2014年の議会活動

平成26年 基本計画特別委員会「質問」

(2014.12.16)

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国の方針の忠実な実行より市民の実情に寄り添った施策を

古谷議員:日本共産党を代表して、横浜市中期四か年計画について質問します。
まず計画全体を見渡してみる・・いうふうに思うと、政府の「骨太方針」、「日本再興戦略」、これの焼き直しが本当に目立つなあという感覚を持ちます。市長にはぜひ、国の方針・施策に忠実に実行していくというよりも、もっと市民の実情に寄り添った、公として市民生活全体を底上げしていくような施策を進めていただきたいというふうに思います。
先日の議案関連質問の中でわが党の岩崎議員からの質問で、今回の中期計画については企業支援やハード整備が中心で、市民の暮らしの視点は後景に追いやられていると指摘した点について、あんまりまともにお答えにならなかったというふうに思います。今日は、その点について具体的に伺い、わが党としての提案も行っていきたいというふうに思います。

 

少子化対策には、まず労働法制改悪ストップを

古谷議員:まず、「人も企業も輝く横浜」という点について、伺ってまいります。
市長は、子育て世代など若い世代をはじめとする人を呼び込み、定着してもらうために、何が必要だと考えられているのでしょうか。
そもそも「少子高齢化の進展」とよく文章の中でも書かれてあるんですが、少子化というのは自然現象だととらえられているのでしょうか。そして、少子化と密接なつながりにある婚姻率の低いことについて、これは社会状況・背景は何だととらえているか、伺います。

小林政策局長:結婚する女性の割合や時期が出生率や出産数に大きく関わってございます。未婚化や晩婚化とそれに伴う晩産化、お子さんを生むのが遅くなるということでございますが、あるいは小産化が少子化の大きな要因であるといわれており、横浜も同様でございます。
結婚はあくまでも個人の決定に基づくものでございますが、結婚や出産を望みながら、希望をかなえることができないという状況も生まれております。具体的には待機児童解消など子育て支援の強化、ワーク・ライフ・バランスの推進など働き方の改革、若者の経済面における安定確保などの自立に向けた支援が必要だと考えております。

古谷議員:少子化というのは、今おっしゃられたように、決して自然現象ではないと。婚姻率が低くなるような社会状況あるいは雇用環境というのが問題だというふうに思います。ここにメスを入れられなければ変わりません。
特に、労働法制が今、改悪をされて、派遣労働が増えてきたと。昔は、働くことがイコール正社員で働くことだったが、今は違います。自由な働き方を選択するというふうにいいながら、結局、企業側が労働力を自由に使ってきたと。その結果、若い人ほど今、世帯収入が落ちてしまったと。そのことで結婚はできなくなる。当然子どもも産めなくなるような社会になったんだというふうに、私たちは考えています。だとすれば、少子化のさらなる進展につながり、あるいは地方自治体の疲弊にもつながるということで、全国の指定都市の市長会の会長として、市長もぜひ国に対して、市民を守る立場でこれ以上の労働法制の改悪、これはぜひ検討もやめるべきだというふうに申し入れるべきと思いますがどうか、伺います。

林市長:労働法制については、国において本市を含めた全国の労働環境や雇用状況等を踏まえながら、国会の審議を経て、適正に制定されるものと考えておりますので、市長としても、また指定都市市長会の会長として申し入れるべきというご意見でございますが、ただいまのところ、申し入れる考えはございません。

古谷議員:それでは、人は輝けないというふうに思います。
また、横浜市としてもぜひ、できることをやっていただきたいというふうに思います。この中期計画の中でも、先ほど指摘したような若年層の所得と、あるいは就業機会が少ないという問題については対策を強めること、ぜひ求めたいというふうに思います。

 

本市契約事業の労働条件の適正な水準確保のために公契約条例を

古谷議員:あと、本市契約事業における労働条件の問題、この確保をぜひ担保できるような仕組みづくりが大切だというふうに思っています。この問題ではわが党の大貫団長の質問に対して、市長は「賃金等の労働条件が適切な水準に確保されるように、これまでも低価格競争対策に取り組んでおります」と。「本市契約における労働条件の確保は性別を問わず重要だ」とおっしゃるのであれば、市発注の工事現場、指定管理施設など市事業の委託先など契約に関わる全てのところで、賃金等の労働水準、条件が確保されるような歯止め、ぜひつくるべきと思いますがどうか、伺います。

林市長:労働条件の確保は重要なことであると本当に考えています。労働者の賃金等の労働条件については、企業の労使間での自主的な決定が原則という国の見解もございます。こうしたことを踏まえまして、本市の契約では労働条件が適切な水準に確保されるように、入札参加有資格者名簿への登録時に事業者の社会保険への加入を確認するとともに、先生もおっしゃっていただきました過度な低価格競争を防ぐための対策などに取り組んでいるわけでございます。

古谷議員:それらの対策はごく一部にとどまっているということが問題だと思っています。すべてにわたってぜひやっていただきたいというふうに思います。常々、私たちは、業者の善意に頼るのではなくて、やっぱり公契約条例が必要だというところで、こういうところで主張しているわけであります。

 

低レベルの子育て施策を引き上げよ

古谷議員:そして、少子化対策の最後で、ぜひ少子化対策というのであれば、本市としてできる安心して子どもを産み育てる環境をしっかり整えるべきだというふうに思います。今、横浜市、保育料が高いという問題であったり、小児医療費の無料化助成が小学校一年生までにとどまっているという問題であったり、あるいは若年層の家賃補助、こういったものも非常に有効だというふうに考えています。本市の子育て環境、こういう点からみれば非常に悪いというレベルのままの、低いレベルのままの中期計画、ここに抜本的な、ぜひ見直し・改善を求めますが、どうか伺います。

林市長:少子化危機突破タスクフォースという国の議論にも私、参加したことございまして、少子化対策、子どもを産み育てやすい環境づくりを地道に進めておくことが大変重要でございまして、保育所待機児童対策、子育て支援の充実、女性の活躍支援に力を注いてきておりまして、今度も中期4か年計画にこういうことについてはしっかりと横浜市としては取り組んでいるということでございます。

古谷議員:答えていませんが。取り組んでないので指摘したので、改めて要望しておきます。

 

日本一の女性施策というのであれば予算も施策も充実を

古谷議員:次に、基本政策となる36施策の一番目に挙げられている女性施策について、伺ってまいります。
私は女性施策に限らず、男女の差なく子どもを産み育てる、働き続けられる社会的条件、つくられるべきだと思いますが、市長の認識、伺います。

林市長:最もおっしゃるとおりというか、そのとおりでございます。私も、18歳から働いておりますので、本当に女性たちが結婚・出産によって、ご承知のようにM字カーブが深くなっていくという現状の中で、本当に女性活躍の場を広げるために、市長になってからもしっかりと取り組んでおりましたし、非常に最重要な課題だととらえております。

古谷議員:ありがとうございます。「女性が働きやすく活躍できるまち」ということで、新規のメニューがいくつか出されています。しかし、金額も少なければ件数も少ないというのが、私の率直な感想です。市長は、これで本当に「日本一女性が働きやすい働き甲斐のある都市」、これで本当に実現できると思いますか。

林市長:私が「日本一女性が働きやすい働き甲斐のある都市」、これもう非常に、ある意味で「日本一」という言い方を、私は割とあんまりそういうことを言わない人間なんですよ。というのは、それぞれの都市がそうとう懸命にがんばっているから、「日本一」っていう言い方しないんですが。
ただ、これについては執念がありましてね。やっぱり本当に、先生も考えてらっしゃるとおりで、非常に重要課題だということを繰り返し申し上げているわけでございます。
そして、われわれ基礎自治体ができることというのは、国が法律とか制度、決めていただくんですけど、ある程度それに沿ってわれわれもやっているんですけども、しかし実際に実現するのは全くもって基礎自治体しかないんですね。本当に体張ってやっているのは、私どももそうですけど、先生方がそうで、一番近いところに市民の方住んでますから。ですから、私たちがともかく実現していかなきゃならない。ですから、もちろんやりたいことはもう山のようにあります、先生。たくさんあります。おっしゃることも非常にわかります。
ただし、着実に歩を進めるしかないだろうと。この財政状況が厳しい中で、経済成長促して、市税収入も増やすっていうことと同時に、福祉に対してお金を投入していくと。そういう一種の両輪を回すことが非常に難しい、困難でもあるわけですけどね。でも、掲げてですね、執念でやっていきたいということですから。私はけっして、先生がおっしゃる、これでできているんですかと言ったら、それは全くできましたとは申し上げられないです。ただ現状は、今できることをやるしかないと。だから、着実に私は未来に向けて歩を進めております。ご信頼いただきたいと思います。

