日本共産党横浜市会議員
古谷やすひこ横浜市会第三回定例議会の前半の山場の採決日の反対討論の中で、「企業主導型保育事業」に対する内容の告発と税率を特別に引き下げてまで進めるべきでないことを岩崎議員が討論した部分を取り出して掲載しました。
市第31号議案 横浜市市税条例の一部改正についてです。 議案は、地方税法の改正に伴い横浜市市税条例を改正するものです。問題は、「企業主導型保育事業」の固定資産税・都市計画税を1/3へと減税することです。
企業主導型保育所は、すでに横浜市内に、21カ所、定員合計428人規模で展開されています。 公益財団法人:児童育成協会の資料で明らかです。
「企業主導型保育事業」への減税について、国が参酌基準として地方自治体に示しているのは1/2です。 本市は上限いっぱいの1/3へと大幅に減税措置を講じるものです。今回の条例改正による減税措置によって、「企業主導型保育所」が、本市において、さらに拡大、加速することになります。
「企業主導型保育事業」は、児童福祉法:第二十四条「市町村は、この法律及び子ども・子育て支援法の定めるところにより、・・(中略)・・当該児童を保育所・・(中略)・・において保育しなければならない。」 にもとづく「保育所」ではありません。国がこども子育て新システムのメニューとして、児童福祉法第24条の規定から逸脱して、2016年度から始めた制度です。実施主体が「自治体」ではなく、「企業」であるという点で、児童福祉法に矛盾するものです。したがって、「企業主導型保育事業」は、市の関与、指導監督ができない認可外施設です。
具体的に見るとその仕組みがわかります。「企業主導型保育事業」を行う企業は、国から認可保育所並みの助成金を受けるので、市の認可を受ける必要はありません。市には届け出るだけで保育施設を設置できます。また、利用者は、企業との契約だけで認可保育所並みの保育料で利用できます。
さらに、保育士の配置基準は、保育士が保育従事者の1/2でよいとされていること。保育室の面積や庭園面積については、「原則」とは書いているものの厳守基準としていません。事業者任せです。19人以下の場合は、調理室は不要など認可保育所の設置基準とは程遠く、また、0才から5才児の一括保育など「保育の質を確保」できる保障はありません。市長は、先の本会議での質問に、「企業主導型保育事業」は、「待機児童解消に資するものと考えております。」と答弁されました。しかし、待機児童の解消はあくまでも児童福祉法第24条にもとづく認可保育所の増設をもって対処すべきものです。
さらに、「保育の質は確保されるのか」との、わが党の質問に、市長は、「企業主導型保育は国が主体となって進めている事業で、基準や事故防止に向けた指針等を定めています。また、全施設に国及び市が、年一回、立ち入り調査による指導等を実施し、質の確保を図っていきます。」と答弁しています。しかし、国は、現時点で、立ち入り調査や指導等の指針を示せていません。「質の確保を図る」との市長の答弁は、現実を見ていないものです。
安倍政権は、「世界一、企業が活動しやすい社会をめざす」として、企業にとって「安くて使い勝手の良い労働力」の確保先として女性の労働力に照準を当てています。そして、待機児解消の切り札として、「企業主導型保育事業」に格別の力を入れています。
企業主導型を支援する国の本年度予算は、定員枠5万人を目標に、前年度比513億円増の1313億円と大幅に増額。この5万人分の目標も、本年5月時点で、すでに約4万人分を突破しているとして、目標を一気に2万人分上積みして、7万人としています。全国的には、2017年3月30日現在で、871施設、定員20,284人に対する助成が決まっています。横浜市の今回の上限いっぱいの減税措置は、安倍政権のすすめる待機児童解消政策の優等生でありたいとする意向が見えてきます。
こどもたちの健全な成長と発達を考えるならば、待機児解消は認可保育園を基軸に進めるべきです。
古谷議員:
最後に、横浜環状北線馬場出入り口での地盤沈下での住民被害について伺います。最大で13.7㎝が地盤沈下して、現在分かっているだけでも30戸が被害を受けている問題ですが、先日の首都高速が行った住民説明会では、被害の全貌どころか、どこに被害が起こったのかも全く明らかにしませんでした。質問に立った住民の方の大部分が「説明が不十分。回数も足りない」と述べても、「個別に対応します」と言って、一切それらには答えませんでした。せめて被害が起こっている地域全体の方全員を網羅するようなお知らせを行い、補償の基準なども明らかにすることは必要です。そのために、特に本市は、発注者(同様)としての立場と、市民の生命財産を守る立場で、合わせて、被害住民救済のために全面に立って対応すべきです。
