日本共産党横浜市会議員
古谷やすひこ(2013.2.28)
古谷議員:日本共産党を代表して順次質問してまいります。
まずは、インフラ老朽化について、特に橋の問題に絞って質問いたします。
本市で道路局が管理している橋は1700橋あると聞いています。今インフラ老朽化が大きな問題となっている中、現時点で市内の1700もの全ての橋は「安全である」「落ちない」と言い切れますか。局長、伺います。
友田道路局長:道路局の管理する1700橋の中で耐震基準後に設計された橋、また新たな耐震基準により設計された橋や、補強済の橋合わせますと559橋ございます。さらに、先程もご説明いたしましたとおり、橋長が短い等によりまして耐震基準が不要とされているものが940橋ございます。これら1500橋は震度7クラスの地震に耐えられる精度を備えていると考えてございます。残り200橋につきましては、耐震補強が必要とされているということでございます。
古谷議員:橋が安全な状態を長く維持して、落橋という最悪の事態を避けるためには、計画的に維持管理をしていかないといけないと思います。その前提として橋の点検が必要だと思いますが、点検の際に使われているのは、この「橋梁点検要綱」というものがありますが、この橋の総合評価の中で、4段階「a」「b」「c」「ok」と出されて、判定されていると聞いています。例えば、鶴見区にある33橋のうち、b評価は31橋と聞いていますが、総合評価「b」とはどういう状態のことをいいますか。伺います。
新倉建設部長:舗装などの2次部材の損傷が著しい、また主部材の床版などの主要部材や2次部材の損傷が大きく、詳細調査を実施し補修するか否かの検討または補修を行う必要がある場合でございます。
古谷議員:悪い方から数えて2番目というのが鶴見区のほとんどの橋だという状況なんですが、先日テレビ番組の中では、職員の方が「毎日、橋が落ちないか不安をもっている」とコメントをされていました。これが現場の実感だというふうに私は考えています。
橋の点検について、先日浜松の吊り橋の事故がありました。本市の点検の現状と比べて、その事故の原因と教訓について、局長の見解、伺います。
友田道路局長:浜松市によりますと、吊り橋のケーブルと土台をつないでおります部材が腐食して破損したということでございます。本市といたしましても、定期点検の際にそれを再認識したというところでございます。
古谷議員:もう少し話してほしかったんですが。この吊り橋の事故については、橋の老朽化は外部点検だけでは見抜けないというのが、この教訓だったというふうに私は考えています。その点からみると、専門家による点検の頻度も上げていく必要があると思いますが、局長の見解、伺います。
友田道路局長:今後、国の橋梁定期点検方法の見直しがあると思われます。国の動向を注視しながら点検の方法や頻度について検討していきたいと思っておりますが、私どもが行っている定期点検につきましては専門のコンサルタントに委託いたしまして行っているものでございます。
古谷議員:ぜひ、頻度を上げてほしいということを伝えたので、ぜひよろしくお願いします。
続いて、橋の予算について伺います。特に、橋の維持管理に関わる予算について、この間どう推移してきたのか、伺います。
新倉建設部長:長寿命化対策予算と架け替え予算の合計で、23年度は約35億7000万円、24年度は34億5000万円、25年度は41億3000万円となり、3か年の平均は37億2000万円でございます。
古谷議員:では、今後50年で必要となる橋梁の架け替えも含めて維持管理費用が年間で74億円と聞いていますが、新年度予算とかい離があると思いますが、その見解を伺います。
友田道路局長:橋梁の維持管理に必要となる費用は、架け替えの費用も含めまして23年度からの50年間で3700億、平均しますと74億円というかたちになってございます。このうち長寿命化対策に必要な費用といたしましては、23年度から28年度まで段階的に引き上げて、28年度以降は年平均50億円と試算してございます。25年度の長寿命化予算につきましては31億4000万円であり、私どもとしては補修計画を実施するために必要な予算は計上したというように考えてございます。
また、架け替えの予算につきましては、単純に年平均すると約28億と試算されますけど、掛け替える橋梁の数や規模等によって変動するということで、年ごとに変動いたします。25年度につきましては9億9000万円を計上したところでございます。