古谷議員:ぜひ、意気込みはよくわかったんですが、実際に金額も施策もちょっと追いついてないなという感想を改めて言っておきます。
次に、「父親が帰宅時間が母親に比べて遅いため、家事・育児に十分に関われない状況」という具体的な表をつけていただいているんですが、これも企業への啓発だけにとどまらないで、「日本一」というのであれば、もっと踏み込んだ施策、ぜひするべきだと思いますがどうか、伺います。

林市長:それは、もう先生おっしゃるとおりでございます。私は、女性たちが安心して社会で活躍できるためには、男性の働き方を変えなくちゃいけないわけですね。ですから、ワーク・ライフ・バランスというものをしっかりと取り組んでいます。

古谷議員:実質的な待遇差別であるとか、妊娠・出産で6割が退職に至るという現実について、市長はどう認識していますかというわが党の大貫団長の問いに対して、市長は「働きたくても働けないとすれば、それは本市にとっても大きな損失である」と。「仕事を辞めなくてもいいような環境づくりや仕事を再開したい女性への支援など、女性の働きたいという気持ちに寄り添った施策を進めてまいります」という回答でした。
2008年の厚生労働省の委託調査の中で「両立支援にかかわる諸問題に関する総合調査」っていうのが行われています。その中で、妊娠・出産前後に退職した理由として、辞めざるを得ないような状況に追い込まれての理由、「続けたかったが仕事と育児の両立が難しい」あるいは「解雇・退職勧奨をされた」ということが4割を超えています。結局、子育ての仕事が女性のみの大きな負担となっていて、それをきっかけに再就職をしたとしても低賃金の派遣労働しかないということです。
市長は、まず本市で働く女性、これがどういう実態に置かれているのかっていうのをぜひ実態調査をするべきだというふうに思いますが、いかがしょうか。

西山市民局長:さまざまなニーズをもつ女性の就労支援に生かしていくため、今年度、横浜市市内在住の女性3,000人を対象に、就労に関する調査を行ってございます。この調査から、先生ご指摘の本市で働く女性の実態についても分析をしてまいる予定になっております。

古谷議員:ぜひ、「日本一」の名に恥じることのない施策、ぜひ進めていただきたいというふうに改めて要望しておきます。

 

高校奨学金はもっと拡充するとともに成績で差別するな

古谷議員:次に、子どもあるいは若者を育てるという問題でいえば、高校の奨学金の問題も、ちょっと指摘しておきたいというふうに思います。本市も奨学金やっているんですが、金額が非常に少なくて、枠も少ないということです。これが2011年に見直しをされたんですが、昨年度でも2.34倍の倍率で、受けられない人も多いということで。貧困の連鎖を防ぐという意味でも、もっともっと拡充すべきだというふうに思いますが、どうか伺います。

岡田教育長:高等学校修学金につきましては、募集人数の状況を踏まえつつ、制度を拡充してまいりました。今後も状況を注視しつつ、効果的な運用に努めてまいります。

古谷議員:さらに応募資格も問題で、学業成績が評定平均値4.00以上というのはどういったことなんでしょうか。横浜市の奨学金のあり方として、学力で差別する、つまり成績優秀な子どもしか優遇しないという教育委員会のやり方について、私はちょっと納得できないんですが、市長はこれで良しとするんでしょうか。

林市長:横浜市の高等学校奨学金は、条例によりまして品行方正、学業成績優秀で経済的理由により就学が困難と認められる者に対して支給することにしております。学業成績の要件については、条例の趣旨を踏まえて教育委員会で決定したものでございまして、適切な要件であると私は思います。なお、国の制度によりまして、世帯年収910万円程度までの方には、授業料相当分の就学支援金が支給されています。

古谷議員:将来の横浜を支えるはずの横浜の子どもたちが、ひいては貧困の連鎖につながってしまうということは、ぜひやめてほしいというふうに思います。一部のキャリア教育っていうのも非常に充実は結構なんですが、公の役割として全体の底上げにぜひ力入れるべきだというふうに指摘をしておきます。

 

IR型カジノは本当に横浜の経済振興に寄与するのか

古谷議員:最後にカジノの問題です。市長は11月に記者会見で、カジノ法案の廃案が確定的な状況の中で、IRが横浜の都心臨海部の開発の選択肢のひとつであることは変わりないというふうにおっしゃっていました。一方で、神奈川新聞が実施した世論調査でカジノ開発の賛否について聞いたところ、反対が58.1%、賛成が28.9%と大きく上回っています。また、中期計画の素案のパブコメの中でも、カジノ反対の声は大きく上がっていました。市長はそういう声に全く耳を傾けるという気持ちはないんでしょうか。伺います。

林市長:横浜市が実施した中期計画や都心臨海部再生マスタープランの市民意見募集において、先生おっしゃったように、IRに対して多くのご意見をちょうだいしたわけですね。IRは都市の活性化において有力な手法ですので、期待の声が上がる一方で、これまで日本では実績がない中で依存症や青少年への影響などから心配の声も出ているのだと私は思っておりまして、これ当然両方のご意見があると認識しております。

古谷議員:IR型カジノっていうのは本当に横浜の経済振興に寄与するんでしょうか。IR型カジノっていうのは、カジノ収益を基にして、カジノ客を囲い込んで、ホテル代、飲食費の無料提供であるとか割引サービスをして顧客を勧誘する仕組みになっています。たとえばアメリカのアトランティック・シティのIR型カジノでは、ホテル代収入の53.1%、飲食費収入の53.6%がそういった無料提供のカジノ収入に占めています。これでは、とても既存の地元ホテル、旅館、レストランは太刀打ちできなくなるような仕組みになっています。こういうふうに、カジノ収益を基にして誘客を行って囲い込むようなIR型カジノでは、周辺地域の売り上げの減少などをもたらしています。仮に山下ふ頭にできれば、山下町のホテルあるいは元町商店街などの周辺に大きな悪影響、受けることになると思われますがどうか、伺います。

小林政策局長:IRにつきましては、日本再興戦略として閣議決定をされてございます。国の成長戦略においても観光振興、地域振興、産業振興等に資すると期待をされております。すそ野が広い産業でございますので、当然波及効果が期待できますし、実施にあたりましては、周辺地域との連携を図り、地域経済の活性化に寄与できるように進めていくものと考えております。

古谷議員:カジノの先行都市も次々とカジノ依存のまちづくり、破綻しています。ラスベガスでもリゾートタウン化をめざしていて、アトランティック・シティでもIR関連の業者、次々と撤退しています。他方、アメリカの観光都市ランキングの第1位はサンフランシスコ、環境都市第1位はシアトル、ともにカジノはありません。市長が言うような都市の魅力や集客力にはカジノは関係してないと考えます。そればかりか、カジノ誘致によって横浜の観光都市としてのブランド価値を汚すだけではなく、とても未来の横浜の姿を託そうとは私は思いません。カジノとは別の道を探るべきであると思いますが、どうか伺います。

林市長:先生、いろいろな実際の例をおっしゃっていただいておりますけど、いろんな見方が私はあるのではないかと思いますね。たとえばIRで成功したシンガポールなんですが、やっぱり都市部の魅力が向上してブランド価値が上がったといわれておりますし、国際会議の独壇場というんですかね、横浜市は常にすごいシンガポールとはバッティングして、闘うというか、こちらがとったとかとられたとかやっているんでけど。私はやっぱりIRの構想というのは成功した例ではないかと思います。そして、グローバルMICE戦略都市としてより一層進化していくためには、IRの導入というのは私は有効な手法のひとつだと考えておりまして、横浜の持つポテンシャルを引き出して強みを生かして都心臨海部を再生していくことについては大きく寄与するひとつであるとは思います。ただ、いろいろな、先生がおっしゃったご懸念とかいうことについては、考えていかねばならないのではないかと思います。

