議会活動

平成26年第2回定例会 一般質問

(2014.5.23)

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憲法解釈変更での集団的自衛権行使に反対を表明せよ

古谷議員:古谷やすひこです。日本共産党を代表して、質問いたします。
まず、集団的自衛権の問題について、伺います。
今、安倍首相が憲法を解釈によって変えて、集団的自衛権の行使を容認することを進めようとしております。しかし、こんなことは本来は許されません。そもそも憲法は、国民が国家に守らせるべき法律です。憲法によって権力が拘束されるという立憲主義から真っ向から否定するものです。このことについて、断固抗議と反対の意思、表明すべきだと思いますが、どうか伺います。
私たちは、アメリカの戦争に日本が巻き込まれるような集団的自衛権の行使は認められない。米軍基地のある沖縄県では、「基地が標的になる」として18首長が反対の意を表明しています。同じく米軍の基地が存在する本市も、集団的自衛権が行使された場合は同様な危険があります。市民のいのちとくらしを守る立場から、集団的自衛権の行使の容認に踏み込むことについて、反対の意思を本市としても明確に表明すべきだと思いますが、どうか伺います。

渡辺巧教副市長:古谷議員のご質問にお答え申し上げます。
集団的自衛権について、ご質問をいただきました。
解釈での行使容認が立憲主義に反するかということについてでございますが、防衛安全保障の分野につきましては国の専権事項であり、基礎自治体としてお答えするものではないと考えておりますが、国の基本的枠組や進むべき道にかかわることではありますので、国政レベルで幅広く議論していただきたいと考えております。
集団的自衛権の行使についてでございますが、繰り返しで恐縮でございますけれども、防衛安全保障の分野につきましては基礎自治体としてお答えするものではないと考えております。

 

新システム移行に際して保育の質をさげるな

古谷議員:次に、子ども・子育て新システムへの移行について、伺います。
新システムについて、今、国と自治体で保育に対する公的責任を後退させるものだとして、保育などの関係者から強い危惧の声が上がっています。しかも主な財源は消費税増税で、子育て世帯にとっては二重に困難を押し付けるものとなっています。
先日発表された本市の4月1日付けの待機児童数の中で、特徴的なことは、この1年で開所された認可保育園31園のうち23園が株式会社立の保育園であるということであります。私たちはこれまでの議会論戦の中で、弾力運用という名のもとで、本来横浜の子どもたちのために使われるべき保育運営費が明らかな目的外支出であるといった事例を具体的に指摘をしてきました。保育運営費を本社の法人税の支払いにあてたり、別の保育園の建設費にあてられていたり、東京の認可保育園整備のためにあてられていたりすることについて、横浜の子どもたちのためには使われていないじゃないかということを指摘してきました。また、その結果、保育士が定着しないなど保育の質が低下する事例も出てきました。改善するべきだと厳しく指摘をしてきました。そして、企業立の保育園の中で働く方からも、それを裏付けるような内部告発が相次いできました。
こういった問題を置き去りのまま新システムに移行しては、公金の目的外支出を拡大してしまうようなことになります。そして、そのつけを結局は園児にまわしてしまうことになります。これからシステムをつくる時期に、あらためて保育運営費を目的外使用させないための規制を強化すべきだと思いますが、どうか伺います。また同様に、これから拡大する学童クラブなどでも、営利企業参入と運営費の使途について一定の規制、すべきと思いますが、どうか伺います。
新システムの移行に当たっては、本市で今まで行ってきた現行水準を下げないこと、特に現在市独自の上乗せ横だしをしている制度について保育の質を後退させないことが必要だと思いますが、どうか伺います。
新システムへの移行に伴って、小規模保育または認可園への移行を希望する横浜保育室に、十分な財政支援もすべきだと思いますが、どうか伺います。
学童について、新システムでは面積基準が定められたり、対象児童が6年生まで拡充されるなど制度が大きく動いてまいります。これが軟着陸できるように、積極的な行政の支援が、今、必要です。
特に、建物と人件費の問題、これはこの機会に解決の道筋をつけるべきだと考えます。特に、耐震性が不十分な施設を使っている学童クラブが全208か所中89か所、人数でいえば9698人の学童登録児童のうち3978人が、実に4割以上の子どもたちが耐震性の不十分な場所で放課後を過ごしていることになります。
放課後キッズクラブ、はまっこふれあいスクール、放課後児童クラブ、この放課後3事業を今は自由に選択できる環境にはない中で、住んでいる場所によって耐震性の危険度が異なるというのは不合理であり、一刻も早くこのことは解消すべきだと思いますが、どうか伺います。
また、賃金の安すぎる学童指導員の処遇についても、今回学童クラブが法で定められたことを機に、改善するべきだと考えます。しかし、指導員処遇の改善のためといっても、今以上に保護者負担増はもはや限界ですから、抜本的には補助金を増やすことがどうしても必要だと思いますが、どうか伺います。

渡辺巧教副市長:子ども・子育て支援新制度について、ご質問をいただきました。
営利企業における保育所運営費の弾力運営についてでございますが、新制度では保育所運営費の仕組みが変わることになります。報道によれば、保育に要する費用の仮単価の案が示されたようですが、現在本市としてもこの情報収集に努めているところであります。今後正式に内容が提示される予定でございますので、国が示す新たなルールを見極め、その動向を注視してまいります。
放課後児童クラブの運営費についてですが、現在本市の放課後児童クラブでは営利企業への補助金交付を見合わせております。新制度では、社会福祉法人その他の多様な事業者の能力を活用した放課後児童健全育成事業の実施を促進とされておりますので、補助のあり方について今後検討してまいります。
新制度における保育所の本市独自の助成についてですが、国が示す公定価格をもとに、現行の保育の質の水準を確保できるような、本市独自の助成のあり方を検討してまいります。
横浜保育室が認可の枠組みに入れるための支援についてでございますが、認可に移行するための施設整備費補助や、認可基準以上の職員配置を行った場合の運営費の加算などを行うことにより、積極的な支援を行っております。
放課後児童クラブの建物の耐震性の向上についてですが、留守家庭の子どもたちが安心してすごせる放課後の居場所を確保することは、喫緊の課題と認識をしております。放課後児童クラブにつきましては、25年度から開始した面積基準、耐震化を担保するための分割移転に対する準備経費の補助や、物件の情報提供を継続してまいります。
放課後児童クラブの運営費についてでございますが、本市では児童の人数に応じて常勤の指導員配置を義務付けておりまして、それに見合った基本運営費を補助しております。今後、国の省令で指導員の資格要件も求められることから、本市といたしましても指導員の処遇も含め、安心安全な活動を行うために必要な財源措置につきまして国にしっかりと要望しているところでございます。

 

一攫千金をねらうカジノを横浜でやるのか

古谷議員:続いて、カジノの問題について伺います。
今度調査費のついたIRは、その概念上カジノを含まない事はありえません。したがって、IRの問題はカジノを横浜でやるかどうかの問題です。現在認められている競輪・競馬などの公営ギャンブルは、公設・公営・公益で、特別法で定められています。しかし、現在国会の審議待ちのカジノ法案で検討されているものは、公営ギャンブルとは真逆で、民設・民営・私益で運営され、そこに公益性はひとかけらもありません。こんなことを横浜市は本当に進めていいんでしょうか。民設・民営のカジノにどんな公益性があるのか、伺います。
横浜にカジノをつくるということは、真面目に働いて額に汗して、横浜を支えていくという勤労の風土ではなくて、敗者の上に成り立つ偶然の享楽で経済を活性化させるということに他なりません。子どもたちにまじめに働かなくても一攫千金が起きるなんてことを教えられるのかどうか、伺います。
ギャンブル依存症について、ギャンブル依存症の調査は、2008年に厚生労働省が行い、その後も継続的に行われております。2010年、11年、12年と、研究結果の報告書が出されています。その報告書では、諸外国に比べて日本の現状は今どういう状況にあるのか、本市はどういう状況なのか、調査結果をどう認識されて、本市ではどんな対策をうってこられたのか、伺います。

