日本共産党横浜市会議員
古谷やすひこ(2012.10.1)
古谷議員:日本共産党を代表して、順次質問いたします。
本市の防災計画の中で、「自助・共助・公助」という考え方がありますが、私は、自助や共助が機能するような条件づくりを公助として行わなければ、自助・共助は機能しないと考えます。そこで、自助・共助が機能するために、公助として果たすべき役割・責任について、伺います。
荒井消防局長:東日本大震災を契機に、自助・共助の重要性が改めて認識されております。この自助・共助は、市民や地域のみなさま方が主体的に取り組んでいただくものですが、東日本大震災においても証明されたように、自助・共助は命に直結するものでありますので、市民の生命・財産を守ることを使命とする行政としても、積極的にこれを支援していくことが重要でございます。現在行っている防災計画の修正の中でも、自助・共助の取り組みを支援する行政の役割として、自助・共助の重要性の啓発、防災教育の充実、地域の防災対策を担う人材の育成など行っていくこととしております。
古谷議員:少し具体的にお伺いしていきます。
今の台風17号は、各地に災害をもたらしています。昨日の13時頃に愛知県の豊橋市の防災無線で、「台風の接近に伴い、第一次指定避難所を開設」、あるいは「自主的に避難される方は食料・毛布を持参して、第一次指定避難所に避難して下さい」というアナウンスが市内に設置されたスピーカーで流されています。また、Jアラートや市役所からの案内からも伝わるようになっていると聞いています。
本市では、災害が起こったことを知らせる手段として、災害Eメール、あるいはエリアメール、ツイッターなどを活用するとされていますが、それらの施策でどの程度の市民の方やあるいは来街者に知らせることができると推計されていますか。
荒井消防局長:緊急速報メールについてはサービスを提供しているNTTドコモ、au、ソフトバンクの3社に合わせ、対応する携帯電話は24年1月末現在ではございますけれども、約120万台と申しております。また、防災Eメールにつきましては、東日本大震災を契機に登録者数が増加をしており、現在、震災前に比べまして約4万8000人程増え、この9月末現在で9万3000人の方に登録を頂いております。本市の災害用ツイッターについては同じくこの9月末現在で、約3万2000人の方々にフォローしていただいており、ツイッターについては人と人とのつながりの中で情報が拡散していきますので、より多くの方に伝わっていくものというふうに考えております。
古谷議員:考えられる手段を重層的に組み合わせながら知らせる術(すべ)を追求するということはぜひしていただきたいというふうに思うんですが、現状の対策だけでは非常に不十分だというふうに考えています。
改めて、発災時に市民のみなさんやあるいは来街者の方々に対して、テレビが見れなくても、あるいは携帯電話を持っていなくても、登録をしていなくても、意識をしていなくても、強制的に知らせることができる行政防災無線、この設置は極めて必要性が高いと考えますので、改めて要望いたします。
次に、防災についての啓発活動について、大変重要だと考えています。そのことについての防災訓練についてです。横浜市民370万人のうち、地域での防災訓練にはどの程度の方が参加していますか。
山隈危機管理室長:震災の翌年度にあたります23年度の数字で申し上げますと、約12万6000人の方が防災拠点の訓練に参加をされております。
古谷議員:私は大変低い参加率だなというふうに感じたんですが、局長の認識はいかがですか?
荒井消防局長:防災訓練の参加率につきましては、何を基準に高いあるいは低いと判断するかは非常に難しいというところございますが、私どもとしましてはより多くの方に参加をぜひしていただきたいといいふうに考えております。
古谷議員:それでは、より多くの方に参加していただけるための、参加率を上げるための施策について、伺います。
荒井消防局長:できるだけ多くのみなさまに訓練に参加していただけるよう、これまで以上、区役所や消防署と連携して、自治会町内会に呼びかけるとともに、訓練参加につきまして「広報よこはま」での周知を行ってまいります。また、全戸配布を検討しております減災パンフレットにも、訓練参加の重要性を盛り込むなど、様々な場面を通じて訓練の参加を促してまいりたいというふうに考えております。
古谷議員:防災に関する啓発あるいは訓練というのは、やりすぎるということはないというふうに思います。そして、一回やった程度では、いざという時の発災時には役立たないというふうに思います。繰り返し繰り返し粘り強く意識啓発、ぜひしていただきたいというふうに要望いたします。
続いて、消防団について伺います。
昨年の3・11の東日本大震災を受けて、私自身が大きな災害が起こった場合に「何ができるのか」あるいは「何か役立ちたい」ということで、この4月から地元の消防団に入団いたしました。消防団活動をしっかりと応援する立場で質問したいと思います。
3・11を受けて、レスキュー隊など消防職員を志望する方が増えていると聞いています。その一方で、消防団員が増えていないことについての認識と、こういった消防団員を増やす責任は、誰にあるのか伺います。
荒井消防局長:消防団の入団者は東日本大震災があった23年を含め、過去5年間でいいますと、約300人前後入団しております。東日本大震災以降、ボランティア活動に積極的に参加される方が増えているとは聞いておりますが、必ずしも入団希望者が増加につながらないということの理由につきましては、仕事との両立が難しい、あるいは規律や訓練が厳しいとのイメージがあることなどと考えております。この辺の取り組みの責任者につきまして、私ども消防行政を担う立場のものと消防団と両方で取り組んでいかなくてはいけないというふうに考えております。
古谷議員:私自身も入団する際に感じたことなんですけれども、一般の人が消防団に入ろうという場合に、どんな条件があるのか、あるいは日常どんな活動をしているのか、どこで申し込むのかなど過程を考えてみると、非常にハードルが高いなあというふうに感じています。こういうところにも、入団者が増えていかない原因はあるのではないかと考えますが、この点について至急改善すべきと考えますが、局長の考えを伺います。
荒井消防局長:お話にありましたように、入団する際の窓口といいますかこういう場所がわかりづらいという状況がもしあるようなことがあれば、ぜひより良い方向に改善をしてまいりたいというふうに思います。