古谷議員:シンガポールもカジノ収益は横ばいに今なってきています。カジノによって、私たちは横浜の未来、託せないというふうに考えます。博打頼みではなく、まともな経済対策を求めて、質問を終えたいと思います。


2014-12-16 | 2014年の議会活動議会活動

平成26年第3回定例会 一般議案・請願の討論、採決など

(2014.9.18)

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コスト高の市庁舎再整備計画は白紙撤回し、市民討議で再検討を

日本共産党を代表して討論します。
まず、市第46号議案、市第58号議案の市役所の位置に関する条例の改正についてであります。
市役所の位置を、現在の関内駅前から北仲通南地区へと変更しようというものであります。
問題の一つ目は、巨額な建設費が生じることによって、むだな借金、市民に押し付けることであります。今回、当局が示した案の中で最も費用の高い北仲通南地区案を採用し、さらに、東京オリンピック・パラリンピックまでという一番コスト高になる時期に建設を進めようというものであります。このような二重の意味でコスト高になる計画は、間違っている。それを市民に押し付けるのは許されません。最悪の選択です。議員のみなさん、本当に胸を張って有権者の前で説明できるのでしょうか。
まず金額についてでありますが、当局が示した案では、北仲通南地区は603億円、港町地区は398億円で、今回の北仲通案が高いのは一目瞭然。今回、北仲通南地区決定に引きづられた大きな理由は、「市が北仲通南地区に超高層ビルを建設する責務を負っている」からだとしています。しかし、その主張は間違っているとして、現在、市民オンブズマンが市を相手に係争中であります。この裁判で市が敗訴すれば、北仲通南地区案を採用する合理的理由がなくなり、またURとの契約解除で土地取得費の168億円の相当部分が戻ることになります。結果、港町地区案での正味の建設費は、現計画の三分の一に縮減できます。それでも北仲通南地区案を強行しようという行為は、重大な市民への利益相反行為となります。
次に時期についてですが、市長の判断で新市庁舎の完成時期を前倒しをして2020年の東京オリンピック・パラリンピックに間に合わせるとしています。いま、首都圏では東京五輪に向けて大型工事建設ラッシュで、人件費、資材費が上昇しています。わざわざ建築コストが増大する時期に、新市庁舎をなぜ完成させなくてはならないのでしょうか。
労務費の上昇や建築資材の高騰は、入札不調という形で表れてきています。先ほども述べられていましたように、千葉県木更津市では、横浜市と同じように新市庁舎整備を計画していましたが、労務費や資材費の上昇で入札参加者すべてが見積額の予定価格を上回ったということで、入札中止としています。東京都内でも、豊島区が西部地域複合施設の建設計画を、入札不調が続いたことにより、2020年まで凍結をしました。宮城県では、子育て支援施設の建設費を、入札不調になりかねないとして、見積額を約10%増加しました。木更津市や豊島区では、重大な決断をして、無駄な税金を使わないという賢明な判断をしています。
市長は、設計施行一括発注方式で早期に事業費を固めるので高騰のリスクの軽減を見込むことができるとしています。しかし、これは間違っています。仮にこの方式で一旦契約を結んだとしても、この先工事単価がどんどん高騰すれば、契約規則のインフレスライド条項によって、追加追加の補正予算を組まざるを得なくなります。市長ご自身も、先日の白井議員の質問に対して「設計施工一括発注方式といえども、物価などが変動して、工事請負代金額が不適当となった場合には、契約金額を変更する必要があると考えています」と述べられています。このように、市長がおっしゃっている建設コスト高騰防止策の根拠は、全く薄弱です。
市会各会派の議員のみなさんは、市長の説明を本気で信じていらっしゃるのでしょうか。そこまでのリスクがありながら、なぜ今の時期にどうしてもやらなければならないのでしょうか。それでも、市長が言う「プレゼンをする場所がない」、こういった理由を認められるのでしょうか。
問題の2つ目は、今の時期に新市庁舎建設を強行することは横浜市だけの問題ではなく、東北の被災地の復興の足を引っ張ることになることであります。
7月31日の復興庁公表資料によれば、昨年度の復興関連予算の執行率は64.7%にとどまっており、中でも災害復旧の公共事業は55.2%が未執行であります。その原因は、人手不足に加えて、労務費の上昇、資材高騰を背景に、建設業者の入札参加の見送りが目立ったためだとしています。
例えば、仙台市内陸部では、復旧工事の必要な約2500か所のうち、工事が終わったのはわずか3%であります。震災から3年以上が経って、いまだ約26万人の被災者が仮設住宅暮らしを強いられている現状を、市長あるいは議員のみなさんはどう見られているのでしょうか。市長は「東日本大震災に伴う復興事情についても承知していますが、現市庁舎の抱える課題は本市にとっても喫緊の課題であり、事業を着実に進める必要があると考えています」と述べられましたが、この言葉を被災地でがんばっている方々に聞いてもらっても恥ずかしくはないでしょうか。
あらためて議員のみなさん、東京オリンピック・パラリンピック前の完成にこだわらず、今回の市庁舎再整備計画は白紙撤回し、市庁舎のあり方をあらためて市民討議に付して、再検討するべきではないでしょうか。位置条例は改正すべきではないと強く強く主張して、議員のみなさんへ反対を呼びかけます。
同様の主張で、請願第7号「市役所の位置の決定における慎重かつ十分な議会審議の実施等について」の不採択についても反対します。
なお、議員の賛否を明らかにするのは当然のことであるということで、請願第9号「市の事務所の位置に関する条例の一部改正議案における各議員の賛否の公表等について」は採択すべきだとあらためて主張します。

 

子ども・子育て支援新制度実施を機に保育水準を引き上げよ

次に、子ども子育て支援新制度関係の市第49号、50号、51号、52号、63号および72号の6件の議案についてであります。
国で実施が決まった子ども・子育て支援新制度を条例化するにあたって、「支援」と言いながら、現行基準より後退するなど数多くの問題があり、今回新たに法定化するにあたっての基準も上げるべき、そして、すべての子どもたちが等しく保育を受ける権利を保障すべきという立場から、今回の条例案では不十分であるということで反対します。
この間、日本共産党議員団は不適切な保育運営費の使途について追求し続けてきましたが、保育運営費の使い方についても小規模園等で今回使途制限が事実上なくなることは大きな問題だと考えます。
現行基準より明らかに後退したものとして、4階以上の保育室に屋外階段を必置義務としないこととありますが、市長は「本市としても問題がないものと考えています」と答弁されました。今後、市内の4階以上の保育園が増えると、どんな事態になるでしょうか。
具体的にぜひ考えてみていただきたいと思います。保育士1人が抱えられる乳児はせいぜい3人です。しかし、3人抱えでは平行移動すら大変なのに、4階以上から垂直移動するというのは、あまりにも困難ではないでしょうか。煙に巻かれてしまうリスクは拡大します。こういうリスクを承知した上で、万が一ビル火災が起こった場合、許認可を出した市長の責任は非常に重いと指摘しておきます。
小規模園の保育士資格を有する保育者を3分の2で良しとした点についても、子どもの育ちに格差を持ち込むものであり、問題です。
今まで長年横浜の保育を支え、待機児童対策にも大きな役割を果たしてきた横浜保育室を、条例の中にも位置付けなかったことも大きな問題点です。今回の制度変更を機に、なぜ条例で位置付けなかったのでしょうか。新制度への移行を希望している所には手厚い移行支援を、移行を希望しない所についても市独自で条例で位置付けて、認可並みの公費助成を行うべきであります。今回の横浜保育室への処遇はあまりにも冷たい対応です。横浜の子どもたちが入る保育施設によって公費の扱いが違うというのは、税の公平性からみても理不尽です。
横浜市内の学童クラブは50年に及ぶ長い歴史の中で、子どもの権利を守り、子どもの遊びや生活や発達を保証してきました。現在、215か所で1万人近く子どもたちが放課後を過ごしています。今回、放課後事業健全育成事業が法制化されるのを機に、今までの水準を大幅に引き上げるべきで、それを保護者も強く望んでいます。
指導員の増員や処遇改善、保護者負担の軽減など、学童クラブから毎年毎年出され続けてきた要望に誠実に向き合って対応すべきです。また、各行政区に学童担当部署を置き、物件確保への公的援助など問題解決を進めるべきです。しかし、今回の条例化では、現状追認のレベルにとどまっており、全く不十分です。
今後、留守宅児童の受け皿として、学童クラブを積極的に増やすための支援ではなく、放課後キッズクラブの全校展開によって解消しようというのは誤りです。放課後キッズクラブは、5時までは全児童が対象であり、留守宅児童の生活の場の併用という位置付けです。市長は、キッズクラブと、放課後すぐに専用の生活の場となる学童クラブが同じ機能をもつと思っていらっしゃるのでしょうか。1校当たり5時以降に10人程度しかいない現状を見れば、キッズクラブが行う学童保育には何らかの問題があることは明らかであり、これでは小1の壁は解消しません。そのために、既存の学童クラブの分割移転支援にとどまらず、学童クラブが増えるような積極的な手立てを尽くすべきであります。キッズクラブについては、留守宅児童が安心して放課後を過ごせる生活の場として機能するような条件整備が必要です。
同様の趣旨で、請願第10号「子ども・子育て支援新制度の充実について」の不採択についても、反対します。