地盤沈下が起きている地域については、もれなくその情報が行きわたるように、首都高に対して、対応を求めることと同時に、首都高がやらないとすれば、発注者としても、市も当該の地域住民に、情報が行きわたるようにしたうえで、救済できるまで市としても責任を持って対応すべきと思うがどうか伺います。
林市長:
最後に、横浜環状北線馬場出入口周辺の工事に伴う地盤沈下について、ご質問いただきました。お答えいたします。地盤沈下に関する情報提供と、責任を持った対応でございますけれども、今後、被害を受けたみなさまには、おっしゃっていただきました首都高速道路株式会社により、適切な補償がされることになります。これに先立って、相談窓口の設置や、説明会が実施されました。今の話だと、ちょっとまだまだ、市民の、被害に遭われた住民の方のご不満があると言うことでございますので、横浜市としても、ご不満やご心配が解消されるように、高速道路株式会社と協議をいたしまして、連携いたしまして、ご心配がないように取り組んでまいりたいと思います。
古谷議員:
次に、市民に開かれていない横浜の教科書採択の実施方法の異常さについて伺います。8月の道徳の教科書採択について、市民の関心の強い教科書採択の際には、川崎市でも相模原市でも、別会場をとって通常の委員会の定員からは、大幅に増やして多数の傍聴希望者を受け入れています。しかし、本市の教育委員会では、通常の傍聴者数から増やしていません。今回の8月の採択の際も、210名の傍聴希望の方が集まりましたが、24名しか直接傍聴できませんでした。残りの方は、離れた場所で、音声のみしか流れないという、前近代的なやり方の場所での傍聴にとどまっています。市教委自らが定めた「教科書採択の基本方針」に出されている、「開かれた採択の実施」にも反している状況だと思いますが、なぜ、直接傍聴者数を増やさないのか、伺います。
岡田教育長:
教科書採択の実施方法について質問いただきました。傍聴者を増やさない理由ですが、教科書採択は、教育委員会の権限と責任において実施することが法律で決められております。教科書採択が行われる教育委員会会議の運営につきましては、文部科学省から外部からのあらゆる働きかけに左右されることなく、静謐(せいしつ)な採択環境を確保することが通知されています。本市においては、通常、教育委員会会議を開催している会議室を使いまして、静謐(せいしつ)な環境を確保することに努めています。傍聴者の人数につきましては、教科書採択は、市民の皆様の関心が高いことから、会場に入れなかった傍聴希望者に対しまして、他の会場にて音声中継をさせていただくなど、なるべく多くの市民の皆様に、審議の様子をお聞きいただけるよう工夫しております。
古谷議員:
教科書採択について、いまのやり方は、どの委員が、どんな理由で、どの教科書を推薦するのかが、全く分からない教科書採択の委員会運営になされているのは、問題です。無記名で行われ、また、採択終了後の情報公開でも、この点については明らかになっていません。これでは、教科書採択が「公正でかつ適正な手続き」で、採択が行われたかどうか後から検証することすらできません。教科書採択は、記名式に変えると同時に、どの教科書を、誰がどんな理由で選択したかを明らかにするような運営に改善をはかるべきと思いますが、どうか伺います。
岡田教育長:
教科書採択の採決方法ですけれども、採決の方法は、横浜市教育委員会会議規則において、挙手、記名投票、無記名投票の中から教育委員会で決定することとしています。教科書採択については、外部からのあらゆる働きかけに左右されることなく、公正な採択が確保できるよう採択の方法についても、その都度、教育委員会で決定しています。また、教科書の採択理由の説明についてですが、議論の中で各委員が、教科書を採択する上で大事にしている観点や考え方を発言しています。会議終了後には、横浜市教科書取扱審議会の答申や、教育委員会会議の会議録などを公表させていただくなど、会議の透明性を確保しています。以上ご答弁申し上げました。
古谷議員:
