日本共産党横浜市会議員
古谷やすひこ
地震対策・交通で前進
能登半島地震を教訓にした地震防災の強化が図られます。特に課題だった避難所環境の改善が盛り込まれたことは歓迎です。「雑魚寝状態」の解消や食料・水の備蓄数の倍化、空調整備設置の加速、災害用トイレの充実なども進みます。ただ、整備に5年かけるとしており、スピードアップを求めました。
5年かけて50の交通不便地域にミニバス等の地域公共交通の運行を目指します。また、敬老パスは自己負担増など無しに制度を拡充。4月以降に75歳以上になってから免許返納した方へ3年間無料交付や、拡充されるミニバスなどの地域交通に適用します。
花博…成功あやうし
2027年に上瀬谷で開催予定の国際園芸博=花博ですが、「環境と共生」するとしたコンセプトには賛成です。しかし、物価高のために会場建設費の市負担額が約83億円から111.2億円に引き上がる見通しが示されました。背景に半年で有料入場者数1000万人を目指すとした過大な計画があります。これを見直さないと、運営費や輸送費も膨れ上がることは必至です。計画の詳細も明らかにされず、市民と議会が内容をチェックできない仕組みも大問題。このままでは成功しないことから、規模を現実的なものに縮小するなど抜本的な見直しを求めました。
どうなる中学校給食…
2026年から全員制の中学校給食がはじまります。全員制には賛成ですが、お弁当を運ぶデリバリー方式には賛同できません。小学校と比べて副菜の残食も多く、他都市では学校調理方式に切り替えが進んでいます。市と半数の学校で学校調理が可能と認めているわけですから、できる学校から学校調理にする計画に見直すよう求めました。
また関内の民間タワービル建設に約217億円の公金投入などの計画も容認できません。引き続き是々非々で市政に臨んでいきます。
訪問介護の報酬の引き上げを求める請願などには採択を
2025年度 予算議会最終日の3月25日、日本共産党を代表して大和田あきお議員(戸塚区選出)が、請願に賛成の立場から採択を求める討論を行いました。
訪問介護の基本報酬をはじめとする介護報酬の引き上げを求める請願は、市内の苦しい現状にある介護事業所によりそい、訪問介護の基本報酬をはじめとする介護報酬の引き上げを市から国に求めるものです。大和田議員は、危機的経営状況となっている市内訪問介護事業の現状を伝え、在宅介護の基盤を存続させるためにも本請願の採択を求めました。
また、従来の健康保険証の発行存続を求めるなどなどの訴えは、市民の切実な声。真摯に受け止め、横浜市会の総意として、採択しようと各会派に呼びかけました。
しかし、日本共産党(5人)と無所属議員が賛成しましたが、自民・公明・立憲・維新・国民の反対多数で不採択となりました。
3月10日付で、2027年国際園芸博覧会協会から横浜市に、物価や人件費の上昇などを理由にGREEN×EXPO2027の会場建設費の増額(320億円から最大417億円)の要請がありました。
規模を縮小して当初費用内で収まるようにできないのか
古谷議員は、今回の値上げについて同意を求められている市長の見解を問い、議会で議論する必要を述べ、「これ以上の市民負担を増やさないよう、想定来場者数を見直して規模を縮小してでも当初の320億円以内で収まるようにする考えはないのか」と問いました。また、このままだと、運営費(360億円想定)の増額も必至になると指摘。横浜市が負担している協会職員人件費、開催地庭園整備などの「隠れ市民負担」も含めた経費についても市民に説明すべきと求めました。
チケット代は市民が気軽に行こうと思える値段設定に
また、運営費が増えれば運営費で賄う入場チケット代が上がることになると指摘。現在、チケット代は3,500円と想定されているが、「これでも高いと思う」と述べ、市民がもっと気軽に行かれる値段設定となるよう、現在の計画見直しを求めました。
コスト抑制に向けた不断の努力をしてもらうことを前提に協会からの要請は妥当…山中市長
山中市長は、増額は、物価上昇の範囲内であり、コスト抑制にむけた不断の努力を前提に「今回の協会の要請を受け入れることが妥当である」と考えていると答弁。入場チケット代の価格については、大阪万博の行方も見ながら、「協会がこれから検討を進めていくことになる」「市民感覚に沿った入場料になることを期待している」などと答えました。
報道に「見解の違い」で抗議することはやってはいけない
