日本共産党横浜市会議員
古谷やすひこ(2012.12.20)
実際には、質問と答弁がそれぞれ一括して行われましたが、わかりやすいように対応する質疑と答弁を交互に記載しました。
古谷議員:私は、日本共産党を代表して、市政に関わる課題について順次質問いたします。
まずはじめに、現在、市内8区の市立中学校2年生3年生で使用されている歴史教科書の記述の間違いの是正についてです。わが団として、11月29日に教育長あてに、この問題と副読本「わかるヨコハマ」改定に関わる問題で強く抗議の申し入れを行いました。今日は、特に記述間違い問題に絞って質問いたします。
市内8区で使用されている歴史教科書は、自由社版です。同教科書は、多くの間違い及び不適切記述がかねてより指摘されています。例えば、縄文時代の集落の生活の想像図では、この時代ではありえない川沿いに集落があったり、広場に炉があったり、整然とした耕地など、現在の歴史の検証上ありえないものであります。また、南蛮貿易のころの「銀は金と同じかそれ以上の価値」という誤った説明などです。
2010年度に行われた新しい教科書の検定では、同社は、指摘された間違いや不適切な記述について、ほとんどの箇所を削除して申請しています。さらに、最終的に合格とした検定審議会でも、150か所の欠陥があるとして修正を求めていますが、その中には8区で使用されている教科書と同一の記述の部分も含まれています。
今、解決が迫られているのは、2010年度の検定にあたって自由社が自主的に修正し、国が欠陥として修正を求めた記述部分が、8区では使用中の教科書についてそのまま放置されている点です。
教科用図書検定規則では、誤記等発見した時には、発行者は大臣の承認の上、必要な訂正を行わなければならない、また、学習を進める上で支障となる記載等を発見した時は必要な訂正を行うことができると規定しています。また、文部科学大臣は「その訂正の申請を勧告できる」としています。しかし、自由社は音沙汰なし。国も全く動いていません。
国は、服部良一衆議院議員の質問主意書への答弁書で、検定で修正を求めた記述について、「その時点でおいて、適切に判断されたもの」とし、誤記とは認めようとはしていません。間違いのある教科書により正確な知識を知る権利を侵害されている状況について、「教科用図書として適切と判断され合格となったもの、各学校において合格図書を使用して指導が行われることについては問題ない」と、そのまま使用されることを容認しています。
自由社と国が是正措置をしないとしたら、子どもたちを救うのは、教科書等の取扱いに関して職務権限を有している市教委しかありません。しかし、これまでの市教委の対応もひどいものであります。間違いの修正は教科書会社と国の領域であり、市は関与ができないという主張を述べ、それを理由に「自由社に訂正を求める」請願を不採択としています。
見かねた神奈川県教育委員会は、本年6月に発行者に訂正申請の勧告ができる文科省に対して、その権限行使を求める要望書を提出しています。それに引き替え、市教委の対応はあまりにも子どもたちに対して無責任。子どものことを第一と考えるのであれば、裁量でできることはいくらでもあります。
そこで、まず教育長に伺います。現行教科書の使用をそのまま継続すれば、誤った知識を子どもたちに植え付けることとなるが、それを回避する手立てとして、新旧対比表や国の検定意見や自由社の修正表など客観的資料の作成・配布が有効と思いますがどうか、伺います。
教育委員長に伺います。委員長は教育委員会を代表しています。自由社教科書の採択を主導されています。「教育委員会の権限と責任において公正適正に採択した」というのであれば、自由社に対して、以前写真の裏焼の訂正版を配布したことや年表の盗作の詫び状の送付したことと同様の対応をとるように要望していただきたい。また、国に対しても、県教育委員長にならい、是正勧告するよう要望することが、最低限の責任ある態度と思いますが、教育委員長に伺います。
市長に伺います。このままでは、あやまった知識のまま3年生が卒業してしまいます。市教育委員会が自主的に解決できないとしたら、市長の出番です。教育委員の任命権者として教育委員会に対して、子どもたちが正確な知識を知る権利を擁護するために最善の努力をするように強くアピールしていただきたいと思いますが、その決意を伺います。
今田忠彦教育委員会委員長:市立中学校で使用する教科書について、ご質問をいただきました。
発行者への訂正依頼等についてですが、自由社の教科書にかぎらず、一般的に検定を経た教科書に誤記等があった場合は、発行者が文部科学大臣の承認を得て、必要な訂正を行う仕組みとなっており、これらの手続きは検定を行う文部科学省と発行者との問題であります。写真の訂正や詫び状の送付についても発行者が自主的に行ったものであり、教育委員会が関与したものではなく、また、制度上関与するべきものではないと考えております。
国に対する是正勧告の要望についてですが、ただいま申し上げましたように、本市教育委員会として必要性がないものと考えておりますので、国への要望は考えておりません。
山田巧教育長:市立中学校で使用する教科書について、ご質問をいただきました。
歴史教科書の訂正等についてでございますが、先ほど教育委員長からもご答弁いただきましたように、検定を経た教科書に誤記等があった場合は、発行者が文部科学大臣の承認を得て、必要な訂正を行う仕組みとなっており、これらの手続きは検定を行う文部科学省と発行者との問題でございます。従って、教育委員会が関与するものではないというふうに考えております。
林文子市長:古谷議員のご質問にお答え申し上げます。市立学校で使用する教科書について、ご質問いただきました。
教科書の取り扱いについては、法令で教育委員会の職務権限とされており、教育委員会において適切に対応していると考えております。
古谷議員:続いて、再生可能エネルギーの普及についてです。昨年の福島原発事故を受けて、団での視察で伺った福岡市では、福島原発事故は原子力等に過度に依拠するリスクを顕在化させたとして、再生可能エネルギーを効率的に利用する自律分散型エネルギー社会の実現を目指すことが時代の流れだとの認識に立って、原発に代わるエネルギーをどう確保するのか、真剣に検討が進めてられています。
横浜市も、「地球温暖化対策実行計画」の前文にもあるように「エネルギーの自立化・分散化」を推進すると書かれています。昨年の福島原発事故を受けて、自然エネルギーの普及についての課題を、市長はどう認識して進めようとしているのか、伺います。
また現在、政府によって再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度について、福岡などでは再生可能エネルギーの普及の機会と捉えて、市独自の遊休地にメガソーラー事業の展開をするなど積極的な施策を展開していますが、本市でもこの機会を積極的にとらえる必要があると思いますがいかがでしょうか、伺います。
2011年度に策定した「地球温暖化対策実行計画」には、公共が率先して再生可能エネルギーの導入事業に取り組み、2020年度までの中期目標として、例えば太陽光発電の普及では戸建の50%、集合住宅の30%に太陽光パネルを設置する等の目標を定めています。しかし、本市の現状の到達は、昨年度末で戸建で2.4%、集合住宅で0.2%と極めて低い到達です。これでは到底目標には到達しないのではないでしょうか。市長の本気度が疑われます。どう目標を達成しようとしているのか、伺います。
