議会活動

平成22年度決算特別委員会 決算第一特別委員会局別審査(病院経営局関係)

(2011.9.29)

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地域防災拠点として市民病院の役割は重要

古谷議員:日本共産党の古谷靖彦でございます。日本共産党を代表して、質問いたします。
まずはじめに、本市の防災計画の中での病院経営局の役割についてお伺いします。
3月11日の東日本大震災を受けて、横浜市では震災が起きたときの本市の対応について心配されている市民も大変多いと思います。また実際、首都圏直下型地震も高い確率で起こると予想されております。そんな中で、まず、本市の防災計画の中での病院経営局の役割についてお聞きします。2006年に策定された横浜市防災計画の震災対策編の中では、地域医療救護拠点の機能がいろいろ書かれてありますが、拠点となる市民病院では、災害に備えてどんな訓練されてますでしょうか。市民病院長、お願いいたします。

鬼頭市民病院長:市民病院では、16年度および17年度に大規模地震発生を想定したトリアージ訓練を実施し、20年度には新型インフルエンザへの対応訓練、昨年度は生物化学テロを想定した除染訓練を実施いたしました。引き続き、地震だけではなくさまざまな災害を想定し、災害拠点病院として求められる機能を果たせるよう、トリアージを含めた実践的な訓練を実施していく必要があると考えております。

古谷議員:いま、お答えになったトリアージっていうのは、大変緊急時には重要だというふうに考えます。押し寄せる患者さんを重症度に応じて対応を判断して、優先順位を決めるといったことでありますので。そこで、市民病院さんでは、トリアージできる医師や看護師がどの程度いらっしゃいますか。

堀病院経営局長:救命救急センターの6人の医師が中心になろうかというふうに考えております。

古谷議員:ありがとうございます。
続いて、防災計画の都市災害編の中では、今話題の放射性物質災害に関する事務分掌があり、その中での病院経営局の役割が書かれてあります。「被ばく者に対する救急医療に関すること」、そして「健康相談、健康診断の実施に関すること」とあります。今、港北区の土壌から高い濃度の放射線汚染が見つかり、全市的に今対応しているところだと思います。健康不安を感じていらっしゃる方もいらっしゃると聞いています。そこで、2008年に策定されたこの防災計画、3年たったいま、その放射性物質災害に関する病院経営局の取り組み状況について教えてください。

堀病院経営局長:この防災計画の中では、市立病院の役割ということで、他の災害拠点病院と同様でございます。被ばく者に対する救急医療ということで、仮設救護所でのスクリーニング、一次除染をおえた患者さんのうち、放射性物質による汚染がなく、重篤でない患者さんを受け入れるということになっております。従いまして、通常の救急医療の中で対応が可能というふうに考えています。
それから、健康相談、健康診断の実施については、被ばくのおそれがある住民、それから不安感をもっている住民の方、区役所を中心に開設される臨時相談室と連携しながら、病院の放射線医師等を中心に対応していくという計画の内容になっておりまして、先ほど市民病院長がお答えしましたトリアージ等の訓練等は行っておりますけれども、特別なそれに対する訓練ということはございません。

古谷議員:すいません。通告はしてないですが、放射能災害の治療に関する専門家は市内ではいらっしゃいますか。

堀病院経営局長:市立病院にはございませんで、北里大学病院、それから放射線医医学総合研究所、そこが専門病院ということになろうかと思います。

古谷議員:ありがとうございます。いま、大変、見えない放射能に対して市民のみなさんが大変大きな不安を抱いているといったところで、そんな中この防災計画は先んじて作られたものだというふうに感じております。その役割を果たすことは大変重要だということを申し述べて、次に移りたいと思います。

 

看護師増やして6床のNICUベッドをフルオープンせよ

次は、続いて、市民病院のNICUについて伺いたいと思います。
先ほどどなたかの答弁の中で、周産期医療の向上は大変重要な課題だというふうに答弁されておりました。都市部における公立病院の役割っていうのは、地域の医療供給体制の中で不足する政策的医療分野を担うことであることはいうまでもありません。その政策医療の重要な一つでもあります周産期医療について伺います。
まず、周産期医療についての今の横浜市の医療ニーズについての認識、あるいはその中での市民病院の役割についての見解を伺います。