また、古谷議員は、横浜市における報道介入について、神奈川新聞が昨年11月から12月にかけて掲載した「横浜国際プール」や「山下ふ頭再開発」の記事4本について、横浜市が「読者に偏った印象を与える」として「抗議」的な文書を送り、回答まで求めた問題を取り上げ、記事の事実誤認の指摘ではなく、「見解が違う」ことでそこまでやるのは、「報道の自由」を制限する、「やってはいけないことだ」と追及し、「報道の自由を守ってほしい」と訴えました。
バス路線の減便・廃止を出さない取り組み強化を
【3月7日交通局審査】
横浜市営バスは、2024年度中に3回にわたる減便を行いました。内容は4月1日に77路線290便、同22日に12路線77便、10月1日に52路線265便で、減便前の3月末と比べると全体で632便減っています。市民の足に深刻な影響が出ています。原因は運転手不足によるものです。市は、人財確保大作戦と銘打ち、給料の改善や住宅手当の増額、女性採用枠の新設など行っています。局別審査では、取り組み状況について質しました。
質問:これまでの採用状況は?採用の課題は何か。
答弁:今年度99人の正規採用を行った。ただ採用者
の過半数が50歳以上。今後も乗務員確保策は、重要課題だと認識している。
質問:これ以上の減便は今後は行わないと市民に約束してほしい。
答弁:今後も可能な限り減便の回避に努める。
質問:大変な働き方になっている要因の一つとして、組合からも見直し要望がされている「変形労働時間制」があるが、しっかり見直すべき。
答弁:必要な制度であり、見直す予定はない。
要望:「生活交通バス路線等の維持制度」があるが、赤字に見合った補助金を局として請求していない。しっかり求めるように。また、人財確保策として住宅手当5万円支給をはじめたが、こちらも民間バスへ市が支援している補助金
と同程度の予算増を市として出すべき。
【その他の局別審査での主な質問や提案】
・自衛隊に市民の個人情報(名簿シール)を渡すな。各地区センターの図書コーナーに司書を配置して図書館分室へ拡充しもっと図書が市民の身近になる取り組み強化を。【市民局】
・関内駅前地区の民間タワービルへの公金投入(7年間で210億円)は、公共性が乏しく中止を。米軍・自衛隊基地の土地利用を規制する「重要土地等調査法」の市内注視区域について、しっかり当該区域の市民に知らせること。【都市整備局】
・「こども誰でも通園制度」は、新たに発生する保育園の負担軽減をなど。保育士確保大作戦は、賃上げと働きやすい職場環境の整備が不可欠。市として役割発揮を。【こども青少年局】
・JR横浜線中山駅付近にある川和踏切の立体交差計画の早期実現を。小学校付近の狭あいな通学路の安全対策強化を【道路局】
・ふ頭における災害時の帰宅困難者対策の強化を。臨港幹線道路計画は凍結・中止を【港湾局】
・中学校のいじめ問題について、保護者からは「教員によるいじめ」があったと指摘されている。一人一人の先生がきちんと向き合える体制を。
・敬老パス制度を地域交通に拡大したことを歓迎。更なる拡充を。特養ホームへ必要な方が入れる支援強化を。紙の保険証存続を。【健康福祉局】
老朽化した「給水管」の更新が進む助成事業の拡充・予算増と市民周知を
【2月25日 水道局審査】
能登半島では、地震で水道管が破損し、断水がいまだに続いている地域があります。また、行政による水道管復旧が進んでも、水道管から自宅等の蛇口に繋がっている「給水管」が破損したままで家庭で水道水は使えません。
しかし、この「給水管」は個人の敷地内にあり、修繕・復旧は個人責任となります。経済的に苦しい家庭では、修繕費用を工面することができず、被災地の生活再建が進まない要因の一つと指摘されています。
横浜市では、市負担で、耐震性に優れたものに改良する「老朽給水管改良促進事業」を10年前からはじめています。しかし、予算は10年前と変わらない2億円程度。物価高で、一軒あたりの費用が増加していることから、事業件数が減っています(1030→594件)今後ますます重要さを増す事業であり、予算増と事業周知を行うよう求めました。
水道局長からは、件数が減っていることについて、「申し込み状況が減っていくことは避けなければならない。適切な周知を図っていかなければならないと考えている」と答弁がありました。ただ、副市長からは、「今以上の予算の拡充(支出)は難しい」などの答弁もありました。課題を前に進めるために市としてできる更なる工夫の検討を求めました。
国際平和推進事業が前進!
