日本共産党横浜市会議員
古谷やすひこ
2016年8月4日
横浜市長 林 文子 様
日本共産党横浜市会議員団
団 長 大 貫 憲 夫
小児医療費助成制度は、経済的な心配をせずに子どもを医療機関に受診させることができる、子育て支援として最も有効な施策のひとつです。横浜市では、昨年10月からようやく小学3年生まで対象年齢(通院)が引き上げられ、今年度予算ではさらに引き上げるための検討予算が計上されており、子育て世帯はその実施を待ち望んでいます。
ご存知のとおり、県内では医療費助成の対象年齢を小学6年生までとしている自治体が15市町、中学3年生までが14市町村で、小学6年生以上が約9割を占めています。これらのうち12市町村では所得制限がありません。
一方、横浜市は助成制度に一部負担金の導入を検討しており、1回500円と200円の一部負担金を導入した場合の削減額を試算しています。500円は、0歳から小学3年生までの利用実績の1回当たり医療費の約1割相当額、200円は、4歳から未就学児に導入している県の一部負担金額です。市の試算によれば、4歳から小学3年生までの削減額は、負担金500円の場合11.6億円、200円の場合4.6億円です。仮に4歳から負担金を導入すると、現在は窓口負担ゼロの約13万人の子どもがそれらの金額を負担することになり、受診抑制が大いに懸念されます。
大阪府保険医協会が府内の全公立小中高校を対象に行った調査では、2014年学校検診で受診が必要と診断された児童・生徒のうち、小学生の50.4%、中学生の69.0%、高校生の86.9%がその後受診していません(7月25日付しんぶん赤旗より)。年齢が高くなると医療費助成対象でなくなる自治体が多いことから、受診抑制には貧困が大きく関わっていると考えられます。
今、子どもの6人に1人が貧困状態にあるといわれ、横浜市でも今年3月に子どもの貧困対策に関する計画を策定し、対策を進めています。一部負担金の導入は貧困対策にも反するものです。
一部負担金の導入は約13万人もに影響を与えかねない重大な条例変更であるにもかかわらず、市民意見募集もせず、子育て世代からの意見もきかずに、議会に条例改定案を提出するのは、あまりにも乱暴なやり方です。学校PTAや幼稚園・保育園の保護者などを中心に市民に変更案を示し、広く意見を求めるべきではないでしょうか。
県内で一部負担金を導入している自治体はなく、導入を強行すればその影響は全県に及ぶことになります。
以上により、小児医療費助成制度について、次のように申し入れます。
記
1.対象年齢を、来年度は小学6年生までに、将来的に中学3年生まで引き上げ、所得制限を撤廃すること。
2.一部負担金を導入しないこと。
以上
現在、通院では小学三年生まで。入院では中学三年生まで無料で医療にかかれるのが、横浜市の小児医療費助成制度です。
下の表にあるように、その水準は中学三年まで無料のところもある中では誠に低い水準です。
私たちは毎年毎年その拡充を求めてきましたが、この度、「拡充は検討するものの、その代わりに自己負担金を導入することを検討したい」といってきた横浜市。9月から始まる議会で、その議案が出されることが決定的になりました。
つまり、助成の対象年齢の拡大や所得制限のあり方などを検討する代わりに、自己負担導入をしたいというもの。その方法も現在、助成を受けて0の方も一回診療を受けるごとにいくらとお金がかかることになります。
確かに、財政的には税収が増えるかもしれませんが、子どもの診療にお金がかかることで受診抑制が本当に心配です。子育て支援という観点から言えば、もっとも必要な、改悪してはいけない制度のはずです。
しかも横浜市は、現時点では、この自己負担導入によって、増える税収は試算しているようですが、その一方で、受診抑制があったり、この施策によってどういう影響を与えるかというマイナスの試算は全くなされていません。この状況で議案が出されてもまともな審議ができません。
そもそもなぜこんなところから税収を得ようとするのか?
これでは横浜から子育て世代を追いやろうとしているようにしか思えません!
具体的な議案が明らかになるのは、8月下旬ですが、私たちは強く抗議します。