渡辺巧教副市長:IR統合型リゾートについて、ご質問をいただきました。
IRの公益性の考え方についてですが、本国会に提出されております法案では、「特定複合観光施設区域内の整備の推進が、観光および地域経済の振興に寄与するとともに、財政の改善に資するものであること」、全部引用させていただきましたが、と第1条の目的に明記をされております。また、同様に第3条の基本理念には、「地域の創意工夫及び民間の活力を生かした国際競争力の高い魅力ある滞在型観光を実現し、地域経済の振興に寄与するとともに、適切な国の監視及び管理下で運営される健全なカジノ施設の収益が社会に還元されること」が明記されております。こうしたことから、この法案に基づき構想されるIRにつきましては、公益性があると考えているところでございます。
IRによる経済の活性化について子どもにどう教えるのかというご質問でございますが、現在運用されております競馬などの公営競技は法律に基づく規制により適正に運営され、その収益の使途として、社会福祉の増進などの必要な経費の財源にあてることとされております。いわゆるIR推進法案には、「観光及び地域経済の振興に寄与するとともに、財政の改善に資するものであること」、先ほどもご紹介したとおりですが、さらには「適切な国の監視及び管理下で運営される健全なカジノ施設の収益が社会に還元されること」が明記をされております。こうした法案の趣旨や理念などにつきましては、子どもさんにかぎらず多くの市民のみなさまにご理解いただくことが重要であると考えております。
ギャンブル依存が日本では高いというご指摘についてでございますが、これは先生ご指摘のとおり、確かに日本人男性のギャンブル依存の発生頻度が高いとされておりますけれども、その要因としてパチンコによる頻度の増大の影響が大きく、わが国独自の状況を呈していると報告されていることは認識をしております。
また、本市の状況および対応についてですけれども、ギャンブル依存に特化したかたちでは把握しておりませんけれども、各区においてアルコールなどの依存症全般に関わる相談の中で対応しております。具体的には、相談の内容に応じて専門の医療機関や回復に向けた施設およびNPO法人などの団体を紹介しております。また、このようなNPO法人に対して、横浜遊技場組合さんがその活動を支援するなどの取り組みを行っていらっしゃいます。

 

栄養バランス、夏場の傷み等弁当の問題解決にも中学校給食実施を

古谷議員:次に、中学校給食について伺います。
横浜市では今年度望ましい昼食のあり方を検討して、アンケートなど行うという予定ですが、ぜひお隣の川崎市で行った給食アンケート参考に、取り組んでいただきたいと思います。
川崎のアンケート結果等からは、保護者は家庭弁当について3つの心配があることが分かっています。弁当の栄養バランスの問題、「夏場の傷み」の問題、経済的に弁当が用意できない家庭への対応の問題です。
そこで伺います。本市では、家庭弁当の栄養バランスの担保、どうとっていくのか。また、弁当の「夏場の傷み」にどう対応していくのか。また、お弁当を用意できない経済的困窮家庭に対して、どう対応していくのか、それぞれ伺います。
本市では、就学援助を使って給食費が免除されている小学生は実に2万6500人います。これらの児童が中学生に上がれば、給食がないため、昼食に対する援助が全くなく、自己責任というのが今の横浜の現状で、現に昼食を用意できない家庭もあります。中学生が昼食を食べるも食べないも市は関知しないというのが本市の方針なのか、伺います。
この3つのデメリットは、いずれも給食を実施しているところでは起こりえない問題です。
今後行う昼食に関するアンケートでは、2011、12年度で行ったアンケートのように弁当を前提とした設問ではなく、給食についても家庭弁当についても中立的なゆがみのないニーズ調査を行っていただきたいと思います。
川崎のアンケートのように「おこさんに中学校での昼食は何を食べさせたいですか」と素直に聞くべきだと考えますが、どうか伺います。川崎のアンケートでは、この設問の回答に8割近い保護者が「小学校のような給食」を選んでいます。この結果について、所感を伺います。

岡田教育長:中学校給食についてご質問いただきました。
家庭弁当における栄養バランスの担保の考え方についてですが、家庭弁当は保護者など作る方が責任を持って作っていると認識しています。教育委員会としては、家庭弁当作りを応援するために、短時間で手軽に作れる栄養バランスがとれた弁当レシピや、主食・主菜・副菜のバランスなど弁当作りのポイントを記した資料を全世帯に提供しています。また、学校では家庭課の授業や生徒会活動などで、子どもたち自身がお弁当作りに関われるように食育に取り組んでいます。
家庭弁当の夏場の傷みを心配する保護者への対応についてですが、これまで教育委員会で把握している限りでは、家庭からの持参弁当による食中毒は報告されておりません。教育委員会としても、食育だよりをとおして衛生面に配慮した夏場のお弁当作りの留意点を紹介しています。また、学校によっては、保健室だよりなどによりまして、保護者へ食中毒に対する注意喚起も行っています。なお、学校に空調が整備されたことにより、保護者の安心感が高まっていると聞いております。
小学校で就学援助を受けている子どもが中学校へ進学した場合の対応ですが、就学援助を受けている生徒が経済的な理由だけで弁当を持参していないという報告は受けておりませんが、何らかの家庭の事情で弁当を持参できない生徒がいるという状況は学校からの報告があり、各学校で教職員や地域の方々のご協力もいただきながら支援をしております。
昼食を食べるも食べないも家庭の問題であるというのが本市の考え方なのかについてですけれども、自立を目指し、成長をする段階の中学生には、自ら食べることへの意味をしっかりと考えてほしいと思い、食育について推進しているところです。
川崎市のアンケートのように、素直に質問するべきとのことですが、川崎市では中学校での完全給食実施を前提として実施に関する基礎資料とするためアンケートを実施したと聞いています。本市のアンケートでは、今後の中学校昼食の充実に対するニーズや要望などを把握してまいります。
川崎市のアンケートで保護者の8割近くが給食を望んでいることについての考え方ですが、川崎市のアンケート結果では、中学校の昼食で一番食べたいものについて、子どもの約5割が家で作った弁当と回答し、小学校のような給食と回答した子どもは約3割弱であるという内容から、保護者と生徒の意識の乖離が窺えます。本市の中学校給食のあり方の検討にも参考になると思います。
以上、ご答弁申し上げました。

 

横浜でも寡婦控除のみなし適用を早く実施せよ

古谷議員:最後に、先ほどもありましたが、非婚の母の寡婦控除のみなし適用を行う問題です。
死別あるいは離別など結婚歴のある母子世帯には寡婦控除が認められ、税金や保育料などの軽減策がありますが、非婚の母子世帯には認められていないため、税金や保育料などに大きな差が出ています。この差を解消するために寡婦控除のみなし適用を行う自治体、実はこの4月からがたくさん自治体が増えています。
しかし、本市ではこの問題について、第一回定例議会の際に「全庁的に検討してまいります」と回答されておりましたが、お隣の川崎市でも急展開で動き、「準備ができ次第、4月までさかのぼって適用したい」と、こう踏み込んで市長も発言しています。
本市の状況も、もはや待ったなしです。毎日毎日、本市では約1800世帯の方々が、この問題に苦しみ続けています。また、どうしてもやりきれなくて、生活保護を受給されている方も知っています。現時点で本市が既婚か非婚かで待遇に差をつけている合理的な理由は何か、伺います。
横浜市でも一刻も早い対応が必要ですが、いまだやっておりません。いつからやるのか、踏み込んだお答えをいただきたいと思います。また、まずは保育料とか部分的にできるところからでも始めるべきだと思いますが、どうか伺います。

渡辺巧教副市長:寡婦控除のみなし適用について、ご質問をいただきました。
婚姻歴の有無で差をつける合理的な理由についてということでございますが、本市ではこれまでも児童扶養手当など婚姻歴の有無にかかわらずひとり親家庭を支援する制度を実施してまいりました。一方で、国の制度上、所得税額等を用いて算定することとされているものにつきましては、現行の所得税の寡婦控除の取り扱いが影響を与えているものと考えております。
実施の時期についての考えについてですが、本来は税制度を含め国全体で検討されることが望ましい課題であると考えておりますが、ひとり親家庭の自立支援を進める本市といたしまして、寡婦控除のみなし適用を導入した場合の課題や実施の方法等について、全庁的に検討を進めておりまして、その結果を踏まえて、本市での対応を総合的に判断していきたいと考えております。
実施できる制度からみなし適用を始めるべきとのお考えについてですが、今申し上げましたとおり、現在寡婦控除のみなし適用を導入した場合の課題等について検討を進めております。この結果を踏まえまして、本市の対応を総合的に判断をしてまいります。
残りの質問につきましては、教育長より答弁をいたします。

 