教職員にとってのお昼休み時間について、2013年に教職員の実態調査をした際に、休憩時間がどのくらい取れていますかという問いに、10分程度という回答でしたが、その後休憩時間が法定通りとらせていないことに対して、何らかの改善策を講じられたのかどうか伺います。もし、講じられていないとすれば、労働基準法第34条「使用者は、労働時間が六時間を超える場合においては少くとも四十五分、八時間を超える場合においては少くとも一時間の休憩時間を、労働時間の途中に与えなければならない。」これに明確に、労働基準法違反をしていると思いますが、教育長の認識はどうか、伺います。
岡田教育長:
休憩時間が取れていないことへの改善ですが、教職員の負担を少しでも減らすことが、休憩時間の確保や、長時間勤務の縮減につながりますので、業務改善の支援や、人事配置の充実等の取組を実施してきました。しかしながら、休憩時間取得に対する具体的な改善策には至っておりません。中学校の教職員の休憩時間についてですが、休憩のための時間設定はしているものの、実態的には、多くの教員が様々な事情で確保できていない状況にあると認識しています。教職員が休憩時間を取れるよう、教育委員会としても教職員の働き方を見直していく中で、改善していきたいと考えています。
古谷議員:
教職員の長時間勤務の改善について、教育現場への庶務事務システムの導入結果について伺います。現状はまだまだ入力を全員が正確に行われていないという、不十分なシステム活用状況ですが、その中でもすでに残業時間が200時間という、とんでもない過労死ラインを大きく超えている教職員が、明らかになっています。新国立競技場建設現場で、現場監督の自殺背景に長時間労働があるのは周知の事実ですが、横浜の教育現場でも、今日明日でも過労自殺が出るような非常事態だと認識すべきです。教育長は、その改善の意思、あるのかないのか伺います。
岡田教育長:
教職員の長時間勤務についてですが、教職員が健康でモチベーションを高く持って教育活動ができる環境づくりは、横浜の教育の質をより一層高めていく上で必要不可欠であり、長時間労働については、大きな課題だと考えています。本市では、教職員の勤務実態に関するアンケート調査を行い、勤務実態を公表して負担軽減に向けた取り組みを開始いたしました。夏休み中の学校閉庁期間の設定など、できるところから改善に取組んでいますが、抜本的な改善には至っていないと考えています。今年度導入した庶務事務システムを活用し、勤務時間の把握に努め、健康状況の確認や産業医による面談等も開始をいたしました。勤務実態の改善に向け、一層努力してまいります。
古谷議員:
次に市長選挙でも、これもまた話題になった中学校の「昼食時間が15分しかない問題」について伺います。
市長が先日の定例記者会見で「横浜の中学生の昼食のあり方は、ハマ弁・従来の業者弁当・家庭弁当からの選択できることが基本」だと述べておられました。そうであるならば、今まで家庭弁当が基本とされていて、その前提で移動時間などが考慮のないお昼休み時間でしたが、ハマ弁や業者弁当を取りに行く時間も、きちんと確保するためにお昼休み時間を延ばすように、改善をはかるべきと思うがどうか伺います。
また現在中学校の昼食時間についても、多少現場で融通は利かせているにしても、そもそも昼食を15分で食べるというのは、あまりにも短すぎると思いますが、これで食育をはかるにも、健康面でも十分な食事時間だという認識なのかどうか、伺います。
岡田教育長:
教育政策の改善について質問いただきました。昼休み時間を延ばすよう、改善を図るべきとのことですが、各学校は、状況に応じて時間の配分をしておりますが、ほとんどの学校において、昼休み時間は45分程度となっています。その中を、昼食の準備に5分、昼食時間として15分から20分、その後15分から20分の休憩時間としています。ゆっくり食事をとる生徒もおりますが、ほとんどの生徒は、昼食後の休憩時間を様々な活動に利用していると聞いています。昼休み時間を伸ばすためには、決められた授業時数や勤務時間をもとに、終業時間を早める、就業時間を遅くする、あるいは、夏休みを短縮するなどの調整が必要になります。
食育及び健康面で昼食時間が十分な食事時間かどうかについての認識ですが、食育や健康面において、昼食時間が大切だと言う事は十分認識しています。昼食は15分から20分は、全員が教室で席について、時間をしっかり使って食べることを指導しておりますが、行事前の時期や、学級の状況によって指導が難しいこともあると聞いております。引き続き、しっかり食べることを指導していきます。