鬼頭市民病院長:当院は、地域周産期母子医療センターおよび神奈川県周産期緊急医療システムの中核病院に位置付けられております。産婦人科、小児科などが協力して、24時間365日救急対応を含めた周産期にかかわる比較的高度な医療を提供しております。周産期医療については、運営方針にも掲げているとおり、当院が取りくむべき重要な項目のひとつと考えております。

古谷議員:中核病院だということですが、それでは具体的に市民病院のNICUの運用についてお聞きします。現状は、何床で、稼働率はどのようになっているのでしょうか

鬼頭市民病院長:今運用しておりますのは3床でございます。22年度の病床稼働率は97.4%、1日当たりの入院患者数は2.9人となっております。

古谷議員:大変高い稼働率で、ニーズも高いというとこだと思うんですが、実際にNICU用のベッドそのものはいくつありますか。また、何床置けるスペースがありますか。

鬼頭市民病院長:NICUとして整備した病室には6床のベッドがあります。このうち現在診療報酬上NICUとして届け出をしておる病床が3床です。その他の病床については一般の病床として運用しております。

古谷議員:6床のNICUベッドがあるということですが、この市民病院のNICUをフルオープンさせるにあたって、何が課題だと思いますか。

鬼頭市民病院長:一般病床として運用している3床を診療報酬上の施設基準を満たすNICUとして運用するためには、看護師をさらに手厚く配置する必要がございます。

古谷議員:看護師の問題だということだということがわかりました。いま、高齢者出産が増えて、ハイリスク出産、大変増えている中で、周産期医療の体制の中でも、市民病院さんの役割ていうのは大変大きいというふうに感じております。その市民病院のNICUが3床しか活用されていない。もっと正確にいうと、6床あるけれども看護師の体制が不足しているために、3床分しか算定できないといった状態は、公けの政策医療を担うべき市民病院の役割としては、なかなかまだ役割果たし切れていないんじゃないかというところだと思いますし、また、実際ベットを買っているわけですから、その機器の有効活用という点からも、問題じゃないかというふうに考えます。
また、お隣の川崎市では、積極的に周産期医療を政策的を打ち出している中で、本市の姿勢として、この問題どう対応していくのかということを、副市長に伺います。

大場副市長:周産期救急取り扱う医療機関や専用の病床が不足をしております。中期4か年計画でも、産科周産期救急医療の充実を図っていうこととしてございます。その中で、産科拠点病院の整備やNICUの整備を行う病院に対する病床の優先配分など、周産期救急患者の受け入れ態勢の強化に努めていきたいと考えています。

古谷議員:はい、ぜひ積極的に進めていただきたいと要望して、次に進みます。

 

ニーズ高い緩和ケア病棟20床すべてのオープンを

続いて、緩和ケア病棟についてお聞きします。
いま、がんに罹患する方が大変増えて、緩和ケア病棟の病床稼働率も高いというふうに聞いております。入りたいと待っている患者さんが大変多いというところですが、緩和ケア病棟のニーズについて、局長の見解、伺います。

堀病院経営局長:22年度の利用状況は、病床稼働率が97.2%、1日当たりの入院患者数が9.7人というふうになっております。こういったことから、緩和ケアに対する市民のニーズが非常に高いということで、早期に病棟を全床稼働する必要があるんではないかというふうに認識しております。

古谷議員:はい、少し重なるんですが、現状での市民病院の緩和ケア病棟の運営の実態について、教えてください。

鬼頭市民病院長:今、局長がいったとおり、病床の稼働率が97.2%、1日当たりの入院患者数が9.7人となっております。

古谷議員:20床のスペースがある状態の中で、大変ニーズも高い、病床稼働率も高いということですから、早くオープンしてほしいというところが準備されているところだと思うんですが、フルオープンできなかった理由は何でしょうか?

