とは無関係の本部上納金、積立金、余剰金は毎年7,000万円で、総収入年間2億円と比較して異常な多さです。
保育の質、担保するためにも人件費を削減しすぎるのは問題です。市長は人件費は低ければ低いほどいいとお考えなのでしょうか。認可園における人件費の基準、具体的に示すべきだと思いますが、どうか伺います。
本市の監査で、理事長の娘宅の家具や家電製品の購入代金を保育所の備品購入等に偽装して支払っていたことも発覚しました。研修費は職員が37人いるのに年間48万円しか支出していません。同法人が運営事業者の品川区立ひろまち保育園では、運営費の使用方法に不透明な部分があるということで、5年の契約を今年1年で解除することが決まっています。
本市の定期監査では園の運営面に問題ないとしており、今回の特別監査で発覚した不正については不適切に処理した金額を返還すればよしとしています。本市の定期監査、これだけではあまりにも形式的に留まっているのではないでしょうか。また、金を返せばよしというのでいいのでしょうか。市長の考え、伺います。
日吉夢保育園は、市からの移管後、開園して9年経ちますが、開園当時から今まで在籍しているのは施設長と保育士1人のみです。在職2年未満が65%を占め、そのほとんどが3年以内に退職をしています。なぜ続かずに辞めるのか。厳しい労働条件や低い賃金水準という一般的な理由だけではなく、経験豊富な保育士を欠かせない人材として大切にするという姿勢を欠いているからではないかと思います。経験年数を重ねれば給料も上げざるを得ず、経営的なコストがかかる。利益を上げるためには、安上がりの若い保育士の方が都合がいい。もしそうだとすれば、子どもの発達を保証するという理念はそこにはありません。
保育の質は目に見えない、なかなか可視化がしづらいものです。だからこそ、先ほど述べたような人件費や、また市立の民間移管の際に示しているように保育士の経験年数バランスなど、具体的に守るべき基準を示すことで認可保育園の質、担保すべきだと思いますが、市長の考え、伺います。
コスト優先、経費の節減のため、保育士さんに我慢を押し付け、短期間でやめさせる、その結果、保育の質を保てず、子どもたちに我慢を押し付ける。保育の分野にまで市場論理を持ち込めば、保育の質が落ちることは明白です。これが市長の言う横浜方式なのでしょうか。
今まで42の市立園を民間移管し、さらに今後8年以内に28園を民間移管する計画の「市立保育所のあり方」方針等を撤回し、これ以上の市立園の民間移管はやめるように求めます。さらに、日吉夢保育園の実態をしっかりと調査して、夢工房のような不適格法人への移管園は直営に戻すことを求めますが、市長の見解、伺います。
林市長:
民間移管後の保育園について、ご質問いただきました。
人件費の基準についてですが、給与は運営主体ごとに給与規定で定められているものでございまして、国においても基準を設けていないため、横浜市として基準を設けることは難しいと考えております。
一方、保育士が誇りと自信を持って長く働き続けるために給与を改善することは非常に必要です。そのため、横浜市においては、国の制度にあわえて確実に人件費に当てる仕組みとした上で独自の助成額の上乗せを行って、保育士の処遇改善を図っております。
施設や法人が不適切な会計処理をした場合ですが、当該施設や法人について調査を行った上で、その結果を踏まえ、是正を求めるとともに、再発防止に向けて改善指導を行います。なお、積立金の目的外使用や領収書の改ざんなど悪質性が認められ、市が定めた期限までに是正がされない場合には、処遇改善等加算について、改善措置が講じられるまでの必要な期間、加算を停止することができます。
保育士の経験年数を踏まえた配置基準ですが、民間移管事業においては運営主体が変わることによる保育環境の変化をなるべく少なくするため、経験者の確保について移管にあたっての条件として求めております。新規に認可保育所を開設する場合においては、一定の経験年数がある職員を配置させて、職員構成についてバランスをとるように求めております。
林市長:大変失礼をいたしました。答弁漏れをいたしました。訂正させていただきます。
市立保育所の民間移管についての考え方でございます。26年9月に市立保育所54園をネットワーク事務局園に指定して、それ以外は移管の対象としました。この方針に基づいて、27年に2月に民間移管の事業計画を策定して、36年4月をもってすべての移管を完了する予定で、現在も事業を進めています。
仮に、移管先の法人に問題があると認められた場合には、その是正を指導するとともに、まずは日々の保育の状況を確認いたしまして、保育の現場を継続的に支援することで、引き続き、お子様たちが安心して通えるようにしてまいります。
本日は重ねて答弁漏れがあったこと、誠に申し訳ありません。お詫び申し上げます。以上、ご答弁、お答えいたしました。
第2質問
古谷議員:3つ目は、保育園の民営化の問題で、先ほど、国の方で保育士への処遇の改善、求めているという話だったんですが、昨今、週休2日であるとか、あるいは夏休みの休暇であるとか、ワーク・ライフ・バランス、保育士さんではこういう当たり前の働く条件が、保育士さんの現場でほとんど取れてないというふうに聞いています。市長の認識は、そういうことが享受されていると考えられているのか、伺います。
林市長:それから、保育士さんの労働条件でワーク・ライフ・バランスの問題で、市長はどういうふうに考えているかということでございますが。
これは他の業種においてもワーク・ライフ・バランスというのは日本の企業文化の中で非常に、もう特に男性が働き過ぎという状態が続いておりますけど、保育士さんの業務というのはその性質上、朝早くから夜遅くまでという勤務がございまして、たいへんな業務だというふうに認識をしておりまして、当然、処遇改善、それからワーク・ライフ・バランスがとれるようにすることが、本当に必要だというふうに思っております。そこはもう強く、私は認識しておりますが、今の現状では満たされてないというふうに思っております。ですから、そのことについても、少しでもまず処遇をよくする、それから時間帯でも、保育士さんの手が足りないっていうことによってまた起きていることもございますので、それは本当に子どもたちにとってもいいことでもございませんし、そこに向けてきちっとまた議論をして、先生方ともご相談しながら、よりよい方に、国にも本当に常に要請活動も続け、話し合いながらやっていこうというふうには思っております。
ご答弁申し上げました。