利便性第一の高速道路のあり方は根底から再検討すべき

古谷議員:なお最後に、先ほど質問をしました自民党の遊佐議員のわが党に対する問題提起に一言答えたいと思います。南線に反対する理由は、何よりも財政負担の大きさです。南線の総事業費は約5000億円。環境への負荷も問題です。住民合意もありません。そこに住まわれている住民を押しのけてでもやるつもりなんでしょうか。そこにどんな大義があるんでしょうか。人口減少社会の到来、大量生産・大量消費社会のあり方が問われる中、利便性を第一義的に追い求める高速道路のあり方は根底から再検討すべきだと訴えて、質問を終えます。


2014-05-23 | 2014年の議会活動議会活動

平成26年第1回定例会 平成26年度予算及び予算関係議案の討論、採決など

(2014.3.25)

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新たなインフラ整備は維持・更新費がかかるばかり

先日、4月からの消費税増税強行する2014年度国家予算案は、自民党・公明党などの賛成で可決成立しました。いまあちこちで「消費税増税分は全額社会保障にあてる」と税金を使って盛んに宣伝されていますが、年金・医療・生活保護など社会保障の給付は軒並み削減されました。このことで市民生活がさらに苦境に陥ることは明らかであります。そんな中で、国の悪政から市民生活守る立場に立つのかどうか、問われています。
林市長は、「市政運営の基本方針と予算案について」の中で、これからの横浜の未来、描かれています。問題意識・課題認識は、共有できる部分もあります。しかし、その課題に対して、対処していく手法には共感できませんし、これでは展望も持てません。市長は答弁で「将来世代に過度な負担をさせるべきでない」といいながら、その一方で「大胆な投資」「スピードアップさせる決断」として、横浜環状道路建設の推進や国際コンテナ戦略港湾整備に大きく傾注した予算をつけました。しかし、既存のインフラの維持更新費すら十分に費用がつけられておらず、そんな中で新たなインフラを作れば、その時から新たな保全費が発生します。このままでは、私たちの先達が営々と築いてこられた横浜の財産すら維持できなくなるのではないでしょうか。それでも市長は「大胆な投資をすべき時なんだ」とおっしゃるのであれば、それらすべての新設のインフラの総事業費とそれによって増える維持保全費、しっかりと示すべきであります。
それも示さずに、これからの生産人口減の中で、どこにそのお金を捻出し続ける根拠があるのでしょうか。言葉だけは威勢のいいことをおっしゃっていても、これでは何の裏付けもない、根拠のない無謀な提案と言わざるを得ません。その上、新市庁舎建設やカジノなど、どれだけバブルな発想なんでしょうか。そんな無謀な提案によって、今の現役世代やその次の子どもたちの世代に莫大な借金を押し付けてしまうことをみなさん本当に良しとするのでしょうか。

 

生活を脅かす高速道路建設での土地収用、下水汚泥焼却灰の埋め立てはやめよ

高速道路の問題では、湘南道路を含む南線が今進められようとしています。この議会開会中も土地収用法による住民説明会が行われ、たくさんの方が会場に詰めかけています。現計画をそのまま進めるとすれば、抵当権者も含めると1700人を超える権利者の土地が収用されてしまいます。うち、横浜市がつくる関連街路だけをみても、そこに立地するマンションは2棟あり、区分所有者は454名もいます。それだけ多くの人の権利を市長、踏みにじることを強行しようというのでしょうか。
市長は、国の進める事業に対して協力をしなければならないという立場もあるかもしれません。しかし一方で、横浜市民の代表であり市民を守る立場にも立たなければなりません。断じて、国の手先になって、市民生活を脅かす立場に立つことは許されません。
これは下水汚泥焼却灰の処理の問題でも同じであります。市民団体や地元住民をはじめ、港を一手に取り仕切っている港運協会含めて大反対をしている、南本牧最終処分場の陸上部分への埋め立ては、強行すべきではありません。本来、国や東電が責任をとらなければならない放射性汚染物質を、なぜ横浜市がお先棒をかついで、市民はその被害を押し付けられなきゃならないのでしょうか。ここでも、どちらの立場に立つのか、市長、問われているのではないでしょうか。

 

政令市最低レベルの子育て施策から脱却を

また市長はこうも言っています。「多くの方々、企業の皆様に横浜を選んでいただき、そして長く住み続け、活躍の場としたいと望まれる横浜を、必ず実現していきます。」と。こう言うからには、文字通り横浜に住むことを選んでもらう施策を市長は進めるべきです。しかし、今やっていることは、全くの真逆の政策です。少人数学級の推進も政令市最低レベル、小児医療費無料化助成も県内最低レベル、中学校給食がないことも政令市最低レベル、さらに今回の予算審議の中でほとんどの政令市で引き下げていない就学援助の基準も国の要請を無視して切り下げました。こんなにも、子どもを産み育てるという条件・環境が他都市と比べても劣っているというのは、切れ目のない子育て施策を充実させると日頃おっしゃる市長とは思えない。言っていることとやっていることが全く違います。また、これらの指摘に対して、市長からはまともな答弁もありませんでした。非常に残念です。
また、今回予算案の中では、ふとん丸洗い事業などが廃止されました。この事業の対象は、寝たきりの知的障害者なども入っています。こうした最も配慮すべき方々に対して、意向調査もせず、実態調査もしないまま、机上の計算だけで、事業廃止を決めてしまうというのは、林市長が現場主義だとおっしゃいながら、こういう一人ひとりの市民生活、顧みないやり方をしているというところが、こういうところからも透けてみえてきます。

 

人口減少社会に適したまちづくり計画を

私たちは、今回の予算案に対する対案として、先ほどの予算組替え動議で述べましたが、こう考えています。市長も認識していらっしゃるように、これからの人口減少社会の時代認識に立った上で、新たな都市像を作っていくべきだと思います。それは、政府の経済成長戦略を取り込んだ新たな大規模開発中心のまちづくりではありません。地方自治の立場に立って、人口や産業が減少・縮小することを前提とした計画的なまちづくり、その中で地域で暮らし続けられるようなまちづくりであります。
産業で言えば、大型公共工事など箱モノづくりではなく、居住地に近接するサービス業や教育、医療、福祉、再生可能エネルギーなどの分野を発展させることであります。政令指定都市最大の人口を抱える横浜市の強みを生かして、市民の能力を最大限に発揮できる条件や環境を整えるための予算こそ、転換期には必要なのではないでしょうか。

 

破綻した中学校給食やらない論、中学校給食の実施を

そして特に、これからの時代の中で、横浜の子育て施策について述べます。
まずは、中学校給食の未実施の問題。私は、教育委員会の質疑に当たって、この間の中学校給食を実施しない理由の変遷をみてきました。昔は、いわゆる“愛情弁当論”を振りかざして「親の愛情のこもった弁当が必要だ」と言い続けてきました。今でもごく一部の方がおっしゃっておりますが、私はいま中学生の子どもを持つ親として言いたい。親の愛情の示し方まで私は指示されたくはありません。この理屈も、今はそれは言わなくなったようですが、次は、中学校期の体格のことを捉えて「中学校期になると体格・食事量など個人差が大きくなり、給食などの献立よりも、子どもたちが自分の体調や栄養バランスを考慮した、個々に応じた昼食の方が望ましい」と、つい最近までこの理屈を言っていましたが、これも今回の質疑を聞いていると、その理屈は破綻したと自ら考えられたのか、これも言わなくなりました。今回では、弁当の良さを教育長は「作ってくれる方とのつながりがあるからいいんだ」とおっしゃいましたが、その回答自身が何の裏付けもない教育長の主観であると答弁をされています。市長、結論先にありきで、やらない理由をあとからつくるのはもうやめにしましょう。中学校給食を拒否するための理由づけは、全国の学校給食の工夫や成果を否定することになる上、横浜市の小学校の給食の実践をも否定することになります。
この際、教育委員会のみなさんにも訴えます。みなさんも公務員であるのなら、中学生の願い、市民の願い、拒否するための理由づけを無理やり考えるよりも、どうしたら実現できるか考える方が楽しくやりがいがある仕事ができると思います。どうでしょうか、教育長。
私たち日本共産党横浜市会議員団は、改めて学校給食法に基づいた中学校給食の実現を求め続けていきます。

 