 

横浜市民の生活を破壊する消費税増税は撤回を

最後に、請願第8号「消費税増税撤回を求める意見書の提出方について」の不採択について、反対します。今年4月に消費税8%が強行された結果、市内経済の状況、市内商店街の状況を、議員のみなさんはどう感じていらっしゃるのでしょうか。今の経済の落ち込みは、個人消費でいえば過去20年の中で最大の下落幅にまで落ち込んでいます。国が決めたことだから地方が口を出すべきではないというのは、明確な誤りです。
消費税増税で不利益を被っているのは横浜市民であります。その横浜市民の付託を受けて活動している私たち議員は、横浜市民の生活を守る立場で主体的な行動をして、体を張って国の悪政の防波堤になるのが横浜市会議員ではないでしょうか。その立場で、あらためて横浜市民の生活を破壊する消費税増税の撤回を求める意見書を提出するべきであると主張して、討論を終えます。


2014-09-18 | 2014年の議会活動議会活動

平成26年第2回定例会 一般質問

(2014.5.23)

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憲法解釈変更での集団的自衛権行使に反対を表明せよ

古谷議員:古谷やすひこです。日本共産党を代表して、質問いたします。
まず、集団的自衛権の問題について、伺います。
今、安倍首相が憲法を解釈によって変えて、集団的自衛権の行使を容認することを進めようとしております。しかし、こんなことは本来は許されません。そもそも憲法は、国民が国家に守らせるべき法律です。憲法によって権力が拘束されるという立憲主義から真っ向から否定するものです。このことについて、断固抗議と反対の意思、表明すべきだと思いますが、どうか伺います。
私たちは、アメリカの戦争に日本が巻き込まれるような集団的自衛権の行使は認められない。米軍基地のある沖縄県では、「基地が標的になる」として18首長が反対の意を表明しています。同じく米軍の基地が存在する本市も、集団的自衛権が行使された場合は同様な危険があります。市民のいのちとくらしを守る立場から、集団的自衛権の行使の容認に踏み込むことについて、反対の意思を本市としても明確に表明すべきだと思いますが、どうか伺います。

渡辺巧教副市長:古谷議員のご質問にお答え申し上げます。
集団的自衛権について、ご質問をいただきました。
解釈での行使容認が立憲主義に反するかということについてでございますが、防衛安全保障の分野につきましては国の専権事項であり、基礎自治体としてお答えするものではないと考えておりますが、国の基本的枠組や進むべき道にかかわることではありますので、国政レベルで幅広く議論していただきたいと考えております。
集団的自衛権の行使についてでございますが、繰り返しで恐縮でございますけれども、防衛安全保障の分野につきましては基礎自治体としてお答えするものではないと考えております。

 

新システム移行に際して保育の質をさげるな

古谷議員:次に、子ども・子育て新システムへの移行について、伺います。
新システムについて、今、国と自治体で保育に対する公的責任を後退させるものだとして、保育などの関係者から強い危惧の声が上がっています。しかも主な財源は消費税増税で、子育て世帯にとっては二重に困難を押し付けるものとなっています。
先日発表された本市の4月1日付けの待機児童数の中で、特徴的なことは、この1年で開所された認可保育園31園のうち23園が株式会社立の保育園であるということであります。私たちはこれまでの議会論戦の中で、弾力運用という名のもとで、本来横浜の子どもたちのために使われるべき保育運営費が明らかな目的外支出であるといった事例を具体的に指摘をしてきました。保育運営費を本社の法人税の支払いにあてたり、別の保育園の建設費にあてられていたり、東京の認可保育園整備のためにあてられていたりすることについて、横浜の子どもたちのためには使われていないじゃないかということを指摘してきました。また、その結果、保育士が定着しないなど保育の質が低下する事例も出てきました。改善するべきだと厳しく指摘をしてきました。そして、企業立の保育園の中で働く方からも、それを裏付けるような内部告発が相次いできました。
こういった問題を置き去りのまま新システムに移行しては、公金の目的外支出を拡大してしまうようなことになります。そして、そのつけを結局は園児にまわしてしまうことになります。これからシステムをつくる時期に、あらためて保育運営費を目的外使用させないための規制を強化すべきだと思いますが、どうか伺います。また同様に、これから拡大する学童クラブなどでも、営利企業参入と運営費の使途について一定の規制、すべきと思いますが、どうか伺います。
新システムの移行に当たっては、本市で今まで行ってきた現行水準を下げないこと、特に現在市独自の上乗せ横だしをしている制度について保育の質を後退させないことが必要だと思いますが、どうか伺います。
新システムへの移行に伴って、小規模保育または認可園への移行を希望する横浜保育室に、十分な財政支援もすべきだと思いますが、どうか伺います。
学童について、新システムでは面積基準が定められたり、対象児童が6年生まで拡充されるなど制度が大きく動いてまいります。これが軟着陸できるように、積極的な行政の支援が、今、必要です。
特に、建物と人件費の問題、これはこの機会に解決の道筋をつけるべきだと考えます。特に、耐震性が不十分な施設を使っている学童クラブが全208か所中89か所、人数でいえば9698人の学童登録児童のうち3978人が、実に4割以上の子どもたちが耐震性の不十分な場所で放課後を過ごしていることになります。
放課後キッズクラブ、はまっこふれあいスクール、放課後児童クラブ、この放課後3事業を今は自由に選択できる環境にはない中で、住んでいる場所によって耐震性の危険度が異なるというのは不合理であり、一刻も早くこのことは解消すべきだと思いますが、どうか伺います。
また、賃金の安すぎる学童指導員の処遇についても、今回学童クラブが法で定められたことを機に、改善するべきだと考えます。しかし、指導員処遇の改善のためといっても、今以上に保護者負担増はもはや限界ですから、抜本的には補助金を増やすことがどうしても必要だと思いますが、どうか伺います。

渡辺巧教副市長:子ども・子育て支援新制度について、ご質問をいただきました。
営利企業における保育所運営費の弾力運営についてでございますが、新制度では保育所運営費の仕組みが変わることになります。報道によれば、保育に要する費用の仮単価の案が示されたようですが、現在本市としてもこの情報収集に努めているところであります。今後正式に内容が提示される予定でございますので、国が示す新たなルールを見極め、その動向を注視してまいります。
放課後児童クラブの運営費についてですが、現在本市の放課後児童クラブでは営利企業への補助金交付を見合わせております。新制度では、社会福祉法人その他の多様な事業者の能力を活用した放課後児童健全育成事業の実施を促進とされておりますので、補助のあり方について今後検討してまいります。
新制度における保育所の本市独自の助成についてですが、国が示す公定価格をもとに、現行の保育の質の水準を確保できるような、本市独自の助成のあり方を検討してまいります。
横浜保育室が認可の枠組みに入れるための支援についてでございますが、認可に移行するための施設整備費補助や、認可基準以上の職員配置を行った場合の運営費の加算などを行うことにより、積極的な支援を行っております。
放課後児童クラブの建物の耐震性の向上についてですが、留守家庭の子どもたちが安心してすごせる放課後の居場所を確保することは、喫緊の課題と認識をしております。放課後児童クラブにつきましては、25年度から開始した面積基準、耐震化を担保するための分割移転に対する準備経費の補助や、物件の情報提供を継続してまいります。
放課後児童クラブの運営費についてでございますが、本市では児童の人数に応じて常勤の指導員配置を義務付けておりまして、それに見合った基本運営費を補助しております。今後、国の省令で指導員の資格要件も求められることから、本市といたしましても指導員の処遇も含め、安心安全な活動を行うために必要な財源措置につきまして国にしっかりと要望しているところでございます。

