日本共産党横浜市会議員
古谷やすひこ(2012.6.8)
実際には、質問と答弁がそれぞれ一括して行われましたが、わかりやすいように対応する質疑と答弁を交互に記載しました。
古谷議員:古谷私は、日本共産党を代表して、2件の議案について質問いたします。
まず、市第9号議案「横浜市社会福祉センター条例の一部改正」についてです。この議案は、社会福祉センター内の「実習室」を稼働率が低いということで廃止し、稼働率が高い軽運動室を有料化し、ホールや会議室の一般利用料金を現行の1.5倍とするものです。
今回の条例改正で、社会福祉法人などの利用料金を下げたことは一定評価できると思います。
2010年9月に、社会福祉法人横浜市社会福祉協議会が同センターの指定管理者に選定された際に、選定委員会は「審査総評」として「施設の稼働率に高い目標値を掲げているにもかかわらず、目標達成するために今までのやり方を具体的にどう工夫して変えていくのかについて提示されていない」と指摘し、工夫や改善を求めたい点として「施設を広く一般市民にも周知させること」を最初に挙げ、同センターの抱えている問題を解決する方策に施設の稼働率アップをあげています。その点、今回の一般市民の料金を5割も値上げすることは、稼働率アップを指摘した選定委員会の「審査総評」とも齟齬をきたし、稼働率の低下をもたらすことになると危惧しますが、市長の見解、伺います。
林市長:古谷議員のご質問にお答え申し上げます。市第9号議案について、ご質問いただきました。
今回の条例改正により稼働率が下がるのではないかとのお考えについてですが、社会福祉センターの利用料金は昭和63年に改定して以来、見直しが行われておらず、市内の類似施設とくらべて低い金額になっています。そのため、利用料金を改定し、利用者の皆さまに適正な料金を負担していただくことは、市民全体の負担の公平性の観点から必要であると考えています。今回の料金改定を行うにあたっては、急激な負担増とならないようにするとともに、利用者の大半を占める福祉関係者の利用料金を一般利用者の半額とするなど、稼働率が低下することのないように配慮をしています。
古谷議員:今回の社会福祉センターの料金改定は、財政局から出された「市民利用施設等の利用者負担の考え方」を当てはめたものだと聞いています。
そこで、「市民利用施設等の利用者負担の考え方」について伺います。「今後この考え方に基づき取組を進めていく」ということですが、そもそも社会福祉センターをはじめ、それぞれの市民利用施設にはそれぞれの設立の趣旨があり、その趣旨に基づいて利用料金の設定や使用方法などが決められてきた経緯があるはずです。それを「市民利用施設等の利用者負担の考え方」では、勝手に市民利用施設を収益性と公共性を基準に9つの分類に分け、しかも市民利用者との負担割合まで勝手に決めてしまっていることについては問題です。市長の見解、伺います。
林市長:9つの分類に当てはめて負担割合を決定することについてですが、市民の皆さまにご負担いただく施設の利用料金の設定については、これまで市としての標準的な考え方が必ずしも明確でなかったために、今回市民の皆さまのご意見も伺いながらこの考え方を分かりやすく整理しました。一定の指標により、9つの分類に当てはめた上で、さらに施設設置の目的や経緯などの個別事情も十分に考慮しながら負担割合を決定することは、市民負担の公平性の観点から適切であると考えています。
古谷議員:今回の「利用者負担の考え方」の根底にある受益者負担の考え方についてお聞きします。
厚生労働省は3年ごとに「所得の再分配調査」というものを行っています。これは、社会保障制度等における給付と負担、租税制度における負担が所得の分配にどのような影響を与えているのかを明らかにすることを目的にして行われている調査です。こういったかたちで、公の施策が貧困の連鎖を生まない、所得再配分をしっかり行っているのかということを、国自らが検証しているわけです。
「使う人が利用料を払う」、こういう受益者負担の考え方を、営利施設ならいざしらず、公の施設で徹底させるというのは、公による所得の再配分機能という考え方とは反し、結局は低所得者など「負担できない人は使えない」ことにつながるのは必至です。したがって、「市民利用施設等の利用者負担の考え方」に受益者負担の考え方を持ち込むこと自体が問題だと思いますが、市長の見解、伺います。
林市長:市民利用施設に受益者負担の考え方を入れるのは間違いではないかとのことですが、市民利用施設の設置のためのイニシャルコストは市民の皆さまの税金で賄うことを基本にしています。施設運営のコストについては個人によって施設の必要性や利用頻度は異なることから、実際に利用される方に一定のご負担をいただくことが、市民の皆さま全体からみて公平ではないかと判断しています。
なお、料金の見直しにあたっては、多くの施設でいっせいに改定したり、急激に利用者負担を引き上げることがないように段階的に進めるほか、特別な事由による料金の減免など、利用者に配慮していきます。
残りの質問については、教育長より答弁いたします。
古谷議員:次に、市第26号議案「横浜総合高等学校移転整備工事請負契約の締結」についてです。これは、市立の横浜総合高校が現在の中区翁町から南区の旧大岡高校への移転に伴う建築工事請負契約です。先日、旧大岡高校にも伺いましたが、建物の構造そのまま使い、耐震補強、リフォームをして使うと聞いています。
横浜総合高校は、横浜市立定時制高校の歴史と実績を生かしながら、県内で初めての三部制・単位制による新しいタイプの高校として設置され、10年を経て今回移転整備されるわけであります。今回の移転を期に、昨年11月に、三部制定時制の現状を分析し課題を整理し、その課題解決の方策を示した「提言書」が出されましたが、よく実態を反映したものと一定の評価をしております。
その「提言書」の中で、同校が抱える最大の問題点として「進路決定率の低さ」を指摘しています。教育長、進路決定率が平均6割で、進学もせず職にも就けないいわゆる「無業者」が4割もいることについて、どう認識され、また今回の整備にあたってその解決に向けて何を考慮したのか、伺います。
山田教育長:市第26号議案について、ご質問をいただきました。
横浜総合高校の進学決定率の低さに対する改善方法についてでございますが、進学決定率はその時々の景気や経済情勢等にもよりますけれども、これまでも進路ガイダンスや資格取得、就労支援などの充実によりまして、生徒の進路先の決定に努めてまいりました。移転後もキャリア教育の充実をいっそう図るとともに、進路相談に丁寧に応じられる相談スペースを拡充するなど、進路決定率の向上を目指してまいります。
古谷議員:今回の学校移転に関して、最終的な設計に至るまでについては、学校側から様々な要望が出されていたと聞いています。生徒はもちろんのこと、現場で働かれている先生方が頑張れる条件整えるのが教育委員会の役割だと思います。しかし、現場から出された要望をコストの面からも削ったと聞いています。教育長、今回の整備によって、横浜総合高校の目的や役割しっかりと果たし、先生方が目指す教育を行うことができる施設・設備となっているのか、伺います。