鬼頭市民病院長:緩和ケアの専門医や看護師の確保が課題となっていることから、確保に努めてきたところでございます。

古谷議員:ここでも看護師の不足といったところが大きな問題だということなんですが、その緩和ケア病棟をオープンするにあたって、20床オープンしてほしいという一方で、もうい一方はフルオープンとなると現状は10床で稼働していますから、運用しているわけですから、20床というわけになるわけですから、受け入れるスタッフにとっては対応する患者さんが倍というふうになるわけで、その患者さんにとって安心できる緩和ケア医療を提供するためにも、日中も夜間も安心できる万全の体制で患者さんを受け入れてほしいと思いますが、院長の決意をお願いいたします。

鬼頭市民病院長:まず専門の医師に関しましては、いまのところ3人が確保できております。それから看護師が一番問題なんですが、これは同規模の緩和ケア病棟を有する他の病院の体制等を参考に、適切な体制を整えていきたいと考えております。

古谷議員:わかりました。よろしくお願いいたします。
いま、毎月毎月、看護師確保にがんばっておられるのはよく存じております。毎月募集をかけているということも聞いております。21年から22年度には38人の看護師が増えて、救急医療センターをオープンさせているといった実績もあるということですから、がんばればできるといった課題かなというふうに常に思いますので、ぜひ優先順位を上げてこの問題解決していただきたいですし、この横浜市の市民病院として、政策医療に責任をもつ立場で、NICUと緩和ケア病棟、フルオープンさせていただき、市民の要望に応えていただきたいと要望いたしまして、質問を終えたいと思います。


2011-09-29 | 2011年の議会活動医療・福祉議会活動

平成23年第3回定例会 一般質問

(2011.9.7)

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実際には、質問と答弁がそれぞれ一括して行われましたが、わかりやすいように、対応する質疑と答弁を交互に記載しました。

古谷議員:私は、日本共産党を代表して、3点にわたって質問いたします。

 

間違いだらけの自由社版歴史教科書を子どもたちに使わせるな

まず、中学校の教科書の問題です。
現在、市内8区の中学1・2年生が使っている自由社版歴史教科書は、教育関係者からは多くの間違いが指摘されていますが、同社は写真の裏焼き以外の間違いを認めていません。しかし、来年度使用の検定本では、指摘を受けた部分はほとんど削除・訂正されています。新版では訂正された部分を、市内8区の中学生は、現在もなお訂正もされておらず使わされ続けています。国の規則では、誤記など訂正は発行者が文科相の承認を受け必要な訂正をしなければならないとしており、発行者の善意を前提としております。横浜市の子どもたちが間違ったことを学ぶことは、絶対にさけなくてはなりません。
そこで、現行版で間違いと指摘されていた部分を検定本で修正したことについて、その理由を自由社に問いただすことが当然だと考えますが、いかがですか。
そして、間違いかどうかを教育委員会としても、独自に調査する必要があると思いますが、教育長の見解を伺います。
この問題について、間違いの訂正は教科書会社が行うものとして、国と教科書会社に対しても事実確認や調査依頼など一切主導的に動こうとしない教育委員会の態度は、あまりにも無責任だと考えます。異常な事態で、至急改善が求められていると思いますが、市長の見解を伺います。
同時に、自由社が他社からの盗作を認めた年表の歴史教科書はそのまま使用されております。道徳教育上からも子どもへの影響が心配です。教育委員会に対し、改善を要望しておきます。
次に、来年度採択の決まった育鵬社についてです。この会社の歴史教科書も自由社と同じように盗作の疑惑が指摘されています。教育委員会の盗作疑惑の問い合わせに対して、同社は「検定申請の際、原典・出典を明らかにしている。事実無根」と弁明したと聞いています。しかし、教育委員会独自には調査せずに、教科書会社の弁明だけを聞くだけの調査では、疑惑は晴れたとはいえません。いまからでも調査すべきだと思いますが、教育長の考えを伺います。
疑惑のあるまま育鵬社の歴史教科書を採択した教育委員会の責任は重大です。このままでは、疑惑のまま、4月には子どもたちに渡ってしまいます。疑惑の全容解明に市長としてなんらかの能動的関与が必要と思いますが、市長の見解を伺います。

林市長:古谷議員のご質問にお答え申し上げます。
教科書採択について、ご質問いただきました。
教科書に関する調査についてですが、教科書の取り扱いに関することについては教育委員会が判断するものと考えております。
育鵬社版教科書についてのご指摘の件ですが、採択につきまして教育委員会の権限と責任において適正に行われたものと考えています。