 

一攫千金をねらうカジノを横浜でやるのか

古谷議員:続いて、カジノの問題について伺います。
今度調査費のついたIRは、その概念上カジノを含まない事はありえません。したがって、IRの問題はカジノを横浜でやるかどうかの問題です。現在認められている競輪・競馬などの公営ギャンブルは、公設・公営・公益で、特別法で定められています。しかし、現在国会の審議待ちのカジノ法案で検討されているものは、公営ギャンブルとは真逆で、民設・民営・私益で運営され、そこに公益性はひとかけらもありません。こんなことを横浜市は本当に進めていいんでしょうか。民設・民営のカジノにどんな公益性があるのか、伺います。
横浜にカジノをつくるということは、真面目に働いて額に汗して、横浜を支えていくという勤労の風土ではなくて、敗者の上に成り立つ偶然の享楽で経済を活性化させるということに他なりません。子どもたちにまじめに働かなくても一攫千金が起きるなんてことを教えられるのかどうか、伺います。
ギャンブル依存症について、ギャンブル依存症の調査は、2008年に厚生労働省が行い、その後も継続的に行われております。2010年、11年、12年と、研究結果の報告書が出されています。その報告書では、諸外国に比べて日本の現状は今どういう状況にあるのか、本市はどういう状況なのか、調査結果をどう認識されて、本市ではどんな対策をうってこられたのか、伺います。

渡辺巧教副市長:IR統合型リゾートについて、ご質問をいただきました。
IRの公益性の考え方についてですが、本国会に提出されております法案では、「特定複合観光施設区域内の整備の推進が、観光および地域経済の振興に寄与するとともに、財政の改善に資するものであること」、全部引用させていただきましたが、と第1条の目的に明記をされております。また、同様に第3条の基本理念には、「地域の創意工夫及び民間の活力を生かした国際競争力の高い魅力ある滞在型観光を実現し、地域経済の振興に寄与するとともに、適切な国の監視及び管理下で運営される健全なカジノ施設の収益が社会に還元されること」が明記されております。こうしたことから、この法案に基づき構想されるIRにつきましては、公益性があると考えているところでございます。
IRによる経済の活性化について子どもにどう教えるのかというご質問でございますが、現在運用されております競馬などの公営競技は法律に基づく規制により適正に運営され、その収益の使途として、社会福祉の増進などの必要な経費の財源にあてることとされております。いわゆるIR推進法案には、「観光及び地域経済の振興に寄与するとともに、財政の改善に資するものであること」、先ほどもご紹介したとおりですが、さらには「適切な国の監視及び管理下で運営される健全なカジノ施設の収益が社会に還元されること」が明記をされております。こうした法案の趣旨や理念などにつきましては、子どもさんにかぎらず多くの市民のみなさまにご理解いただくことが重要であると考えております。
ギャンブル依存が日本では高いというご指摘についてでございますが、これは先生ご指摘のとおり、確かに日本人男性のギャンブル依存の発生頻度が高いとされておりますけれども、その要因としてパチンコによる頻度の増大の影響が大きく、わが国独自の状況を呈していると報告されていることは認識をしております。
また、本市の状況および対応についてですけれども、ギャンブル依存に特化したかたちでは把握しておりませんけれども、各区においてアルコールなどの依存症全般に関わる相談の中で対応しております。具体的には、相談の内容に応じて専門の医療機関や回復に向けた施設およびNPO法人などの団体を紹介しております。また、このようなNPO法人に対して、横浜遊技場組合さんがその活動を支援するなどの取り組みを行っていらっしゃいます。

 

栄養バランス、夏場の傷み等弁当の問題解決にも中学校給食実施を

古谷議員:次に、中学校給食について伺います。
横浜市では今年度望ましい昼食のあり方を検討して、アンケートなど行うという予定ですが、ぜひお隣の川崎市で行った給食アンケート参考に、取り組んでいただきたいと思います。
川崎のアンケート結果等からは、保護者は家庭弁当について3つの心配があることが分かっています。弁当の栄養バランスの問題、「夏場の傷み」の問題、経済的に弁当が用意できない家庭への対応の問題です。
そこで伺います。本市では、家庭弁当の栄養バランスの担保、どうとっていくのか。また、弁当の「夏場の傷み」にどう対応していくのか。また、お弁当を用意できない経済的困窮家庭に対して、どう対応していくのか、それぞれ伺います。
本市では、就学援助を使って給食費が免除されている小学生は実に2万6500人います。これらの児童が中学生に上がれば、給食がないため、昼食に対する援助が全くなく、自己責任というのが今の横浜の現状で、現に昼食を用意できない家庭もあります。中学生が昼食を食べるも食べないも市は関知しないというのが本市の方針なのか、伺います。
この3つのデメリットは、いずれも給食を実施しているところでは起こりえない問題です。
今後行う昼食に関するアンケートでは、2011、12年度で行ったアンケートのように弁当を前提とした設問ではなく、給食についても家庭弁当についても中立的なゆがみのないニーズ調査を行っていただきたいと思います。
川崎のアンケートのように「おこさんに中学校での昼食は何を食べさせたいですか」と素直に聞くべきだと考えますが、どうか伺います。川崎のアンケートでは、この設問の回答に8割近い保護者が「小学校のような給食」を選んでいます。この結果について、所感を伺います。

岡田教育長:中学校給食についてご質問いただきました。
家庭弁当における栄養バランスの担保の考え方についてですが、家庭弁当は保護者など作る方が責任を持って作っていると認識しています。教育委員会としては、家庭弁当作りを応援するために、短時間で手軽に作れる栄養バランスがとれた弁当レシピや、主食・主菜・副菜のバランスなど弁当作りのポイントを記した資料を全世帯に提供しています。また、学校では家庭課の授業や生徒会活動などで、子どもたち自身がお弁当作りに関われるように食育に取り組んでいます。
家庭弁当の夏場の傷みを心配する保護者への対応についてですが、これまで教育委員会で把握している限りでは、家庭からの持参弁当による食中毒は報告されておりません。教育委員会としても、食育だよりをとおして衛生面に配慮した夏場のお弁当作りの留意点を紹介しています。また、学校によっては、保健室だよりなどによりまして、保護者へ食中毒に対する注意喚起も行っています。なお、学校に空調が整備されたことにより、保護者の安心感が高まっていると聞いております。
小学校で就学援助を受けている子どもが中学校へ進学した場合の対応ですが、就学援助を受けている生徒が経済的な理由だけで弁当を持参していないという報告は受けておりませんが、何らかの家庭の事情で弁当を持参できない生徒がいるという状況は学校からの報告があり、各学校で教職員や地域の方々のご協力もいただきながら支援をしております。
昼食を食べるも食べないも家庭の問題であるというのが本市の考え方なのかについてですけれども、自立を目指し、成長をする段階の中学生には、自ら食べることへの意味をしっかりと考えてほしいと思い、食育について推進しているところです。
川崎市のアンケートのように、素直に質問するべきとのことですが、川崎市では中学校での完全給食実施を前提として実施に関する基礎資料とするためアンケートを実施したと聞いています。本市のアンケートでは、今後の中学校昼食の充実に対するニーズや要望などを把握してまいります。
川崎市のアンケートで保護者の8割近くが給食を望んでいることについての考え方ですが、川崎市のアンケート結果では、中学校の昼食で一番食べたいものについて、子どもの約5割が家で作った弁当と回答し、小学校のような給食と回答した子どもは約3割弱であるという内容から、保護者と生徒の意識の乖離が窺えます。本市の中学校給食のあり方の検討にも参考になると思います。
以上、ご答弁申し上げました。

 