古谷議員:これから3年かけて、いま上がる時だという説明があったんですが、これからずっと74億円あるいは78億円という予算がかかり続けるわけですが、それがどこまで続くのか、伺います。
友田道路局長:橋梁の長寿命化対策につきましては、工期との引き合いを図りながら引き続き必要な予算は確保していきたいというふうに考えてございます。架け替えの予算につきましては、先ほど申し上げましたとおり、大規模な橋から小規模なものまでございまして、大規模なものにつきましては街路事業という中で行っていくということも想定の中に入ってございます。
古谷議員:一般的なお話を聞いているのではなくて、3700億円かかるといわれているわけですから、これから4年後には78億円ずつずっとかかっていくということですから、この金額は私は下がることはないと、台形で、私は質問の調整の際には説明されたんですが、台形ということは落ちるという説明なんですが、これについてはこれからずっと上がり続けていくものと考えますが、局長の見解、伺います。
友田道路局長:段階的に上がるっていうことであるというところで50億円の想定の中で、台形という先生のお話だと思います。それで、これから私どもの想定で考えたときは、28年度にピークを迎えて事業費を増加させていくということでございますが、架け替え、長寿命化の問題につきましては、これは長期的に長寿命化していくことでトータルコストを落としていくという考え方で、長期的にはある段階からは縮減されるという想定となってございます。
古谷議員:つまり、4年後の2016年から橋梁の維持管理費用が年間74億円以上かかっていくと、ずっと計上し続けるということです。それが長期にわたって続けられていくというのが実態だというふうに思います。
そして、直近の4年後には今回の予算案の2倍近い予算が必要だというふうに試算されているんですが、どうやってその予算を捻出し続けていくつもりなのか、伺います。
友田道路局長:こちらは長寿命化対策の事業費、こちらはある試算の中でだした数字でございまして、実際事業やるにあたりましては当然コストの縮減等を図りながら事業をやるということは当然でございますが、さらに予算確保に向けて国費の導入を積極的に進めるなど、予算の確保に努めていきたいというふうに考えてございます。
古谷議員:優先順位もあると思うんですが、国費が入らなければ後回しにするということはないでしょうか。局長の見解、伺います。
友田道路局長:後回しにするしないということではなく、しっかり国費につきましては確保するように努めていくということでございます。
古谷議員:適切に平準化していかなければ後年度負担が大きくなると考えますが、局長の見解、伺います。
友田道路局長:当然、長寿命化の考え方はなるべく平準させるという考え方がベースでございますが、その考え方に従って計画をたてている、この長寿命化計画というものが出来上がってございます。
古谷議員:しっかり予算確保していただきたいと思います。
橋の維持管理費用について、少なくとも4年後には予算規模が倍になるわけですからそれに伴い、人員体制の強化が必要になると思いますが、副市長の見解、伺います。
鈴木伸哉副市長:公共施設の老朽化につきましては全市的な課題でもございますので、業務の効率化をいっそう進めるなど適切に対応してまいります。
古谷議員:橋の維持管理費用で50年で3700億円、年間で74億円、さらに耐震化補強予算が必要になります。しかし、これは橋だけの話であります。その上、トンネル、道路等にもそれぞれ維持管理・長寿命化・耐震化の費用が必要となります。今後50年でいったいどれだけの予算が必要だと試算されているのか、それぞれ伺います。
友田道路局長:橋の長寿命化につきましては50年という試算の中で3700という数字を算定させていただいておりますが、一般橋梁の耐震補強、これから計画をたてる、それからトンネル補修についても現在計画をたてているという状況でございまして、そういったものの事業費はさらに増えてくるというふうに考えてございます。
古谷議員:試算されていないということですが、そもそも橋で導入されているような維持管理の長期的な計画、アセットマネージメントであるとか長寿命化修繕計画をトンネルや道路でも策定すべきだと思いますが、局長に見解を伺います。
