先月に行った常任委員会の視察で熊本の慈恵病院へ、いわゆる「赤ちゃんポスト」について視察に行きました。
報告が遅れたのは、撮った写真の公開の許諾がとれたのが数日前ということでした。
熊本にある慈恵病院が全国的にも有名になったのは、日本で初めて「赤ちゃんポスト」という施策を始めたということで一躍脚光を浴びました。


「赤ちゃんポスト」は、子どもを手放しやすくすることが目的ではなく、あくまでも妊娠・出産に置いて様々な困難が伴うことに対して、一緒に考え・解決することを目標にしているとのこと。どこに住んでいる方でも、どんな方でも相談をできる24時間対応のコールセンターもあります。つまり、あくまでも子どもを手放すことが目的ではなく、子どもを第一に考え、困った時に相談をして、どうしても自身で養育できなければ、次善の対応もできるという、対応を行っている民間病院です。
ちなみに、赤ちゃんポスト「こうのとりのゆりかご」に子どもを置くと、以下のようなフローになります。


つまり、赤ちゃんポスト「こうのとりのゆりかご」に子どもが置かれた瞬間から、親からも、病院からも、離れて熊本市の対応に移ります。慈恵病院の院長は、「市の対応となって施設で子どもたちが過ごすことになる前に、相談をできる場所になって、子どもたちのことを最優先で考えたい、そのための緊急避難として、ドイツにならって、この赤ちゃんポスト「こうのとりのゆりかご」を設置した」とのこと。
実際の写真でいうと、病院の正面玄関ではなく、裏側にその入り口はあります。

この入口から、実際の預ける入口までに何度も、「相談があれば声をかけてください」「ここに電話してください」と何度も掲示があります。

そして、これが子どもを預ける入口。二重扉になっています。ちなみに、防犯カメラのようなものは設置しておらず、赤ちゃんが置かれたらセンサーでスタッフが分かるようになっており、預けた人を特定させるようなことはしていないとのこと。

一枚目の扉を開けると、手紙が置いてあります、「お父さんへ、お母さんへ」。

そして、その手紙を読んでも気持ちは変わらず、子どもを預けるということになれば、最後の扉を開けると、中には保温器付のベビーベットがあり、そこに子どもを預けるようになっています。

中からは、こんな感じです。

二枚目の扉が開かれ、子どもが置かれると、センサーで病院職員が駆けつけることなっており、まず赤ちゃんの状態を確認の上、上記のフローに従って対応するとのこと。
しかし、何度も院長先生が強調されましたが、あくまでも相談を促すことを主眼に置いていて、こういう相談室も24時間対応してくれるそうです。

この赤ちゃんポストは、ここにしかない施設ですが、今まで預けられた子どもは、熊本市内に関わらず、全国から集まってきているとのこと。

しかし、なぜどこから預けに来たのかが分かったのか?
もちろん、子どもを預ける際には、病院がモニターで見張っていて呼び止めているわけではなく、ほとんどの方は子どもを預けてからも、その場でたたずんでいることがほとんどで、その様子を見たスタッフが声掛けをしているといて分かったことだということです。
そして、預けられた子どものその後の状況は以下の通り。

もちろん、施設に行くケースが多いのは今の日本の状況から見て珍しくはないが、この病院がとりわけ力を入れているのが、「特別養子縁組」。
院長先生は、「施設はお金がかかりすぎるうえ、子どもを育てる場所としてはあまりふさわしくない。実親に育てられない子どもを育てる環境として、特別養子縁組が一番いいのではないかと思う。家庭的な環境で望まれて養育をしてもらえる、施設よりも優れていると思う。日本の施策は、施設依存がはなはだしすぎる。」

何か、私自身で答えが見つかったわけではありませんが、慈恵病院さんの取り組みは一つのあるべき方向性は示していると思います。
毎年党市議団で行っている「神奈川地方最低賃金の大幅引き上げを求める申し入れ」を神奈川地方最低賃金審議会長の盛誠吾氏および神奈川労働局長の若生正之氏あてに行いました。
神奈川地方最低賃金の大幅引き上げを求める申し入れ
2015年8月7日
神奈川地方最低賃金審議会長 盛 誠吾 様
神奈川労働局長 若生 正之 様
日本共産党横浜市会議員団
団 長 大 貫 憲 夫
日頃、賃金をはじめ労働時間や雇用など労働条件向上にご尽力いただき、心から敬意を表します。
厚生労働省の中央最低賃金審議会の小委員会は7月29日、2015年度の地域別最低賃金について、全国加重平均で時給18円増の798円とする目安をまとめ、30日に塩崎恭久厚生労働大臣に答申しました。神奈川県の引き上げ目安は3年連続19円で、目安どおりに引き上げると最低賃金は906円になります。2010年に政府が設置した「雇用戦略対話」では、労働界、産業界も含めて、「早期に全国最低800円を確保し、2020年までに全国平均1,000円を目指す」ことが合意されています。
報道によれば、菅官房長官は記者会見で、「経済の好循環を作り出して成長を刺激するには、思い切った賃上げが必要」と述べていますが、今回の引き上げの目安は人間らしく生活できる賃金を求める労働者の期待に応える額とは到底いえません。
神奈川県内の労働者が国と神奈川労働局長を相手に起こした最低賃金裁判は8月20日で第21回を迎えます。昨年末に行われた第18回裁判で、老人ホームで調理補助のパートとして働く26歳の女性原告は「時給910円で、1か月の給料は手取りで約13万円」という実態を語り、「人並みに親元から自立して一人暮らしを経験したいのですが、現実には経済力がなく、できません」「結婚してもおかしくない年齢ですが、いまの生活のことだけで精いっぱい」「時給が1000円になっても手取りは14万円ちょっとにしかならず、独立するには足りません」と述べました。
世界に目を向ければ、欧州では全国一律で1000~1400円が当たり前であり、アメリカでも15ドル(約1850円)への引き上げが決められ、各地で引き上げが始まっています。
従来から申し上げているように、生活保護費以下の賃金は、憲法第25条の国民の生存権および国の社会保障的義務、生活保護に係る施策との整合性に配慮するとする最低賃金法第9条3項にも反します。生活できる賃金を保証するために、最低賃金を大幅に引き上げるべきです。なお、最低賃金引き上げで営業が苦しくなる中小企業に対しては、ダメージを抑える別の政策が必要であり、国が策定した小規模企業振興基本法などに基づき、積極的な支援を行うことが求められています。
つきましては、下記の実現に向け、貴職の権限を生かした真摯な対応を要請いたします。
記
1.生活できる賃金をめざして、時給1,000円以上にする方向で、審議を行うこと。
以上