山田教育長:横浜総合高校の設置目的や役割が十分に実現されることになるかについてでございますが、移転整備にあたりましてはカリキュラムの見直しに対応する教室の設置や、就職生活相談ができるスペースの拡充などを行っておりまして、ひとり一人の個性に応じた多様な学習や進路選択に対応できるよう、いっそうの充実を図ってまいります。
古谷議員:グラウンドについてですが、現状の横浜総合高校も大変狭く、軟式野球部の部活動などでは内野のみでしか練習できないと聞いています。移転後のグラウンド予定地も、もともと2面のテニスコートがあった所を転用するものであり、現状と同様に狭く、さらに民家と接しているため夜間には使えないような状況です。こういった環境は、2009年に開校した、充実した施設・設備を誇り、夜間照明付きグラウンドと全天候型テニスコートとしても使えるサブグラウンドのある、同じ市立の横浜サイエンスフロンティア高校と比べて、あまりにも落差があるのではないでしょうか。
「提言」で、同校の生徒はコミュニケーション力に欠けたり、中学校の時不登校だった子どもが多く、学校行事などを通じた自己有用感の育成が必要だと指摘しています。体育だけではなく体育祭や文化祭、地域の方々との交流行事などの場ともなる広さのグラウンドを生徒に提供するための方策、どのように考えているのか伺って、質問を終えます。
山田教育長:移転後に体育祭や文化祭、地域の方々との交流を行えるかについてでございますけれども、体育祭や文化祭等の学校行事は学校教育の中でも重要な位置づけでございまして、広くはないグラウンドでございますけれども、引き続き移転後も改修をされた施設を有効に活用しながら実施をしてまいります。すでに文化祭では、大岡地区の住民の方々が参加するなど、移転前からの交流も行われておりまして、移転後も地域との交流を継続発展をさせてまいります。
(2012.3.23)
私は、日本共産党を代表して、2012年度横浜市一般会計ほか17件の会計予算および12件中3件の予算関連議案について反対を表明し、討論いたします。
新年度予算でもっとも重視されるべきものは、何でしょうか。私たち日本共産党市会議員団は昨年8月に、3・11大震災を受けて、新年度予算編成にむけて市政運営の方向性を「防災の観点をあらゆる施策に貫くこと」「自然エネルギーの本格的導入に踏み出すこと」におき、市民の「いのち、くらし、福祉の向上」を最優先させる立場から、中学校給食実施、小児医療無料化年齢引き上げ、住宅リフォーム助成制度、放射線対策など9項目を重点要望として予算に反映するように林市長に申し入れをして参りました。
今回林市長が提案された予算案は、部分的には市民目線で前進面もみられます。しかし、「ダイナミックな投資を行うのは今だ」として、高速横浜環状道路建設や国際コンテナ戦略港湾整備など大型開発推進を優先させる一方、中学校給食の実施など市民が実現を切望している要求については投資しておられません。また、市民の関心の強い自然エネルギーへの転換の分野でも、積極性は見られず従来の域を出ていません。
以下、順次、反対理由を述べていきます。
理由の1つ目は、防災・減災の観点が不十分なことであります。
公共建築物等の耐震化として104億円を計上し、保育所、個人住宅など民間耐震化への支援も拡充しています。しかしその一方で、密集住宅地の対策などは想定されております直下型地震に対応するレベルとは到底言えません。多くの震災対策は、国の提示の域を超えておらず、本市の主体的な判断での対応がほとんどなされていません。
密集住宅市街地の防災対策として、国の指定を受けて8年前にスタートした「いえ・みち・まち」改善事業について、対象の660ヘクタールのうち、住民合意の協議会ができているのはたった3割程度にとどまっており、住民の自主性任せになっている現状が明らかになりました。もっと市がイニシアチブを発揮して直下型地震に対応する密集住宅市街地の防災対策をテンポを上げて進めるべきときではないでしょうか。
横浜駅地下街の防災対策については、本市の防災計画には地下街の防災対策の記載が一切なく想定もされていません。また、大地震等発生時、地下街滞在者全員に事態を緊急伝達できる警報システムもなく、海抜標示もつけられていません。今日明日にも地震が発生したらどうするのか、そういう切迫感をもった対応を求めます。
道路局審査では、発災時に道路復旧の主体となる地元建設業者が減り続けており、中小業者が請け負う地域道路の整備や維持管理予算を増やすべきなのに、実際は高速道路予算だけが伸びている現状が浮き彫りとなりました。中小企業振興基本条例にも従って現状を正すとともに、中小の地元建設業者の振興に力を注ぐように求めます。
取り返しのつかない福島第一原発事故から、この横浜市にも放射性物質が降り注ぎ、放射能汚染対策が余儀なくされており、今回も22億円が計上され、市民要望も受け、一定の前進は認められます。しかし、文科省の放射線副読本は原発事故で放出された放射性物質による危険性についてはほとんど触れられておらず、放射線はどこにでもあって、あたかも心配する必要がないかのように描かれています。そもそも、なぜ放射線の教育をしなくてはいけなくなったか、そして福島の子どもたちはなぜ避難しなくてはいけなくなったのか、このことを教えることから出発するのがスジではないでしょうか。昨日の毎日新聞によれば、副読本を作成した文科省は「この副読本を使うも使わないも自治体教育委員会の自由だ」と言っています。この際、本市の判断として副読本の使用はやめるべきです。
理由の2つ目は、市民のいのち、くらし、福祉の向上を最優先させるという視点が貫かれていないことです。林市長は子育て施策について、「子どもが健やかに生まれ育つための環境整備については最重要課題として取り組みます」とおっしゃっていますが、この環境整備というのは保育園の施設整備しかないのでしょうか。保育園整備費用を捻出するために保育料を平均8.4%も値上げするのは、子育て環境を悪化させる施策だとはお考えにはならないのでしょうか。そもそも保育料は保育そのものにかかる費用をもとに算出すべきもので、施設整備費は含むべきではありません。保育料の値上げは直ちにやめるべきです。日頃林市長は「子育て安心社会の実現」とおっしゃっていますが、言っていることとやっていることが全く違うと、厳しく指摘しておきます。
教育の分野では、林市長は「先生がもっと子どもたちに向き合う時間をとれるように」といいながら、その一番の打開策である少人数学級には一歩も踏み出しておらず、国の施策の域を超えていません。横浜の子どもたちのために教員を増やすという真正面からの打開策を取るべきです。