この実行計画を本市で進めていくには、計画推進に責任を持つ温暖化対策統括本部が文字通り「統括」することが大事だと思います。環境創造局にも再生可能エネルギーの普及や省エネルギーの促進などを進める環境エネルギー課があります。こういった部門も温暖化対策統括本部に統合したり、市長が温暖化対策本部長に着任するぐらい思い切ったことを行うことで、企業や市民のみなさんとも一緒になってこの計画、前に進めていただくことを提案しますが、市長の決意を伺います。
林文子市長:再生可能エネルギーについて、ご質問いただきました。
まず、原発事故を踏まえた再生可能エネルギーの普及に対する課題認識と今後の進め方ですが、震災後のエネルギーに関する市民意識の高まりを捉え、再生可能エネルギーの普及を加速化させることは、大変重要であると認識しています。今後よりいっそう節電・省エネルギー対策に取り組むとともに、将来の再生可能エネルギーの導入目標など、国の政策の動向も注視しながら、市としての取り組みを積極的に推進していきます。
再生可能エネルギーの固定価格買取制度の活用につきましては、本市の再生可能エネルギーによる創エネ施策を進める上で有効と考えておりまして、積極的に活用しています。具体的には、風力発電のハマウィングが11月から固定価格買取制度の対象設備となりました。そのほか、下水道センターの消化ガス発電、ごみ焼却工場のバイオガス発電、浄水場の小水力発電などについて、設備認定の申請を行っています。
今後につきましては、事業採算性や事業手法などを考慮しながら、可能な施設で活用の検討を進めていきます。
温暖化対策実行計画に掲げた目標をどのように達成するかについてですが、震災以降、住宅用太陽光発電システムの導入は国の固定価格買取制度ともあいまって、今年度は4000件の補助目標に対し、11月末現在で受付件数が3200件を超えるなど、目標を上回る勢いで導入が進んでいます。また、新築の戸建住宅に太陽光発電システムを標準装備するハウスメーカーも出始めるなど、太陽光導入に拍車がかかる動きもあります。これらの動向を的確にとらえ、実行計画の進捗管理を行うとともに、市民のみなさまへの普及啓発に努め、目標達成に向けて積極的に取り組んでいきます。
再生可能エネルギーの導入促進に向けて思い切った取り組みが必要とのことですが、温暖化対策統括本部は再生可能エネルギーの導入をはじめ温暖化対策の推進に対して、全区局と統括することを目的とし、全国で初めて設置しました。統括本部が中心となり、本市のあらゆる事業に温暖化対策を取り入れるため、全区局長からなる温暖化対策連絡会議を設け、施策を推進しています。今後とも、低炭素社会とグリーン成長の実現に向け、私が先頭に立ち、強い決意を持って取り組んでいきます。
古谷議員:続いて、道路予算の使い方の転換の問題です。中央自動車道の笹子トンネルの痛ましい事故がありました。報道などによりますと、中日本高速は、第二東名を新設する予算、捻出するために、道路維持管理費が犠牲になったともいわれています。つまり、道路利用者の安全よりも新設道路を優先させた結果だとも言えます。
横浜市内の道路やトンネル・橋などについても、維持・管理にはこれから莫大な費用がかかります。例えば橋だけでも今後50年間で約3700億円、年間でいうと約74億円の予算が毎年毎年の維持管理費として必要だと道路局長も9月の決算特別委員会で答弁されています。こんな中で新たな高速道路を作っている場合ではなく、市内道路等の維持・管理にこそ、しっかりお金をかけるべきです。新設の北西線などは直ちに中止してそのお金も回すべきであります。それが、今回の笹子トンネル事故の教訓だと思いますが、市長の考え、伺います。
東京オリンピックの時代につくられた首都高速横羽線も、新聞などでも危険性が指摘され、トンネルだけではなく橋脚などの老朽化も大変大きな問題です。市民の命と安全を守る責務を負っている市長として、首都高速道路公団に対して、至急点検及び必要な対策を行うように強く求めていただきたいと思いますが、市長の考え、伺います。
林文子市長:道路の維持について、ご質問いただきました。
高速道路を新設するのではなく、その費用を維持管理費に充てるべきとのことですが、横浜環状道路をはじめとする高速道路は、市内の交通渋滞の解消や広域的な交通の円滑化を図るとともに、震災対策としても重要な役割を果たすなど、本市の成長を支える基盤として必要なものです。また、道路の維持管理につきましても、厳しい予算状況のなかではありますが、維持管理費を確保し、日常点検による修繕や橋梁の長寿命化対策などを実施しています。高速道路整備も道路の維持管理も、ともに市民生活の安全安心の確保や横浜経済の活性化に必要不可欠でございますので、引き続きしっかり取り組んでまいります。
首都高速道路株式会社に橋脚等の点検や修繕を求めるべきとのことですが、首都高速道路は高速道路会社が利用者の安全確保に向け、責任を持って維持管理を行っています。さらに、大規模更新のあり方についても委員会を設立し、検討を行っているところです。本市としては、市民生活にとって重要な路線ですので、今後とも高速道路会社との連携調整を密にするとともに、必要な場合には維持管理について申し入れなどを行っていきます。
古谷議員:最後に、本市の鶴見工業高校の跡地活用について伺います。
校舎側に予定されております特別養護老人ホームの建設について、当初の計画では、2013年度には計画の「目鼻をつける」という話でしたが、現在のところ校舎を封鎖しているだけで何も進んでおりません。鶴見では特別養護老人ホームが少なく、地元では切望され、建設を今か今かと待っていらっしゃる方がたくさんいらっしゃいます。その特養の計画の進捗について伺います。
また、この鶴見工業高校の跡地活用では、グラウンド・体育館側の活用について、体育館の一部を民間保育園の改修代替地として無償で貸与すると聞いています。現在グラウンド部分は、何も活用されていない状態です。この間、地元町内会からは地元住民にも解放してほしいとの要望が出されています。体育館はこども青少年局を介して民間保育園に貸しているのであれば、跡地活用が本格化するまでの間、区役所を介して地元住民にもグランドを開放すべきと思いますが、その考えを伺って、質問を終えます。
林文子市長:鶴見工業高校の跡地利用について、ご質問いただきました。
現在の進捗状況ですが、道路をはさんで東西にある敷地毎に段階的に整備することにしています。東側敷地は、校舎の解体を含め特別養護老人ホーム等の整備に向けた準備を進めています。西側敷地では、具体的な土地利用計画的について地域のみなさまによるまちづくり協議会の組織化を働きかけ、防災まちづくりなど住宅密集地における住環境の改善や地域課題の解決も視野に入れて、検討を進めています。
グラウンドを貸すことについてですが、無人の施設であり、安全面、管理運営面の課題がありますので、局で検討を進めます。
残りの質問については、教育委員長および教育長よりご答弁させていただきます。以上、ご答弁申し上げました。
(2012.10.5)
古谷議員:日本共産党を代表して、質問いたします。
はじめに、横浜市大のハラスメント防止委員会について、この委員会の設置の目的について伺います。
青木大学担当理事:市立大学にハラスメント防止委員会に設置の目的でございますが、市立大学にかかわっております学生、教職員などすべての人が、個人として尊重され、ハラスメントのない良好な環境のもとで、学習、研究、勤務ができるよう設置をしたというものでございます。委員会におきましては、ハラスメントの防止のための啓発、相談、紛争解決、その他必要な対応に取り組んでいると聞いております。