古谷議員:ぜひ、地域での消防訓練などで、防災訓練などで、消防団ていうのは出てくる場面が多いと思うんですけど、ああいう場合でもぜひ入団案内であるとかそういった訴えを、ぜひあらゆる機会についてやっていただきたいというふうに思います。一刻も早く定足数を満たすように、しっかりと施策を講じてもらいたいというふうに要望しておきます。
消防団活動に参加をしていてもう一つ感じることは、若い人がいないとは言いません。しかし、圧倒的に年齢層が高く感じています。そこで、横浜市の消防団員の平均年齢、これは全国的に見て、どういう位置にいるのか伺います。
荒井消防局長:まず最初に、全国の消防団員の平均で申し上げますと、39.1歳になっております。本市の場合の平均年齢は49.1歳ということで、だいぶ高くなっております。
古谷議員:大変高い平均年齢だというふうに、私も聞きました。当然、若年層への入団働きかけというのがこれから大変重要だというふうに思うんですが、若年層にとっても魅力ある組織とするために、どう対策を打っていくべきか、伺います。
荒井消防局長:若年層などを中心としたターゲットを絞り込むという取り組みではございませんが、地域を通じた募集活動を行います。そのほか、駅頭や各種イベントでの消防団活動の紹介や入団の呼びかけを行っていきます。また、地元事業者、大学などに対して、消防団員が個別に訪問して加入促進を行います。特に、消防団員の募集キャンペーンである1月から3月まで、この期間には全市的なイベントにブースを出展いたしまして、消防団車輛の乗車体験などを行います。これによって消防団を少しでも身近に感じていただけるものになるかというふうに期待をしておるところでございます。さらには、本年度から携帯電話からの消防団の紹介ホームページへ簡単にアクセスできるコード表示を表示しました広報物品を作成いたしましたので、イベントで配布するなど、PRの強化に努めてまいりたいというふうに思います。
古谷議員:ぜひ進めていただきたいというふうに思うんですが、少し観点変えて。
消防団活動を行うにあたっての必要となる費用、それはそれぞれ支出する責任というのはどこにあるのですか。
荒井消防局長:消防団は消防組織法により市町村の機関として定められております。また、同法において、市町村の消防に要する費用は当該市町村がこれを負担しなければならないと定められていることから、本市にその責任があります。
古谷議員:消防団活動の必要経費については、この間いろいろあったというふうに聞いています。しかし、支出を厳密にこの間、規定してきたことは評価できますが、その一方で消防団の責任者の任務にあたる方々が、その支出規定に当たらなくなってしまった費用について、自分たちで負担しているというふうにも聞いています。団長をはじめ団員の皆さん、本当に気概に燃えて、ボランティア意識、精神旺盛で、頑張られている消防団の方の、その頑張りに報いるように、市は全面的にバックアップを行うことを強く要望して、次の質問に移ります。
次に、本市の広域避難場所について伺います。現在、本市の広域避難場所は120か所あるときいています。そのうち、普段からは施錠されており、広域避難場所に避難できない状況になっている箇所がいくつかあると聞いています。そのうちの一つ、鶴見区の花月園競輪場の跡地について伺います。
この広域避難場所である花月園競輪場跡地を使っての避難訓練などは行われているのかどうか、伺います。
山隈危機管理室長:広域避難場所への避難訓練については、実施しておりません。
古谷議員:この広域避難場所である花月園競輪場の跡地の鍵は、いま誰が普段管理をしていて、大規模火災が起こった場合、どういう手立てになっているのか、伺います。
阿部危機管理部長:花月園競輪場の跡地の鍵でございますけど、神奈川県が管理しており、鍵は神奈川県が管理しております。また、花月園競輪場は一部整地をされ、立ち入りができないスタンドですとかバンクがございますので、現在は駐車場として使用可能な部分を避難場所として使用していただくことになっています。施設を廃止する前、競輪場で競輪が開催されているときの代替施設としては、収容能力に余裕のある総持寺を臨時避難場所として指定しておりましたので、もし現在うまくスタンドが使えないために収容能力が足りなくなれば、総持寺の方にいっていただくと。また、最悪の場合、住民の方々が花月園競輪場に来て、鍵がかかっているため入れないということになれば、最悪の場合は消防隊や消防団でこの鍵を壊して中を開放するということも考えております。
古谷議員:この広域避難場所の施錠の問題は、再三地元町内会の方々からも「鍵の管理は地元でさせてほしい」というふうに要望が上がっています。周辺住民も大変不安に思っているというふうに聞いています。この鍵の管理について至急改善すべきと思いますが、局長の見解、伺います。
荒井消防局長:いまお話しいただいたように、地域のみなさま方からは広域避難場所の鍵の管理につきましてはご要望をいただいております。現在、本市と神奈川県の間で協議を進めております。県からは、避難者の安全確保は本市の責任で実施すること、鍵の管理は本市が自ら管理することなどを条件として、鍵を貸与してもよいというような回答を得ておりますが、現在覚書の締結に向けて、具体的な管理方法を話し合っているところでございます。本市としましては、可能な限り地域に近い場所で管理する方が望ましいというふうに考えておりまして、具体的には区役所、消防署、消防出張所、消防団が鍵を管理する方向で検討しております。
古谷議員:ぜひ早めに進めていただきたいと思います。質問を終えます。
(2012.9.19)
私は、日本共産党を代表して、今定例会に上程されています2つの議案と2つの請願の不採択、一つの請願の採択に反対し、討論をいたします。
はじめに、市第35号議案「横浜市市税条例等の一部改正」についてです。これは、「全国的に、かつ、緊急に地方公共団体が実施する防災のための施策を実施する場合」、地方税法の特例として市民に一律500円の負担を課すということが「できる」という昨年成立した復興財源法に基づくものであります。
今回、国による法律ができても、あくまでも地方自治体の判断で、市民に増税を課すか課さないかは選択ができる規定であります。これだけの長引く不況の中、市民の生活実態、たいへん厳しいものがあります。その中で市民負担を課すことを選択したことは、とうてい市民理解が得られるものではありません。
そもそも、今回の増税については、「全国的に、かつ、緊急に地方公共団体が実施する防災のための施策」と規定されています。しかし、全国的な施策が必要であるならば国がしっかり責任を持つべきでありますし、財政力の弱い地方自治体において防災対策を強化できる裏付けは国の財政的な支援が必要だと考えます。その責任を果たさずに国民に負担させることは認められません。