市民のいのちを守るという分野では、今年になって相次いで孤立死が発覚しています。その特徴は、介護者が病で倒れ、自分ひとりで生きることができない要介護者が後を追って亡くなるといったケースで、とうとう横浜市内の旭区でも孤立死が発生しました。今は公的なサービスが次々と打ち切られ、貧弱な福祉制度を家族への過大な負担を強いて「自立」や「自助」といった言葉でごまかされています。そして、家族が支え切れなくなれば、今回のケースのように家族もろとも亡くなってしまう。障害者が生きるために必要な支援までも「受益」として負担を強いているのが、今の現状です。林市長は「生活に困窮し、周囲から孤立した方々を支えるために、行政の責務として、セーフティネットを確保」するとおっしゃっていますが、その具体的な施策には踏み出してはいません。それどころか、生活保護行政で警察官OBの配置などは、最後のセーフティネットのハードルをさらに上げることにもつながりかねません。そもそも生活保護受給者が増えているのは、不正受給のためではありません。国による社会保障水準の低さ、年金水準の低さが、結果として最後のセーフティネットである生活保護でカバーしているといういびつな構造が今の状況ではないでしょうか。
さらに、本市による国民健康保険料の大幅値上げ、介護保険料の値上げに加えて、後期高齢者医療制度の保険料の値上げ、年金給付の引き下げなど、お年寄りの財布から次々とお金をうばってしまうようなやり方がいま進められようとしています。こういう施策が次々と進められていくというのは、その結果として、市民生活がどうなるのかという想像力が欠如しているとしかいいようがありません。
理由の3つ目は、厳しい財政状況だと言いながら、大型の公共事業の見直しには一切、手を付けていないことです。林市長は、予算案の考え方の中で、「現役労働世代が減少し、活力を維持することが困難な時代に突入しています」としています。厳しい財政だといいながら、高速横浜環状道路建設に125億円、国際コンテナ戦略港湾推進に155億円、「エキサイトよこはま22」に2億円と、大規模開発は加速しています。その一方で、生活関連公共事業は軒並み削減しています。2011年度と2012年度の予算を比べると、主要地方道整備は71億円が69億円に、公園整備は153億円が139億円に、河川整備は42億円が39億円に、下水道整備は373億円が363億円にと、軒並み縮減しています。生産人口が減る社会、高齢者が増える社会の中で、一体どんな未来の横浜を描いているのでしょうか。これらを見ても、公共事業についてのお金の使い方が間違っているとしか言いようがありません。3・11の東日本大震災から、社会の有り様が問われ、価値観もゆらぎ、社会全体が大きく動いています。こういう中で一旦立ち止まって、これからの社会の有り様についてもっと深い分析が必要ではないでしょうか。
これからの社会の有り様という点では、市長は新たな大都市制度の実現を述べており、来年度には体制も補強し、横浜版特別実施大綱を作成しようとしております。しかし、現状では市民への周知もほとんどされていない、また議会での議論も成熟したとはいえない状況の中で、大阪の議論に乗り遅れるなとばかりに、かたちばかり先行させるのはあまりにも拙速です。
理由の4つ目は、本市事業の明らかな失敗のツケを子どもの世代まで押しつけることであります。2013年には、土地開発公社の解散に向けて今まで公社が所有していた土地を本市がすべて買い取る予定で、その市債の総額は1300億円にものぼります。今まで、財政の厳しさから、市民利用施設の有料化やサービスの切り捨てなど市民に押し付けてきましたが、今度は桁の違う借金を市民に押し付けようしております。さらに、買い取ったMM21地区は、時価との差が既に400億円もの含み損になっています。この責任をだれも問われないというのは、なぜでしょうか。少なくとも責任の所在、明らかにして、同じ失敗を繰り返さないために、積極的に再発防止に取り組むべきではないでしょうか。
理由の5つ目は、海外視察のあり方の問題です。
私たち日本共産党は、海外視察は行くべきではないという立場ではありません。海外の先進事例にも大いに学ぶべきだと考えます。適切な料金で、適切な目的で行く海外視察は、行くべきだと思います。その際、全行程と領収書を公開し、報告書も早期に提出するのは当然です。
私たちが、今の横浜市議会の海外視察のあり方で問題にしているのは3点です。
1つは、決められ方の問題。なぜ、本会議場だけでの机上配布のみなのか。必要な視察であればどうどうと審議すべきであります。
2つ目は、お金の出し方の問題。なぜ海外視察費という別枠で出すのか。必要な海外視察は、政務調査費で行くべきであります。
3つ目は、1期目で60万円、2期目以降は120万円という金額の枠の問題です。必要な視察であれば、1期生であろうとベテランの方であろうと、金額は変わらないはずです。過去5年の海外視察の報告をみても、2007年のアメリカ・ドイツ・シンガポール16日間で、1人当たりぴったり120万円。2008年には、ノルウェー・スウェーデン・ルーマニア・デンマーク12日間で1人当たり118万円。2011年、ドイツ・ガーナ・南アフリカ・ブラジル・アメリカ15日間で1人当たり119万円となっています。訪問する場所や日程が違うのに、1人当たり120万円の上限にほぼ近くなるというのはおかしくはないでしょうか。これでは、本市が各局で進めている使いきり予算を是正しようとメリットシステムで日々節減に取り組んでおられる当局の方々と対比して自らの襟を正すべきではないでしょうか。
厳しい財政状態というのであれば、議員のみなさんも口をそろえておっしゃっています、そうであれば現行の公費による海外視察はやめるべきであります。
最後に、これからの横浜は、誰も経験をしたことのないような高齢化社会を迎えます。その備えをする際に、本市を支えている現役世代を痛めつけるような施策ばかりでは、社会の活力を奪ってしまいます。中小企業振興基本条例によって本市発注事業を市内中小企業へと循環させていく流れだけではまだまだ不十分です。私たち日本共産党は、横浜市民や地元中小業者の生活と生業を支える施策をさらに積極的に展開していくことで、市税収入を増やし、横浜経済を好循環へとつなげていくべきだと考えます。
横浜市政が370万市民の期待と未来を背負って、前進し続けていくことを願って日本共産党を代表しての予算案に対する反対の討論を終えます。
(2012.3.12)
古谷議員:日本共産党、古谷やすひこです。順次質問いたします。どうぞよろしくお願いいたします。
まず、土地開発公社について伺います。
予算案で、土地開発公社が保有している土地を取得する費用として60億円が計上されていますが、まずその使途について伺います。
柏崎財政局長:よろしくお願いいたします。
土地開発公社の借入金は、本市全体で対応する外郭団体の借入金に含まれておりまして、財政健全化の取り組みの一環として着実に縮減を行うものということでございまして、毎年度一般会計による買い替えを進めております。24年度予算では、公社の保有するみなとみらい地区の土地を取得しようとするものでございます。