古谷議員:過去5年の相談件数の推移について伺います。
青木大学担当理事:過去5年の相談件数でございますが、平成19年度は10件、20年度4件、21年度2件、22年度7件、23年度は17件となっております。
古谷議員:今年も年度途中なんですが、顕著に増えていると。昨年と今年度が顕著に増えているというふうに思えますが、どう分析されているのか、伺います。
青木大学担当理事:各キャンパスの方で相談を受ける窓口の相談員、これをかなり増やしてまいりました。平成17年度から比べますと昨年度今年度倍増の16名を設置してございますが、増員を図ったこと、またこういったハラスメントに関しまして制度の周知を図ってきたこと、また近年ですけれども、私ども大学も同じだと思いますが、各報道機関等で大学等におけるハラスメント事例が大きく取り上げられております。ハラスメントに対する縁族にアカハラ(アカデミックハラスメント)含めてでございますが、こういったものに認識や関心が高くなってきていることなどから相談件数が増加しているんじゃないかと考えております。
相談しやすい体制をつくりまして、早い段階で大学として問題しっかり受け止めて、適切に対応すると、そういったことで相談者がきちんと継続して学習、勤務もしくは研究を続けられるように寄与できると考えております。
古谷議員:顕在化してきたことっていうのはいいことだと思うんですが、数が増えたことはやっぱり問題意識持たないといけないというふうに思います。
では、それらの相談は誰からの申し立てなのか、その内訳について伺います。
青木大学担当理事:過去5年の相談の事例でございますが、その内訳といたしましては、学生さん、教職員が中心でございます。学生さんからは、19年度は相談、特にございませんでした。20年度2人、21年度1人、22年度は5人、23年度9人。また、教職員でございますが、19年度は10人、20年度は2人、21年度は1人、22年度2人、23年度は8人となっております。
古谷議員:では、申し立てをしてから結論が出るまでの間、どの程度の時間がかかっているのか、あるいは申立者がある意味、意を決して申し立てをしている訳ですから、結論が出るまでの間、どうフォローされているのか、伺います。
青木大学担当理事:申し立てを受けまして概ね6割のケースにつきましては2か月以内に結論、これは委員会の中で結論を出しているということでございます。また、申し立てから4か月以内にはほぼ9割につきまして結論が出ておりますけれども、一部4か月以上の長期にわたって結論が出なかったものがあると聞いております。
また、申し立て者に対しましては、結論が出るまでの間、適宜連絡をし、またご相談を受けているということございますが、申し立て人によっては当然ご満足していただけていない、もっと積極的にかかわってほしいといったケースがあったんではないかと思います。なお、委員会の結論が出る前でも事実関係が確認できまして、改善ができる面、物理的問題ですとか移動を含めましてでございますが、改善可能なものについては早期改善を図るように手を打っているというふうに聞いております。
古谷議員:わが団の荒木議員のところに相談が来ているケースでは、すでに申し立てをしてから4か月以上たっているというのに、まだ結論が出ていないと。それどころか、その間の中間的な報告もほとんどないというふうに訴えられています。ハラスメント防止委員会の要綱からいっても、先ほど言われたように、2か月以内で結論を出すというふうにされています。結論が出ていないのであれば、少なくとも中間でも相談者に対してしっかりと報告すべきでありますし、このハラスメント防止委員会は裁判機関ではないですから、訴え出た方に対してしっかり寄り添った対応、フォローをしていただきたいというふうに思いますが、その点、青木理事、いかがですか?
青木大学担当理事:おっしゃるとおりで、学生もしくは訴えた教職員、こういった方々に寄り添ったかたちで当然、正直言いまして意を決してといま先生おっしゃいましたけれども、そのとおりだと思いますので、そういった方々については積極的に前向きに取り組んで、こちらから声をかけるもしくは相談を積極的に受けてあげるということで、相手方の気持ちに立って当然接することが重要だと思います。また、そのようなかたちで対応するようにということで、いま私どもの方も個別に向こうの委員会の担当の方のセクションの方には伝えてございます。
古谷議員:先ほどの全体の相談者からの内訳でいうと、教職員からの申し立ての方が実は多いんですが、教職員の上長つまり教授向けに対して、このハラスメントの問題でどんな啓発活動が行われているのか、伺います。
青木大学担当理事:これまで教授のみを対象とした取り組みはまだ行っていないというふうに聞いております。全教職員・学生に対してホームページでの制度概要のお知らせ、窓口委員、先ほど申し上げましたこの連絡先などのハラスメント防止に関する お知らせなど等を行っております。これに加えまして、教職員に対しては研修を実施し、ハラスメントに対する認識を深めてもらうと、合わせましてハラスメント防止体制や制度の理解促進を図っているということでは聞いております。
古谷議員:このハラスメント防止委員会の委員の構成をみてみると、大学の職責者がずらりと並んでいます。ですから、これ一つ間違えると身内をかばい合うような組織になるんじゃないかというふうに危惧しています。そこで、ハラスメント防止委員会が公正な活動をするための担保はどうとっているのか、伺います。
青木大学担当理事:ハラスメント防止委員会、こちらにつきましては客観的中立性公平性が当然必要でございます。その担保をするために、様々な立場、視点で取り組めるような人選ということで、当然学内の者が中心でございますが、ハラスメント被害の申し立てがあった場合に、その事実関係の調査を行う調査委員会、これを設置する予定になっています。こういった調査委員会には、利害関係のない他のキャンパスの防止委員を中心に、調査員を選定するとか、ヒアリング等につきましても双方からきちんとお話しを聞く、また必要に応じて関係者を呼んでお話をするというかたちで、なるべく直接関係するような方、こういったような方を避けるという取り組みを取らせていただいております。
古谷議員:あくまでも学内の方だけで構成されているんですが、ハラスメント防止委員会の活動というのは、より透明性あるいは公正性が重要だとおっしゃられたんですが、透明性を図るというのであれば、身内だけでなく外部の専門家も委員に入れるべきだと思いますが、外部委員を入れない理由について伺います。
青木大学担当理事:市大の方では一義的に学内で解決することを基本に考えているということでございます、そのため、ハラスメント防止委員会のメンバーに外部委員を入れていないと。そのうえで、先ほど申し上げましたように、いろんな部分で調整を行うということで考えているということでございます。
古谷議員:この問題は、一般社会でいえば、裁判員にかかるようなケースがあるようなことを扱うことになるんです。ですから、より透明性が図られるということは重要だというふうに思っています。
どこの大学でも実はこの公正性透明性を図るために、外部委員というのを入れています。東京大学では、学外の法律学及び心理学等の専門家が入っています。また、慶応大学ではハラスメント問題に対応できるリーガル・アドバイザー、弁護士さんでね、と、適切なカウンセリングのできる精神科医がきちんと入っています。改めて外部委員を入れることも含めて、ハラスメントの防止委員会がより公正な活動をされることを要望しておきます。