山田教育長:教科書採択についてご質問をいただきました。
自由社版教科書の新版についてのご指摘の件についてでございますが、教科書発行者は修正や訂正を含め、新学習指導要領に準拠したものになるように内容を検討した上で、新しい教科書の検定申請を行い、検定を通った教科書が採択の対象となります。検定の過程で、修正等の理由や内容の確認を行うのは、文部科学省であり、各自治体の教育委員会の権限ではございません。
現在使用している自由社版の歴史教科書に対するご指摘の件についてでございますが、自由社の教科書に限らず一般的に検定を経た教科書に誤記等があった場合は、発行者が文部科学大臣の承認を得て、必要な訂正を行っており、これらの手続きは検定を行う文部科学省と発行者との問題であります。
育鵬社版の歴史教科書に対するご指摘の件についてでございますが、育鵬社からは、盗用の可能性などとは事実無根であり、そのような事実はいっさいないとの文書をいただいております。また、他の発行者からもそのような話はうかがっておりませんし、教育委員会として調査を行うことはありません。

 

花月園競輪場跡地利用は地域住民の声をよくきいて行え

古谷議員:次に、鶴見区の花月園競輪場跡地利用についてです。
昨年12月、「花月園競輪場関係県有地などの利活用に係る検討結果の取りまとめについて」という報告書の中で、防災公園を整備するという方向性が出されました。それに基づき、横浜市から事業化要望が国土交通省に対して出され、国土交通省からUR都市機構に事業化要望が通知され、現在事業候補地区を決定する作業に入っています。
本市が国に提出した事業化要望書の中で、防災公園の予定面積は全体10ヘクタールのうち4ヘクタールとなっていますが、鶴見区の緑被率は18区中17番目の13.7%ときわめて低く、緑とオープンスペースを確保し、そして本市で始めての防災公園街区整備事業にふさわしいものにするために、もっと広げるべきだと思いますが、考えをお聞かせ下さい。
平塚の桜ケ丘公園や千葉県市川市の大洲防災公園などでは、住民と行政とのワークショップ方式で公園を作り上げてきています。また、本市都市整備局が発行している「住民合意形成ガイドライン」によると、「合意形成はプロセスを重視する」と出ています。この花月園競輪場跡地の防災公園整備についても、ただ住民意見をききおくというだけではなく、地域住民と行政が共同してワークショップ方式で一緒に作り上げていくべきだと思いますが、いかがですか。
また、公園以外の街区整備事業についても、同じように地域住民との共同で作り上げていただきたいと思います。地域住民からは大変多くの要望が寄せられています。もともと競輪事業の前は花月園遊園地として、子どもたちの施設として賑わっていました、競輪事業が始まり、地域住民にも多大な迷惑をかけてきた、こういった経緯もあります。住民ニーズを調査するために行政として市民アンケートを取る用意がありますか。また、地域住民の要望をきく機会を設けていただきたいと思いますが、いかがですか。

林市長:花月園競輪場跡地の活用について、ご質問いただきました。
防災公園としてふさわしい規模の整備を行うべきとのことですが、事業化検討の中で、道路や宅地の配置、事業全体の採算性、本市の財政負担などを考慮しながら、防災公園の規模について検討します。
防災公園の整備にあたって市民意見を取り入れることについてですが、現在都市再生機構において、本市とも調整を図りながら、防災公園街区整備事業の事業化に向けた検討を行っております。本市としては、その結果を踏まえて、事業化の可否を判断していくことになります、公園の施設・内容等については、事業化が決定した段階で、具体的な検討を行いますが、その時にはほかの公園整備と同様に、市民のみなさまのご意見をいただきながら検討を進めます。
住民の声を十分にきく機会を設けるべきとのことですが、これまでも地域のみなさまから広域避難場所機能の維持や公益施設整備などさまざまなご要望をいただいています。今後も地域のみなさまのご意見を伺いながら、防災公園街区整備事業の事業化に向けた検討を進めてまいります。

 