古谷議員:土地開発公社は、本来は本市事業のために必要な土地を機動的に先行取得をするというのがそもそもの役割だったと考えます。しかしその後、MM21地区事業でディベロッパーの役割まで担い、その本来の役割そのものが違ってきている。結果の60街区を本市が取得することは本来の姿ではないと考えます。
では、同じく今年度本市が取得した土地開発公社の土地の取得費はいくらか、伺います。
柏崎財政局長:23年度は、一般会計や資産活用推進基金によりまして、本市全体で105億円の買い取りを見込んでいるところでございます。
古谷議員:では、今年度、土地開発公社の予想収益と、そのうち売れた土地の収益はいくらか、伺います。
柏崎財政局長:土地の売却収益と賃貸等の収益、利息などの収益の合計で、23年度の合計額は121億円を見込んでおります。このうち本市の買い取りを含む土地の売却収益は113億円でございます。
古谷議員:つまり、今年度の土地開発公社の売上のほとんどが、MM21地区の60街区を買った本市の取得費であります。しかも、同地区の土地の時価は、いまや取得価格の3分の2程度しかありません。その土地を民間に変わって本市が買取り、決算上、黒字まで出ているように見せています。売却すべき土地が売れず、金利負担がかさみ、本市が買い取って金利負担を軽減させなければならない自立できない状態ではないでしょうか。しかも、MM21地区の旧高島ヤード土地だけで400億円もの含み損をかかえて売却代金では借入金を返済できず、実質的な債務超過に陥っていると考えます。こういう状態を経営破綻というのではないでしょうか。認識を伺います。
柏崎財政局長:土地開発公社でございますけれども、そもそも本市の依頼ということに基づきまして、土地をこの間取得してきてまいったわけでございます。取得資金は金融機関からの借入金で賄っているわけでございます。借入金の利子は公社が適切に支払い、本市が買い取りを行う際には簿価に加算される方法というふうになっておりますので、いわゆる経営破綻にはいたらないというふうに考えてございます。今後、解散に向けた手続きを的確に進めてまいるという考え方でございます。
古谷議員:中期計画では、2013年に公社を解散。第三セクター債1300億円を発行して公社が所有している土地をすべて本市が取得するとしています。国では、金利負担を軽減させるために、この第三セクター債の発行を2009年から2013年まで可能としていて、千葉市や大阪市は既に公社を解散しています。本市はなぜ国で定められている最終期限の2013年としたのか、判断が遅くその分負債が増えてしまったのではないでしょうか。見解を伺います。
柏崎財政局長:一般会計によります買い替えなどを計画的に進め、第三セクター債の発行額をできるだけ減少させるという一方で、解散の手続きあるいは発行方法などを十分検討するため、三セク債の発行時期は25年度というふうに予定をしているところでございます。
古谷議員:こういう処理の仕方で、今まで公社が頑張っても売れなかったMM21地区の土地を本市が抱え込むこととなり、売却がさらに遅れるのではないでしょうか。また、この事業で作った400億円以上もの実質的な大赤字の責任が曖昧になってしまわないでしょうか。市民にどう説明するのか、伺います。
柏崎財政局長:まずはじめに、解散後に引き継ぐ土地の件でございますが、道路、公園、緑地保全、あるいは市民利用施設など本市の事業で必要する用地につきましては、利活用を積極的に進めてまいります。また、売却可能な土地につきましては、順次公募などにより売却を進めてまいります。
次に、市民のみなさまへのご説明という件でございますけれども、先ほど申し上げましたが、公社は本市の依頼に基づきまして土地を取得し、解散についても本市が責任を持って対応する必要がございます。このため、将来の財政負担の軽減の観点から、三セク債の活用による公社の解散を中期4か年計画においてお示しをしたところでございます。今後、適宜市会にお図りしながら、本市として責任をもってご説明をしてまいります。
古谷議員:昨年の予算特別委員会の中でも、周知についてはわが党の河治議員が質問し、「広く市民に知らせる」と局長が答弁されておりました。この一年どう市民に周知してきたのか、伺います。
柏崎財政局長:先ほども申し上げさせていただきましたけれども、まず公社の取り扱いにつきましてこれからどうしていくかというに関しましては、中期4か年計画の中でその方向性についてご説明しているところでございます。また、本年度も、先ほどご質問いただきました土地の取得費につき、きちっと予算の中でご説明するとともに、これからもその議会の中できちっとその方向性についてご説明をさせていただくということでございます。
古谷議員:広く市民に知らせてはないと思うんですが。
次に、市民の負担軽減のためにあらゆる努力がいまからでも必要だと思います。金融機関にも金利減免等の協力要請をすべきだと思いますが、見解を伺います。
柏崎財政局長:まず、公社が借り入れる金利ということにつきましては、これまでも公社におきまして様々な融資条件の中で最も有利な条件で折り合うように交渉してきた結果決定されているところでございます。また、本市も今後第三セクター債の発行などので、この金利負担というものが過大負担にならないように最大限努力をしてまいりたいというふうに考えております。
古谷議員:具体的に聞いたんですが、お願いします。
柏崎財政局長:お尋ねの趣旨でございますけれども、今回の解散ということにあたって、その金融機関に対しての対応をどういうふうにすべきかというお尋ねであったのかなというふうにも思いますが、これからにつきまして、公社の借入金というのは本市が、これまでも債務負担行為といたしまして予算議案にお諮りし、ご議決をいただいた上で債務保証などを行っております。公社がその使命を終えて解散するという場合には、最終的には本市が返済をしていくべきものというふうに考えております。
古谷議員:MM21地区でこういう400億円もの莫大な赤字のツケを市民に回すことについて、市としても目に見える責任の取り方が必要ではないかと考えますが、見解を伺います。
柏崎財政局長:先ほども申し上げさせていただきましたが、これまで横浜市におきまして、中期財政ビジョンなどでお示しをしたとおり、公社の借入金は本市全体で対応する外郭団体の借入金というものに含め、きちっと市民のみなさまにもお示しをし、着実に縮減を行う必要があるということでこの間取り組んでまいりました。このため、将来の財政負担の軽減の観点から、三セク債という総務省で設けたその制度を活用いたしまして、公社の解散を中期4か年計画において決定したということでございますので、ご理解いただければと思います。公社解散後も、引き継いだ土地の計画的な利活用や売却に最大限努めてまいります。
古谷議員:400億円だけではなくて、1300億円もの市民に負担をかけるということについて、二度とこんな事態が起こらないように、原因の追及あるいは責任の所在などを市民の前に明確にすることを要求して、次の質問に移ります。
