日本共産党横浜市会議員
古谷やすひこ「ギセンカンサ」って、分かりますか??
正確には、議会選出監査委員のことです。
監査委員というのは、地方自治法195条に規定されており、現状横浜市には5人の委員がおり、そのうち二人が議会から選出されています。その議会から選出されている監査委員について、地方自治法の改正によりなくすことができるようになりました。そのことについて横浜市としてはどうするのかを論議する議会運営委員会が行われ、以下の通り、議員団を代表して発言しました。
私たちは、本市の議会から選出される監査委員をなくすべきだと考えます。
その理由は以下述べていきます。
今回の議選監査のあり方の見直しは、地方自治法等の一部を改正する法律案が可決され、議会から選出される監査委員をなくすことができるようになったことに始まり、そのあり方について議論がなされています。
平成21年 地方制度調査会、「今後の基礎自治体及び監査・議会制度のあり方に関する答申」では、議選委員(議会から選出される委員)は、「短期で交代する例が多いことや、当該地方公共団体の内部にある者であり、その監査が形式的になりがちではないか」との指摘があります。
こうした中で、地方公共団体の監査制度について、その役割の重さをかんがみて、不断の見直しをしなければならない。そのためには、監査委員の権限の強化・独立性・専門性を高めることが必要です。
また議会は、監査委員とは別の立場から議会本来の機能として自治体行政に対する監視機能を果たしていくべきであります。議員が監査委員として監視機能を果たすことが不可欠であるとは考えられません。
したがって、ただいま議論になっています議会選出監査委員について、この機会になくすべきだと意見表明します。



2017年12月21日
横浜市長 林 文子様
日本共産党横浜市会議員団 団長 荒木 由美子
「(仮称)横浜市住宅宿泊事業に関する条例」骨子に対する日本共産党の見解
今年6月に「住宅宿泊事業法」所謂「民泊」新法が成立しました。この法は、住宅を利用して宿泊させる事業を新たに認めるものです。民泊に活用できる住宅の年間提供日数の上限は180日と定めました。これまでは宿泊は、旅館業法で、衛生や安全確保などの基準に適合し、許可されたものに限定されていました。新法では届け出さえすれば、民泊の営業を認めることを基本原則としました。
日本共産党は、この法による住宅での宿泊業の解禁は、宿泊者・周辺住民などの安全を脅かしかねないものであるとして反対しました。
法では、自治体の権限として、民泊事業者に対して、必要に応じて、業務改善命令や業務停止、立入検査等を可能としました。そして、騒音の発生やその他の事象による生活環境の悪化防止のため、合理的に必要と認められる限度において、地方自治体が、条例により、区域を定めて、住宅宿泊業を実施する期間の制限を可能としました。
横浜市は、法や政令に基づき2018年3月から住宅宿泊事業者の届け出がされるという切迫した状況の中で、期間制限区域と制限内容を規定する条例の制定をめざして骨子を示し、12月26日までの期限で市民からの意見を募集しています。
市の条例骨子では、低層住居専用地域についてのみ、規制をかけ、平日の月曜日から木曜日(祝日等を除く)の営業を禁じました。他は、法の適用で自由営業です。横浜市における低層住居専用地域は市街化区域の41%をしめ、良好な住居の環境を保護するための地域であり、店舗や事務所、宿泊施設等の立地がもともと制限されています。休日は、こどもたちが地域で遊び、多くの住民が最も安らぐ時でもあります。ここでの営業を認めることは、市自身が、住民に保障していることと矛盾しています。
現在、横浜市は「地震火災対策方針」で「燃えにくい街・燃え広がらないまち」の重点対策地域として住宅が密集する地域1,143haを指定しています。指定地域の86%を占める南・中・西・神奈川の4つ区に、横浜市が調査した民泊施設が集中しています。消防庁は、「住宅宿泊事業法」に関わって、民泊施設の消防用設備設置基準を設けていますが、民泊スペースが50㎡以下の場合は、消防用設備の設置を不要とし、150㎡以下の場合は、消火器設置を不要としています。この規定は、広大な密集住宅市街地を抱える横浜の場合、防火対策上も看過できない問題点です。ここでの民泊施設の営業は、安全な町づくりにも大きな支障をきたします。