子どもにも先生にも一挙両得の少人数学級

次に、少人数学級を前進させない問題です。これは、生徒に対してと先生に対して、二つの問題があります。まずは、生徒に対してですが、今回の予算案の中で、グルーバル人材を育成するためとして英語教育が大きく強化されています。これを全面的に否定するものではありませんが、100歩譲って英語教育をより進めるにしても、今の状態のままではひとりひとりの成長に応じた教育効果は到底望めず、結果、落ちこぼれてしまう子どもたちを救えません。公教育のあり方として、まずは少人数学級を進めることで一人ひとりの成長に光を当てる施策を、すべての教育条件の土台として位置づけることが必要です。今回の予算ではその点で一歩も踏み出さなかった責任、重いと思います。
次に先生に対してですが、田村厚生労働大臣が先日の国会審議の中で「教員も労基法の対象になる」と発言しており、一般的に月80時間の残業時間を超えるとブラック企業といわれますが、果たして本市で働く教員の残業時間はどうなっているでしょうか。先日、開催した教育シンポジウムで、ある現職の小学校教員の方がこう発言されています。「子どもたちのために忙しいのは本望だが、事務作業等の周辺作業が忙しくて子どもたちに向き合う時間がないのは辛い」。こういう先生の悲鳴ともいえる状況、教育長は掴んでいらっしゃるでしょうか。市長、教育を充実させるというのであれば、生徒にとっても先生にとっても、少人数学級を進めることが一挙両得の施策であると、改めて求めます。

 

はだしのゲン」をはじめ子どもの知る自由をきちんと保証すべき

最後に、学校図書館の問題ですが、漫画「はだしのゲン」をめぐって、全国的に問題になっています。
今議会の特別委員会の中で、自民党・山下議員が「はだしのゲン」を政治的思想的な色合いが強い、また天皇陛下に対して侮辱的な発言があるなどとして、学校長に判断を委ねていいのかと述べました。また、常任委員会でも、自民党の横山議員が「はだしのゲン」に過度な表現や中学校の発達段階で不適切な画面や映像があるため、図書選定の責任者の適切な判断を望みたいと述べました。
全国的な動向をみると、大阪の泉佐野市で市長が市教委に指示し、「はだしのゲン」を回収し、そのことに校長会が抗議して、返却されています。その際に、ある校長は「学校の図書については校長に権限があり、市教委が介入するのは筋違いで腹立たしい」、こう述べています。今議会の総合審査の中でも、市教委は「学校図書の選定は学校の選定委員会などの意見を参考にして学校長が決めること」を確認した際に「そのとおりである」と教育長も答弁されています。
1953年に学校図書館法が制定され、その後1991年に全国学校図書館協議会によって「学校図書館憲章」が採択されています。その際に重視されたのは「自らが調べ学んでいく学習」です。誰かが先回りをして、子どもたちの成長・発達にふさわしいかどうかを決めるなんていうことはナンセンスです。また、図書館などに置いてあるパソコンからはインターネットの情報が氾濫している中で、教育委員会が生徒の情報にアクセス制限をすることは事実上できません。
そんなことをよりも、子どもたち自らが自主性をもって物事の本質を学んでいく力を身につけさせることの方がよほど重要ですし、児童の知る自由はきちんと保証すべきで、誰にも侵すことができない権利だと申し述べておきます。

 

市民と共同して、安心して住み続けられる横浜を

最後に、今年度も私たち日本共産党市会議員団は、市民の生活と生業を守る立場で、道理と大義ある提案を示しながら、広範な市民の皆さんとも共同して、安心して住み続けられる横浜つくっていくことを表明して、討論を終えます。


2014-03-25 | 2014年の議会活動議会活動

平成26年度予算特別委員会 予算第一特別委員会局別審査(教育委員会関係)

(2014.3.7)

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横浜の中学校では家庭弁当が給食より良いと言い切れるのか

古谷議員:最初にスライドの許可、お願いいたします。
日本共産党、古谷やすひこです。学校給食法に基づいた中学校給食の実施を求めて、質問をしてまいります。本市の中学校で給食を実施していない理由、何か、伺います。

岡田教育長:小学生から中学生への成長を踏まえ、中学校では弁当を基本としております。昭和31年に学校給食法が改正され、中学校でも給食実施が可能になりました。しかし、本市におきましては、昭和30年代後半から40年代は急激な人口増加があり、それに伴って児童・生徒のための授業を行う教室等の整備を中心に学校を建設してきました。その間、家庭弁当が定着し、日本の食糧事情や食生活も大きく改善されたため、優先される課題とはなりませんでした。

古谷議員:では、家庭弁当がいいというふうにおっしゃられているんですが、家庭弁当の良さはなんですか。

岡田教育長:家庭弁当は作ってくれる人と食べる人とがつながりが非常にいいこと、それから自分ならではの良さがその中にあること、そして作ってくださる方との会話や保護者への感謝の気持ちが生まれるきっかけになります。また、アレルギー等の心配がほとんどないことも良さのひとつと考えています。

古谷議員:今ペーパー読み上げられたんですが、そうおっしゃられる裏付けの家庭の調査、やられていますか。

岡田教育長:家庭の調査はしておりません。

古谷議員:そしたら、なぜ、そう言い切れるんですか。

岡田教育長:一般論として、そして私の所感として申し上げました。

古谷議員:教育長が今おっしゃられたようないい面もあると思います。しかし、そういうお弁当作れないという家庭もあるというふうに思います。いろんな家庭があるからこそ、公の役割として成長期に必要な食物を摂取できるように学校給食があるというふうに私は考えますが、教育長の考えを伺います。

岡田教育長:中学生になるという成長段階を考えますと、ご自分で作ることも可能ですし、時間、食材、金額、体調、栄養等さまざまな条件の中で、自分にとってよいと考える食を考えるということはとても大事なことだと思いますし、食生活の形式や食への自立というものも、中学生にとっては、私は大変大切なことだと考えています。

古谷議員:ではなぜ、小学校では給食を選択しているのか、伺います。

岡田教育長:本市におきましては、小学校では学校給食法が施行される以前から小学校において学校給食が実施されており、学校給食法の施行後はこの法律の実施基準に従って実施しているものです。

古谷議員:続いて、今までの答弁の中で教育長は「給食にもいいところがあります。また、家庭弁当にもいいところがある」というふうにされています。それぞれ、給食の課題、家庭弁当の課題、それぞれ何だと考えられていますか。

岡田教育長:小学生の成長過程を考えますと、暖かいものをみんなで一緒に食べることで学び合うこと、それからもちろん栄養バランスのよいものを食べていくということもありますけれども、何よりも子どもたちが給食を食べていくことで成長していくということが大きいというふうに、給食は思っています。
お弁当の良さというのは、先ほど申し上げましたので。お弁当の課題、それはやはり、中学生の課題ということになりますけれども、朝、保護者が作れなかった場合、自分で作れなかった場合のお弁当の調達ですとか、そういうことになると思いますけども。

 

学校給食法では中学校期だからこそ給食が必要だと書かれているが

古谷議員:今までのは前置きです。これから、いままでの答弁踏まえて、質問していきたいと思います。
先ほど、教育長は答弁の中で、「中学校期になると成長を踏まえて」というお話がありました。そこでお聞きしたいんですけど、先ほど引かれたように、学校給食法では当初小学校までしか対象でなかった学校給食、中学校まで広げた改正学校給食法には改正の趣旨にこうあります。「個人差が大きくなって心身ともに旺盛な発達段階にあるからこそ、適切な学校給食が実施されることが義務教育の完成を目指す上で重要である」と。中学校期だからこそ、給食が必要だと書かれています。教育長のご見解とは真っ向から反すると思いますが、いかがですか。

岡田教育長:給食法が出来ました年代を考えますと、そういうことだったんだろうなというふうに思います。

古谷議員:今はどうなんですか。

岡田教育長:先ほども申し上げましたけれども、当時と比べて日本の食糧事情や食生活の改善は著しいものがあります。それを踏まえますと、一概に給食がいいというふうな結論にはならないんではないかなっていうふうに考えています。

古谷議員:学校給食が法によって規定された意味は、教育長、何だと考えていますか。

岡田教育長:31年に学校給食法が改定されまして、小学校から中学校も実施可能になりました。いろいろ言われておりますけれども、当時の食材調達やいろんなことを考えますと、給食を選択していた都市もあるし、それぞれの事情により実施しなかった都市もあるということだと思います。

古谷議員:もう少し歯切れのいい答弁お願いします。

 

栄養バランス的に家庭弁当は学校給食より優れているか

古谷議員:続いて伺います。栄養バランスに着目した場合に、家庭弁当と学校給食、どちらが望ましいと考えますか。

岡田教育長:お弁当を作っている保護者の方に対して失礼になるといけませんので、本当に所感ということになりますけれども。すばらしいお弁当を持参している方もいると思いますし、また今、その1食だけで栄養を取るという概念は今の子どもたちにはないというふうに思いますので、1日1週間トータルな栄養バランスを考えて、そのときに取るものがバランスいいかどうかということに関しては、バランスを欠けるというものもあると思います。