ここまで、ハラスメント防止委員会が健全に活動するために指摘をしてまいりましたが、しかし、この活動は非常に重要ですが、あくまでも対処療法だと思っています。対処療法ではなく、ハラスメントが起こる風土があるとするならば、そこから変えていかなければならないというふうに思いますが、こういったハラスメントが起こる風土あるいは原因について、所感を伺います。
青木大学担当理事:大学、こちら教授を筆頭とする教員、それからあと事務、技術、看護、医療技術系も含めまして多くの職種の方、職員の方で構成しております。これらの教職員と学生さん、もしくは職員、こういった者たちが密接にかかわりながら、日々教育、研究、診療、授業を受けたりとかいろいろやっております。また、拘束される時間もしくは一緒に接触する時間が非常に長くなっております。こういった多様な人間関係の中で、長時間一緒にいるということの中で、教育上も含めましてですが、他の職場と比較いたしまして、より接するところが多いというなかで、逆にいいますと、教義上職務上もしくは優越的な地位にある者たちが、他の職場と比較してより適切な言動・指導を行わなくてはいけない、そういった風土もしくは現場というふうには認識しております。
古谷議員:よくわかったようなわからないような発言ですが、ただ問題は、他の職場に比べては問題があるということはおっしゃられたので、こういったハラスメントを産む風土をどう変えていくのか、決意を伺います。
青木大学担当理事:これは一に二にもなく、本人たちに理解していただくと。どういったものがハラスメントであるかとよく理解していただかなくてはいけないと思います。そういった研修等を通じまして、特に指導監督する立場にあるもの、こういった者が自らの言動について不断に見直していただくということが何よりだと思っております。そうしたうえで、よりよい良好な環境を作り出すように努めてもらいたいと思います。
そのために、先ほど申し上げましたように研修を行うという中で、市大でも今年度から主にアカデミックハラスメントを焦点にいたしまして、研修内容を見直すというふうになっております。その講師になっていただく方、外部講師でございますが、この講師の方にお願いをいたしまして、その研修を録画したもの等を教材として活用すると聞いております。この教材等を使いまして、各キャンバス、病院毎、きめ細かく研修を実施していただきまして、教職員の意識を一層高めるとともに、お互いを尊重して、何でも話し合える風通しのいい職場を作っていただきたいと、そういったことに継続して取り組んでいくというふうに、それが何より大切だと思います。また、あと教授をはじめまして上位にある者、こういった者たちの考え方からセクシャルハラスメント、パワーハラスメント、アカデミーハラスメント含めまして変えていくというかたちできちんとした研修を進めていただくように考えております。
古谷議員:ちょっとわからなかったんですが、先ほど風土がより開かれたという発言をされたかと思うんですが、大学っていうのはやはり閉じられた社会だからこういうことが起こりやすい社会になっているんだと思うんです。そこのところをしっかり見極めて対応していかないと、だから外からの風を入れながらやらないといけないというふうに思っています。
いま非常に社会全体が競争社会であおられて、非常に全体としてストレスフルとなっていると、その中でより弱い立場の方に向かってそのしわ寄せがきているというふうに思います。こういったハラスメントを産む風土を変えていかなければ横浜市大はいくらいいものを目指していても、それがお題目となっていくのではないかというふうに思います。
平成23年度の「公立大学法人横浜市立大学の年度計画における業務の実績報告書」、この中では、このハラスメントの防止についての実績については評価は「B」と自己評価されています。これは、年度計画が順調に実施されていると評価されています。これについては、わが党の同僚議員のところに相談が来ている事例をみても、本当に甘すぎるというふうに思います。改めて、弱い者の立場に立って、ハラスメントを産まない風土づくり、しっかり進めていただくことを強く要望して、次の質問に移ります。
続いて、住民自治強化の取り組みの具体化について伺います。
県との関係では、いま、大都市制度をめぐる問題では非常にこじれているというふうに報道されています。結局、この問題、県との関係が悪くなれば、いくら国が法律を作るといっても何もことが進まなくなるのではないかというふうに思います。私は、そこに注力するよりも、もっと市民目線で横浜市の行政を考えた場合、市民からあまりに遠い組織であることがこの横浜市の問題であるし、これを改善することは必ずしも法律改正は必要ではありません。そこで、大都市制度の論議の中で、住民自治の強化について、どう位置付けられているのか、伺います。
小林政策局長:もとより私ども特別自治制度は、市民サービスの向上あるいは経済の活性化とともに、住民自治の充実を両立させていくというものでございます。特別自治市の実現によりまして、市が担う行政分野が広範になります。今まで以上に区への分権および機能強化を推進していきます。合わせて、区における住民自治機能を担保することが重要でありますので、区行政に対するチェック機能や、住民参加機能を高めるための仕組みを、市会の先生方との議論を踏まえ、しっかりと作っていく、こういうふうに考えております。
古谷議員:では、政策局としてこの間そのことをどう進めてきたのか、伺います。
小林政策局長:住民自治の強化に向けましては、政策局においても地域のみなさまの主体的な活動によって地域課題の解決や魅力あるまちづくりを進める、身近な地域づくりモデル事業、この事業を市民局や関係局と連携し、実施してきました。引き続き関係局と連携しまして、地域ニーズや住民の意思を区政に反映させることができるよう、参加と協働による地域自治を進める運動、住民参画機会の充実を目指してまいります。
古谷議員:終わります。
(2012.10.1)
古谷議員:日本共産党、古谷やすひこです。共産党を代表して、順次質問いたします。
はじめに、ヨコハマ3R夢(スリム)プランについて、伺います。
3R夢プランは、ごみそのものを減らすリデュースの取り組みを積極的に進めることを目指しています。しかし、なかなか思うように進んでいないように見えます。一昨日の神奈川新聞にも、ごみ削減ピンチと大きな記事が載ってしまいました。昨年度は前年対比でごみが増えてしまったという状況です。
その中でも、生ごみを減らす施策について伺います。まず、生ごみのリデュースについての青葉区での実証実験を経ての所管を伺います。
大熊資源循環局長:この実証実験は、現場の職員が発案しまして、地域に足を運びまして、地域の住民のみなさまの協力を得て実施した取り組みであるといったことが非常に意義があることだと考えておりまして、またその結果でございますけれども、ごみの重量が平均で約7%削減されまして、結果についても良好でございましたので、この取り組みをぜひ広げていきたいと考えております。
古谷議員:記者発表資料にも、すごく大きな成果を上げたということで書かれてあったわけですから、ぜひ全市的に進めていただきたいというふうに思うんですが、その決意を伺います。
大熊資源循環局長:現在、他の区でも水切りの実証実験を実証調査を行っておりまして、その結果を啓発に生かしていくほか、出前教室あるいはポスターの掲示など様々な機会を活用しまして、先生おっしゃいますように、全市的にご家庭での水切りを広げていただくように努めてまいりたいと考えております。