友田道路局長:トンネルにつきましてはただ今答弁申し上げたとおり、長寿命化的な考え方でいま保全の計画をつくっているところでございます。
古谷議員:将来を見通した長期的な観点の計画が策定されていないという現状で、策定されていないということは、道路やトンネルなどの維持管理がこれからどれくらいお金がかかるのか分からないという状況です。そんな中で、新たな巨大インフラである横浜環状道路を作っていくということは、将来の横浜の子どもたちに対して、あまりにも無責任だと思いますが、見解、伺います。
友田道路局長:横浜環状道路を始めとする高速道路、また一般幹線道路でございますが、本市の骨格的な道路整備は横浜の経済の成長や災害対策という視点からも必要不可欠であると考えてございます。そのため、着実に進めていかなければならないものであると考えてございます。また、厳しい財政状況の中ではありますが、当然維持管理も整備とともに、真に必要な事業をしっかり通していくということが重要だと考えてございます。
古谷議員:局長、国土交通省が設置した道路構造物の今後の管理・更新のあり方に対する検討委員会という文書があります。その中に道路管理についての反省と課題という文章があります。その中に、「これまで新規の道路構造物の建設に力点をおいて進めてきたわが国であるが、この貴重な社会資本を次世代に継承するための適切な維持管理を怠ると、これまでの努力が灰塵に帰すことを認識する必要がある。さらに、点検、診断、補修などを含む道路管理業務全般に対して、妥当な対価が支払われてこなかった面があり、そのために高い社会的評価が十分に得られていないという問題もある」と、こう指摘されています。局長の見解、伺います。
友田道路局長:当然、道路施設の維持管理というものの重要性はそちらに書いてあるとおりだという具合に認識しているところでございます。
古谷議員:改めて、我が団としては公共事業のあり方自身を見直していかなければ予算は捻出できないというふうに主張しておきます。
次に、重要橋梁である鶴見区の末吉橋の架け替え事業について、伺います。
この橋は、日頃よりたくさんのご意見が寄せられる橋であります。そこで、新年度で基本設計ができた時点で住民説明会などを開いて、実際に橋を使う利用者の声や、あるいは地元の方々の意見をしっかりときいて、それを詳細設計に反映させる必要があると考えますが、局長の見解、伺います。
友田道路局長:末吉橋につきましては、市境ということで、川崎市や川の管理者である国と協議を進めながら予備設計を進めていくということになりますが、設計を進めていく中で地元の説明会を開催してその中でご意見を伺うということも考えて参ります。
古谷議員:ぜひ、地元のみなさんの意見をしっかりと取り入れてほしいと要望しておきます。
続いて、道路照明のLED化について伺います。
今回LED化したのはたった7%です、道路局所管の全照明の中で。いま、地方自治体レベルでも、自然エネルギーの開発や省エネの取り組みが進んでいます。特に本市は「環境未来都市」を宣言し、来年にはIPCCを開催する横浜市として、計画を前倒しをしてでもLED化を進めるべきと考えますが、局長、伺います。
友田道路局長:道路の街路灯のLED化につきましては、街路灯自体のLED化を、現実的な問題が一般の家庭の電球に比べて遅れているということがありまして、取り組みが遅れてきているところでございます。このたび標準化がされたということで本年度から積極的に私どもとしてはLED化を進めていきたいということでございます。
古谷議員:来年の春にはIPCCの参加者が道路を見るわけです。ですから、恥ずかしくない状態をぜひ作っていただきたいと思うんですが、鈴木副市長、伺います。
鈴木伸哉副市長:横浜市では、これまで温暖化対策はもちろんのこと、ごみ問題、生物多様性など様々な環境施策を積極的に展開し、環境問題と経済成長が両立する持続可能な都市づくりに取り組んできたところでございます。これからもそれぞれの区局がこの思いを胸に、しっかりと対応していくということが重要でございます。その中での道路照明灯の問題でございますけれども、環境問題に積極的に取り組む環境未来都市横浜をアピールできるよう、照明ポールの建て替えや新設に合わせてLED化をしていくということを基本にしながら、環境が整ってきたというところもございますので、積極的に対応を図ってまいります。