古谷議員:もちろんそうです。学校給食法でも、中学生期で1食で摂取される必要な基準というのが学校給食実施基準の別表、スライド出されてませんけど、実施基準の別表で示されていて、それに基づいて全国の8割の中学校では給食が提供されているわけなんです。ですが、本市では、いままでの答弁では、家庭弁当の方が栄養バランスが望ましいという答弁をずっとされています。それはどういった根拠でいままでされていて、今の答弁との違いが、ぜひ教えていただきたいと思います。

岡田教育長:すいません。ちょっと今、ご質問の意味を考えながら立ちましたけれども、家庭弁当で栄養バランスがあるとかないとかっていうお話を答弁としてした覚えがないので、いつの答弁のことだったのかなというふうに、今考えているんですけれども。お弁当にはお弁当の良さがあるし、小学校の給食には小学校の給食としての意味がある、役割があるっていうことはいままでずっと申し上げてまいりました。

古谷議員:はい、では読み上げましょう。2012年度の私どもの予算要望の中で、「中学校において学校給食法に則った給食を早期に実施すること」という中で、回答の中でこうあります。「子どもたちの体調や栄養バランスに考慮した、個々に応じた昼食のほうが望ましいと考え、中学校における昼食は、家庭からの弁当持参を基本としています」と、こう回答されています。これについてどうですか。

岡田教育長:おそらく、一人ひとりの子どもの成長に応じたお弁当が作れる、用意できるということで、当時答弁あったというふうに思います。

古谷議員:今、示されている学校給食摂取基準、本市の中学校の食育の中ではどうやって位置付けられていますか。

岡田教育長:1食あたりの、これは学校給食の基準だと思いますけれども、食育として中学生の成長過程で必要なものということで、トータルに学んでいます。

古谷議員:本市の中学生の食育の中では、どうやって位置付けられていますか。

岡田教育長:中学校で給食を採用しておりませんので、給食としての標準というのは使っておりません。

古谷議員:これ、なぜあげたかっていうと、この学校給食摂取基準というのは、かなり頻繁に臨時改定を繰り返しています。これ、非常に中学生の体格を考えて、臨時改定をずっと繰り返しているんです。そういったことが、学校給食法ではやられているんですけど、そういったことが横浜市の中学校ではどういうふうに位置付けられてやられていますか。

岡田教育長:何度も同じ回答して申し訳ありませんけれども、給食やっておりませんので、給食の基準というのは、位置付けはございません。

 

横浜市は国の食育推進基本計画や学校教育法に従わないのか

古谷議員:続いて伺います。2010年に食育基本法が制定されて、それに基づいて国が「食育推進基本計画」を策定しました。その中には、学校の役割として「学校給食の充実」の中に「子どもが食に関する正しい知識や望ましい食習慣を身に付けることができるよう、学校給食の一層の普及を促進する」とありますが、本市はこの普及の方針には従わないということなんでしょうか。教育長、伺います。

岡田教育長:食育は食育で実施しておりますし、今は給食を位置付けておりませんので、給食法のその箇所については位置付けはありません。

古谷議員:丁寧に答えていただきたいんです。食育基本計画の中で、「学校給食の一層の普及を促進する」とあるんです。これに背いてませんかということなんですが。

岡田教育長:給食を実施している小学校ではきちっと基準は尊重しています。中学校では実施しておりません。

古谷議員:丁寧に答えていただきたいんですが。
続いて伺いますね。給食が行われている小学校ですらですね、給食では全部の食事の6分の1しか管理できないので、食育の推進のためには緊密に家庭と連携してやろうとなっています。ましてや給食を実施していない本市中学校では、小学校にも勝る努力と工夫が必要だというふうに考えます。小学校と同じ事業はおっしゃらなくて結構ですので、小学校以上に中学校で行われている家庭弁当での食育を進めるために努力されていること何か、伺います。

岡田教育長:中学校の学習指導要領には、きちんと学校給食を実施していない学校においての食育に関する指導事項も記載されておりまして、それをきちんと踏まえまして、個に応じた家庭弁当でも、教材として特別活動や技術・家庭科などで取り上げることで、食育にしっかり取り組んでおります。

古谷議員:2004年に学校教育法が改正されて、栄養教諭制度が創設されています。その改正の主旨にはこう書かれています「今回の改正は、児童生徒の食生活の乱れが深刻化する中で、学校における食に関する指導を充実し、児童生徒が望ましい食習慣を身に付けることができるよう、新たに栄養教諭制度を設けるものです。この栄養教諭は、栄養に関する専門性と教育に関する資質を併せ有する教育職員として、その専門性を十分に発揮して、特に学校給食を生きた教材として有効に活用することなどによって、食に関する指導を充実していくことが期待されています」。学校教育法の中でも、学校給食が位置付けられています。横浜市は学校教育法にも反しているのではないですか。

岡田教育長:反しているとは思いません。

古谷議員:少し勉強していただきたいというふうに思うんですが、今までの教育長のご発言は本当に破綻しているというふうに思います。ぜひ求めたいというふうに思います。


2014-03-07 | 2014年の議会活動子育て・保育議会活動

平成26年度予算特別委員会 予算第一特別委員会局別審査(健康福祉局関係)

(2014.3.5)

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必要な人に必要なサービスが届けられる福祉予算を

まず、健康福祉局予算全体にかかわる点でいくつか質問してまいりたいと思います。
厚生労働省が先月の20日に発表した2013年度全国賃金構造基本統計調査で、一般労働者の平均給与が4年ぶりに前年を下回って29万5700円となりました。賃金の低い中小企業やあるいは雇用やパートタイム労働者が増えて、賃金水準全体が押し下げられたと産経新聞などでも報道されておりました。格差と貧困が拡大して、給与が下がり続けている中で、物価も上がり始め、また消費税も来月には増税が待っています。
昨日の新聞報道などでも、中区では経済的に苦しくて無理心中を図る娘と、そして殺されてしまった母親の事件が報道されていました。報道どおりだとしたら、本当に痛ましいことだというふうに感じます。
そんな社会情勢厳しい中、市民の命と暮らしに大きな責任をもつ健康福祉局の予算編成、低所得で厳しい生活苦にあえいでいる市民生活をしっかりと守る立場で予算編成をしていただきたいですし、社会保障機能としても大変重要な所得の再配分機能、さらに強める必要があるというふうに思いますが、局長の見解、伺います。

岡田健康福祉局長:私ども行政が実施する福祉保健サービスはそれを必要とする方に着実にそのサービスを提供していくという基本的な考え方で実施するものというふうに考えております。たとえば、超高齢社会が進むというような2025年を見据えた課題にも今後しっかりと取り組むということで、安全安心の社会を築いていけば、結果として、先生ご指摘のような課題に応えることができるものというふうに考えております。

古谷議員:続けて、健康福祉局予算というのはいつも年々膨れ上がるというふうにして指摘されていますが、その中で、そもそも老齢人口っていうのはこれから自然に増えていくわけで、費用が増えるのは一定仕方がないものだというふうに感じます。それを、健康福祉局内でなかなかやりくりするような、そういった予算組みの中では、何かの予算を削り続けていかなければならないのではないか、そういった構造になっているんじゃないかなというふうに感じます。これではなかなか市民生活を守る予算にはならないんじゃないかなというふうに感じますが、局長の見解、伺います。

岡田健康福祉局長:健康福祉局の26年度の予算案の一般会計の内容ですけれども、対前年度比でいいますと128億円増えて、これは率にすると3.2%の増の予算案というふうになっております。そういう意味では、必要な施策に対しまして必要な予算は確保できているというふうに考えております。今後もサービスを必要とする方に必要なサービスを提供できるような予算組みをしっかりと取り組んでいきたいというふうに思います。

古谷議員:今後の傾向としてですが、全体予算ではなくて、市民のお一人おひとりの生活がどうなっていくのかという視点でみたときに、これから2025年に向けて、個人の負担やサービス、どうなっていくかというような見解があるかと。見解、伺います。

岡田健康福祉局長:それぞれその社会状況によって違うかとは思いますが、これから高齢化が進んでいく、それもこの都市部では急速に進むというような状況の中では、特に私ども健康福祉局が所管する社会保障費の分野などでいえば、今後も増加が見込まれるということになろうかと思います。

 