市は放射能汚染牛肉を給食に出した責任をとれ

古谷議員:最後に、放射能対策とエネルギー政策の転換についてです。
いま原発事故による放射能汚染の問題が広がっており、特に学校給食の汚染が、小さなお子さんをもつ保護者の方々を中心に大きな社会問題となってきています。成人より放射線の影響をより大きく受ける子どもたちをできうる限り守ること、そして外部被爆だけではなく内部被爆の原因を少しでも除去することを基本とするように、あらゆる施策を行うこと、その観点からいくつか質問します。
まず、横浜市が提供した学校給食を食べて内部被爆の原因を作ってしまった問題についてです。
先日、南部市場に検査体制の視察に伺うと、市場での放射線検査は1か月に2日間測定日を決め、野菜については6%、魚については3%程度のサンプル調査にすぎません。しかも、私が視察にいった9月1日の時点では、まだ機器の試験運用の段階ですということでした。さらに、産地の検査についても、横浜産の野菜や果物に関して、基本は1品毎に年に1回、出荷前に測るサンプル調査にすぎません。産地でも市場でもサンプル検査では、検査体制としては大きな穴が開いており、現に汚染牛肉が給食に使われてしまったわけです。
そこで。汚染食材が市場に流通する可能性がある、その前提で対応策を練るというのは当然だと思いますが、5月議会の中では「市場に流通しているものについて安全である」という市長の認識を変えるべきではありませんか。あらためて市長の見解を伺います。
「直ちに健康上に問題はない」とよく言われますが、低線量被爆の人体への影響についてお伺いします。食品に含まれる放射性物質の健康に与える影響を検討してきた内閣府の食品安全委員会が、7月26日に公表した「評価書案」によると、100ミリシーベルト未満の健康影響について言及することは「現在得られている知見からは困難」として、低線量被爆の問題に対する科学的検討を避けています。国が即答せずに検討を避けた低線量被爆の健康への影響について、本市が独自に「直ちに健康上問題はない」と言われるのは、どんな根拠に基づいているのですか。お答え下さい。
汚染牛肉が給食に使われた学校の子どもたち8万4000人とその保護者の方々は、とてもいま不安を抱いています。市長は9月2日の本会議で、「今回の摂取量では健康影響はないといえる線量であると複数の専門家の意見を聞いている」と繰り返し答弁されていますが、不安を訴える保護者や子どもたちへ、どう対応をするのですか。「直ちに心配ない」というだけではなく、健康不安を起した行政の責任として不安を払拭するために、市の責任で健康調査をすることは当然だと思いますが、考えを伺います。
いま行っている給食食材検査は、1日1検体のみです。牛肉も豚肉も魚も行い始めたと先ほど答弁されていましたが、1回ずつ測っただけときいています。先ほど述べたように、市場流通している食材が汚染されている可能性があると言う前提で検査をするべきだと考えます。1日1検体、外注して2万5千円の費用しかかからないわけですから、子どもたちの健康第一に考えて、給食食材の1日の主要食材を全て測定すべきだと考えますが、いかがですか。
そして、せっかく全学校に空間放射線量を測る測定器を導入するのであれば、食品まで測定できるようなシンチレーションカウンターも一緒に導入すべきではないですか。そして、その運用については保健所とも協力し、近隣住民が食品を持ち込んで測定できたり、市民への啓発活動もするような地域測定所のようにすべきだと提案しますが、いかがですか。
放射能対策をしなければならない状態になった最大の責任は原発事故をおこした東京電力にあり、それを監督してこなかった国にあるはずです。林市長は9月2日の本会議で「必要に応じ東京電力に求めることを検討する」とおっしゃっていましたが、369万市民の命と健康に責任を持つ市長が、給食食材の汚染をはじめ、子どもたちや横浜市民を放射能汚染にさらしてしまったことについて、横浜市民を代表して東京電力と国に抗議し、その責任の追及をすることと、本市が測定器購入など放射能対策に費やした費用を含めて、損害請求を行うべきだと思いますが、市長の見解を伺います。