古谷議員:ぜひ、前倒しをしてでもLED化、進めていただきたいというふうに要望して、質問を終えます。
(2013.2.15)
古谷議員:日本共産党を代表して、第一回定例議会に提案されている議案及び補正予算案について、林市長に順次質問してまいります。
はじめに、補正予算議案についてであります。
今回の補正予算案は、「国の緊急経済対策を踏まえ、国費を最大限活用する」とされておりますが、国費ももちろん入りますが、市債を経済・市民生活対策補正として152億5300万円増やすこととなります。結果、2012年度の決算ではプライマリーバランスは完全に崩れてしまい、市税も37億円投入されることとなります。
そもそも、今回の国の大型補正予算は、安倍自公政権が進めようとしております国土強靭化の方針として、不急不要の大型公共事業に突出させております。その方針どおり、もっとも忠実に施策を進めているのが今回の横浜市の補正予算であるといえます。しかも、今回の10兆円を超える国の補正予算の財源の半分以上は国債であります。
仮に、経済・市民生活対策として367億円もの補正予算を執行することで、市内経済や雇用環境が確実に前進し、その経済波及効果や雇用創出効果が153億円の市債発行のマイナスを補って余りあるものであれば、まだ納得ができます。国では、実質GDPの押し上げ効果は2%、雇用創出効果は60万人と、補正予算の経済効果を概算しております。市長は、1月15日の定例記者会見の中で安倍内閣の経済政策について、こうおっしゃっています。「それだけ借金を多くしてやろうというのですから、間違いなく経済成長につながらなくてはいけません。経済がまわるようになるのかということはしっかり考えていただきたいですし、国民の前でここまでやるからにはしっかりと説明をしていかないといけないのではないかと思います」と、こう答えられております。横浜市も同じであります。市民のみなさんにこれだけの借金を背負わせるわけですから、しっかりと説明責任を果たすべきだと考えます。
今回の補正予算で、どれほどの市内経済と雇用創出に効果があると推計されているのでしょうか。また、中小企業振興基本条例に基づいて市内中小企業への経済効果はどのくらいだとお考えなのか、伺います。
林市長:古谷議員のご質問にお答えいたします。
市第181号議案についてご質問いただきました。
今回の補正による市内経済への波及効果などについてですが、国の緊急経済対策補正を踏まえ、国費を最大限活用しながら、防災対策や老朽化対策など必要な施策を進めるとともに、25年度の事業量を一部前倒しして実施することで、年度当初から切れ目なく事業を実施することが可能となり、施策の効果を早期に発揮させることができます。また、国の補助事業に合わせて、公園整備事業や学校特別営繕費など市単独事業を追加することで、さらなる事業量の確保を図り、市内中小企業への発注量の増加など、市内経済の活性化につなげていきます。
古谷議員:今回の国の緊急経済対策の中では、「暮らしの安心・地域活性化」として在宅医療やあるいは地域の医師確保の推進など医療・子育て分野のメニューがありますが、なぜ本市の補正予算の中にはそのようなメニューがないのでしょうか。例えば、保育士の人材確保など子育て支援の充実こそ、これだけ待機児童を解消しようと尽力をされていた市長が前倒をしてでも実施すべきメニューだと考えますが、市長のお考えを伺います。
林市長:保育の人材確保についてですが、保育士の育成や人材確保は保育の質の向上において重要ですので、すでに職員研修や就職説明会などを実施しています。国の緊急経済対策は現在国会で審議中ですが、待機児童解消のための保育士の確保の項目もあげられています。しかし、現時点では具体的な実施方法等について示されていませんので、今後の国からの通知を踏まえ、検討していきます。
大型事業から小規模・生活密着型公共事業に抜本的転換を
古谷議員:今回の補正予算案の中でダントツに多いのが、高速道路整備中心の街路整備費・道路費負担金、あるいは国際コンテナ戦略港湾関連であります。その額は171億円にもなり、全体の半分近くを占めております。私も高速道路を使わないわけではありませんし、高速道路網の整備が進み、素早く短時間でどこにでも行けるようになれば、それは便利だとおもいます。