横浜でも寡婦控除のみなし適用を早く実施せよ

古谷議員:最後に、先ほどもありましたが、非婚の母の寡婦控除のみなし適用を行う問題です。
死別あるいは離別など結婚歴のある母子世帯には寡婦控除が認められ、税金や保育料などの軽減策がありますが、非婚の母子世帯には認められていないため、税金や保育料などに大きな差が出ています。この差を解消するために寡婦控除のみなし適用を行う自治体、実はこの4月からがたくさん自治体が増えています。
しかし、本市ではこの問題について、第一回定例議会の際に「全庁的に検討してまいります」と回答されておりましたが、お隣の川崎市でも急展開で動き、「準備ができ次第、4月までさかのぼって適用したい」と、こう踏み込んで市長も発言しています。
本市の状況も、もはや待ったなしです。毎日毎日、本市では約1800世帯の方々が、この問題に苦しみ続けています。また、どうしてもやりきれなくて、生活保護を受給されている方も知っています。現時点で本市が既婚か非婚かで待遇に差をつけている合理的な理由は何か、伺います。
横浜市でも一刻も早い対応が必要ですが、いまだやっておりません。いつからやるのか、踏み込んだお答えをいただきたいと思います。また、まずは保育料とか部分的にできるところからでも始めるべきだと思いますが、どうか伺います。

渡辺巧教副市長:寡婦控除のみなし適用について、ご質問をいただきました。
婚姻歴の有無で差をつける合理的な理由についてということでございますが、本市ではこれまでも児童扶養手当など婚姻歴の有無にかかわらずひとり親家庭を支援する制度を実施してまいりました。一方で、国の制度上、所得税額等を用いて算定することとされているものにつきましては、現行の所得税の寡婦控除の取り扱いが影響を与えているものと考えております。
実施の時期についての考えについてですが、本来は税制度を含め国全体で検討されることが望ましい課題であると考えておりますが、ひとり親家庭の自立支援を進める本市といたしまして、寡婦控除のみなし適用を導入した場合の課題や実施の方法等について、全庁的に検討を進めておりまして、その結果を踏まえて、本市での対応を総合的に判断していきたいと考えております。
実施できる制度からみなし適用を始めるべきとのお考えについてですが、今申し上げましたとおり、現在寡婦控除のみなし適用を導入した場合の課題等について検討を進めております。この結果を踏まえまして、本市の対応を総合的に判断をしてまいります。
残りの質問につきましては、教育長より答弁をいたします。

 

利便性第一の高速道路のあり方は根底から再検討すべき

古谷議員:なお最後に、先ほど質問をしました自民党の遊佐議員のわが党に対する問題提起に一言答えたいと思います。南線に反対する理由は、何よりも財政負担の大きさです。南線の総事業費は約5000億円。環境への負荷も問題です。住民合意もありません。そこに住まわれている住民を押しのけてでもやるつもりなんでしょうか。そこにどんな大義があるんでしょうか。人口減少社会の到来、大量生産・大量消費社会のあり方が問われる中、利便性を第一義的に追い求める高速道路のあり方は根底から再検討すべきだと訴えて、質問を終えます。


2014-05-23 | 2014年の議会活動議会活動

平成26年第1回定例会 平成26年度予算及び予算関係議案の討論、採決など

(2014.3.25)

動画はこちら

 

新たなインフラ整備は維持・更新費がかかるばかり

先日、4月からの消費税増税強行する2014年度国家予算案は、自民党・公明党などの賛成で可決成立しました。いまあちこちで「消費税増税分は全額社会保障にあてる」と税金を使って盛んに宣伝されていますが、年金・医療・生活保護など社会保障の給付は軒並み削減されました。このことで市民生活がさらに苦境に陥ることは明らかであります。そんな中で、国の悪政から市民生活守る立場に立つのかどうか、問われています。
林市長は、「市政運営の基本方針と予算案について」の中で、これからの横浜の未来、描かれています。問題意識・課題認識は、共有できる部分もあります。しかし、その課題に対して、対処していく手法には共感できませんし、これでは展望も持てません。市長は答弁で「将来世代に過度な負担をさせるべきでない」といいながら、その一方で「大胆な投資」「スピードアップさせる決断」として、横浜環状道路建設の推進や国際コンテナ戦略港湾整備に大きく傾注した予算をつけました。しかし、既存のインフラの維持更新費すら十分に費用がつけられておらず、そんな中で新たなインフラを作れば、その時から新たな保全費が発生します。このままでは、私たちの先達が営々と築いてこられた横浜の財産すら維持できなくなるのではないでしょうか。それでも市長は「大胆な投資をすべき時なんだ」とおっしゃるのであれば、それらすべての新設のインフラの総事業費とそれによって増える維持保全費、しっかりと示すべきであります。
それも示さずに、これからの生産人口減の中で、どこにそのお金を捻出し続ける根拠があるのでしょうか。言葉だけは威勢のいいことをおっしゃっていても、これでは何の裏付けもない、根拠のない無謀な提案と言わざるを得ません。その上、新市庁舎建設やカジノなど、どれだけバブルな発想なんでしょうか。そんな無謀な提案によって、今の現役世代やその次の子どもたちの世代に莫大な借金を押し付けてしまうことをみなさん本当に良しとするのでしょうか。

 

生活を脅かす高速道路建設での土地収用、下水汚泥焼却灰の埋め立てはやめよ

高速道路の問題では、湘南道路を含む南線が今進められようとしています。この議会開会中も土地収用法による住民説明会が行われ、たくさんの方が会場に詰めかけています。現計画をそのまま進めるとすれば、抵当権者も含めると1700人を超える権利者の土地が収用されてしまいます。うち、横浜市がつくる関連街路だけをみても、そこに立地するマンションは2棟あり、区分所有者は454名もいます。それだけ多くの人の権利を市長、踏みにじることを強行しようというのでしょうか。
市長は、国の進める事業に対して協力をしなければならないという立場もあるかもしれません。しかし一方で、横浜市民の代表であり市民を守る立場にも立たなければなりません。断じて、国の手先になって、市民生活を脅かす立場に立つことは許されません。
これは下水汚泥焼却灰の処理の問題でも同じであります。市民団体や地元住民をはじめ、港を一手に取り仕切っている港運協会含めて大反対をしている、南本牧最終処分場の陸上部分への埋め立ては、強行すべきではありません。本来、国や東電が責任をとらなければならない放射性汚染物質を、なぜ横浜市がお先棒をかついで、市民はその被害を押し付けられなきゃならないのでしょうか。ここでも、どちらの立場に立つのか、市長、問われているのではないでしょうか。

 

政令市最低レベルの子育て施策から脱却を

また市長はこうも言っています。「多くの方々、企業の皆様に横浜を選んでいただき、そして長く住み続け、活躍の場としたいと望まれる横浜を、必ず実現していきます。」と。こう言うからには、文字通り横浜に住むことを選んでもらう施策を市長は進めるべきです。しかし、今やっていることは、全くの真逆の政策です。少人数学級の推進も政令市最低レベル、小児医療費無料化助成も県内最低レベル、中学校給食がないことも政令市最低レベル、さらに今回の予算審議の中でほとんどの政令市で引き下げていない就学援助の基準も国の要請を無視して切り下げました。こんなにも、子どもを産み育てるという条件・環境が他都市と比べても劣っているというのは、切れ目のない子育て施策を充実させると日頃おっしゃる市長とは思えない。言っていることとやっていることが全く違います。また、これらの指摘に対して、市長からはまともな答弁もありませんでした。非常に残念です。
また、今回予算案の中では、ふとん丸洗い事業などが廃止されました。この事業の対象は、寝たきりの知的障害者なども入っています。こうした最も配慮すべき方々に対して、意向調査もせず、実態調査もしないまま、机上の計算だけで、事業廃止を決めてしまうというのは、林市長が現場主義だとおっしゃいながら、こういう一人ひとりの市民生活、顧みないやり方をしているというところが、こういうところからも透けてみえてきます。

 

人口減少社会に適したまちづくり計画を

私たちは、今回の予算案に対する対案として、先ほどの予算組替え動議で述べましたが、こう考えています。市長も認識していらっしゃるように、これからの人口減少社会の時代認識に立った上で、新たな都市像を作っていくべきだと思います。それは、政府の経済成長戦略を取り込んだ新たな大規模開発中心のまちづくりではありません。地方自治の立場に立って、人口や産業が減少・縮小することを前提とした計画的なまちづくり、その中で地域で暮らし続けられるようなまちづくりであります。
産業で言えば、大型公共工事など箱モノづくりではなく、居住地に近接するサービス業や教育、医療、福祉、再生可能エネルギーなどの分野を発展させることであります。政令指定都市最大の人口を抱える横浜市の強みを生かして、市民の能力を最大限に発揮できる条件や環境を整えるための予算こそ、転換期には必要なのではないでしょうか。