林市長:エネルギー政策の転換と放射能対策について、ご質問いただきました。
市場に流通している食品は安全という認識についての見解ですが、食品の放射性物質に関する検査は、4月4日に国が定めた出荷制限等の考え方を踏まえ、農産物等では出荷前に検査を行い、食品衛生法に定められた暫定規制値を超えたものは出荷制限し、超えていないことを確認したものを出荷しています。
しかし、7月8日に残念なことに牛肉について飼育状況調査の不徹底から暫定規制値を超えるものが流通しました。このような状況を受け、本市では8月8日から全国に先駆けて、食肉市場でと畜する牛の全頭検査を開始し、その後出荷制限のかかった福島、宮城、岩手、栃木の4県で全頭検査を開始しました。流通している食品は本来安全でなければいけないと考えておりますので、それを確かなものとするために、継続した検査を行い、その結果を迅速・的確に公表し、市民のみなさまの不安を払拭するよう努めてまいります。
低線量被曝が健康上問題ないと判断する科学的根拠についてですが、放射線防護に関する国際的な見解の中では、低線量被曝とされている100ミリシーベルトより少ない線量では、がん発症への影響は報告されていないとのことです。ただ、発がんリスクはきわめて小さいということまでははっきりしていると、複数の専門家から伺っています。
汚染肉を接種した児童の健康調査を行うべきとのご意見ですが、放射性セシウムに汚染された牛肉を給食で食べたお子様について、保護者の方が心配になるお気持ちは本当によくわかります。しかし、今回の摂取量は食品からの自然放射線量と比較しても健康に影響を与えるものではないとの複数の専門家の見解も聞いておりまして、現時点では健康調査の必要はないと考えています。
食材検査など放射線対策に要する経費を東京電力や国に対して請求するべきとのお考えについてですが、九都県市合同で国に全額負担を求める国家要望を行っているほか、今後必要に応じて東京電力に対しても補償を求めることを検討してまいります。

山田教育長:エネルギー政策の転換と放射能対策についてご質問をいただきました。
1日の主要食材すべてを検査すべきとのことでございますが、48ブロック、約350校の主要食材をすべて検査することは、現在の検査機関の体制や費用の面からも難しく、また仮にすべての食材をミックスしたものを一度に検査しても、汚染された食材があったとしても、その特定には再度検査が必要なことになることから、現実的には困難だと考えております。
各学校に食品を検査できる放射線測定器を導入すべきとのことでございますが、給食食材については現在実施している民間検査機関による精密な各種分析検査を今後も実施してまいります。また、学校を地域測定所のように運用すべきとのことでございますが、食材については出荷元や本市の市場においても検査を行っておりますし、またただいま申し上げましたように、各学校へは精密な食品検査ができる放射線測定器を配布する考えはありませんので、学校を地域測定所として運用することは考えておりません。

 

市長ははっきりと脱原発・自然エネルギーへの転換の表明を

古谷議員:最後に、そもそもこれらの放射能汚染の原因を作り出した原発依存のエネルギー政策の転換は待ったなしです。どの世論調査を見ても、脱原発・自然エネルギーへの転換は7割以上を超えています。6月21日の定例記者会見で、市長は「原子力発電所についてはないほうがいいと思う」「自然エネルギーの活用を進めていかなければならないと思います」とおっしゃっています。最大の政令市の市長として、林市長にはもっとはっきり原発からの撤退と自然エネルギーの積極的活用に向けて横浜市として本腰を入れていく、このことをはっきり表明すべきだと思いますが、市長の考えをうかがい、私からの質問を終えます。
ありがとうございました。

林市長:脱原発、自然エネルギーへの転換を打ち出すべきとのことですが、今回の未曾有の事故により、原子力発電にまつわる課題が広く認識されたことを受け、国のエネルギー政策について国民的議論が必要となりました。本市としては、省エネ意識やライフスタイルの見直しなどの機運が高まっているなかで、地球温暖化対策とエネルギーの安定供給という観点から、再生可能エネルギーをいっそう普及・拡大してまいります。
残りの質問については教育長より答弁いたします。以上、お答え申し上げました。


2011-09-07 | 2011年の議会活動議会活動

平成23年第2回定例会 一般議案・請願の討論、採決など

(2011.5.31)

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私は、日本共産党を代表して、今定例会に提出された議案のうち、3件の議案及び不採択となった請願のうち2件について、反対の討論を行います。

 