今回の増税にあたって、「防災のための施策」といいながら、その対象とされている整備メニューは従来から出されていたものの域をでていないものにもかかわらず、なぜ増税を押し付けるのでしょうか。かりに、これから防災対策でたくさんのお金がかかるんだということを見越しているのだとしても、使途も明確になっていないものに対して、増税を認めるわけにはいきません。そもそも防災震災対策は、「住民の命と安全を守る」という地方自治体としての基本的な仕事であるはずです。あらたな税金を取らなければやることができないという事業ではありません。
さらに、増税の方法も、所得に関係なく、納税者に均等に負担を求めるのは、低所得者にとってはきわめて不公平なやり方です。税の基本は、能力に応じて支払うという応能負担が基本のはずであります。
したがって、厳しい市民生活の実態の中、「徴収することができる」からといって安易に増税するような条例改正には反対します。加えて、あれだけ議案関連質問でも各党派から市民負担増についての異議が出され、また常任委員会の議論の中でも異議が出され、付帯決議まで出されたようでありますが、これで議論は尽くしたとして市民負担を押し付けることを決めてしまうことは、到底市民の理解が得られるものではありません。
続いて、市第51号議案「平成24年度横浜市一般会計補正予算」のうち横浜環状北西線について、また請願第15号「横浜環状道路の整備促進等に関する意見書の提出方について」の委員会の採択についてです。
私は、これからの子どもたちやそれに続く未来の横浜を担うすべての人のために、北西線をはじめ横浜環状道路計画を促進させることには反対します。今回の予算を認めることは、今後、市費負担分の650億円もの借金を次の世代に背負わせることをよしとするものです。
右肩上がりの経済成長が続いて、人口もまた右肩上がりで増え続け、相応のインフラ整備が必要な時代もあったかと思います。しかしみなさん、今はそんな時代ではありません。また、これからの横浜が人口減少する社会になることは、当局の方々も市長もそしてここにいる会派のみなさんも、もはや共通の認識になっているのではないでしょうか。人口が減ることが明らかであるのに、車の台数だけは増え続けるとでもいうのでしょうか。そんな中、高速道路を作り続け、さらに横浜の子どもたちの世代に借金を押し付けることは許されることではありません。
3・11を受けて、あらためて市民の命を守るという防災対策が、これほど求められているときはありません。いざという時の緊急道路の確保の問題や、市で管理している1700の橋のうち64%が耐震診断すらできていない現状です。まったく対策がたてられていません。
9月6日のわが党の荒木議員の質問に、林市長は「高速道路ネットワークは、大規模災害が発生した際に緊急車両の通行や物資の輸送に大きな役割を果たすことから、災害対策の観点においても不可欠」であるとお答えになっています。しかしよく考えてみてください。新たな高速道路ネットワークをどんどん作っても、それにつながる市内幹線道路の耐震対策ができていなければ、意味がありません。
高速道路に出すお金があるのであれば、木造密集地の市街地の解消、緊急輸送道路の整備、橋の耐震診断・補強など、地震が起きても災害を出さない街づくり、「市民の命を守る、壊れない街づくり」のために、予算を早急につけて実施することの方が、はるかに市民の命を守る横浜市の姿勢が明確になります。
その上、こういった身近な公共事業は、地元中小企業の振興にも直接的に役立ち、一石二鳥であります。高速道路では中小企業への経済波及効果は期待できないことは、昨年度の決算の中でも明らかであります。横浜市が支出している国等が実施する発注額総計約1080億円のうち。市内企業が受注しているのはたった約37億円、全体の29分の1にすぎません。市内企業の受注額の低さは、横浜環状道路のような大規模事業が本市企業・経済にはほとんど寄与していないということはこれで明らかであります。中小企業振興基本条例の精神にも明確に反するということをどうお考えになるのでしょうか。
これは、お金の使い方の優先順位の問題であります。これから10年にわたって、必要性が定かでない高速道路を選択するのか、それとも市民の命を直接的に守るための、より身近な市内幹線道路などを整備することを選択するのか。私たち日本共産党は、未来の子どもたちに責任を負うべき横浜市議会として、後者を選択し、住民の命と暮らしをしっかりと守りきる立場を呼びかけます。
続いて、請願第16号「生活保護基準の引き下げ等の制度の改悪をしないように国への意見書を求める請願」の委員会の不採択についてです。
生活保護基準の見直しは、単に保護を受けている人たちだけの問題ではなく、国民生活の最低保護基準にかかわる問題であり、生活保護受給者にとどまらず、国民健康保険料や介護保険料の減免の問題、生活福祉資金の貸付、就労援助など様々な制度利用の可否に影響し、最低賃金にも影響を及ぼす大きな問題です。こういう大問題が検討され市民にも多大な悪影響が出ようかというときに、本市議会としても、最低限度の市民生活を切り下げないよう、国に対して意見を述べるのは当然のことではないでしょうか。
さらに、最近の生活保護制度への異常なバッシング報道の中、普段から肩身の狭い思いをされている生活保護受給者はますます肩身の狭い生活を強いられています。今年の6月に法律家が中心となって「生活保護“緊急”相談ダイヤル」が実施されました。その中では、わずか9時間の間で全国から363件もの相談が寄せられています。寄せられた声の中には、「現在は病気で働けず生活保護で暮らしているが、周囲の人には知られないよう、毎朝ビジネスバックをもって出勤するふりをしている。話せる人がいない。今回の報道以来、声が出なくなり夜も眠れない」、あるいは「近所の人に、『受給者はクズ』だと言われた。お金のない人は死ぬしかないのか」と、切実な声が寄せられています。
もともと生活保護受給者の中には精神的な疾患を抱えている方もたいへん多く、生活保護受給者の自殺率は一般の方の約2倍にのぼっています。今の報道被害ともいえる状況を放置しておけば自殺者が急増するような事態になりかねません。全体の自殺者数もここ数年3万人をくだることはありません。つまり、この日本で20分間に一人が自ら命を絶つという状態です。