非常に出遅れている小児医療費助成の年齢引き上げを

古谷議員:では、少し個別の分野について伺ってまいります。
まず、小児医療費助成の水準について伺ってまいります。来年度予算では、相変わらず小学1年生までと据え置かれてしまい、他都市より大きな後れを取ってしまっているというふうに私は感じております。本市の小児医療費助成の水準、どう認識されているのか伺います。

本田生活福祉部長:本市を除く政令指定都市19市の通院助成の水準の傾向として、対象年齢でみますと、その上限を小学3年生以上に設定をしておりますのは13市で、全体の約7割と多数を占めております。また、所得制限でみますと、制限を設けていないのは11市で、全体の約6割となります。最も助成水準が高いのは、通院・入院とも中学卒業まで所得制限なく助成をしているさいたま市、静岡市など5市が該当し、一方対象年齢・所得制限とも本市を下回っているのは札幌市と広島市の2市となっております。

古谷議員:非常に横浜市は出遅れているというふうに思いますが、今後どう対応されようとしているのか、伺います。

岡田健康福祉局長:やはり小児医療費助成というのは子どものいる世帯などに対するやはり重要な施策というふうに考えております。しっかりとこういったものについては取り組んでいきたいというふうに思います。

古谷議員:今、局長は大変重要な課題だというふうにおっしゃられたんですが、副市長、ぜひ小児医療費助成水準の引き上げの課題、本市予算の中で非常に優先順位が上げられてないとうふうに感じますが、その点の見解、伺います。

鈴木隆副市長:福祉対策、特に子育て支援策については、さまざまな分野、さまざまな項目、事業があります。切れ目のない子育て世代の充実として、26年度予算案では保育所待機児童解消の継続、放課後児童育成推進など多岐にわたって多額の予算を計上しているわけですが、小児医療費助成制度についても、将来を担う子どもたちが健やかな成長を図るための大切な施策のひとつと、先ほど局長が言われたような認識は持っております。だが、多額な予算を必要とするという事業でもございます。そこで、制度拡充の実施については慎重に見極めるという必要があるというふうに思っています。

古谷議員:ぜひ、優先的にも上げていくべき課題だというふうに感じます。

 

ヘルパーは足りないのに「ヘルパー増加作戦事業」をやめるのか

古谷議員:続いて、ヘルパーの養成の問題について、伺ってまいります。今回の予算の中で、福祉人材就業支援事業の中で「ヘルパー増加作戦事業」という事業が廃止がされています。本市の現状認識として、一般的に本市で働くヘルパーは充足してるのかしていないのか、どちらか、認識を伺います。

妻鳥高齢健康福祉部長:平成22年度に行いました横浜市高齢者実態調査によりますと、たとえば特別養護老人ホームでは半数以上の事業者が介護職員の採用が困難な状況にある、そういった回答をしています。

古谷議員:そういった状況の中で、なぜこの事業がやめられたのか、伺います。

岡田健康福祉局長:このヘルパー増加作戦事業は、市民の方を対象に、介護に関する資格取得を支援し、資格技術を生かした就職へと結びつけるために、平成21年度から実施して5年間で3000人を超えるヘルパーを養成したという実績がございます。24年度の助成対象者へのアンケートを行ったところ、約9割の方が助成制度がなくても資格を取得をしたというふうに回答しているという現状がございまして、廃止するということによって資格取得者が大幅に減少する可能性は低いのではないかということで、この厳しい財政状況の中で考えますと、この事業を廃止するということを決めたものでございます。

古谷議員:では、ヘルパーさんをこれから増やしていかなきゃならないという認識だと当然思うんですが、それについての課題は何だと考えられていますか。

岡田健康福祉局長:やはりこのヘルパーさんという仕事が、やはり多くの人に認知され、そしてそういう仕事を目指したいということが、やはり底辺を広げる、裾野を広げるということがやはり大事なんだろうということで、啓発などがまずは必要だというふうに思います。加えてということになりますが、なかなかいろいろ事業者さんなどから聞きますと、その賃金の問題などもあるというようなことも聞いておりますので、そういったことが課題であるというふうに思っております。

古谷議員:ぜひその点対応していただきたいというふうに思うんです。

 

通学通所支援のヘルパーを増やせ

古谷議員:それについて、ヘルパーさんが足りないという問題に関連して、障害のガイドヘルプ事業についてちょっと伺ってまいります。この予算では、通学通所支援が今回の予算組みでは大幅に予算額が減らされていました。これは利用実績に合わせたということなんですが、なぜ実績が減ったのか、その原因について伺います。

杉本障害福祉部長:通学通所については、ガイドヘルパーの対応を25年度から開始しましたけれども、やはり朝同じ時間帯に利用が集中する等によって、なかなかヘルパーの利用がそこで対応できていないという、そういった面がありまして、なかなか実績が伸びていなかったというふうに考えられます。

古谷議員:ヘルパーが足りないということだというふうに思うんですが、これでは制度をつくっても実際は使えないということになります。実績にあわせるばかりでは本当のニーズには応えられないというふうに感じます。真に必要な方々が使えないことということになります。どう解消していくのか、伺います。

杉本障害福祉部長:ヘルパー不足への対応という点でございますけれども、22年度から本市では2万円を上限にガイドヘルパー資格を取得する際の養成研修受講料を助成しており、26年度も引き続き実施する予定でございます。また、通学通所支援の実態把握のため、ヘルパー事業者に対して、この1月下旬から2月にかけましてアンケート調査を行っておりまして、まだ集計中ではございますけれども、この結果も踏まえてヘルパー確保の取り組みについて検討していきたいというふうに考えております。

古谷議員:そこで、もう一つちょっと指摘をしておきたいんですが、通学通所支援について、当然、特別支援学校に通っている児童はいま使えているという、まあ使えているといってもヘルパーが足りなければ使えないわけですが、制度上は使えるということなんですが、普通学校の特別支援級に通われている児童は使えません。この対応の違いはなんでしょうか。これでは障害者は特別支援学校に通うように誘導されているとしか思えません。がんばって普通学校に通っている障害児をなぜ支援しないのか、その理由を伺います。

岡田健康福祉局長:特別支援学校とは違い、比較的自宅から近い場所にある普通校の個別支援学級への通学支援については、これはそういう地域に近いと、自宅から近いというようなこともあって、地域のつながりによる助け合いを基本とした地域のガイドボランティアの利用を想定しているということですので、ガイドヘルパーによるサービスは、いまの時点では想定をしていないということによるものでございます。一方で、このところ、障害の重い方も普通校に通学しているという場合もかなり見受けられるというような状況もあるようでございます。そういうことを考えますと、ガイドボランティアの利用状況等も踏まえながら、より専門性の高いガイドヘルパーによる支援についても、検討していきたいというふうに思います。

古谷議員:私のところに、電動車いすで小学校の普通学校に通われている方からも相談がありました。本当にがんばってがんばって通われています。お父さんお母さん方も大変、今疲弊しています。そんな中で、これはなぜこういう差別なのかというふうに私も訴えられました。ぜひ、この点、検討していただくということなので、早急に検討していただきたいと重ねて要望しておきます。

 

寝具丸洗い・乾燥事業をなぜやめるのか

古谷議員:続けて、「寝具丸洗い・乾燥事業」という事業が今回の予算では制度が廃止をされました。廃止の理由、伺います。

岡田健康福祉局長:この事業は昭和49年に開始した事業で、開始当時と比べると社会情勢大きく変化したという状況にあります。ベットの普及に伴い、布団の使用は減少する。また、大人用紙おむつや防水シート等の介護用品の普及などによりまして、当事業の登録者数は年々減少を続けているという状況にあります。そのようなことから、事業ニーズは低下しておりまして、また他の手段で代替することも可能と判断したため、25年度をもって事業を終了するということにしたものでございます。

古谷議員:この事業の利用者の実施要項をみてみると、この事業の目的の中に「老衰、心身の障害および傷病などの理由により寝具類の衛生管理が困難な寝たきりの高齢者、障害者およびひとり暮らし高齢者が使用している寝具を丸洗い・乾燥事業を実施することにより、対象者の健康増進と生活環境の改善を図ることを目的とする」とあります。この事業対象とされている寝たきりの高齢者あるいは障害者およびひとり暮らし高齢者っていうのは、増えているのか減っているのか、伺います。

妻鳥高齢健康福祉部長:それぞれの区分ごとの数字ということではここではちょっとお答えできませんけれども、全体として高齢者、要介護高齢者、増えているというふうにいえると思います。