東京都大田区は、羽田空港がある街として国の民泊特区で2015年から民泊を行っていますが、住居専用地域以外にも工業地域や工業専用地域、文教地区など該当地域では平日・週末に関わらず全ての期間において民泊を禁じました。
横浜市は、ホテルの開業が今後も多く予定されている点(4,000ベット増)から、そもそも、民泊の必要性は低いとしています。そして、議会の場で、住民の生活を安全安心にすることが基礎自治体の第一の役割との認識を明確にされました。住民の生活環境の保護・安全安心第一で取り組み、国に追随した規制緩和によって、これを犠牲とすることはあってはなりません。
横浜市は地域ブランド調査において5年連続で居住意欲度第一位を獲得しています。誰もが住みたい、住み続けたいと思えるくらしやすく魅力あふれるまちづくりの点からも、横浜を訪問された方々が、安心で快適な横浜の街を実感できるために働くべきです。住居を民泊に提供するならば、事業者として、宿泊客を守る視点からも近隣住民の安全安心の点からも旅館業法、建築基準法、消防法で規定されている旅館やホテルと同様の要件を守ることが必要だと私たちは考え、以下の提案を行うものです。この提案を条例の制定並びに執行に反映されるよう要請いたします。
以上

2017年12月21日
国際園芸博覧会の基本構想(素案)の見直しを求める日本共産党の見解
日本共産党横浜市会議員団 団長 荒木由美子
横浜市は、2026年に旧上瀬谷通信施設での国際園芸博覧会(花博)開催を目指しています。上瀬谷通信施設跡地は242ha(国有地45%、私有地45%、市有地10%=道路)の広大で平坦な首都圏に残された貴重な土地です。この土地利用について、市は郊外部の再生に資する新たな活性化拠点の形成を目指すとしています。そのため、都市基盤整備の促進、国内外の先導的なまちづくりに寄与する、花博の招致検討を進めています。花博基本構想(素案)についての市民意見の募集にあたり、党市議団の見解を述べるものです。
そもそも国際園芸博覧会は、オランダのハーグ市にある国際園芸家協会(AIPH)が決定し、パリに本部を置く博覧会国際事務局(BIE)が承認する博覧会です。もともと、園芸博は、花や野菜の品評会、見本市という欧州の伝統的なイベントであり、生産者の利益を図り、技術の向上をはかるというAIPHの展開策です。振り返れば、国際博覧会は、1851年のロンドン万博以来、国威発揚の場でした。しかし、近年では、人類共通の課題解決にむけて、先端技術など世界の英知を集め、新たなアイデアを創造・発信する場、多様な文化や価値観を共有し、相互理解を促進する場へと総じて進化しています。横浜市が「花博」誘致希望であれば、その原点に立ち、歴史を踏まえることが必要です。
1) イメージできないメインテーマは見直すこと
メインテーマを「Scenery of Happiness ~幸せを導く風景~豊かさを深める社会への契機・進化に向けて」としていますが、ここからは横浜カラーの花博のイメージが見えてきません。1990年開催の大阪の花博は「自然と人間との共生」、2016年開催のトルコ・アンタルヤの花博は「花と子供達~将来世代のための緑豊かな暮らしを拓く」をメインテーマにしています。これを見ても横浜はあまりにも抽象的すぎます。しかも英語表記が前面です。市民がイメージしやすいよう、日本語で自然、環境、緑の重要性を訴えるものに見直すことが必要です。
2)花博を再開発の手段としないこと