古谷議員:ごみが増えればコストが増えるわけですから、ぜひ力を入れて進めていただきたいというふうに思います。
続けて、生ごみのリユース・リサイクルについて伺います。家庭での生ごみのリユース・リサイクルの具体化として、家庭用生ごみコンポスト容器やあるいは電気式の生ごみ処理機がありますが、その購入助成事業についての3R夢プランでの位置づけを伺います。
大熊資源循環局長:それぞれのご家庭で直接生ごみの減量化とたい肥などとしての有効利用・有効活用を図っていただけること、また、もったいないといった食の大切さや分別意識の動機付けも期待できることなどから、3R夢プランで掲げる家庭系ごみ対策のひとつとして位置付けております。
古谷議員:そのどちらの事業もが、23年度実績は前年度に比べて大幅に減らしているということについての見解、伺います。
大熊資源循環局長:23年度助成実績が、家庭用生ごみコンポストが562機、電気式生ごみ処理機につきましては172機となっております。家庭用生ごみコンポストにつきましては、だいたい前年とほぼ横ばいの状況になっておりますけれども、先生いわれましたとおり電気式の生ごみ処理機につきましては助成機数が予定の数量を大幅に下回る状況になっております。これは去年度、市民のみなさまが節電の意識が高まったことなどによることもまた一つの理由かと考えております。
古谷議員:ついでにいうと、24年度目標も23年度実績に比べても非常に高い目標を掲げておられるのは、これはいいと思うんですが、どうやって実現するのかについて、新たな方策があるのかについて伺います。
大熊資源循環局長:生ごみコンポストと電気式生ごみ処理機の減への対策ということでございますけれども、やはり生ごみコンポストに対しましては引き続きやっていきますけれども、特に我々は電気式生ごみ処理機につきましては、いま消滅型の電気式生ごみ処理機等も出ておりますので、そういったものを実際にイベントのところで展示をしながら、そして市民に周知を図っていくということで対応してまいりたいと思います。
古谷議員:ぜひ、掲げている目標、高い目標掲げられているわけですから、ぜひ達成していただきたいというふうに思います。
本市がすすめる3R夢プランについて、プランの推進のために頑張った人がやっぱり報われる仕組みが必要だというふうに思います。推進者表彰制度があるのは存じていますが、市民一人ひとりがこういった行動を起こすような動機付けをもっと大きな網をかけて行わなければならないと考えますが、局長の見解、伺います。
大熊資源循環局長:3R行動が地球温暖化対策にとって極めて重要な取り組みであることなどを、3R行動の目的や必要性を広報いたしまして、また、地域に出向いて説明してまいりました。引き続き、地域における様々な機会を利用しまして、生ごみの水切りの実験を見ていただくことや、土壌混合法講習会で実際に体験する機会を増やしていくことなど、より一層実践につなげるように努めてまいりたいと思っております。
古谷議員:少し話を変えますが、給食残渣のたい肥化を行う公共用コンポスト事業について、この評価と、あと今後の見通しについて伺います。
大熊資源循環局長:小学校等において、生ごみの減量化・資源化を学ぶことは非常に有意義だと考えておりますけども、一方では実施にあたっての負担が大きいことや、たい肥の利用先の確保が困難であることなども課題でございます。今後の見通しでございますけれども、先ほど申し上げました課題があるほか、機器につきましては設置から10年以上経過しておりまして、処理機メーカーの中には製造・販売・保守から撤退する事業者も現れております。このため順次教育委員会が行っております給食残渣リサイクル事業へ移行をしております。
古谷議員:やめるということなんですが、私は非常に教育効果として高いというふうに思うんですが、やめる理由についてもう一度お願いします。
大熊資源循環局長:まず、先ほど申し上げました学校での負担ということ、これが大きいということと、そのたい肥の利用先の確保がなかなか難しいということですね。それと、機器の関係でございますけれども、設置から10年以上経過をしていると。それで処理メーカーの中には製造・販売・保守から撤退する事業者も現れているということでございます。いま、教育委員会では給食残渣のリサイクル事業というものを、これは全校を対象としてやっておりまして、そちらの方に移行しているということです。
古谷議員:非常に費用がかかるという話もあったんですが、いま紹介あったような新たに始めている給食残渣を買い取ってもらう事業について、かかる経費は6500万円だというふうに聞いています。今行われている公共用コンポスト事業についての6倍もの費用がかかるというふうに聞いています。そのうえ、私としても、教育効果としても決して高いものというふうには思えません。
本市の3R夢プラン達成のカギというのは、非常に啓発事業にあるというふうに考えています。特に、学校現場の教育効果が高いことは、こういった公共用コンポストの教育効果が高いことは、札幌市などの取り組みを見ても非常によく出ています。子どもたちへの啓発っていうのは、家庭にまで大きく波及するものだと考えます。改めて子どもたちへの啓発活動を進めることを要望して、次の質問に移ります。
3R夢プランの質問の最後に、市事業の受注業者などに本市の3R夢プランを知らせながら、協力してもらう必要あるかというふうに思いますが、どう徹底しているのか伺います。
大熊資源循環局長:事業者にたいしましては、立ち入り調査による指導や講習会を実施するなど、機会あるごとに3R推進について協力を求めております。本市事業の受注者への取り組みですが、公共工事等で発注する木屑を焼却せずに資源化するよう発注者である各局に対しまして通知をしているほか、発注者向けの講習会を開催をいたしまして、発生抑制等適正処理の徹底を図っているところでございます。
古谷議員:続けて最後に、視覚障害者に対するごみ出しの支援のための施策について伺います。まず、現在の視覚障害者の方へのごみ出しの支援施策として、どのようなことが行われているのか、伺います。
大熊資源循環局長:視覚障害のある方への対応でございますけれども、集積場所までごみ出しができない一人暮らしの方を対象に、ふれあい収集や粗大ごみの持ち出し収集を行っているほか、分別が困難な一人暮らしの方を対象に、分別されていなくても取り残しの処置をとらないよう、ミーヨシールと呼ばれる識別シールを配布いたしまして、それをごみ出しの際に貼付していただいております。
古谷議員:丁寧に対応されているというふうにすごく思っています。ただですね、私のところに視覚障害者の方から訴えがあったのは、ごみの集積場所が変わった場合に視覚障害者の方はわからず、間違った場所に出し続けて、ご近所とのトラブルになるケースが大変多いというふうに聞いております。そういった視覚障害者へのごみの集積場所変更の周知の方法について、伺います。
大熊資源循環局長:集積場所の移動等につきましては、地域のみなさまでお決めいただいているところでございますけれども、先生おっしゃるように、お困りの点がございましたらば、ぜひ収集事務所へご連絡いただきたいと思います。その場合、早急にこちらの方でもできる限りの対応をさせていただきたいなと思っております。
古谷議員:変わったかどうかがわからない人に電話してくれっていうのは多分難しい話かなというふうに思います。ただ、がんばられているのはよくわかりますので、頑張って、ぜひ地域で生活している視覚障害者の方が、より一層きめ細やかな対応をぜひ、市民局とも連携してやっていただくことを要望して、質問を終えたいと思います。