しかし、厳しい財政状況のもとで、人口減少社会が進む中で、高速道路整備よりももっと優先されるべきことは他にもあるのではないでしょうか。さらに、既存の道路や橋、トンネルなどの公共構造物の維持管理補修に莫大な予算がかかることが問題になっています。例えば橋梁でいえば、道路局が所管している1700橋のうち、対策がまだ未実施な一般橋梁が1093橋。対策が必要な橋梁を選定の上、長寿命化を行えば、今後50年間で約3700億円の維持管理費が必要と、道路局では試算しております。これを単純に50年で割りかえすと、年間で約74億円もの費用が必要になります。一般道路やトンネルなどを加えると、どれほど莫大な金額になるのでしょうか。
市長、横浜市も人口減少の社会にまもなく入ります。この老朽化問題を契機に、高速道路や国際港湾など大型公共事業のあり方は見直すべき時が来ているのではないでしょうか。何十年も前に策定した道路計画を忠実に進めていくことで、本当に次の世代を担う子どもたちは恩恵を得ることができると言い切れるでしょうか。膨大なメンテナンス費用の捻出だけでも大変なのに、新たなインフラを造れば将来その維持や管理が新たに必要になり、さらに横浜市の負担を産み、市財政を圧迫することは必至です。そこで、公共投資をしても経済効果は一時的で、将来の借金返済まで考えれば、乗数効果としてはマイナスだと考えますが、市長のお考えを伺います。
いま日本は、東日本大震災の復興や首都圏直下型地震等への備えの問題、また長期デフレ不況に見舞われているなど、様々な重大な問題を抱えています。そういった時代背景の中で、従来通りではなく、時代に適応した新しい公共事業のあり方が求められていると思います。当面は、新規事業は抑制し維持更新へ、そして大型事業から小規模・生活密着型公共事業に抜本的に転換することで、市民のみなさんの命と暮らしをしっかりと守り、地域経済の再生に役立つ公共事業を進めなければならないと私たちは考えています。これについての市長のお考え、伺います。
林市長:ハード整備に重きをおいた公共投資はマイナス効果が大きいとのことですが、補正予算に計上した学校耐震などの防災対策をはじめ、橋梁や港湾施設などの老朽化対策、さらには遅れている道路ネットワークの整備促進はいずれも本市として進めていかなければならない事業です。こうした事業について、国が特別に措置した臨時交付金などを最大限に活用し、かつ財政規律もしっかりと守りながら、積極的に推進することで市民生活の安心安全を確保します。
当面、公共事業は、小規模・生活密着型公共事業に抜本的に転換すべきとのことですが、横浜環状道路や港湾施設などの本市の骨格的な都市施設については、将来にわたり市内経済の活性化を支えるとともに、災害時の広域的な救急救命活動などに不可欠でありまして、防災上も重要な施策であると考えています。また、市民生活の安全安心につながる建物の耐震化や道路改良や公園の改修など身近な施設についても優先度の高い施策として位置づけています。厳しい財政状況にあっても、選択と集中により積極的に投資すべきところには投資していくことが大切であると考えています。
古谷議員:続いて、市第162号議案「横浜市震災対策条例の全部改正」についてです。
この条例は、「市民の生命、身体及び財産の安全を確保する」ことを目的として平成10年に施行されましたが、今回防災計画「震災対策編」の修正および震災対策の見直しの検討結果等を踏まえ、改正されるものであります。本条例に基づいて定められた修正前の防災計画でも、震災への備えの課題いくつも列挙されていましたが、なかなか具体化が進まない項目もいくつも見受けられます。いくら条例改正をして、防災計画のアクションプランを策定したとしても、その財源、どうやって裏付けしていくのか、また行政区単位での防災計画の具体化・実行を進める人員体制の強化が必要だと考えますが、市長の考え、伺います。
区域の6割が木造密集市街地で占められております東京の荒川区では先日、新年度予算案の発表の中で、「誰ひとり亡くならない街を目指す」と区長が強調されておりました。昨年の決算特別委員会の総合審査で、我が団の岩崎議員への質問に対して市長は、「現行計画でも人命被害を含めて被害を出さない地域・社会の実現を目標としています」と、答弁されております。今回の条例全部改正を契機に、「市民の命を守りきる、誰ひとり亡くならない横浜市を目指す」とことを基本理念に掲げることを提案しますが、市長のお考えを伺います。