 

破綻した中学校給食やらない論、中学校給食の実施を

そして特に、これからの時代の中で、横浜の子育て施策について述べます。
まずは、中学校給食の未実施の問題。私は、教育委員会の質疑に当たって、この間の中学校給食を実施しない理由の変遷をみてきました。昔は、いわゆる“愛情弁当論”を振りかざして「親の愛情のこもった弁当が必要だ」と言い続けてきました。今でもごく一部の方がおっしゃっておりますが、私はいま中学生の子どもを持つ親として言いたい。親の愛情の示し方まで私は指示されたくはありません。この理屈も、今はそれは言わなくなったようですが、次は、中学校期の体格のことを捉えて「中学校期になると体格・食事量など個人差が大きくなり、給食などの献立よりも、子どもたちが自分の体調や栄養バランスを考慮した、個々に応じた昼食の方が望ましい」と、つい最近までこの理屈を言っていましたが、これも今回の質疑を聞いていると、その理屈は破綻したと自ら考えられたのか、これも言わなくなりました。今回では、弁当の良さを教育長は「作ってくれる方とのつながりがあるからいいんだ」とおっしゃいましたが、その回答自身が何の裏付けもない教育長の主観であると答弁をされています。市長、結論先にありきで、やらない理由をあとからつくるのはもうやめにしましょう。中学校給食を拒否するための理由づけは、全国の学校給食の工夫や成果を否定することになる上、横浜市の小学校の給食の実践をも否定することになります。
この際、教育委員会のみなさんにも訴えます。みなさんも公務員であるのなら、中学生の願い、市民の願い、拒否するための理由づけを無理やり考えるよりも、どうしたら実現できるか考える方が楽しくやりがいがある仕事ができると思います。どうでしょうか、教育長。
私たち日本共産党横浜市会議員団は、改めて学校給食法に基づいた中学校給食の実現を求め続けていきます。

 

子どもにも先生にも一挙両得の少人数学級

次に、少人数学級を前進させない問題です。これは、生徒に対してと先生に対して、二つの問題があります。まずは、生徒に対してですが、今回の予算案の中で、グルーバル人材を育成するためとして英語教育が大きく強化されています。これを全面的に否定するものではありませんが、100歩譲って英語教育をより進めるにしても、今の状態のままではひとりひとりの成長に応じた教育効果は到底望めず、結果、落ちこぼれてしまう子どもたちを救えません。公教育のあり方として、まずは少人数学級を進めることで一人ひとりの成長に光を当てる施策を、すべての教育条件の土台として位置づけることが必要です。今回の予算ではその点で一歩も踏み出さなかった責任、重いと思います。
次に先生に対してですが、田村厚生労働大臣が先日の国会審議の中で「教員も労基法の対象になる」と発言しており、一般的に月80時間の残業時間を超えるとブラック企業といわれますが、果たして本市で働く教員の残業時間はどうなっているでしょうか。先日、開催した教育シンポジウムで、ある現職の小学校教員の方がこう発言されています。「子どもたちのために忙しいのは本望だが、事務作業等の周辺作業が忙しくて子どもたちに向き合う時間がないのは辛い」。こういう先生の悲鳴ともいえる状況、教育長は掴んでいらっしゃるでしょうか。市長、教育を充実させるというのであれば、生徒にとっても先生にとっても、少人数学級を進めることが一挙両得の施策であると、改めて求めます。

 

はだしのゲン」をはじめ子どもの知る自由をきちんと保証すべき

最後に、学校図書館の問題ですが、漫画「はだしのゲン」をめぐって、全国的に問題になっています。
今議会の特別委員会の中で、自民党・山下議員が「はだしのゲン」を政治的思想的な色合いが強い、また天皇陛下に対して侮辱的な発言があるなどとして、学校長に判断を委ねていいのかと述べました。また、常任委員会でも、自民党の横山議員が「はだしのゲン」に過度な表現や中学校の発達段階で不適切な画面や映像があるため、図書選定の責任者の適切な判断を望みたいと述べました。
全国的な動向をみると、大阪の泉佐野市で市長が市教委に指示し、「はだしのゲン」を回収し、そのことに校長会が抗議して、返却されています。その際に、ある校長は「学校の図書については校長に権限があり、市教委が介入するのは筋違いで腹立たしい」、こう述べています。今議会の総合審査の中でも、市教委は「学校図書の選定は学校の選定委員会などの意見を参考にして学校長が決めること」を確認した際に「そのとおりである」と教育長も答弁されています。
1953年に学校図書館法が制定され、その後1991年に全国学校図書館協議会によって「学校図書館憲章」が採択されています。その際に重視されたのは「自らが調べ学んでいく学習」です。誰かが先回りをして、子どもたちの成長・発達にふさわしいかどうかを決めるなんていうことはナンセンスです。また、図書館などに置いてあるパソコンからはインターネットの情報が氾濫している中で、教育委員会が生徒の情報にアクセス制限をすることは事実上できません。
そんなことをよりも、子どもたち自らが自主性をもって物事の本質を学んでいく力を身につけさせることの方がよほど重要ですし、児童の知る自由はきちんと保証すべきで、誰にも侵すことができない権利だと申し述べておきます。

 

市民と共同して、安心して住み続けられる横浜を

最後に、今年度も私たち日本共産党市会議員団は、市民の生活と生業を守る立場で、道理と大義ある提案を示しながら、広範な市民の皆さんとも共同して、安心して住み続けられる横浜つくっていくことを表明して、討論を終えます。


2014-03-25 | 2014年の議会活動議会活動

平成26年度予算特別委員会 予算第一特別委員会局別審査(教育委員会関係)

(2014.3.7)

動画はこちら

 

横浜の中学校では家庭弁当が給食より良いと言い切れるのか

古谷議員:最初にスライドの許可、お願いいたします。
日本共産党、古谷やすひこです。学校給食法に基づいた中学校給食の実施を求めて、質問をしてまいります。本市の中学校で給食を実施していない理由、何か、伺います。

岡田教育長:小学生から中学生への成長を踏まえ、中学校では弁当を基本としております。昭和31年に学校給食法が改正され、中学校でも給食実施が可能になりました。しかし、本市におきましては、昭和30年代後半から40年代は急激な人口増加があり、それに伴って児童・生徒のための授業を行う教室等の整備を中心に学校を建設してきました。その間、家庭弁当が定着し、日本の食糧事情や食生活も大きく改善されたため、優先される課題とはなりませんでした。

古谷議員:では、家庭弁当がいいというふうにおっしゃられているんですが、家庭弁当の良さはなんですか。

岡田教育長:家庭弁当は作ってくれる人と食べる人とがつながりが非常にいいこと、それから自分ならではの良さがその中にあること、そして作ってくださる方との会話や保護者への感謝の気持ちが生まれるきっかけになります。また、アレルギー等の心配がほとんどないことも良さのひとつと考えています。

古谷議員:今ペーパー読み上げられたんですが、そうおっしゃられる裏付けの家庭の調査、やられていますか。

岡田教育長:家庭の調査はしておりません。

古谷議員:そしたら、なぜ、そう言い切れるんですか。

岡田教育長:一般論として、そして私の所感として申し上げました。

古谷議員:教育長が今おっしゃられたようないい面もあると思います。しかし、そういうお弁当作れないという家庭もあるというふうに思います。いろんな家庭があるからこそ、公の役割として成長期に必要な食物を摂取できるように学校給食があるというふうに私は考えますが、教育長の考えを伺います。

岡田教育長:中学生になるという成長段階を考えますと、ご自分で作ることも可能ですし、時間、食材、金額、体調、栄養等さまざまな条件の中で、自分にとってよいと考える食を考えるということはとても大事なことだと思いますし、食生活の形式や食への自立というものも、中学生にとっては、私は大変大切なことだと考えています。