(2012.10.1)
古谷議員:日本共産党を代表して、順次質問いたします。
本市の防災計画の中で、「自助・共助・公助」という考え方がありますが、私は、自助や共助が機能するような条件づくりを公助として行わなければ、自助・共助は機能しないと考えます。そこで、自助・共助が機能するために、公助として果たすべき役割・責任について、伺います。
荒井消防局長:東日本大震災を契機に、自助・共助の重要性が改めて認識されております。この自助・共助は、市民や地域のみなさま方が主体的に取り組んでいただくものですが、東日本大震災においても証明されたように、自助・共助は命に直結するものでありますので、市民の生命・財産を守ることを使命とする行政としても、積極的にこれを支援していくことが重要でございます。現在行っている防災計画の修正の中でも、自助・共助の取り組みを支援する行政の役割として、自助・共助の重要性の啓発、防災教育の充実、地域の防災対策を担う人材の育成など行っていくこととしております。
古谷議員:少し具体的にお伺いしていきます。
今の台風17号は、各地に災害をもたらしています。昨日の13時頃に愛知県の豊橋市の防災無線で、「台風の接近に伴い、第一次指定避難所を開設」、あるいは「自主的に避難される方は食料・毛布を持参して、第一次指定避難所に避難して下さい」というアナウンスが市内に設置されたスピーカーで流されています。また、Jアラートや市役所からの案内からも伝わるようになっていると聞いています。
本市では、災害が起こったことを知らせる手段として、災害Eメール、あるいはエリアメール、ツイッターなどを活用するとされていますが、それらの施策でどの程度の市民の方やあるいは来街者に知らせることができると推計されていますか。
荒井消防局長:緊急速報メールについてはサービスを提供しているNTTドコモ、au、ソフトバンクの3社に合わせ、対応する携帯電話は24年1月末現在ではございますけれども、約120万台と申しております。また、防災Eメールにつきましては、東日本大震災を契機に登録者数が増加をしており、現在、震災前に比べまして約4万8000人程増え、この9月末現在で9万3000人の方に登録を頂いております。本市の災害用ツイッターについては同じくこの9月末現在で、約3万2000人の方々にフォローしていただいており、ツイッターについては人と人とのつながりの中で情報が拡散していきますので、より多くの方に伝わっていくものというふうに考えております。
古谷議員:考えられる手段を重層的に組み合わせながら知らせる術(すべ)を追求するということはぜひしていただきたいというふうに思うんですが、現状の対策だけでは非常に不十分だというふうに考えています。
改めて、発災時に市民のみなさんやあるいは来街者の方々に対して、テレビが見れなくても、あるいは携帯電話を持っていなくても、登録をしていなくても、意識をしていなくても、強制的に知らせることができる行政防災無線、この設置は極めて必要性が高いと考えますので、改めて要望いたします。
次に、防災についての啓発活動について、大変重要だと考えています。そのことについての防災訓練についてです。横浜市民370万人のうち、地域での防災訓練にはどの程度の方が参加していますか。
山隈危機管理室長:震災の翌年度にあたります23年度の数字で申し上げますと、約12万6000人の方が防災拠点の訓練に参加をされております。
古谷議員:私は大変低い参加率だなというふうに感じたんですが、局長の認識はいかがですか?
荒井消防局長:防災訓練の参加率につきましては、何を基準に高いあるいは低いと判断するかは非常に難しいというところございますが、私どもとしましてはより多くの方に参加をぜひしていただきたいといいふうに考えております。
古谷議員:それでは、より多くの方に参加していただけるための、参加率を上げるための施策について、伺います。
荒井消防局長:できるだけ多くのみなさまに訓練に参加していただけるよう、これまで以上、区役所や消防署と連携して、自治会町内会に呼びかけるとともに、訓練参加につきまして「広報よこはま」での周知を行ってまいります。また、全戸配布を検討しております減災パンフレットにも、訓練参加の重要性を盛り込むなど、様々な場面を通じて訓練の参加を促してまいりたいというふうに考えております。
古谷議員:防災に関する啓発あるいは訓練というのは、やりすぎるということはないというふうに思います。そして、一回やった程度では、いざという時の発災時には役立たないというふうに思います。繰り返し繰り返し粘り強く意識啓発、ぜひしていただきたいというふうに要望いたします。
続いて、消防団について伺います。
昨年の3・11の東日本大震災を受けて、私自身が大きな災害が起こった場合に「何ができるのか」あるいは「何か役立ちたい」ということで、この4月から地元の消防団に入団いたしました。消防団活動をしっかりと応援する立場で質問したいと思います。
3・11を受けて、レスキュー隊など消防職員を志望する方が増えていると聞いています。その一方で、消防団員が増えていないことについての認識と、こういった消防団員を増やす責任は、誰にあるのか伺います。
荒井消防局長:消防団の入団者は東日本大震災があった23年を含め、過去5年間でいいますと、約300人前後入団しております。東日本大震災以降、ボランティア活動に積極的に参加される方が増えているとは聞いておりますが、必ずしも入団希望者が増加につながらないということの理由につきましては、仕事との両立が難しい、あるいは規律や訓練が厳しいとのイメージがあることなどと考えております。この辺の取り組みの責任者につきまして、私ども消防行政を担う立場のものと消防団と両方で取り組んでいかなくてはいけないというふうに考えております。
古谷議員:私自身も入団する際に感じたことなんですけれども、一般の人が消防団に入ろうという場合に、どんな条件があるのか、あるいは日常どんな活動をしているのか、どこで申し込むのかなど過程を考えてみると、非常にハードルが高いなあというふうに感じています。こういうところにも、入団者が増えていかない原因はあるのではないかと考えますが、この点について至急改善すべきと考えますが、局長の考えを伺います。
荒井消防局長:お話にありましたように、入団する際の窓口といいますかこういう場所がわかりづらいという状況がもしあるようなことがあれば、ぜひより良い方向に改善をしてまいりたいというふうに思います。
古谷議員:ぜひ、地域での消防訓練などで、防災訓練などで、消防団ていうのは出てくる場面が多いと思うんですけど、ああいう場合でもぜひ入団案内であるとかそういった訴えを、ぜひあらゆる機会についてやっていただきたいというふうに思います。一刻も早く定足数を満たすように、しっかりと施策を講じてもらいたいというふうに要望しておきます。
消防団活動に参加をしていてもう一つ感じることは、若い人がいないとは言いません。しかし、圧倒的に年齢層が高く感じています。そこで、横浜市の消防団員の平均年齢、これは全国的に見て、どういう位置にいるのか伺います。
荒井消防局長:まず最初に、全国の消防団員の平均で申し上げますと、39.1歳になっております。本市の場合の平均年齢は49.1歳ということで、だいぶ高くなっております。
古谷議員:大変高い平均年齢だというふうに、私も聞きました。当然、若年層への入団働きかけというのがこれから大変重要だというふうに思うんですが、若年層にとっても魅力ある組織とするために、どう対策を打っていくべきか、伺います。