利用者への負担増を押し付ける敬老パスの値上げ案は撤回を

まず、市第4号議案「横浜市敬老特別乗車証制度の一部改正」及び請願第13号「敬老特別乗車証制度見直し案の慎重審議について」です。
昨年2月の常任委員会で2011年10月実施というスケジュール案と書かれた資料を回収して当局側に差し戻したという経緯があるにもかかわらず、再びその差し戻したスケジュール案のゴールを変えないで提案したということは、委員会での結論も無視し、日頃から2元代表制を大事にすると言われてきた林市長の主張とは違う、議会軽視の態度だと言わざるを得ません。
また、取りまとめた市民アンケートについても、その中味についての検証もほとんどなく、市民への周知もホームページ上で公開するのみと、きわめて形式的なものにとどまっております。もし、本議会で議決してしまえば、利用者・市民への周知期間はわずか4か月足らずしかなく、この短期間で今回の値上げを利用者にお知らせするというのは、余りにも乱暴な進め方ではないでしょうか。
改定については、市長は「低所得者に十分配慮したものになっている」とおっしゃっております。しかし、今回の改正案で予測した金額をみますと、生活保護世帯の、そして所得150万円以下の世帯という低所得者層だけで増額分の半分以上を負担するというのが今回の改正案です。さらに、値上げ率が125%と一番高いのが、本人非課税で同一世帯に課税者がいる場合で、この敬老乗車証の交付者数が一番多い枠であります。これで、どこが低所得者に十分配慮したものとなっているのでしょうか。逆に低所得者にとっては一番負担の多い提案が、本改定案だと言わざるを得ません。
特に、今まで無料で支給されてこられた70歳以上の生活保護受給者について、負担を新設するのは大問題だと考えます。この世帯は、国の老齢加算が2006年に廃止され、それまでギリギリの生活をしていた中から2割もの生活費が減額され、その生活はきわめて厳しい実態です。
いま、老齢加算の復活を求めて全国各地で国を相手に裁判が行われております。その裁判の中でも、78歳のある女性の方はこう証言されております。「夫は病気のために、医者からほうれん草など野菜類を多く食べるようにと言われていますが、野菜も高いのでなんとか安い野菜を選んで買っている。普段は2人ともに具合が悪いので、家にいてテレビを見ていましたが、老齢加算が廃止され、これまで以上に節約しなければならなくなった。蛍光灯は普段から一つしかつけておらず、夜はまだ起きているにもかかわらず豆球のままにしている。病院が行う1回3000円ぐらいのバスハイクも行けなくなった。それまでのギリギリの生活から2割も減額されてはまともな生活が出来るはずがありません。裁判所には私たちの苦しみ、分かっていただけますようにお願いします」こう証言されております。
こういう厳しい生活実態の中で、突然70歳以上の生活保護世帯から3200円を新設で料金を徴収するというのは、生活困難にさらに追い討ちをかける非情な改正案だと言わざるを得ません。
また、「基礎年金を主な収入として生活するなどの比較的所得の低い方々にも一定の負担をお願いしている」ので、そことの均衡を図ると言っております。そもそも基礎年金ギリギリで生活されている方々というのは、生活保護水準で生活しているにもかかわらず、保護を受けられない、あるいは保護を受けずにがまんされている方々です。貯金を取り崩しながら病院をも我慢して、生活されている方々です。ですから、「低所得者に配慮している」と言われるなら、そういう厳しい生活実態の方からも、負担を求めるべきではないと考えます。
本市の敬老特別乗車制度は、他都市に比べても優れた誇るべき制度であります。そして、本市を支えてこられた方々への今までの労に報いる、「敬老」という名に値する制度です。
その誇るべき制度を、この間無料から有料化し、値上げを実施してきたことで、ここ10年で交付率は右肩下がりに下がり続けてきました。そして、さらに今回の提案でも交付率は下がる見込みだということは、「大切な制度だ」と口では言いながら、制度の存在そのものを否定するようなものではないでしょうか。
さらに、民主党議員のみなさん。先のいっせい地方選挙では、敬老パスについて「利用者の負担増にならないように制度を存続」と「私たちの約束2011 未来への責任ある提言」とかかれた届出ビラ第2号を有権者の方々に配布しております。それにも関わらず、委員会の議論の中では「苦渋の決断だ」とされ、利用者負担増の今改正案に賛成をされました。このことについて、少なくとも有権者の方々への説明責任、果たすべきであると考えます。また、そうしなければ、中央政界での様々な政治不信もつのり、議会のあり方が問われているご時勢、政治家としての矜持が問われるものではないでしょうか。
わが党としては、あらためて利用者への負担増を押し付ける原案の撤回、求めます。

 