そもそも生活保護受給者が増えているのは、日本の医療や年金などの社会保障制度があまりにも貧しい制度になってしまったためであります。真面目に国民年金を支払い続けた自営業者の方が仕事ができなくなったときに、とうてい生活できないほど低い受給額しかもらえないことは、自営業者の方の責任ではありません。また、フルタイムで働いてもまともに生活ができないのは、低い最低賃金が問題なのです。こういった問題をわきに置いて、生活保護受給者だけを絞るようなやり方は絶対に間違いです。こういった社会の仕組みを変えていくのが、私たち政治家の仕事ではないでしょうか。
よって、本議会の総意として、あらためて請願の採択を訴えます。
最後に、請願第18号「建設アスベスト訴訟の早期解決を求める意見書の提出方等について」の委員会の不採択についてであります。
国は2006年に「石綿の健康被害の救済に関する法律」を成立させました。この「石綿新法」は、国や石綿関連企業の責任を不問に付し、対象疾病を中皮腫と肺ガンに限定するとともに、救済給付金も極めて低額に抑えられております。非常に不十分な救済制度となっております。そこで、アスベスト被害者の方々はいま裁判に立ち上がっています。
今年5月に、横浜地裁で建設労働者や遺族87人が国・企業に対して約29億円の損害賠償を求めた集団訴訟の判決が出されましたが、その内容は国や企業の責任を免罪するものでした。今でもアスベストを吸った場所が明らかな工場労働者の場合、雇用主側に対して賠償を命じるのは定着しています。しかし、あちこちの現場を転々としている建設労働者の場合、特定の場所だけでアスベストを吸い込んだわけではないため、因果関係を明確にすることはたいへん難しい。これは当たり前ではないでしょうか。このことで、企業の集団責任を免罪してしまうのは誤りです。
アスベストが発がん物質であり、危険だということが共通認識になったのは今から50年以上前になります。しかし、それにも関わらず使用が禁止されたのは2006年と、ほんの最近のことであります。
今回、首都圏建設アスベスト訴訟の団長の平田さんは、中学卒業後、横浜の建設現場で約50年間左官業を続けてきた職人さんです。その方は、「いままで一生懸命仕事をした私たちの仲間は、アスベストの危険性を知らされずに害になるアスベストを吸わされてきた。国はそれを野放しにしてきた」とおっしゃっています。
いま、この裁判に立ち上がっていらっしゃる原告の方々は東京・横浜を合わせて388人に及んでいます。そのうち、提訴以来50人を超える方々が次々と亡くなっています。混乱している国会の動向を見守っている時間はもうありません。国会議員もこの建設アスベスト訴訟の勝利の署名に対して、全政党の215人もの紹介議員・賛同議員となっています。県内の他の自治体でも、同様の請願、この間相次いで提出されています。各会派の立場の違いで否決する種類のものではありません。あらためて請願の採択を訴えて、討論を終えます。
(2012.6.8)
実際には、質問と答弁がそれぞれ一括して行われましたが、わかりやすいように対応する質疑と答弁を交互に記載しました。
古谷議員:古谷私は、日本共産党を代表して、2件の議案について質問いたします。
まず、市第9号議案「横浜市社会福祉センター条例の一部改正」についてです。この議案は、社会福祉センター内の「実習室」を稼働率が低いということで廃止し、稼働率が高い軽運動室を有料化し、ホールや会議室の一般利用料金を現行の1.5倍とするものです。
今回の条例改正で、社会福祉法人などの利用料金を下げたことは一定評価できると思います。
2010年9月に、社会福祉法人横浜市社会福祉協議会が同センターの指定管理者に選定された際に、選定委員会は「審査総評」として「施設の稼働率に高い目標値を掲げているにもかかわらず、目標達成するために今までのやり方を具体的にどう工夫して変えていくのかについて提示されていない」と指摘し、工夫や改善を求めたい点として「施設を広く一般市民にも周知させること」を最初に挙げ、同センターの抱えている問題を解決する方策に施設の稼働率アップをあげています。その点、今回の一般市民の料金を5割も値上げすることは、稼働率アップを指摘した選定委員会の「審査総評」とも齟齬をきたし、稼働率の低下をもたらすことになると危惧しますが、市長の見解、伺います。
林市長:古谷議員のご質問にお答え申し上げます。市第9号議案について、ご質問いただきました。
今回の条例改正により稼働率が下がるのではないかとのお考えについてですが、社会福祉センターの利用料金は昭和63年に改定して以来、見直しが行われておらず、市内の類似施設とくらべて低い金額になっています。そのため、利用料金を改定し、利用者の皆さまに適正な料金を負担していただくことは、市民全体の負担の公平性の観点から必要であると考えています。今回の料金改定を行うにあたっては、急激な負担増とならないようにするとともに、利用者の大半を占める福祉関係者の利用料金を一般利用者の半額とするなど、稼働率が低下することのないように配慮をしています。
古谷議員:今回の社会福祉センターの料金改定は、財政局から出された「市民利用施設等の利用者負担の考え方」を当てはめたものだと聞いています。
そこで、「市民利用施設等の利用者負担の考え方」について伺います。「今後この考え方に基づき取組を進めていく」ということですが、そもそも社会福祉センターをはじめ、それぞれの市民利用施設にはそれぞれの設立の趣旨があり、その趣旨に基づいて利用料金の設定や使用方法などが決められてきた経緯があるはずです。それを「市民利用施設等の利用者負担の考え方」では、勝手に市民利用施設を収益性と公共性を基準に9つの分類に分け、しかも市民利用者との負担割合まで勝手に決めてしまっていることについては問題です。市長の見解、伺います。
林市長:9つの分類に当てはめて負担割合を決定することについてですが、市民の皆さまにご負担いただく施設の利用料金の設定については、これまで市としての標準的な考え方が必ずしも明確でなかったために、今回市民の皆さまのご意見も伺いながらこの考え方を分かりやすく整理しました。一定の指標により、9つの分類に当てはめた上で、さらに施設設置の目的や経緯などの個別事情も十分に考慮しながら負担割合を決定することは、市民負担の公平性の観点から適切であると考えています。
古谷議員:今回の「利用者負担の考え方」の根底にある受益者負担の考え方についてお聞きします。
厚生労働省は3年ごとに「所得の再分配調査」というものを行っています。これは、社会保障制度等における給付と負担、租税制度における負担が所得の分配にどのような影響を与えているのかを明らかにすることを目的にして行われている調査です。こういったかたちで、公の施策が貧困の連鎖を生まない、所得再配分をしっかり行っているのかということを、国自らが検証しているわけです。