古谷議員:ではなぜ、小学校では給食を選択しているのか、伺います。

岡田教育長:本市におきましては、小学校では学校給食法が施行される以前から小学校において学校給食が実施されており、学校給食法の施行後はこの法律の実施基準に従って実施しているものです。

古谷議員:続いて、今までの答弁の中で教育長は「給食にもいいところがあります。また、家庭弁当にもいいところがある」というふうにされています。それぞれ、給食の課題、家庭弁当の課題、それぞれ何だと考えられていますか。

岡田教育長:小学生の成長過程を考えますと、暖かいものをみんなで一緒に食べることで学び合うこと、それからもちろん栄養バランスのよいものを食べていくということもありますけれども、何よりも子どもたちが給食を食べていくことで成長していくということが大きいというふうに、給食は思っています。
お弁当の良さというのは、先ほど申し上げましたので。お弁当の課題、それはやはり、中学生の課題ということになりますけれども、朝、保護者が作れなかった場合、自分で作れなかった場合のお弁当の調達ですとか、そういうことになると思いますけども。

 

学校給食法では中学校期だからこそ給食が必要だと書かれているが

古谷議員:今までのは前置きです。これから、いままでの答弁踏まえて、質問していきたいと思います。
先ほど、教育長は答弁の中で、「中学校期になると成長を踏まえて」というお話がありました。そこでお聞きしたいんですけど、先ほど引かれたように、学校給食法では当初小学校までしか対象でなかった学校給食、中学校まで広げた改正学校給食法には改正の趣旨にこうあります。「個人差が大きくなって心身ともに旺盛な発達段階にあるからこそ、適切な学校給食が実施されることが義務教育の完成を目指す上で重要である」と。中学校期だからこそ、給食が必要だと書かれています。教育長のご見解とは真っ向から反すると思いますが、いかがですか。

岡田教育長:給食法が出来ました年代を考えますと、そういうことだったんだろうなというふうに思います。

古谷議員:今はどうなんですか。

岡田教育長:先ほども申し上げましたけれども、当時と比べて日本の食糧事情や食生活の改善は著しいものがあります。それを踏まえますと、一概に給食がいいというふうな結論にはならないんではないかなっていうふうに考えています。

古谷議員:学校給食が法によって規定された意味は、教育長、何だと考えていますか。

岡田教育長:31年に学校給食法が改定されまして、小学校から中学校も実施可能になりました。いろいろ言われておりますけれども、当時の食材調達やいろんなことを考えますと、給食を選択していた都市もあるし、それぞれの事情により実施しなかった都市もあるということだと思います。

古谷議員:もう少し歯切れのいい答弁お願いします。

 

栄養バランス的に家庭弁当は学校給食より優れているか

古谷議員:続いて伺います。栄養バランスに着目した場合に、家庭弁当と学校給食、どちらが望ましいと考えますか。

岡田教育長:お弁当を作っている保護者の方に対して失礼になるといけませんので、本当に所感ということになりますけれども。すばらしいお弁当を持参している方もいると思いますし、また今、その1食だけで栄養を取るという概念は今の子どもたちにはないというふうに思いますので、1日1週間トータルな栄養バランスを考えて、そのときに取るものがバランスいいかどうかということに関しては、バランスを欠けるというものもあると思います。

古谷議員:もちろんそうです。学校給食法でも、中学生期で1食で摂取される必要な基準というのが学校給食実施基準の別表、スライド出されてませんけど、実施基準の別表で示されていて、それに基づいて全国の8割の中学校では給食が提供されているわけなんです。ですが、本市では、いままでの答弁では、家庭弁当の方が栄養バランスが望ましいという答弁をずっとされています。それはどういった根拠でいままでされていて、今の答弁との違いが、ぜひ教えていただきたいと思います。

岡田教育長:すいません。ちょっと今、ご質問の意味を考えながら立ちましたけれども、家庭弁当で栄養バランスがあるとかないとかっていうお話を答弁としてした覚えがないので、いつの答弁のことだったのかなというふうに、今考えているんですけれども。お弁当にはお弁当の良さがあるし、小学校の給食には小学校の給食としての意味がある、役割があるっていうことはいままでずっと申し上げてまいりました。

古谷議員:はい、では読み上げましょう。2012年度の私どもの予算要望の中で、「中学校において学校給食法に則った給食を早期に実施すること」という中で、回答の中でこうあります。「子どもたちの体調や栄養バランスに考慮した、個々に応じた昼食のほうが望ましいと考え、中学校における昼食は、家庭からの弁当持参を基本としています」と、こう回答されています。これについてどうですか。

岡田教育長:おそらく、一人ひとりの子どもの成長に応じたお弁当が作れる、用意できるということで、当時答弁あったというふうに思います。

古谷議員:今、示されている学校給食摂取基準、本市の中学校の食育の中ではどうやって位置付けられていますか。

岡田教育長:1食あたりの、これは学校給食の基準だと思いますけれども、食育として中学生の成長過程で必要なものということで、トータルに学んでいます。

古谷議員:本市の中学生の食育の中では、どうやって位置付けられていますか。

岡田教育長:中学校で給食を採用しておりませんので、給食としての標準というのは使っておりません。

古谷議員:これ、なぜあげたかっていうと、この学校給食摂取基準というのは、かなり頻繁に臨時改定を繰り返しています。これ、非常に中学生の体格を考えて、臨時改定をずっと繰り返しているんです。そういったことが、学校給食法ではやられているんですけど、そういったことが横浜市の中学校ではどういうふうに位置付けられてやられていますか。

岡田教育長:何度も同じ回答して申し訳ありませんけれども、給食やっておりませんので、給食の基準というのは、位置付けはございません。

 

横浜市は国の食育推進基本計画や学校教育法に従わないのか

古谷議員:続いて伺います。2010年に食育基本法が制定されて、それに基づいて国が「食育推進基本計画」を策定しました。その中には、学校の役割として「学校給食の充実」の中に「子どもが食に関する正しい知識や望ましい食習慣を身に付けることができるよう、学校給食の一層の普及を促進する」とありますが、本市はこの普及の方針には従わないということなんでしょうか。教育長、伺います。

岡田教育長:食育は食育で実施しておりますし、今は給食を位置付けておりませんので、給食法のその箇所については位置付けはありません。

古谷議員:丁寧に答えていただきたいんです。食育基本計画の中で、「学校給食の一層の普及を促進する」とあるんです。これに背いてませんかということなんですが。

岡田教育長:給食を実施している小学校ではきちっと基準は尊重しています。中学校では実施しておりません。

古谷議員:丁寧に答えていただきたいんですが。
続いて伺いますね。給食が行われている小学校ですらですね、給食では全部の食事の6分の1しか管理できないので、食育の推進のためには緊密に家庭と連携してやろうとなっています。ましてや給食を実施していない本市中学校では、小学校にも勝る努力と工夫が必要だというふうに考えます。小学校と同じ事業はおっしゃらなくて結構ですので、小学校以上に中学校で行われている家庭弁当での食育を進めるために努力されていること何か、伺います。

岡田教育長:中学校の学習指導要領には、きちんと学校給食を実施していない学校においての食育に関する指導事項も記載されておりまして、それをきちんと踏まえまして、個に応じた家庭弁当でも、教材として特別活動や技術・家庭科などで取り上げることで、食育にしっかり取り組んでおります。

古谷議員:2004年に学校教育法が改正されて、栄養教諭制度が創設されています。その改正の主旨にはこう書かれています「今回の改正は、児童生徒の食生活の乱れが深刻化する中で、学校における食に関する指導を充実し、児童生徒が望ましい食習慣を身に付けることができるよう、新たに栄養教諭制度を設けるものです。この栄養教諭は、栄養に関する専門性と教育に関する資質を併せ有する教育職員として、その専門性を十分に発揮して、特に学校給食を生きた教材として有効に活用することなどによって、食に関する指導を充実していくことが期待されています」。学校教育法の中でも、学校給食が位置付けられています。横浜市は学校教育法にも反しているのではないですか。

岡田教育長:反しているとは思いません。

古谷議員:少し勉強していただきたいというふうに思うんですが、今までの教育長のご発言は本当に破綻しているというふうに思います。ぜひ求めたいというふうに思います。


2014-03-07 | 2014年の議会活動子育て・保育議会活動

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