次は、市税や国保料などの未収債権管理についてです。中でも、特に近年増加している給与差押について伺います。
給与差し押さえを強行することで最低最活費は残すとしていますが、会社に差押をされている事実を知られることとなり、結果的に職を失うことになれば支払い能力そのものがなくなってしまうと思いますが、見解を伺います。
柏崎財政局長:給与の差し押さえに至るまでには督促状や催告書などにより自主的な納付を促してお願いをしておるところでございます。それでもなお納付をいただけない場合には、財産調査により納付資力の見極めを行った上で、滞納者の方々の個々の状況等を勘案しながら、必要な処分等を行っているところでございます。
古谷議員:私がお話したこういったケースの給与所得者で個人住民税が普通徴収となっている方はどのような場合か、伺います。
宇都宮主税部長:本来給与所得者については、給与を支払っている方が個人住民税の特別徴収義務者として納付をしていただいております。ただ、しかしながら、実務上、従業員数が少ないため、給与支払者から特別徴収義務が負担となっているといって実施ができないという申し出があった場合などについては、例外的に普通徴収にしております。
古谷議員:そういった場合や、あるいは派遣や請け負いなどの場合もそうだというふうに考えます。そういった立場の弱い労働者をさらに追い込むような仕打ちは許すことはできません。そうならないような配慮があって当然ではないでしょうか。昨年度の国民健康保険料に関する監査報告で十分な配慮をすべきとあります。保険料滞納の高額部分が区から局へと移管される中で、どう改善してきたのか、伺います。
柏崎財政局長:市税におきましては、従前から納付困難のお申し出等があった場合には、個々の状況をお聞きしながら丁寧な対応に努めております。また、健康福祉局等から財政局に引き継いだ国民健康保険料等の徴収にあたりましても、所管局と連携をし、減免制度についてのご説明をきちっとさせていただくとともに、法テラスというようなもののご案内も引き続きさせていただいているところでございます。
古谷議員:立場の弱い労働者を追い込むようなことをしないような十分な配慮を求めて、質問を終えます。
(2012.3.12)
古谷議員:おはようございます。日本共産党、古谷やすひこでございます。順次質問いたします。
まず、本市幹部職員の再就職の問題、いわゆる天下りの問題について、伺います。昨今、公務員への風当たりが大変強い中ですが、私たち日本共産党は、そういう立場ではありません。むしろ、大変な公務労働を献身的に支えていらっしゃる方々だと思っています。また、今回取り上げた問題は、多くの職員の方々にとっては全く関係がない話であります。しかし、ごく一部であっても、こういう問題があることで公務員全体の評価を下げることにもつながります。一点の曇りもあってはならない問題だと考えます。
そこで、本市の退職者の再就職、いわゆる天下りについての基本的な考え方、対応について伺います。
鈴木総務局長:おはようございます。よろしくお願いします。
本市では定年退職する職員に対しまして主にふたつ、ひとつは再任用などにより再雇用する、その道と、外郭団体などから要請があった場合は人材の紹介を行うというかたちをとっております。外部団体の再就職につきましては、市民の理解を得られる仕組みとしていく必要がありますので、平成22年1月に再就職の適正化取り組みを発表しまして、24年7月の達成、今年の達成に向けまして、対象機関や報酬額、兼務の解消に関する適正化に取り組んでおります。
古谷議員:今、市が関与する外郭団体は厳しい市民の目が光っていると思います。いまおっしゃられた「再就職に関する見直し」については、その見直しの方向性については大変評価できると考えています。
今定例会の中で、教育委員長が横浜川崎曳船会社の社長に就任していたことが明らかとなりました。同会社は外郭団体ではありませんが、本市出資している会社であります。兼任は合法でありますが、しかし市民感覚からいって疑問符がつくのではないでしょうか。しかも、この件については何も公表がされていません。
そこで、どういう経過だったのか、あるいは本市総務局で斡旋されたものだったのか、なぜ一年間だけの社長就任だったのか、横浜川崎曳船会社は本市OBの指定席なのか、まとめて伺います。
鈴木総務局長:当時、今田氏はすでに市を退職されていましたので、はっきりと私たちの方で把握していることではないこともありますが、団体からの要請に基づいて就任されたのではないかと認識をしております。また、22年1月に本市が再就職に関する適正化取り組みを開始したことなどから、退任のご判断を自らされたのではないかというふうに考えております。横浜川崎曳船株式会社は、曳船業務を通じて横浜港に入港する船舶の安全な運航を確保するという公益的な役割を担っておりますので、本市の行政経験など公務に通じた人材がふさわしいと判断をされて、本市OBが社長への就任を求められていることが多いというふうに認識しています。
古谷議員:本市総務局は関与はなかったということでよろしいですか。
鈴木総務局長:いわゆる紹介システムというようなかたちの関与はしておりません。
古谷議員:わかりました。
次に、別の事例で伺います。本市外郭団体の財団法人帆船日本丸記念財団の現会長は、本市OBだときいていますが、いままで関連団体で働いてきた方だと聞いていますが、今までどこで働いてきたのか、伺います。
鈴木総務局長:帆船日本丸の記念財団の理事長、現会長は岡本氏でございまして、本市退職後に財団法人横浜港埠頭公社、それから財団法人横浜産業振興公社、それから株式会社横浜港国際流通センター、横浜川崎曳船株式会社、そして株式会社横浜国際平和会議場の代表等を歴任されております。また、その後も非常勤の無報酬で、財団法人横浜港埠頭公社の顧問ですとか、財団法人帆船日本丸記念財団の会長、そして社団法人横浜港産業協会の会長を務められております。
古谷議員:ずいぶんわたっておられる方だと思うんですが、このことについて、それぞれ本市が斡旋してきたのか、その関与がなかったのかどうか、明確に答弁お願いいたします。
鈴木総務局長:私どものいわゆる紹介システムという意味では、平成22年度以降、私、就任して以降のことでございますけれども、そういうことは一切しておりません。ただ、団体側が要請をされて、引き続きというようなお話があったりしたものもあるのではないかと思いますが、いずれにしても非常勤、無報酬という場合の扱いと、報酬がある場合の扱いとで、私どもは違っているというふうに認識しております。
古谷議員:退職者の再就職について、見直しが出されて1年後の昨年3月に、横浜市の外郭団体など、経営改革委員会、経営改革に関する報告書が、本市総務局から出されています。その中で、財団法人帆船日本丸記念財団の経営改革の方向性について、どう指摘されていますか。伺います。