「使う人が利用料を払う」、こういう受益者負担の考え方を、営利施設ならいざしらず、公の施設で徹底させるというのは、公による所得の再配分機能という考え方とは反し、結局は低所得者など「負担できない人は使えない」ことにつながるのは必至です。したがって、「市民利用施設等の利用者負担の考え方」に受益者負担の考え方を持ち込むこと自体が問題だと思いますが、市長の見解、伺います。
林市長:市民利用施設に受益者負担の考え方を入れるのは間違いではないかとのことですが、市民利用施設の設置のためのイニシャルコストは市民の皆さまの税金で賄うことを基本にしています。施設運営のコストについては個人によって施設の必要性や利用頻度は異なることから、実際に利用される方に一定のご負担をいただくことが、市民の皆さま全体からみて公平ではないかと判断しています。
なお、料金の見直しにあたっては、多くの施設でいっせいに改定したり、急激に利用者負担を引き上げることがないように段階的に進めるほか、特別な事由による料金の減免など、利用者に配慮していきます。
残りの質問については、教育長より答弁いたします。
古谷議員:次に、市第26号議案「横浜総合高等学校移転整備工事請負契約の締結」についてです。これは、市立の横浜総合高校が現在の中区翁町から南区の旧大岡高校への移転に伴う建築工事請負契約です。先日、旧大岡高校にも伺いましたが、建物の構造そのまま使い、耐震補強、リフォームをして使うと聞いています。
横浜総合高校は、横浜市立定時制高校の歴史と実績を生かしながら、県内で初めての三部制・単位制による新しいタイプの高校として設置され、10年を経て今回移転整備されるわけであります。今回の移転を期に、昨年11月に、三部制定時制の現状を分析し課題を整理し、その課題解決の方策を示した「提言書」が出されましたが、よく実態を反映したものと一定の評価をしております。
その「提言書」の中で、同校が抱える最大の問題点として「進路決定率の低さ」を指摘しています。教育長、進路決定率が平均6割で、進学もせず職にも就けないいわゆる「無業者」が4割もいることについて、どう認識され、また今回の整備にあたってその解決に向けて何を考慮したのか、伺います。
山田教育長:市第26号議案について、ご質問をいただきました。
横浜総合高校の進学決定率の低さに対する改善方法についてでございますが、進学決定率はその時々の景気や経済情勢等にもよりますけれども、これまでも進路ガイダンスや資格取得、就労支援などの充実によりまして、生徒の進路先の決定に努めてまいりました。移転後もキャリア教育の充実をいっそう図るとともに、進路相談に丁寧に応じられる相談スペースを拡充するなど、進路決定率の向上を目指してまいります。
古谷議員:今回の学校移転に関して、最終的な設計に至るまでについては、学校側から様々な要望が出されていたと聞いています。生徒はもちろんのこと、現場で働かれている先生方が頑張れる条件整えるのが教育委員会の役割だと思います。しかし、現場から出された要望をコストの面からも削ったと聞いています。教育長、今回の整備によって、横浜総合高校の目的や役割しっかりと果たし、先生方が目指す教育を行うことができる施設・設備となっているのか、伺います。
山田教育長:横浜総合高校の設置目的や役割が十分に実現されることになるかについてでございますが、移転整備にあたりましてはカリキュラムの見直しに対応する教室の設置や、就職生活相談ができるスペースの拡充などを行っておりまして、ひとり一人の個性に応じた多様な学習や進路選択に対応できるよう、いっそうの充実を図ってまいります。
古谷議員:グラウンドについてですが、現状の横浜総合高校も大変狭く、軟式野球部の部活動などでは内野のみでしか練習できないと聞いています。移転後のグラウンド予定地も、もともと2面のテニスコートがあった所を転用するものであり、現状と同様に狭く、さらに民家と接しているため夜間には使えないような状況です。こういった環境は、2009年に開校した、充実した施設・設備を誇り、夜間照明付きグラウンドと全天候型テニスコートとしても使えるサブグラウンドのある、同じ市立の横浜サイエンスフロンティア高校と比べて、あまりにも落差があるのではないでしょうか。
「提言」で、同校の生徒はコミュニケーション力に欠けたり、中学校の時不登校だった子どもが多く、学校行事などを通じた自己有用感の育成が必要だと指摘しています。体育だけではなく体育祭や文化祭、地域の方々との交流行事などの場ともなる広さのグラウンドを生徒に提供するための方策、どのように考えているのか伺って、質問を終えます。
山田教育長:移転後に体育祭や文化祭、地域の方々との交流を行えるかについてでございますけれども、体育祭や文化祭等の学校行事は学校教育の中でも重要な位置づけでございまして、広くはないグラウンドでございますけれども、引き続き移転後も改修をされた施設を有効に活用しながら実施をしてまいります。すでに文化祭では、大岡地区の住民の方々が参加するなど、移転前からの交流も行われておりまして、移転後も地域との交流を継続発展をさせてまいります。
(2012.3.23)
私は、日本共産党を代表して、2012年度横浜市一般会計ほか17件の会計予算および12件中3件の予算関連議案について反対を表明し、討論いたします。
新年度予算でもっとも重視されるべきものは、何でしょうか。私たち日本共産党市会議員団は昨年8月に、3・11大震災を受けて、新年度予算編成にむけて市政運営の方向性を「防災の観点をあらゆる施策に貫くこと」「自然エネルギーの本格的導入に踏み出すこと」におき、市民の「いのち、くらし、福祉の向上」を最優先させる立場から、中学校給食実施、小児医療無料化年齢引き上げ、住宅リフォーム助成制度、放射線対策など9項目を重点要望として予算に反映するように林市長に申し入れをして参りました。
今回林市長が提案された予算案は、部分的には市民目線で前進面もみられます。しかし、「ダイナミックな投資を行うのは今だ」として、高速横浜環状道路建設や国際コンテナ戦略港湾整備など大型開発推進を優先させる一方、中学校給食の実施など市民が実現を切望している要求については投資しておられません。また、市民の関心の強い自然エネルギーへの転換の分野でも、積極性は見られず従来の域を出ていません。
以下、順次、反対理由を述べていきます。
理由の1つ目は、防災・減災の観点が不十分なことであります。