古谷議員:対象は非常に、この要項をみても、私も驚いたんですが、非常に対象としては幅広い、今のニーズに私は逆にあっているんじゃないかなというふうに思ってます。必要な方にこの制度、知らせる努力が必要だというふうに思いますが、この点についてどうやってきたのか、伺います。

妻鳥高齢健康福祉部長:この制度につきましては、区役所でのご相談あるいは地域包括支援センターでのご相談、こういったサービスがあるということについてご紹介をしております。

古谷議員:ですからなかなかわかりづらい仕組みになっているというふうに思います。この事業の実施要綱の中で示されている対象者の中に、「一日の大半が寝たきりの状態であること」あるいは「身体障害者・知的障害者」なども含まれており、大変厳しい生活実態であるということが容易に想像できます。普通よりもより丁寧な対応が必要だと思いますが、制度を廃止するにあたって意向調査・収入状況などの生活実態を認識される調査はされたのかされてないのか、伺います。

妻鳥高齢健康福祉部長:事業終了に先立って、利用者の方への意向調査というのは実施しておりません。利用者の収入状況等でございますけれども、現在のところ把握しておりますのは、利用料金が免除となる生活保護世帯の方が約4人に1人ご利用されているというふうに把握しております。

古谷議員:ほとんど把握されてないという中で廃止されるということが決められようとしています。この制度の代替手段、どうされるというふうに提案されるんですか。

妻鳥高齢健康福祉部長:介護保険や民間のホームヘルプサービスをご利用いただいて、定期的に布団の天日干しやシーツの交換というのを行うことで衛生状態の維持というのは可能と考えております。

古谷議員:ヘルパーさんで対応されるというふうにおっしゃりたいと思うんですが、今ヘルパーの時間というは削減される方向にあります。代替できるとどう検証されたのか、伺います。

妻鳥高齢健康福祉部長:たとえば介護保険の訪問介護、ホームヘルプであれば、自己負担額でいいますと、20分以上45分未満の区分ということでご利用いただいた場合には206円になろうかと思います。45分以上の区分であっても255円というご負担になります。そういった状況の中で、判断をいたしました。

古谷議員:大変厳しい生活実態にある方がこの制度、利用されているというふうに想像できますが、また、満足に自分の意思すら表明もできないような方だというふうにも、私は認識をしています。そういった方から、意向調査もせずに、あるいは生活実態も把握せずに、一方的に制度をやめてしまうというのは、あまりにも乱暴なやり方ではないかというふうに思いますが、局長の見解、伺います。

岡田健康福祉局長:本市の高齢者数は増加しているにもかかわらずということになりますけれども、当事業の登録者数はその逆に減少傾向にあるという状況にあります。さらにホームヘルプサービスや布団乾燥機、クリーニング事業者による同種のサービスなど代替可能と思われる手段がほかにあるというふうに考えますので、当事業の必要性はすでに薄れているというふうに判断して、このたび事業を終了するということを決定したものでございます。
古谷議員:この事業は、決して大きな予算規模の事業ではありません。しかし、健康福祉局だからこそ、こういった厳しい生活実態にある方に丁寧に寄り添って対応をしていただきたいと思ってこの問題を取り上げました。もう一度、ぜひ丁寧に意向調査もやったり、廃止の方も撤回していただきたいということは意見表明しておきたいと思います。

 

UDタクシーの普及促進を

古谷議員:続いて、UDタクシー(注)について伺ってまいります。なぜ普及が広がらないと考えているのか、伺います。

杉本障害福祉部長:ユニバーサルデザインタクシーは、一般のタクシーよりも高い乗車料金と誤解されて、利用者に敬遠されることや、一般タクシーに比べ燃費が悪く、ランニングコストが高いといった課題があります。ということで導入に躊躇しているというタクシー事業者から聞いております。本市としては、まずは多くの方に利用していただくため、福祉タクシー利用券の送付案内への掲載や、市内の主な病院でのリーフレット配架、横浜駅東口での専用乗り場の設置など、PRに取り組んでおり、今後も周知を進めてまいります。

古谷議員:タクシー会社の善意頼みだけではなくて、広がらない原因、ぜひ取り除いていただいて、対策を打っていただきたいというふうに思います。今後どう改善してどうやって普及をさせていくのか、もう一度考え方、伺います。

杉本障害福祉部長:先ほど申し上げました普及が進まない理由をよくタクシー事業者とご相談させていただきまして、どういったことができるかを含めていろいろと検討させていただきたいと思います。
古谷議員:ぜひ、本市の主体的な努力、要請して質問を終えたいと思います。

(注)UDタクシー:ユニバーサルデザインタクシー。健康な方はもちろんと、足腰の弱い高齢者、車いす使用者、ベビーカー利用の親子連れ、妊娠中の方など、誰もが利用しやすい”みんなにやさしい新しいタクシー車両”。料金は一般タクシーと同じ。福祉タクシーの一種で、ワンボックスカーが使われることが多い。


2014-03-05 | 2014年の議会活動医療・福祉議会活動

平成26年度予算特別委員会 予算第一特別委員会局別審査(病院経営局関係)

(2014.2.27)

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市民病院の担う政策的医療に一般会計からの繰り入れを

古谷議員:日本共産党、古谷やすひこです。党を代表して、質問いたします。いま、進みはじめております市民病院の再整備事業について、伺います。
まず、そもそもの話ですが、横浜市が病院を運営しているという意義について、伺います。

高橋病院事業管理者:市立病院は、地域に不足がちの救急医療や小児周産期医療など、政策的医療を中心に、かつ安定的に提供するとともに、感染症医療や災害医療などについては、まさに最後の砦としての役割を果たしていく使命を負っています。これに加えて、高度急性期を中心に、政策的医療や地域医療全体の質向上などで、先導的な役割を果たしていくことが必要だと考えています。

古谷議員:少し重なりますが、自治体病院とその他の病院との違いは何か、伺います。

城病院経営局長:自治体病院の役割そのものは、その地域の医療環境により異なると考えておりますが、横浜市のように民間病院も多く存在する大都市にあっては、自治体病院は地域に不足しがちな政策的医療を積極的かつ先進的に担うこと、災害医療や感染症医療など市民の健康危機への対応に関しては、市の施策と連携をして、その中核施設として活動すること、地域医療人材の育成や連携のためのネットワークづくりなどに先導的に取り組み、地域医療全体の質向上を図ること、こうした役割があり、これらを担うことが民間病院との違いであるというふうに考えています。

古谷議員:ありがとうございます。市民病院の「再整備基本計画の骨子」の中で、「新病院の目指す姿」という一番目の中に、「政策医療の拠点」とあります。これについては、市民の命に責任を持つ本市がやるべき政策的に必要な医療は、病院の自助努力に頼るべき性質ではないと私は考えます。そういう政策的に必要な医療について、一般会計から繰り出すべきだと思いますが、その基本的な考え方について伺います。

城病院経営局長:再整備後の一般会計繰入金については、新病院の機能等を検討していく中で、合わせて繰入の考え方について整理していくものと考えておりますけれども、基本的には公立病院は独立採算を原則としておりますので、先ほどもご答弁申し上げましたが、一般会計が負担するのは診療報酬などの経営に伴う収入をもって当てることが適当でない経費、または効率的な病院経営を行ってもなおその経営に伴う収入のみをもって当てることが客観的に困難であると、こういった経費等とされております。従いまして、病院の効率的な経営が前提となりますが、必要なものについては明確な基準に基づいて繰入をお願いをしたいというふうには考えております。

古谷議員:では、その基準について伺います。国の繰り出し基準では、例は確かに示されていますが、あくまでもそれは例であって、個々の病院の実情を踏まえて適切に基準を作成するというふうになっています。本市では独自の繰り出し基準があるのかないのか、またなければその理由を伺います。

城病院経営局長:繰り出し基準につきましては、国の繰り出し基準を踏まえまして、第二次横浜市立病院中期経営プランにおいて、本市としての考え方や積算方法を整理しているところでございます。また、各年度の予算案については、予算編成過程の中で、プランの考え方に基づき、具体的な繰入額について、関係局と調整の上、決定しているところでございます。

古谷議員:少し、その考え方のついて伺います。市民病院の「再整備基本計画の骨子」の中で、「新病院の目指す姿」という中では、災害機能というのが大変大きな柱として書かれています。そういった災害機能、きたるべき大災害に備えて整備するということは、公的病院としては大いにしなければならないと考えますが、この部分についての施設整備・維持費用という問題については、政策医療として捉えるのかどうか、伺います。