受験勉強の低年齢化を促進させる中高一貫校は公立校としてふさわしくない

次に、市第5号議案「横浜市立学校条例の一部改正」及び市第6号議案「横浜市立高等学校の授業料等に関する条例の一部改正」についてです。これは、横浜市立中高一貫教育校として2012年4月に港南区にある横浜市立南高等学校に南高等学校付属中学校を設置し、入学選考手数料を定めるものであります。
計画案が示された当初から、南高校PTA・生徒会・OB会・地元住民などから反対の声が上がる中、基本計画が策定され、具体化されてきました。学区は、市内全域に加え市外も一定認めるほど広域で、付属中学校4学級160人定員を選考します。その選考方法は、「適性検査及び調査書などにより」とされていますが、適性検査とはいいながら、国語的読解力や数理的・自然科学的な分野まで問われる問題で、とても普通の小学校の勉強をしているだけでは難しく、塾などの特別の指導を受けなければならないような難問であります。全国的に実施されている抽選や面接はありません。昨年行われた学校説明会には、小学校と保護者を合わせて、約1万2000人が参加したということですから、選考が大激戦になることは必至です。
学校教育法改定で、1994年から設置できるようになった公立の中高一貫教育校の設置数は、平成22年度で全国で176校。当初国会では「偏差値による学校間格差を助長させない」と付帯決議され、学校教育法施行規則でも「選抜で学力検査は行わない」と定められておりました。しかし、2008年12月に行われた政府の規制改革会議の中では、「適性検査の名のもと、実際その内容において学力を問うている公立の中高一貫校が全体の8割に上り、教育委員会による違法措置が蔓延している」と警告を出しております。これを受けて、2009年文部科学省が中教審で、適性検査・教育内容・目標理念など検証がはじまり、現在も作業中であります。
現在でさえ、小学生のお子さんを持つ家庭では私立中学校受験のために、子どもの塾の送り迎えのために母親がパートをやめたり、小学生の子どもが日曜日の朝からバスに乗って塾に行ったり、家庭の団欒や子どもの健全な成長発達をすることへの悪影響を及ぼすことが容易に予想されています。ましてや、まだ義務教育の範疇である中学校で、受験勉強の低年齢化をさらに促進させるような内容であり、市民のみなさんの税金を使った公立学校のあり方としては、ふさわしくないものと考えます。よって、本市が中高一貫校を設置し、制度化することは、賛成できません。

 

議会の総意として中学校給食実施に向けて前向きな意思表示を

次に、請願第5号「横浜市立中学校における給食等の実施について」です。中学校の完全給食は、全国の8割を超える公立中学校で実施されております。神奈川県での実施率は16%と全国46番目です。最下位の大阪府内の各自治体では、大阪市をはじめ今年度から順次実施され始めておりますから、神奈川県が最下位に転落するのは時間の問題です。県内でもすでに8市8町1村で実施されており、お隣の川崎市では市議会で中学校給食の実施を求める決議が全会一致であがり、座間市でも伊勢原市でも実施検討が進んでいます。
中学校給食を実施することについては、今まで議論を重ねてきたところでありますが、本市の未来を担う子どもたちに対して、教育の一環としても食育も進め、そして成長期に必須の栄養摂取を公に保障する学校給食は大きな役割を果たすものだと考えます。
また、単に子どもたちのためだけにとどまりません。給食施設建設のための建設関係の仕事起しにもつながる、食材に地場産物をつかうことによって地域農業の振興もできる、調理員などの雇用の創出もできる、こういったことで落ち込んでいる地域経済の活性化の起爆剤ともなりえます。
また、先の東日本大震災で実際体験したように、多くの公立学校は避難所となります。本市の防災計画でも「震災対策編」の中に、「学校に整備されている次のような施設は有効に活用する」とあり、「給食室は、被災市民の援助に有効に活用する」と定められております。しかし、今のままでは、大規模災害が発生し、公立中学校が地域防災拠点となっているところは、自前の給食設備がなく炊き出しができません。
また2009年市民生活白書によると、2020年には横浜市も人口減少に転じると予測されています。本市の成長戦略としても、若い世代の定住戦略をもたなければ発展はありえません。本市が近隣の他市と比べて、子育て環境・条件がよくならなければ、さらに若い世代の流出が進みかねません。さまざまある子育て環境の要素の中でも、中学校給食は全国の8割の自治体で実施されているわけですから、必要不可欠な要素であると考えます。
この際、今回のいっせい地方選挙で、ほとんどの政党が公約でこれについては言及しているわけですから、議会の総意として、中学校給食実施に向けて前向きな意思を示すべきときではありませんか。請願の趣旨に沿い、採択を求め、私の討論、終わります。


2011-05-31 | 2011年の議会活動議会活動

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