公共建築物等の耐震化として104億円を計上し、保育所、個人住宅など民間耐震化への支援も拡充しています。しかしその一方で、密集住宅地の対策などは想定されております直下型地震に対応するレベルとは到底言えません。多くの震災対策は、国の提示の域を超えておらず、本市の主体的な判断での対応がほとんどなされていません。
密集住宅市街地の防災対策として、国の指定を受けて8年前にスタートした「いえ・みち・まち」改善事業について、対象の660ヘクタールのうち、住民合意の協議会ができているのはたった3割程度にとどまっており、住民の自主性任せになっている現状が明らかになりました。もっと市がイニシアチブを発揮して直下型地震に対応する密集住宅市街地の防災対策をテンポを上げて進めるべきときではないでしょうか。
横浜駅地下街の防災対策については、本市の防災計画には地下街の防災対策の記載が一切なく想定もされていません。また、大地震等発生時、地下街滞在者全員に事態を緊急伝達できる警報システムもなく、海抜標示もつけられていません。今日明日にも地震が発生したらどうするのか、そういう切迫感をもった対応を求めます。
道路局審査では、発災時に道路復旧の主体となる地元建設業者が減り続けており、中小業者が請け負う地域道路の整備や維持管理予算を増やすべきなのに、実際は高速道路予算だけが伸びている現状が浮き彫りとなりました。中小企業振興基本条例にも従って現状を正すとともに、中小の地元建設業者の振興に力を注ぐように求めます。
取り返しのつかない福島第一原発事故から、この横浜市にも放射性物質が降り注ぎ、放射能汚染対策が余儀なくされており、今回も22億円が計上され、市民要望も受け、一定の前進は認められます。しかし、文科省の放射線副読本は原発事故で放出された放射性物質による危険性についてはほとんど触れられておらず、放射線はどこにでもあって、あたかも心配する必要がないかのように描かれています。そもそも、なぜ放射線の教育をしなくてはいけなくなったか、そして福島の子どもたちはなぜ避難しなくてはいけなくなったのか、このことを教えることから出発するのがスジではないでしょうか。昨日の毎日新聞によれば、副読本を作成した文科省は「この副読本を使うも使わないも自治体教育委員会の自由だ」と言っています。この際、本市の判断として副読本の使用はやめるべきです。
理由の2つ目は、市民のいのち、くらし、福祉の向上を最優先させるという視点が貫かれていないことです。林市長は子育て施策について、「子どもが健やかに生まれ育つための環境整備については最重要課題として取り組みます」とおっしゃっていますが、この環境整備というのは保育園の施設整備しかないのでしょうか。保育園整備費用を捻出するために保育料を平均8.4%も値上げするのは、子育て環境を悪化させる施策だとはお考えにはならないのでしょうか。そもそも保育料は保育そのものにかかる費用をもとに算出すべきもので、施設整備費は含むべきではありません。保育料の値上げは直ちにやめるべきです。日頃林市長は「子育て安心社会の実現」とおっしゃっていますが、言っていることとやっていることが全く違うと、厳しく指摘しておきます。
教育の分野では、林市長は「先生がもっと子どもたちに向き合う時間をとれるように」といいながら、その一番の打開策である少人数学級には一歩も踏み出しておらず、国の施策の域を超えていません。横浜の子どもたちのために教員を増やすという真正面からの打開策を取るべきです。
市民のいのちを守るという分野では、今年になって相次いで孤立死が発覚しています。その特徴は、介護者が病で倒れ、自分ひとりで生きることができない要介護者が後を追って亡くなるといったケースで、とうとう横浜市内の旭区でも孤立死が発生しました。今は公的なサービスが次々と打ち切られ、貧弱な福祉制度を家族への過大な負担を強いて「自立」や「自助」といった言葉でごまかされています。そして、家族が支え切れなくなれば、今回のケースのように家族もろとも亡くなってしまう。障害者が生きるために必要な支援までも「受益」として負担を強いているのが、今の現状です。林市長は「生活に困窮し、周囲から孤立した方々を支えるために、行政の責務として、セーフティネットを確保」するとおっしゃっていますが、その具体的な施策には踏み出してはいません。それどころか、生活保護行政で警察官OBの配置などは、最後のセーフティネットのハードルをさらに上げることにもつながりかねません。そもそも生活保護受給者が増えているのは、不正受給のためではありません。国による社会保障水準の低さ、年金水準の低さが、結果として最後のセーフティネットである生活保護でカバーしているといういびつな構造が今の状況ではないでしょうか。
さらに、本市による国民健康保険料の大幅値上げ、介護保険料の値上げに加えて、後期高齢者医療制度の保険料の値上げ、年金給付の引き下げなど、お年寄りの財布から次々とお金をうばってしまうようなやり方がいま進められようとしています。こういう施策が次々と進められていくというのは、その結果として、市民生活がどうなるのかという想像力が欠如しているとしかいいようがありません。
理由の3つ目は、厳しい財政状況だと言いながら、大型の公共事業の見直しには一切、手を付けていないことです。林市長は、予算案の考え方の中で、「現役労働世代が減少し、活力を維持することが困難な時代に突入しています」としています。厳しい財政だといいながら、高速横浜環状道路建設に125億円、国際コンテナ戦略港湾推進に155億円、「エキサイトよこはま22」に2億円と、大規模開発は加速しています。その一方で、生活関連公共事業は軒並み削減しています。2011年度と2012年度の予算を比べると、主要地方道整備は71億円が69億円に、公園整備は153億円が139億円に、河川整備は42億円が39億円に、下水道整備は373億円が363億円にと、軒並み縮減しています。生産人口が減る社会、高齢者が増える社会の中で、一体どんな未来の横浜を描いているのでしょうか。これらを見ても、公共事業についてのお金の使い方が間違っているとしか言いようがありません。3・11の東日本大震災から、社会の有り様が問われ、価値観もゆらぎ、社会全体が大きく動いています。こういう中で一旦立ち止まって、これからの社会の有り様についてもっと深い分析が必要ではないでしょうか。
これからの社会の有り様という点では、市長は新たな大都市制度の実現を述べており、来年度には体制も補強し、横浜版特別実施大綱を作成しようとしております。しかし、現状では市民への周知もほとんどされていない、また議会での議論も成熟したとはいえない状況の中で、大阪の議論に乗り遅れるなとばかりに、かたちばかり先行させるのはあまりにも拙速です。