城病院経営局長:災害時医療については、政策的医療の側面もございますが、これは医療機関であれば災害時に対して一定の役割を果たすというのは、これは民間病院も含めて対応を求められるところでございます。市民病院の場合は、災害拠点病院として政策的医療として担っていきたいというふうに考えております。この場合の繰り出しの考え方ですけれども、現在でも総務省の繰り出し基準により、建設費用の2分の1を上限として、市税等を財源として受け入れることができることとなっています。この範囲の中で、公立病院が果たすべき役割に対する負担が含まれているというふうに考えられますので、この枠組みの中で、しっかり再整備を進めてまいりたいというふうに考えます。

 

経済的に困っている市民の受療権を保証する取り組みを

古谷議員:続いて伺います。経済困窮している市民の受療権をしっかりと保証するという問題も、大きな問題だと思いますが、民間でも無料低額診療事業などを行っている病院では、市の減免制度よりも救済範囲の広い病院独自の基準で医療費減免制度を運用して、経済的に困窮している市民の受療権を保証するという取り組みが行われています。こういうことはぜひ市民病院でもやるべきだというふうに考えますが、公的病院として独自の取り組みが行われているのか、あるいは行っていないのであればなぜ行わないのか、伺います。

城病院経営局長:先生ご指摘の無料低額診療事業というのが民間病院を含めて対応されているということは承知をしておりますけれども、この制度は社会福祉法の社会福祉事業と位置付けられていて、これを実施する病院に対しては税の優遇措置がとられるというような、そういうような制度の中で実施されているところでございます。これは、公立病院が行う場合に、現在よりも経営上のメリットがないという部分がひとつございまして、これを実施するにあたっては、経営上の影響等は慎重に検討しなければいけないというふうに思います。また、地域の医療機関との役割分担や、市立病院が他の政策的医療を担っているというそういう状況も勘案して、慎重に判断しなければいけない内容だというふうに思います。

古谷議員:ちょっと重なりますが、民間でもけっして税金が優遇されているっていうだけではなくて、がんばって市民の受療権を守るという取り組みが行われているんです。その中で、公的医療機関がなぜやらないのか、もう一度伺います。

城病院経営局長:民間医療機関がその優遇措置だけではなくて医療機関の努力により対応されているということも承知をしているところですが、この制度は社会福祉法人等を対象として設計された制度でして、公立病院の経営上に対してはこの制度を実施する優遇措置がないということが、また他の政策的医療を含めて病院に対する経営的影響を慎重に考えざるを得ないということになります。われわれとしては、経済的困窮の有無にかかわらず、全ての患者を積極的に受け入れているところでございますし、経済的に困窮している患者に対しては引き続き高額療養費や生活保護をはじめとする各種制度をご案内するほか、病院としても診療費の分割払いと、こういったことに応じるなど、患者に寄り添った対応をしていきたいというふうに思います。

古谷議員:各種制度は民間病院も活用している中身です。あと、無料低額診療事業をやれというわけではなくて、経済困窮している市民の受療権を保証する取り組みも、ぜひ実践していただきたいというふうに思っています。意見を述べておきます。

 

地域医療の人財育成の役割を政策的医療として位置づけを

古谷議員:続いて、市民病院の「再整備基本計画の骨子」の中で、地域医療の人材育成をするんだということがいわれています。こういうことは地域医療を先導する役割として非常に評価すべきだと思うんですが、こういったことについても、政策医療として捉えるべきだというふうに思いますが、どうか伺います。

城病院経営局長:地域医療人材の育成の取り組みにつきましても、新しい病院で取り組むべき内容として、現在骨子の中に柱として掲げております。政策的医療としての整備等の中には入っておりませんけれども、柱のひとつであるというふうには考えています。この政策的医療に対して、どのように財源当てるということですけれども、一般的に効率的な運営を行っても診療報酬で賄うことができないそういう性質のものであるかどうか、あるいは市の医療政策上の必要で行うものかどうか、そういう精査の中で、今後繰り出しに含むかどうかというのは今後の調整の問題だというふうに思っています。

古谷議員:はい、ありがとうございます。民間病院ではできない、本市として政策的に必要な医療の実践を市民病院が担うわけですから、その部分の責任を市民病院のスタッフには追わせるべきではないというふうに意見を述べておきます。

 

新病院では1.5倍の入院患者、1.2倍の通院患者の見込み

古谷議員:次に、市民病院の「再整備基本計画の骨子」の中で、ベッド数・外来患者数を増やさないという考え方が示されています。入院ベッド数は増やさない、あるいは外来患者数も増やさないというふうになると、どういうふうにして必要な収益を確保するという見通しがあるのか、伺います。

城病院経営局長:先ほどもご答弁いたしましたけれども、新しい病院での入院患者というのは現在の1.5倍、外来患者は1.2倍に増えるというふうに見込んでいます。一方で、医療技術の進展、地域連携の推進により、入院期間が短縮する、あるいは通院回数が減少するといった傾向が続いております。これは患者さんにとってもメリットというふうに考えております。病院にとりましても、この病床数、外来患者数の規模が現在と同程度で、より多くの入院患者あるいは外来患者に対応するということでございますので、収益性も高まっていくというふうに考えています。

病院職員が十分に力を発揮できるような環境整備を

古谷議員:次に伺います。病院の管理運営の問題について伺います。これから大きな再整備事業というものが始まるわけですが、現場の職員の力をやっぱり十二分に発揮してもらうというような環境を作らなくてはいけないというふうに感じます。その中で、ぜひ高橋病院事業管理者、そういうところで一般的に、ぜひ考え方、お願いします。

高橋病院事業管理者:先生のおっしゃるとおりだと思います。

古谷議員:はい、じゃ続けて。2010年1月に、第3回市立病院経営委員会の中で、前市民病院長が意見表明をされている中でこう発言されています。「今まで、電子カルテの導入時期とか脳血管医療センターの赤字補填のために市民病院の内部留保金42億円をつぎ込んだ時には、病院事業管理者と病院長の間に意見の一致を見ることはなく、病院事業管理者の権限で行われました。」これについて、先ほどのご意見と重ねて、高橋病院事業管理者のコメントをいただきたいと思います。

高橋病院事業管理者:当時は経営形態の検討もなされる中で出された意見でございまして、現在の状況とは大きく異なっております。また、平成23年度には、予算執行の権限などを見直し、病院長の権限を拡大しております。こうしたことも踏まえて、私は両病院長ともよく話し合いながら事業を進めております。

古谷議員:当時の事情とどう具体的に変わったのか、伺います。

高橋病院事業管理者:すでに経営形態の検討は終了しておりまして、答申で全的適用でやっていくということが決まっております。

古谷議員:ぜひ、こういったかたちで、現場でがんばられている職員が本当に力が発揮できるような仕組みにぜひ整えていただきたいというふうに意見を述べておきます。

 

コスト最優先ではなく市民最優先の市民病院の再整備を

古谷議員:次に、市立病院の経営課題に関するものについては、やはり国の医療政策に起因するものが大変多いというふうに感じています。国に対してもしっかりともの申していくべきだというふうに思いますし、そうしなければ市民のみなさんの健康に責任を持てないと思いますし、現場でがんばっていらっしゃる職員も守れないというふうに思いますが、見解を伺います。

城病院経営局長:医療機関に対する制度あるいは診療報酬の改定など全国の病院と連携した要望を行うことが効果的なものにつきましては、全国自治体病院協議会あるいは全国公立病院連盟などを通じた要望行動を行っております。本市独自で要望することが適切なものにつきましては、単独で要望していくことも含めまして、引き続き必要な行動をとっていきたいというふうに考えています。

古谷議員:最後に、自治体病院だからといって、私の質問を通じて、コスト抜きで医療をやりなさいと言っているわけではありません。しかし、コスト最優先で不採算な医療部門を切り捨てていくようなやり方をすれば、自治体病院そのものの存在意義がなくなってしまうというふうに思います。市民病院は、ほかの誰でもなく、市民のものだというふうに思います。その立場で、しっかり国に対してももの申すべきだと思いますし、また稼げる医療分野にシフトすることや、あるいは不採算部門の縮小、住民サービスの低下、あるいは職員の雇用・勤務条件の悪化などにつながらないように、ぜひ再整備事業をやっていただきたいという意見を要望して、質問を終えます。


2014-02-27 | 2014年の議会活動医療・福祉議会活動

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