林市長:市第162号議案について、ご質問いただきました。
アクションプランの財源確保ですが、防災減災の取り組みは、常日頃からの備えが重要であり、市民生活や経済を守るため、厳しい財政状況にあってもスピード感をもって着実に取り組む必要があります。そのために、国費等の積極的な活用はもとより、不断の行政改革、財政の健全性維持を踏まえた市債の活用、公有財産の棚おろし・活用などによる財源確保に取り組んでいきます。
また、各区の人員体制強化の考え方ですが、25年度は危機管理室を中心に、地震・防災戦略の推進体制を強化しますが、各区では新たに兼務体制を敷く地域防災支援担当が要となって、地域のみなさま方との調整を進めます。これを危機管理室が支え、区と連携することで、全庁一丸となって取り組んでいきます。
「誰ひとり亡くならない街」を条例の基本理念とすべきとのことですが、今回提案させていただいた条例案におきましても、市民の生命、身体および財産の安全を確保することを目的としており、目指すところは同じだと考えています。なお、防災計画では、被害を出さない地域、社会の実現を目標としています。
古谷議員:最後に、市第166号議案「横浜市母子生活支援施設条例の一部改正」についてであります。
これは、磯子区にある「横浜市いそごハイム」を3月いっぱいで廃止するに伴う条例の一部改正です。現在横浜市には、本施設を含めて8か所155世帯の定員で、母子生活支援施設が運営されております。今回廃止される「いそごハイム」をはじめ、どの母子生活支援施設も稼働率は極めて高く、いつも定員いっぱいの状態です。計画では、この「いそごハイム」廃止と同時に同規模の施設が港南区にオープンする予定でしたが、民間事業者の事情で新施設のオープンが1か月のびてしまいました。
私が先日「いそごハイム」を視察した際には、入居世帯はゼロであります。それまで入居していた19世帯のうち、他の母子生活支援施設に移動した世帯はたった1世帯、その他はほとんどが民間アパートへと転居することになったそうであります。母子生活支援施設は、精神不調やDV被害を受けて支援が必要な母子世帯の自立を支える施設ですから、本来であれば、自立のほか引き続き施設で暮らすことも選択できることが望ましいと思います。しかし、民間業者の事情で新施設のオープンがずれてしまったわけですから、公的施設の役割として廃止を延長するなど入居者に配慮して柔軟な対応が必要だったと思いますが、市長の考え、伺います。
今後、「いそごハイム」の土地建物の利活用を検討すると聞いていますが、今の厳しい社会状況の中、精神不調を訴える人が増え、支援の必要な母子世帯も増えております。それは現施設の入居率の高さからも伺えます。市長は折に触れ、女性への支援をおっしゃっているわけですから、ぜひこの「いそごハイム」の土地建物を利活用して、同じ機能の施設を作ることを要望しますが、市長の考え、伺います。
最後に、市内にある8つの母子生活支援施設のうち、今回の「いそごハイム」がなくなれば、横浜市の直営施設は唯一「みどりハイム」だけとなります。民間施設の質を担保する上でも、横浜市が直接運営する施設が範を示すことが必要です。特に、人を相手とする福祉サービスでは、直接サービスを提供する相手と行政が接する機会がなくなれば適切な施策展開もできません。母子生活支援施設としてのパイロット機能を果たすためにも、「みどりハイム」は引き続き公設で運営していくことを主張して、質問を終えます。
林市長:市第166号議案について、ご質問いただきました。
「いそごハイム」の廃止時期の延長についてですが、新たに港南区に移転・再整備する新施設は、開所時期が1か月遅れて5月となりました。しかし、「いそごハイム」の入居者のみなさまは民間のアパート等へ退所し、現在利用者はいらっしゃらないので、廃止時期の延長はいたしません。
「いそごハイム」の跡利用についてですが、現在の「いそごハイム」は居室が狭く、浴室も共同であるなどの理由から、建て替えます。現有地での再整備は住環境の向上等に必要な施設面積の十分な確保が困難なため、港南区に移転・再整備することにしました。廃止後の「いそごハイム」の跡利用については、25年度に現行建物の調査を行い、様々な利用方法の可能性について検討してまいります。
以上、古谷議員のご質問にお答え申し上げました。