理由の4つ目は、本市事業の明らかな失敗のツケを子どもの世代まで押しつけることであります。2013年には、土地開発公社の解散に向けて今まで公社が所有していた土地を本市がすべて買い取る予定で、その市債の総額は1300億円にものぼります。今まで、財政の厳しさから、市民利用施設の有料化やサービスの切り捨てなど市民に押し付けてきましたが、今度は桁の違う借金を市民に押し付けようしております。さらに、買い取ったMM21地区は、時価との差が既に400億円もの含み損になっています。この責任をだれも問われないというのは、なぜでしょうか。少なくとも責任の所在、明らかにして、同じ失敗を繰り返さないために、積極的に再発防止に取り組むべきではないでしょうか。
理由の5つ目は、海外視察のあり方の問題です。
私たち日本共産党は、海外視察は行くべきではないという立場ではありません。海外の先進事例にも大いに学ぶべきだと考えます。適切な料金で、適切な目的で行く海外視察は、行くべきだと思います。その際、全行程と領収書を公開し、報告書も早期に提出するのは当然です。
私たちが、今の横浜市議会の海外視察のあり方で問題にしているのは3点です。
1つは、決められ方の問題。なぜ、本会議場だけでの机上配布のみなのか。必要な視察であればどうどうと審議すべきであります。
2つ目は、お金の出し方の問題。なぜ海外視察費という別枠で出すのか。必要な海外視察は、政務調査費で行くべきであります。
3つ目は、1期目で60万円、2期目以降は120万円という金額の枠の問題です。必要な視察であれば、1期生であろうとベテランの方であろうと、金額は変わらないはずです。過去5年の海外視察の報告をみても、2007年のアメリカ・ドイツ・シンガポール16日間で、1人当たりぴったり120万円。2008年には、ノルウェー・スウェーデン・ルーマニア・デンマーク12日間で1人当たり118万円。2011年、ドイツ・ガーナ・南アフリカ・ブラジル・アメリカ15日間で1人当たり119万円となっています。訪問する場所や日程が違うのに、1人当たり120万円の上限にほぼ近くなるというのはおかしくはないでしょうか。これでは、本市が各局で進めている使いきり予算を是正しようとメリットシステムで日々節減に取り組んでおられる当局の方々と対比して自らの襟を正すべきではないでしょうか。
厳しい財政状態というのであれば、議員のみなさんも口をそろえておっしゃっています、そうであれば現行の公費による海外視察はやめるべきであります。
最後に、これからの横浜は、誰も経験をしたことのないような高齢化社会を迎えます。その備えをする際に、本市を支えている現役世代を痛めつけるような施策ばかりでは、社会の活力を奪ってしまいます。中小企業振興基本条例によって本市発注事業を市内中小企業へと循環させていく流れだけではまだまだ不十分です。私たち日本共産党は、横浜市民や地元中小業者の生活と生業を支える施策をさらに積極的に展開していくことで、市税収入を増やし、横浜経済を好循環へとつなげていくべきだと考えます。
横浜市政が370万市民の期待と未来を背負って、前進し続けていくことを願って日本共産党を代表しての予算案に対する反対の討論を終えます。
(2012.3.12)
古谷議員:日本共産党、古谷やすひこです。順次質問いたします。どうぞよろしくお願いいたします。
まず、土地開発公社について伺います。
予算案で、土地開発公社が保有している土地を取得する費用として60億円が計上されていますが、まずその使途について伺います。
柏崎財政局長:よろしくお願いいたします。
土地開発公社の借入金は、本市全体で対応する外郭団体の借入金に含まれておりまして、財政健全化の取り組みの一環として着実に縮減を行うものということでございまして、毎年度一般会計による買い替えを進めております。24年度予算では、公社の保有するみなとみらい地区の土地を取得しようとするものでございます。
古谷議員:土地開発公社は、本来は本市事業のために必要な土地を機動的に先行取得をするというのがそもそもの役割だったと考えます。しかしその後、MM21地区事業でディベロッパーの役割まで担い、その本来の役割そのものが違ってきている。結果の60街区を本市が取得することは本来の姿ではないと考えます。
では、同じく今年度本市が取得した土地開発公社の土地の取得費はいくらか、伺います。
柏崎財政局長:23年度は、一般会計や資産活用推進基金によりまして、本市全体で105億円の買い取りを見込んでいるところでございます。
古谷議員:では、今年度、土地開発公社の予想収益と、そのうち売れた土地の収益はいくらか、伺います。
柏崎財政局長:土地の売却収益と賃貸等の収益、利息などの収益の合計で、23年度の合計額は121億円を見込んでおります。このうち本市の買い取りを含む土地の売却収益は113億円でございます。
古谷議員:つまり、今年度の土地開発公社の売上のほとんどが、MM21地区の60街区を買った本市の取得費であります。しかも、同地区の土地の時価は、いまや取得価格の3分の2程度しかありません。その土地を民間に変わって本市が買取り、決算上、黒字まで出ているように見せています。売却すべき土地が売れず、金利負担がかさみ、本市が買い取って金利負担を軽減させなければならない自立できない状態ではないでしょうか。しかも、MM21地区の旧高島ヤード土地だけで400億円もの含み損をかかえて売却代金では借入金を返済できず、実質的な債務超過に陥っていると考えます。こういう状態を経営破綻というのではないでしょうか。認識を伺います。
柏崎財政局長:土地開発公社でございますけれども、そもそも本市の依頼ということに基づきまして、土地をこの間取得してきてまいったわけでございます。取得資金は金融機関からの借入金で賄っているわけでございます。借入金の利子は公社が適切に支払い、本市が買い取りを行う際には簿価に加算される方法というふうになっておりますので、いわゆる経営破綻にはいたらないというふうに考えてございます。今後、解散に向けた手続きを的確に進めてまいるという考え方でございます。
古谷議員:中期計画では、2013年に公社を解散。第三セクター債1300億円を発行して公社が所有している土地をすべて本市が取得するとしています。国では、金利負担を軽減させるために、この第三セクター債の発行を2009年から2013年まで可能としていて、千葉市や大阪市は既に公社を解散しています。本市はなぜ国で定められている最終期限の2013年としたのか、判断が遅くその分負債が増えてしまったのではないでしょうか。見解を伺います。