荒井消防局長:若年層などを中心としたターゲットを絞り込むという取り組みではございませんが、地域を通じた募集活動を行います。そのほか、駅頭や各種イベントでの消防団活動の紹介や入団の呼びかけを行っていきます。また、地元事業者、大学などに対して、消防団員が個別に訪問して加入促進を行います。特に、消防団員の募集キャンペーンである1月から3月まで、この期間には全市的なイベントにブースを出展いたしまして、消防団車輛の乗車体験などを行います。これによって消防団を少しでも身近に感じていただけるものになるかというふうに期待をしておるところでございます。さらには、本年度から携帯電話からの消防団の紹介ホームページへ簡単にアクセスできるコード表示を表示しました広報物品を作成いたしましたので、イベントで配布するなど、PRの強化に努めてまいりたいというふうに思います。
古谷議員:ぜひ進めていただきたいというふうに思うんですが、少し観点変えて。
消防団活動を行うにあたっての必要となる費用、それはそれぞれ支出する責任というのはどこにあるのですか。
荒井消防局長:消防団は消防組織法により市町村の機関として定められております。また、同法において、市町村の消防に要する費用は当該市町村がこれを負担しなければならないと定められていることから、本市にその責任があります。
古谷議員:消防団活動の必要経費については、この間いろいろあったというふうに聞いています。しかし、支出を厳密にこの間、規定してきたことは評価できますが、その一方で消防団の責任者の任務にあたる方々が、その支出規定に当たらなくなってしまった費用について、自分たちで負担しているというふうにも聞いています。団長をはじめ団員の皆さん、本当に気概に燃えて、ボランティア意識、精神旺盛で、頑張られている消防団の方の、その頑張りに報いるように、市は全面的にバックアップを行うことを強く要望して、次の質問に移ります。
次に、本市の広域避難場所について伺います。現在、本市の広域避難場所は120か所あるときいています。そのうち、普段からは施錠されており、広域避難場所に避難できない状況になっている箇所がいくつかあると聞いています。そのうちの一つ、鶴見区の花月園競輪場の跡地について伺います。
この広域避難場所である花月園競輪場跡地を使っての避難訓練などは行われているのかどうか、伺います。
山隈危機管理室長:広域避難場所への避難訓練については、実施しておりません。
古谷議員:この広域避難場所である花月園競輪場の跡地の鍵は、いま誰が普段管理をしていて、大規模火災が起こった場合、どういう手立てになっているのか、伺います。
阿部危機管理部長:花月園競輪場の跡地の鍵でございますけど、神奈川県が管理しており、鍵は神奈川県が管理しております。また、花月園競輪場は一部整地をされ、立ち入りができないスタンドですとかバンクがございますので、現在は駐車場として使用可能な部分を避難場所として使用していただくことになっています。施設を廃止する前、競輪場で競輪が開催されているときの代替施設としては、収容能力に余裕のある総持寺を臨時避難場所として指定しておりましたので、もし現在うまくスタンドが使えないために収容能力が足りなくなれば、総持寺の方にいっていただくと。また、最悪の場合、住民の方々が花月園競輪場に来て、鍵がかかっているため入れないということになれば、最悪の場合は消防隊や消防団でこの鍵を壊して中を開放するということも考えております。
古谷議員:この広域避難場所の施錠の問題は、再三地元町内会の方々からも「鍵の管理は地元でさせてほしい」というふうに要望が上がっています。周辺住民も大変不安に思っているというふうに聞いています。この鍵の管理について至急改善すべきと思いますが、局長の見解、伺います。
荒井消防局長:いまお話しいただいたように、地域のみなさま方からは広域避難場所の鍵の管理につきましてはご要望をいただいております。現在、本市と神奈川県の間で協議を進めております。県からは、避難者の安全確保は本市の責任で実施すること、鍵の管理は本市が自ら管理することなどを条件として、鍵を貸与してもよいというような回答を得ておりますが、現在覚書の締結に向けて、具体的な管理方法を話し合っているところでございます。本市としましては、可能な限り地域に近い場所で管理する方が望ましいというふうに考えておりまして、具体的には区役所、消防署、消防出張所、消防団が鍵を管理する方向で検討しております。
古谷議員:ぜひ早めに進めていただきたいと思います。質問を終えます。
(2012.9.19)
私は、日本共産党を代表して、今定例会に上程されています2つの議案と2つの請願の不採択、一つの請願の採択に反対し、討論をいたします。
はじめに、市第35号議案「横浜市市税条例等の一部改正」についてです。これは、「全国的に、かつ、緊急に地方公共団体が実施する防災のための施策を実施する場合」、地方税法の特例として市民に一律500円の負担を課すということが「できる」という昨年成立した復興財源法に基づくものであります。
今回、国による法律ができても、あくまでも地方自治体の判断で、市民に増税を課すか課さないかは選択ができる規定であります。これだけの長引く不況の中、市民の生活実態、たいへん厳しいものがあります。その中で市民負担を課すことを選択したことは、とうてい市民理解が得られるものではありません。
そもそも、今回の増税については、「全国的に、かつ、緊急に地方公共団体が実施する防災のための施策」と規定されています。しかし、全国的な施策が必要であるならば国がしっかり責任を持つべきでありますし、財政力の弱い地方自治体において防災対策を強化できる裏付けは国の財政的な支援が必要だと考えます。その責任を果たさずに国民に負担させることは認められません。
今回の増税にあたって、「防災のための施策」といいながら、その対象とされている整備メニューは従来から出されていたものの域をでていないものにもかかわらず、なぜ増税を押し付けるのでしょうか。かりに、これから防災対策でたくさんのお金がかかるんだということを見越しているのだとしても、使途も明確になっていないものに対して、増税を認めるわけにはいきません。そもそも防災震災対策は、「住民の命と安全を守る」という地方自治体としての基本的な仕事であるはずです。あらたな税金を取らなければやることができないという事業ではありません。
さらに、増税の方法も、所得に関係なく、納税者に均等に負担を求めるのは、低所得者にとってはきわめて不公平なやり方です。税の基本は、能力に応じて支払うという応能負担が基本のはずであります。
したがって、厳しい市民生活の実態の中、「徴収することができる」からといって安易に増税するような条例改正には反対します。加えて、あれだけ議案関連質問でも各党派から市民負担増についての異議が出され、また常任委員会の議論の中でも異議が出され、付帯決議まで出されたようでありますが、これで議論は尽くしたとして市民負担を押し付けることを決めてしまうことは、到底市民の理解が得られるものではありません。
続いて、市第51号議案「平成24年度横浜市一般会計補正予算」のうち横浜環状北西線について、また請願第15号「横浜環状道路の整備促進等に関する意見書の提出方について」の委員会の採択についてです。
私は、これからの子どもたちやそれに続く未来の横浜を担うすべての人のために、北西線をはじめ横浜環状道路計画を促進させることには反対します。今回の予算を認めることは、今後、市費負担分の650億円もの借金を次の世代に背負わせることをよしとするものです。