戦争体験・被爆者の生の声を聞く講演会や、平和パネル展を18区図書館でも開催
【3月6日 国際局審査】
横浜市は、1987年に国連からピースメッセンジャーの称号を授与され、2015年政令市初の国際局を設置。以降、国際平和講演会の開催や平和に関するパネル展の開催、核実験を行ったあらゆる国に対して抗議文を送付するなどの取組を行っています。
党市議団としては、市民の身近なところで、戦争や核兵器の悲惨さを伝えるパネル展や生の戦争体験を聞く機会をつくることを市に提案してきました。今回の局別審査で、18区の図書館で新たにパネル展の開催や、毎年開催の国際平和講演会と別に戦争体験者から過去の惨禍を直接聞く講演会などを行う準備を進めるていると答弁がありました。一歩前進です。
【他局での主な質問や提案】
・老朽化が伴う建替え等、立ち退きの要望が寄せられている消防団器具置き場80棟の早期対応を。
【消防局】
・新年度からはじめる補聴器購入補助事業の対象件 数・助成額の引き上げを【医療局】
・脱炭素リノベ住宅と、マンション耐震化促進のた めの予算増を【建築局】
・市として守るべき緑の面積を引き上げ、みどり税 は廃止を。横浜繁殖センターの指定管理化は行わ ないこと。【みどり環境】
・戸塚資源選別センターの老朽化対策・再整備促進 を。【資源循環局】
避難所の雑魚寝状態を解消する予算を
避難所の環境改善について白井議員は、能登半島地震での被災への対応を踏まえて、本市の地震防災戦略で見直しが示されたが、新年度予算では459ある地域防災拠点・避難所の1拠点に対して、わずか約24基のパーティションと111個の簡易ベッドの備蓄にしかならないと指摘。1拠点に避難者は1,000人の想定であり、これで早期の雑魚寝状態の解消となるのかと山中市長に問いました。
山中市長は「避難所の環境改善は避難者のストレスを少しでも軽減するためにも大変重要な取り組み。そのため避難世帯数などに応じたプライバシー確保のためのパーティションや、就寝環境の向上につながるコット・エアマットを新規に導入して、できる限り早期に避難所の環境の改善を図る」と答えました。
肝心の中身がわからない花博では市民理解を得られない
2027年開催予定の国際園芸博覧会の、会場建設費は320億円。その3分の1を市と県で負担し、その8割の86億円が本市負担とされています。新年度は本市負担金37億円ほどの予算案が示されており、次年度も同規模とされています。この費用とは別に、本市による機運醸成の費用も増額されています。
白井議員は、建設費320億円はどんなものにいくら使う想定なのか、会場計画の全体像が示されていない。肝心の中身がわからないものに、粛々と市費が支出されている状態だと指摘。これでは市民理解は到底得られず、機運醸成どころではないと疑問を呈しました。
山中市長は、「スケジュール通り順調に会場計画の策定が進んでいる。あわせて開催の内容や会場計画について様々な媒体を活用して今後も示していく。議会の皆様方の協力もいただきながら、市民の皆様の理解と共感につなげていく」と述べました。