柏崎財政局長:一般会計によります買い替えなどを計画的に進め、第三セクター債の発行額をできるだけ減少させるという一方で、解散の手続きあるいは発行方法などを十分検討するため、三セク債の発行時期は25年度というふうに予定をしているところでございます。
古谷議員:こういう処理の仕方で、今まで公社が頑張っても売れなかったMM21地区の土地を本市が抱え込むこととなり、売却がさらに遅れるのではないでしょうか。また、この事業で作った400億円以上もの実質的な大赤字の責任が曖昧になってしまわないでしょうか。市民にどう説明するのか、伺います。
柏崎財政局長:まずはじめに、解散後に引き継ぐ土地の件でございますが、道路、公園、緑地保全、あるいは市民利用施設など本市の事業で必要する用地につきましては、利活用を積極的に進めてまいります。また、売却可能な土地につきましては、順次公募などにより売却を進めてまいります。
次に、市民のみなさまへのご説明という件でございますけれども、先ほど申し上げましたが、公社は本市の依頼に基づきまして土地を取得し、解散についても本市が責任を持って対応する必要がございます。このため、将来の財政負担の軽減の観点から、三セク債の活用による公社の解散を中期4か年計画においてお示しをしたところでございます。今後、適宜市会にお図りしながら、本市として責任をもってご説明をしてまいります。
古谷議員:昨年の予算特別委員会の中でも、周知についてはわが党の河治議員が質問し、「広く市民に知らせる」と局長が答弁されておりました。この一年どう市民に周知してきたのか、伺います。
柏崎財政局長:先ほども申し上げさせていただきましたけれども、まず公社の取り扱いにつきましてこれからどうしていくかというに関しましては、中期4か年計画の中でその方向性についてご説明しているところでございます。また、本年度も、先ほどご質問いただきました土地の取得費につき、きちっと予算の中でご説明するとともに、これからもその議会の中できちっとその方向性についてご説明をさせていただくということでございます。
古谷議員:広く市民に知らせてはないと思うんですが。
次に、市民の負担軽減のためにあらゆる努力がいまからでも必要だと思います。金融機関にも金利減免等の協力要請をすべきだと思いますが、見解を伺います。
柏崎財政局長:まず、公社が借り入れる金利ということにつきましては、これまでも公社におきまして様々な融資条件の中で最も有利な条件で折り合うように交渉してきた結果決定されているところでございます。また、本市も今後第三セクター債の発行などので、この金利負担というものが過大負担にならないように最大限努力をしてまいりたいというふうに考えております。
古谷議員:具体的に聞いたんですが、お願いします。
柏崎財政局長:お尋ねの趣旨でございますけれども、今回の解散ということにあたって、その金融機関に対しての対応をどういうふうにすべきかというお尋ねであったのかなというふうにも思いますが、これからにつきまして、公社の借入金というのは本市が、これまでも債務負担行為といたしまして予算議案にお諮りし、ご議決をいただいた上で債務保証などを行っております。公社がその使命を終えて解散するという場合には、最終的には本市が返済をしていくべきものというふうに考えております。
古谷議員:MM21地区でこういう400億円もの莫大な赤字のツケを市民に回すことについて、市としても目に見える責任の取り方が必要ではないかと考えますが、見解を伺います。
柏崎財政局長:先ほども申し上げさせていただきましたが、これまで横浜市におきまして、中期財政ビジョンなどでお示しをしたとおり、公社の借入金は本市全体で対応する外郭団体の借入金というものに含め、きちっと市民のみなさまにもお示しをし、着実に縮減を行う必要があるということでこの間取り組んでまいりました。このため、将来の財政負担の軽減の観点から、三セク債という総務省で設けたその制度を活用いたしまして、公社の解散を中期4か年計画において決定したということでございますので、ご理解いただければと思います。公社解散後も、引き継いだ土地の計画的な利活用や売却に最大限努めてまいります。
古谷議員:400億円だけではなくて、1300億円もの市民に負担をかけるということについて、二度とこんな事態が起こらないように、原因の追及あるいは責任の所在などを市民の前に明確にすることを要求して、次の質問に移ります。
次は、市税や国保料などの未収債権管理についてです。中でも、特に近年増加している給与差押について伺います。
給与差し押さえを強行することで最低最活費は残すとしていますが、会社に差押をされている事実を知られることとなり、結果的に職を失うことになれば支払い能力そのものがなくなってしまうと思いますが、見解を伺います。
柏崎財政局長:給与の差し押さえに至るまでには督促状や催告書などにより自主的な納付を促してお願いをしておるところでございます。それでもなお納付をいただけない場合には、財産調査により納付資力の見極めを行った上で、滞納者の方々の個々の状況等を勘案しながら、必要な処分等を行っているところでございます。
古谷議員:私がお話したこういったケースの給与所得者で個人住民税が普通徴収となっている方はどのような場合か、伺います。
宇都宮主税部長:本来給与所得者については、給与を支払っている方が個人住民税の特別徴収義務者として納付をしていただいております。ただ、しかしながら、実務上、従業員数が少ないため、給与支払者から特別徴収義務が負担となっているといって実施ができないという申し出があった場合などについては、例外的に普通徴収にしております。
古谷議員:そういった場合や、あるいは派遣や請け負いなどの場合もそうだというふうに考えます。そういった立場の弱い労働者をさらに追い込むような仕打ちは許すことはできません。そうならないような配慮があって当然ではないでしょうか。昨年度の国民健康保険料に関する監査報告で十分な配慮をすべきとあります。保険料滞納の高額部分が区から局へと移管される中で、どう改善してきたのか、伺います。
柏崎財政局長:市税におきましては、従前から納付困難のお申し出等があった場合には、個々の状況をお聞きしながら丁寧な対応に努めております。また、健康福祉局等から財政局に引き継いだ国民健康保険料等の徴収にあたりましても、所管局と連携をし、減免制度についてのご説明をきちっとさせていただくとともに、法テラスというようなもののご案内も引き続きさせていただいているところでございます。
古谷議員:立場の弱い労働者を追い込むようなことをしないような十分な配慮を求めて、質問を終えます。