右肩上がりの経済成長が続いて、人口もまた右肩上がりで増え続け、相応のインフラ整備が必要な時代もあったかと思います。しかしみなさん、今はそんな時代ではありません。また、これからの横浜が人口減少する社会になることは、当局の方々も市長もそしてここにいる会派のみなさんも、もはや共通の認識になっているのではないでしょうか。人口が減ることが明らかであるのに、車の台数だけは増え続けるとでもいうのでしょうか。そんな中、高速道路を作り続け、さらに横浜の子どもたちの世代に借金を押し付けることは許されることではありません。
3・11を受けて、あらためて市民の命を守るという防災対策が、これほど求められているときはありません。いざという時の緊急道路の確保の問題や、市で管理している1700の橋のうち64%が耐震診断すらできていない現状です。まったく対策がたてられていません。
9月6日のわが党の荒木議員の質問に、林市長は「高速道路ネットワークは、大規模災害が発生した際に緊急車両の通行や物資の輸送に大きな役割を果たすことから、災害対策の観点においても不可欠」であるとお答えになっています。しかしよく考えてみてください。新たな高速道路ネットワークをどんどん作っても、それにつながる市内幹線道路の耐震対策ができていなければ、意味がありません。
高速道路に出すお金があるのであれば、木造密集地の市街地の解消、緊急輸送道路の整備、橋の耐震診断・補強など、地震が起きても災害を出さない街づくり、「市民の命を守る、壊れない街づくり」のために、予算を早急につけて実施することの方が、はるかに市民の命を守る横浜市の姿勢が明確になります。
その上、こういった身近な公共事業は、地元中小企業の振興にも直接的に役立ち、一石二鳥であります。高速道路では中小企業への経済波及効果は期待できないことは、昨年度の決算の中でも明らかであります。横浜市が支出している国等が実施する発注額総計約1080億円のうち。市内企業が受注しているのはたった約37億円、全体の29分の1にすぎません。市内企業の受注額の低さは、横浜環状道路のような大規模事業が本市企業・経済にはほとんど寄与していないということはこれで明らかであります。中小企業振興基本条例の精神にも明確に反するということをどうお考えになるのでしょうか。
これは、お金の使い方の優先順位の問題であります。これから10年にわたって、必要性が定かでない高速道路を選択するのか、それとも市民の命を直接的に守るための、より身近な市内幹線道路などを整備することを選択するのか。私たち日本共産党は、未来の子どもたちに責任を負うべき横浜市議会として、後者を選択し、住民の命と暮らしをしっかりと守りきる立場を呼びかけます。
続いて、請願第16号「生活保護基準の引き下げ等の制度の改悪をしないように国への意見書を求める請願」の委員会の不採択についてです。
生活保護基準の見直しは、単に保護を受けている人たちだけの問題ではなく、国民生活の最低保護基準にかかわる問題であり、生活保護受給者にとどまらず、国民健康保険料や介護保険料の減免の問題、生活福祉資金の貸付、就労援助など様々な制度利用の可否に影響し、最低賃金にも影響を及ぼす大きな問題です。こういう大問題が検討され市民にも多大な悪影響が出ようかというときに、本市議会としても、最低限度の市民生活を切り下げないよう、国に対して意見を述べるのは当然のことではないでしょうか。
さらに、最近の生活保護制度への異常なバッシング報道の中、普段から肩身の狭い思いをされている生活保護受給者はますます肩身の狭い生活を強いられています。今年の6月に法律家が中心となって「生活保護“緊急”相談ダイヤル」が実施されました。その中では、わずか9時間の間で全国から363件もの相談が寄せられています。寄せられた声の中には、「現在は病気で働けず生活保護で暮らしているが、周囲の人には知られないよう、毎朝ビジネスバックをもって出勤するふりをしている。話せる人がいない。今回の報道以来、声が出なくなり夜も眠れない」、あるいは「近所の人に、『受給者はクズ』だと言われた。お金のない人は死ぬしかないのか」と、切実な声が寄せられています。
もともと生活保護受給者の中には精神的な疾患を抱えている方もたいへん多く、生活保護受給者の自殺率は一般の方の約2倍にのぼっています。今の報道被害ともいえる状況を放置しておけば自殺者が急増するような事態になりかねません。全体の自殺者数もここ数年3万人をくだることはありません。つまり、この日本で20分間に一人が自ら命を絶つという状態です。
そもそも生活保護受給者が増えているのは、日本の医療や年金などの社会保障制度があまりにも貧しい制度になってしまったためであります。真面目に国民年金を支払い続けた自営業者の方が仕事ができなくなったときに、とうてい生活できないほど低い受給額しかもらえないことは、自営業者の方の責任ではありません。また、フルタイムで働いてもまともに生活ができないのは、低い最低賃金が問題なのです。こういった問題をわきに置いて、生活保護受給者だけを絞るようなやり方は絶対に間違いです。こういった社会の仕組みを変えていくのが、私たち政治家の仕事ではないでしょうか。
よって、本議会の総意として、あらためて請願の採択を訴えます。
最後に、請願第18号「建設アスベスト訴訟の早期解決を求める意見書の提出方等について」の委員会の不採択についてであります。
国は2006年に「石綿の健康被害の救済に関する法律」を成立させました。この「石綿新法」は、国や石綿関連企業の責任を不問に付し、対象疾病を中皮腫と肺ガンに限定するとともに、救済給付金も極めて低額に抑えられております。非常に不十分な救済制度となっております。そこで、アスベスト被害者の方々はいま裁判に立ち上がっています。
今年5月に、横浜地裁で建設労働者や遺族87人が国・企業に対して約29億円の損害賠償を求めた集団訴訟の判決が出されましたが、その内容は国や企業の責任を免罪するものでした。今でもアスベストを吸った場所が明らかな工場労働者の場合、雇用主側に対して賠償を命じるのは定着しています。しかし、あちこちの現場を転々としている建設労働者の場合、特定の場所だけでアスベストを吸い込んだわけではないため、因果関係を明確にすることはたいへん難しい。これは当たり前ではないでしょうか。このことで、企業の集団責任を免罪してしまうのは誤りです。
アスベストが発がん物質であり、危険だということが共通認識になったのは今から50年以上前になります。しかし、それにも関わらず使用が禁止されたのは2006年と、ほんの最近のことであります。
今回、首都圏建設アスベスト訴訟の団長の平田さんは、中学卒業後、横浜の建設現場で約50年間左官業を続けてきた職人さんです。その方は、「いままで一生懸命仕事をした私たちの仲間は、アスベストの危険性を知らされずに害になるアスベストを吸わされてきた。国はそれを野放しにしてきた」とおっしゃっています。
いま、この裁判に立ち上がっていらっしゃる原告の方々は東京・横浜を合わせて388人に及んでいます。そのうち、提訴以来50人を超える方々が次々と亡くなっています。混乱している国会の動向を見守っている時間はもうありません。国会議員もこの建設アスベスト訴訟の勝利の署名に対して、全政党の215人もの紹介議員・賛同議員となっています。県内の他の自治体でも、同様の請願、この間相次いで提出されています。各会派の立場の違いで否決する種類のものではありません。あらためて請願の採択を訴えて、討論を終えます。