鈴木総務局長:委員会からの報告書では、経営改革の方向性としまして、役員と管理職の数が過大であり、早急に見直しを行い、効率的な組織体制とすることとの指摘がなされまして、この方向性についての補足または条件、整備すべき環境として、理事などの要職は市OBである必要は必ずしもなく、専門家など幅広い分野からの登用を図ること、非常勤役員について必要最小限の人数に削減することとの補足等がなされております。
古谷議員:それとは合致しないと考えます。
退職者の再就職についての見直しは、再三申し上げているとおり、方向性はいいというふうに考えています。しかし、これだけでは不十分だと考えます。私が調べた範囲だけでも、たとえば、株式会社横浜スタジアムの役員には、その3分の1がいわゆる本市OBの「渡り」の指定席ともいえるポストで占められています。それ以外にも、外郭団体2箇所程度はしごする。あるいはその後は、今度は外郭団体ではなくて本市出資団体に移っているケースが多く見られています。これは、「見直し」の取り組みで、65歳という年齢制限の枠を逃れるためでしょうか。株式会社といえども社会的責任はあるはずであります。まして市民の税金が入っている団体であります。
どうですか、局長。一度本市の幹部職員となれば、その退職時の地位を利用して、こういう本市外郭団体あるいは関連団体を次々転々としていく、いわゆる「渡り」について、市民からみて理解が得られると思いますか、見解を伺います。
鈴木総務局長:そういうことも含めての再就職の適正化につきまして、外郭団体を対象として取り組みを要請しておりますが、関係団体はじめとするその他団体につきましても取り組みへの理解と協力を現在求めております。その結果、平成23年7月去年の7月の時点で、適正化取り組み前の21年度末と比較をしまして、在職年数の超過、いわゆる期間が超過している方というのは23ポストいたんですけれども、それが9ポストにすでに減少しておりまして、報酬基準の超過の方も117ポストから61ポストに減少をしております。
関係団体などは、出資者や経営母体などの背景が外郭団体とは異なりますので、市として団体の経営自主性を尊重しながらも、適正化の達成に向けて理解と協力をいただけるよう引き続き働きかけております。多くの団体にもご協力いただきまして、達成期限である平成24年の7月には関係団体も含めまして基準を超過するポストは大幅に減少できるというふうに考えております。
古谷議員:そこで、幹部職員の再就職の見直しについて、いまおっしゃられたとおり成果あがっているというお話ですから、外郭団体だけではなくて、本市出資関連団体にも「見直し」の網、つまり年齢規制と退職金規制の網をしっかりかけるべきはないでしょうか。見解、伺います。
鈴木総務局長:退職金規制というお話がありましたけれども、退職金というのは支払わないということでお願いをしているはずです。それから、先ほどのような適正化の取り組みの成果ということでは、完璧にしなくちゃいけないっていう目標は立てますけれども、実は個々の事情ということもありまして、相当その、ぜひこの人材をこの会社に残してほしいとか、あるいはこういう人を財団に残してほしいというような強い要請が団体側からあるケースもございますので、そういう個別性も含めて、個別性については考慮しながら、しかしながら全体としては網をかけて達成に向けて努力をしていきたいというふうに思っております。
古谷議員:この天下りの問題については、本市を退職する職員のうちの本当に、先ほど述べたとおり、ごく一部の問題であります。しかしごく一部であっても、元公務員が、少しきつい言い方しますが、甘い汁を吸っていると思わせればだめではないでしょうか。一点の曇りもあってはならない問題だと考えます。こういうことが、日頃献身的に公務労働をされている公務員の方々全体の評価を下げてしまう。一刻も早い改善を要求して、次の質問に移ります。
次に、知的障がい者の雇用促進について伺います。
この施策、大変いい施策だと思いますが、雇用形態が最大でも4年半の期限付きの嘱託職員ということですが、その後は雇用されていた方々はどうなるのか、伺います。
鈴木総務局長:雇用期間終了後は、健康福祉局や就労支援機関等と連携をしながら、民間企業等への就労へつなげられるように取り組んでいきたいというふうに考えております。とりわけ本市では、民間企業でもあまり雇用が進んでいない事務職域での雇用を中心に行っておりますので、より多くの方に本市の事務職域で就労していただくことで、その後の民間への就労の拡大につなげていきたいというふうに考えております。
古谷議員:本市でせっかく高い倍率を勝ち抜いて、せっかく仕事場やあるいは仕事内容に慣れてきたところで、やめてもらうしかないという選択というのは、今の知的障がい者のひときわ厳しい就職状況から見て、再考すべきと考えます。そこで、一度採用した知的障がい者の方々を正職員として雇うことも選択肢として作るべきと考えますが、見解を伺います。
鈴木総務局長:正規職員として雇用するということになるためには、知的障がい者に適した職域を一定の規模で長期安定的に確保するということが必要となります。現時点で非常に解決しなければならない課題も多くありますので、ご理解いただきたいと思います。現時点では、本市での就労経験を生かして、民間企業等への就労に確実につなげることで、社会全体における雇用の拡大につなげていくという方向を考えてございます。
古谷議員:本市ができないことを民間企業に求めるというのでしょうか。大場副市長、よろしいですか。
大場副市長:いま局長から申し上げたとおり、現時点では本市の就労経験生かしていただいて、民間企業等への就労にぜひ確実につながるようにまた我々もサポートしていきたいというところでございます。
古谷議員:続いてですが、採用規模もどうでしょうか。知的障がい者の家族の方も大変この施策については、期待を抱いています。日本一の政令市として、3人の、しかも期限付き嘱託職員というのは、余りにも少なすぎるのではないでしょうか。見解を伺います。
鈴木総務局長:今回の雇用にあたりましては、全庁からの公募による配属先職場の決定、そして配属先に職場の職員への説明会、採用予定者の体験実習、そして配属後の定期的な職場訪問というようなきめ細かい対応を行って、円滑な就労を図るというふうにしております。今後拡大をしていくということがまずは大事であって、つまり固定的に少数の人をずっと長く雇うということよりも、いまはとにかくそのたくさんの人に体験をしていただくというような方向で、毎年毎年新しい方を雇用するというスタイルをとりながら、そういう方も民間の方の就職等ができるようになっていけるような援助を我々としてはしていきたいということでございます。
古谷議員:知的障がい者の方、大変苦労されていますし、安心できる未来を希望していると思います。正職員への道も閉ざすのではなく道を開くこと、また採用規模についても大幅な拡充を求めて、質問を終えます。
(2012.3.6)
古谷議員:日本共産党、古谷やすひこでございます。どうぞよろしくお願い致します。
まず、大都市制度について伺います。今回の予算議会の中でも、従来の体制以上に担当課長を増やしたり、なぜ今、本市が大都市制度の議論を進めようとしているのか、あらためて伺います。