「開催意義と効果」のうち、日本での「視点」としている「国内外の来訪者により観光立国や首都圏の観光MICE(マイス)の推進に貢献」「高水準の情報通信等による次世代の社会環境や第4次・第5次産業革命を先導」は、国策への追随そのものです。上瀬谷の「視点」として「上瀬谷の拠点整備により郊外部の活性化モデルとして圏域振興を牽引」と、「事業展開の考え方」での「郊外部の活性化拠点として上瀬谷の整備と合わせて、存在感のある選ばれる・住み続けられる都市づくり」等は、花博自体の意義にはつながらず、花博そのものから得られる効果とも言えません。花博後の土地利用として都市基盤整備を円滑にすすめるためとの意図が露骨に示されています。花博を再開発の手段とすることに国際的理解は得られません。横浜市が主導するわけですから、国際的イベントであっても、開催費用の一部を負担する373万市民にとって、どういう意義があるかを前面に打ち出すことを求めます。
3)1500万入場者数を既成事実化しないこと
入場者規模は1500万人以上を想定、会場規模は80ha~100ha(国有地)、開催経費として運営・建設費を510億円から600億円と見込んでいます。大阪花博は1990年、大阪市鶴見緑地(105ha)で日本初の国際園芸博覧会として開かれました。入場者数は2300万人。建設・運営費892億円。主な財源は入場料492億円、国費66億円、自治体負担100億円、公営ギャンブル団体寄付100億円、企業寄付88億円です。建設運営費の他に特別会計300億円で諸事業を展開し、その財源に40億円の宝くじ収益金を充当しています。公営ギャンブルと民間資本に大きく依存していることが分かります。
このように大阪花博は、バブル期の開催の恩恵をフルに享受したと云えます。横浜の場合は、2026年開催であり、経済状況は全く読めません。事業企画内容についても市民ニーズ、時代に適合したものになる保証はありません。郊外部の開催であり、交通アクセスは、地下鉄駅が会場内という大阪花博と比べて、悪いのは明白です。しかも、大阪市が、横浜の前年2025年開催の万博誘致には躍起になっています。連続開催によるデメリットも考慮しなければなりません。2009年開催の横浜開国博Y150の有料入場者数実績は目標500万人に対し124万人という悲惨な結果でした。苦い経験を想起すべきです。1500万人を既成事実化して、建設運営費予算を立てることは、Y150の教訓を踏まえないことになり、やってはいけないことです。
4)会場外の関連公共事業は、巨大化を避け、身の丈に合ったものに
大阪花博では、関連公共事業として地下鉄1000億円、道路347億円、公園170億円、下水道162億円など総額1853億円の巨費を要したと聞いています。大阪市財政に多大な影響を及ぼしています。横浜の会場予定地は、相鉄瀬谷駅から約2㎞、環状4号線が貫通しているものの交通アクセスは脆弱です。6か月の開催期間で1500万人の入場数は、一日平均8万2千人となります。この受け入れをスムーズにするには、道路整備、輸送手段の確保、下水道整備など関連公共事業が求められます。市財政への負担は避けられません。市は国費を入れて、関連公共事業の推進を図ろうとしていますが、国費投入の実現性は、国の財政状況から見て極めて不透明と云わざるを得ません。市会会派から導入を求められているLRTは、宇都宮市の事業計画では1キロ当たりの事業費は30億円です。花博用には有効だとしても、公園を中心とした「跡地利用指針」からみると、採算上過大投資と云わざるを得ません。
5)土地利用とまちづくりは市民合意で
花博誘致にあたっては、返還跡地活用のための基盤整備促進の国費呼び込みを露骨に打ち出した基本構想を改め、これまで瀬谷区役所をはじめ地域連合会や地権者で策定された「米軍施設返還跡地利用指針」等で示されている「広域の防災拠点」「緑を享受する自然リクレーション空間」「都市型農業の振興」と整合性のとれた構想にすべきです。同時に、首都圏に残された貴重な土地の跡地利用やまちづくりについては十分な時間をかけ、地権者をはじめ市民との合意形成を丁寧におこなうことが重要です。
市民にとって意義のある花博開催となるよう、以上の提案・見解を踏まえた素案の見直しを求めるものです。