浜野政策局長:現在の指定都市制度は、本市のような大都市であっても、市町村という一律の枠組みの中で、権限を一部特例的に与えられているに過ぎません。権限に見合う財源措置もなされていないという状況でございます。本市は県から独立し、その能力にふさわしい役割を担うことで、結果として市民サービスの向上や経済活性化を図ることができると考えており、新たな大都市制度の実現を目指しております。
古谷議員:それでは、いま本市が進めようとしている特別自治市なんですが、それを実現することによって市民生活はどう変わるのか、伺います。
國原大都市制度推進室長:特別市を実現しまして、県から権限と財源が移譲されることによりまして、市民のみなさまが日常必要とする福祉や医療などのサービスを充実させることができます。たとえば、職業紹介などの県が行っているサービスと、本市が行っている就労支援を身近な区役所で一体的に行うことで、よりきめ細かく、総合的な住民サービスを提供することができると考えております。
古谷議員:今、大都市制度を議論している中で、私は3つ論点があるというふうに考えています。一つは、都市間競争に勝ち抜いて、本市が経済成長をどう遂げていくのかという点。二つ目は、財政状況が厳しい中で行政効率を上げるために、いわゆる二重行政を解消しようという点。三つ目は、大きくなりすぎた都市の内部での分権をどう進めていくのかと、こういう点があるのかなというふうに感じています。
これらどれも大事な論点だと思います。しかし、それらの問題をひとくくりにして、大都市制度と、あるいは特別自治市の問題だとして、これらが実現すれば問題が解決するというのはなかなか難しいのかなというふうに感じています。
そこで、お聞きします。本市が目指す特別自治市を実現された場合に、本市の経済成長にはつながりますでしょうか、見解を伺います。
國原大都市制度推進室長:22年5月の新たな大都市制度創設の基本的な考え方、これを策定する時に、民間のシンクタンクに試算を依頼しました。その結果ですけども、本市に新たに大都市制度を創設しまして、権限と財源を移譲され、たとえば仕事と家庭の両立支援や、高齢者・若者就労支援、こういったことを充実を行った場合、その経済効果は約4.3兆円に達するというふうな試算でございました。
古谷議員:はい、ありがとうございます。
次に、二重行政の解消という点で、少し具体的に伺いたいと思います。図書館についてなんですが、紅葉ケ丘にある県立図書館あると思うんですが、それと日の出町駅近くにある市立図書館があると思います。県単位でみれば大変近接しているというふうにみえるんですが、これについて、県立図書館と市立図書館のそれぞれの役割、同じでしょうか、違いますでしょうか、見解、伺います。
國原大都市制度推進室長:県立図書館は市立図書館とも図書館法という法律に基づきまして、条例で定める公立図書館としての位置づけであります。本市のような大都市におきましては、役割について県と大きな相違はないものというふうに考えております。
古谷議員:実は、こういった議論がいま、県議会の方でもされていまして、昨年の12月の県議会の中で、県の教育長がこう答えているんです。市立の図書館は一般に身近な図書あるいは収集し、住民のニーズに応えていると。一方、県立の図書館は、そういった直接貸し出すことに加えまして、専門的な図書を収集・提供することによって、市町村立図書館の支援も行っていると。また、そういった市立図書館の研修等も行うといったいろんなシステムを加えているといった回答を得ています。そこらへんのところで、一般的に県立市立というところで、図書館というひとくくりで考えるというのは、なかなか役割も検討していただきたいというふうに思っています。
次に、教育行政についてですが、いま教員の任命権者と給与負担者が違うことについては、私も解消すべき課題だというふうに感じています。そこで、この教育行政のねじれともいえるこの問題を解消するために、今まで県に対して本市がどう取り組んできたのか、伺います。
國原大都市制度推進室長:いわゆる教育行政のねじれについてですけれども、これまでも神奈川県と意見交換をしてきました。その結果としまして、22年3月になりますけども、神奈川県教育委員会、それと横浜市および川崎市教育委員会、3者連名でねじれの解消のため、内閣総理大臣などへ、指定都市にかかわる県費負担教職員制度の見直しに関する要望書を提出したところでございます。
古谷議員:ちょっと確認なんですが、県とは歩調があっているということでけっこうですか。
國原大都市制度推進室長:教育委員会の連名ということで、教育サイドとしてはやはりねじれは解消すべきということで一致しているということで考えております。ちょっと他局のことなんで、いいきれるかどうかちょっとありますけれども。
古谷議員:こういうふうに、少し具体的に考えていくと、大都市制度という枠組みで検討すべきものもあると感じます。また、そうして現行制度の枠組みの中で、課題も解消すべきものも様々あるというふうに感じています。本当に、いまの市民のみなさんが望む実際のあり方を論じていく、その中で具体的に改善を阻んでいるものであれば、先送りせずにあらゆる努力をして解決すべきだと考えます。そこで、現行の制度の枠内でも、市民にとって実(じつ)をとるように解決を図るべき課題もあるというように感じますが、見解を伺います。
國原大都市制度推進室長:実際、これまでも県の方から事務処理特例制度を使いまして県への移譲を進めております。ただ、この制度におきましては、十分な財源がいただけてないということが課題となっております。また、大都市は事務配分の特例によりまして、本市は県に変わって多くの事務を行っておりますけれども、国の現行制度におきましては年間約300億円以上の財源措置が不足しております。こういうことで制度改正はぜひとも必要だというふうに考えております。
古谷議員:はい、ありがとうございます。
ところで、二重行政の問題っていうのは、県と市ということだろう思うんですが、そういった非効率な部分について解消しなければいけない課題というのは、実は政令市はもちろん大きいんですが、政令市だけの課題とはいいきれずに、一般市でも当てはまるものいくつかあるというふうに思います。そこで、政令指定都市以外で県内市町村と一緒に、県との二重行政解消に向けて、本市で取り組まれてきた努力について、伺います。
國原大都市制度推進室長:本市の政令指定都市は、大都市特例によりまして県の権限の一部を特例的に与えられているために、二重行政が発生しています。そういった特例のない市におきましては、二重行政は本市ほど顕著には生じてないものというふうに考えております。ただ、特例市各市ありますので、そこは県の事務一部いただいているので、そういう部分あるかと思います。そういった意味で、直接の二重行政に関しての話を県内の各市とはあまり議論したことはないんですけども、逆に市の市長会の要望といたしまして、大都市制度の創設、新たな大都市制度、我々が目指すものは必要だということで、市長会として国に対して要望しております。
古谷議員:いまなぜそれを聞いたかっていうと、先ほどの12月の県議会の議論の中では、いま横浜市が大都市の制度を議論しているっていうことが、横浜市が神奈川県から独立するといった議論がされているようですがみたいなかたちで議論をされています。そういったことなので、ぜひこういったところでまわりの一般市等も含めて、こういった問題を、いまの自治制度の問題について議論していくっていうこと、問題を共有していくということが大事かなというふうに思っています。
続けて、都市内分権・住民自治の強化という課題なんですが、これも大変重要な視点だというふうに思っていて、大都市制度という枠組みだけに置いておく課題ではなくて、法改正なくとも今の時点でやれることをやるということと、各局が住民自治の視点をもって業務改善を進めるべきことも、いまの時点でも必要じゃないかというふうに考えますが、見解を伺います。
國原大都市制度推進室長:ご指摘のように、本市はやはりそういう視点からかねてからより身近な課題に柔軟に対応できますように、区への分権や区役所の機能強化を、他の政令都市よりもかなり積極的に進めてきたところでございます。
古谷議員:いま大都市制度について、これだけ本市がいま進めようというところなんですが、市民目線で一方では考えると、ほとんど周知されていないんじゃないかなというふうに感じるんですが、市民はほとんど知らないまま、このまま進められようとしているというふうに、ちょっと私は感じているんですが、いまの時点で本市が進めようとしている大都市制度について、市民が理解されていると思いますか。見解を伺います。
國原大都市制度推進室長:実際まだまだ不十分だというふうに意識しておりますし、大都市制度特別委員会の方でも今後積極的に進めるようにというご指摘をいただいております。
古谷議員:はい、ぜひ周知の方はぜひ進めていただきたいと思います。
私は、この大都市制度のことについて論議すべきことっていうのは、ぜひやっていくべきだというふうに感じています。しかしその際に、議論の方向性として、日本の自治制度の大枠を変えていくということで、大きな構えの議論をぜひ進めていく必要があるんじゃないかというふうに思っています。また、現状の不合理な制度については具体的に解消を図るべきだというふうに思います。しかし、単に行政効率だけを追求して市民サービスを後退させるようなことは認められないというふうに主張しておきます。
議論を進める際にも、今のように、一見政令市の覇権争いのようになって、空中戦の議論をするだけではなくて、十分に市民への周知、そして市民参加の視点をもって取り組んでいくべきと指摘して、次の質問に移ります。
古谷議員:次に、米軍基地の問題についてです。
まず、本市の米軍基地および関連施設についての基本的な姿勢を伺いたいと思います。本市がいま米軍に土地を摂収されているということについて、今まで本市についてどんな影響がありましたか。伺います。
三好基地担当理事:本市は戦後、港湾施設や中心市街地の広範囲が摂収されたことによりまして、戦後の復興・再建は他都市にくらべて遅れました。現在におきましても、市民生活をはじめ、道路等の都市基盤施設の整備や計画的な土地利用を阻害するなど、まちづくりに影響が出ているというふうに受け止めております。
古谷議員:続けて、本市の基本的な米軍基地問題での対応のスタンスというのは、全面返還を求めるということで間違いありませんか、伺います。
三好基地担当理事:米軍施設は、日米安全保障条約および日米地位協定の目的のために必要でなくなった時には無条件で返還されるというふうに考えております。基地の返還は市民共通の念願でありまして、市政の重要課題としまして、市民、市会、行政が一体となりまして、市内米軍基地の早期全面返還、これを国に求めております。
古谷議員:はい、ありがとうございます。
次に、池子について伺います。先ほどの基地の全面返還という方針と、池子の米軍住宅建設は一見矛盾しているように思えますが、見解を伺います。
三好基地担当理事:米軍の施設の返還と池子での住宅建設に対する考えでございますけども、米軍施設の返還、これは先ほども申し上げましたが、日米安全保障条約および地位協定、これの目的で、必要でなくなったときには無条件で返していただくということでありまして、住宅の建設とは切り離して、返還の環境が整ったものから逐次返還すべきというふうに本市は国に訴えております。しかし、国は一方で、住宅の建設と施設の返還につきましては一連の案件でありまして、一括して処理すべきというふうな考えを傍らに持っております。こういった一連の経緯を踏まえ、本市としましては、平成16年9月に発表いたしました市内米軍施設に係る第3回施設調整部会の協議結果に対する本市の考え方で示したとおり、横浜市域での住宅等の建設、施設の返還にかかる具体的協議に応じるという基本的な姿勢をとってまいりましたし、今後もこの対応方針に基づきまして引き続き国の動向を見極めながら適切に対応してまいります。
古谷議員:では、確認なんですが、2月9日に開催された基地対策特別委員会、この中で、議事録の中で、三好理事が「この385戸ということについては日米間で合意された数字であるので、ほぼ妥当な数字だろうと思います」と発言をされております。この「妥当な数字」という意味について、どういう意味なのか、伺います。
三好基地担当理事:平成22年8月に開催されました日米合同委員会第5回施設調整部会におきまして、池子住宅地区における住宅の建設戸数におきましては、当面の措置としまして根岸住宅の移設分約400戸程度とすることで、日米間の認識が一致しました。その後23年3月に国から提出されました基本配置計画案では、具体的に385戸を建設する計画であることが明らかにされました。以前から根岸住宅地区の既存の住宅戸数は385戸でございまして、これらは国から聞いておりますが、池子住宅地区に建設される住宅の戸数が根岸住宅地区の移設分に相当するのであるということが確認できた、つまりこの基本配置計画の385戸はいま根岸住宅にあります385と同じものであると、そういう意味を申し上げたことであります。
古谷議員:3・11以降、多くの状況が大変変わったということから、根岸住宅で空き家が激増しているというふうにきいています。そういった理由を国にぜひ求めることと、また政府とアメリカで戸数や付帯施設についての再協議をするように本市からもぜひ積極的に働きかけるべきと思いますが、副市長の見解を伺います。
小松崎副市長:これまで横浜市は市内の米軍施設のことにつきまして、状況の変化等があるたびに国や米軍に様々なかたちで働きかけてきたところでございますので、いまご指摘ございましたけども、いろいろな状況の変化に応じて私どもとしては適切に判断をしていろんな働きかけをこれからも繰り返していきたいと、そのように思っているところでございます。
古谷議員:終わります。